2014年のソーラーパネル世界シェアランキング、米IHSが発表

4月23日、米IHS(調査会社)が2014年太陽光パネルメーカーの出力の市場ランキングを発表しました。上位10社のうち7社が中国メーカーとなっており、それ以外では日本のシャープ京セラ、米国のファーストソーラーとなっています。今回も中国メーカーが市場を支配している状況でした。シェアの順位詳細は以下。カッコ内は昨年の順位からの推移を示します。

  1. トリナソーラー(+1)
  2. インリーソーラー(-1)
  3. カナディアンソーラー(-)
  4. ハンファソーラーワン(+6)
  5. ジンコソーラーホールディング(-)
  6. JAソーラー(+3)
  7. シャープ(-3)
  8. レネソーラ(-1)
  9. ファーストソーラー(-3)
  10. 京セラ(-3)

合計出荷量の約49%(23.7GW)が上位10社が占めており、2013年の48%からわずかに比率が伸びています。IHSは、2015年には2014年よりも世界市場は30%も増加し、57GWに達すると見ています。
太陽光パネルメーカーの工場の稼働率は2014年の61%(平均)から69%に向上し、上位メーカーでは90%になるのではないかと予想しています。

参考

2015年度は海外メーカーのソーラーパネルに注目?

日本の太陽光発電市場、特に住宅用の市場は高価な国内メーカーが根強く人気を持っていたものの、太陽光発電の買取単価が大幅に引き下げられる2015年度以降は海外メーカーの注目度がいやおうなしに高まってきそうです。シェアにして現在の3割から4割にまで上がってくるといわれています

日本でも人気の高いカナディアンソーラーに加えて世界シェアで1位2位を争うトリナソーラーインリーソーラー、そして最近中国のソーラーワンとドイツのQセルズが本格的に合併したハンファQセルズを合わせると出荷量は年内で380万kW(3.8GW)に上るといいます。

一方国内メーカーではシャープが2014年度の販売量見通しを下方修正して9%減、価格に関してはシリコン系よりも安価なソーラーフロンティアでさえ、15年は国内向け出荷を前年比6%減を予定しているのだそう。
ただソーラーフロンティアは海外(アメリカ)進出も進めているため、一概に事業収縮の見方をするべきでもないかもしれませんね。

パシフィコ・エナジー、ゴルフ場跡地での30MW超のメガソーラー、GEエナジーが出資

日本の企業であるパシフィコ・エナジーは、岡山県美作市に大規模太陽光発電所を開発しています。その開発について、アメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)グループの、GEエナジー・ファイナンシャル・サービスが出資すると発表しました。

大規模太陽光発電所は、2014年の12月から着工しているもので、2016年の夏に商業運転を開始する予定になっています。もともとゴルフコースであった跡地に太陽光パネルを設置する計画で、パネル42MWに対しパワコンは30.2MWという、いわゆる過積載を採用しています。

設計と資材調達と施行は、東洋エンジニアリングが行い、インリー・グリーンエナジー社の太陽光パネルを、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)のパワーコンディショナーを採用します。

大規模太陽光発電所事業に対しては、ノンリコース型のプロジェクトファイナンスを組成し、東京UFJ銀行と中国銀行から約130億円の融資を受けています。GEエナジー・フィナンシャル・サービスが日本国内の大規模太陽光発電所への出資を発表したのは、3件目で、いずれもEPCサービスは東洋エンジニアリング、プロジェクトファイナンスは三菱東京UFJ銀行が主導しています。

参考

世界最大7.5MWの水上メガソーラーが埼玉県で着工

約2年前から実例が増え始めた水上太陽光発電。水上架台の汎用化も進むなか、埼玉県でなんと、世界最大級7.5MWのフロート水上メガソーラーが着工したというニュースです。

事業主体は「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク合同会社」。株式会社スマートエナジーらがこの事業のために特別に作った特別目的会社です。

武蔵野銀行とプロジェクトファイナンスを組みことで資金調達。
設備は、供給量世界一の中国メーカーインリーソーラー製の単結晶パネル、そしてシュナイダー製インバーターを使用するとのこと。
場所は埼玉県梅ノ木古凍貯水池で、この貯水池を管理する川島町土地改良区が事業者をプロポーザル形式で公募して同社に決定したのだとか。

公募の決定理由などは川島町からも、選定事業者からも公開はされていません。パワーコンディショナに、災害時の自立運転機能はついているのでしょうか?

自治体が太陽光発電事業者を公募する例は多いですが、選定する際には「貸付賃貸料」の比重はそこそこにし、「事業がどのように地域貢献できるか」についても一考するべきではないかとは思います。
例えば、災害時の利用方法や、地元の産業との協力など、ですね。

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2014年前期のパネルシェアは中国勢が圧倒的

おなじみ米NPD Solarbuzzから、2014年第2四半期のシェアが発表されました。

2014年第1四半期はシャープが約4年ぶりにシェア一位を奪回したものの、すぐに逆転されてしましましたね。

上位6位が中国メーカー、上位20社もほぼ中国勢

順位が明らかにされていないのですが、上位6社のラインナップがトリナソーラ−、カナディアンソーラージンコソーラーJAソーラーインリーソーラーレネソーラーということ。全て中国メーカーです。

ちなみに2013年のメーカーシェアランキングとあまり変わらないとすると、
インリー、トリナがほぼタイで1位と2位、
それから3位から6位は
カナディアン、ジンコ、レネ、JAといった順序かと予想します。
この中でインリーとレネを除いて4社がそれぞれ各社過去最高の出荷量を記録したということ。
中でもトリナソーラーは一四半期で1GWに届く勢い(第3四半期は1GWを達成の見込み)というので、もしかすると1位が逆転しているかもしれませんね。

ちなみに上位20社のほとんどが中国メーカーで、全体の出荷量のうち71%を占めているのだとか。

アメリカとの摩擦も関係ない(?)勢いの中国メーカー

中国メーカーのパネルにアンチダンピング課税をかけているアメリカの太陽光発電市場ですが、中国メーカーはお隣の台湾などのアジア諸国を経由しての出荷や、中国以外の製品のOEMなどという抜け穴作戦で対抗していたのですが、その抜け穴も完全に塞ごうとアメリカ側は課税対象を広げたことで今後のシェアの動向がきになるところです。

抜け穴を塞ぐ貿易是正措置の決定を目の前にして中国メーカーの米国向け出荷が増加したということで、中でもトリナソーラーが米1位のファーストソーラーに届く勢いでの出荷量を記録したのだそう。

参考

シェア世界一のインリーソーラーまさかの赤字??

今月はじめには10GWのモジュール供給達成とも発表していた、シェア第一位(メーカーシェア推移はこちらからインリーソーラーですが、2014年大四半期の決算は予想を上回る赤字だったのだとか。

最終損益が4,600万ドルの赤字とあるのですが、なんと供給量世界一を取った昨年も、同期は5,230万ドルの赤字を計上していたのだとか。
身を削ってシェア世界一を守っている、ということでしょうかね。

パネルの供給量(出荷量)では予想していた870-950MWを達成で887.9MW。
来期以降はさらに米国によるダンピング課税の影響も受けると考えられ、今年の通年のパネル出荷量をこれまでの4~4.2GWという予測から3.6~3.8GWに引き下げることを発表しました。

参考

インリーソーラーが2MWの屋根借り太陽光発電にパネル供給

インリーソーラーが株式会社日本ベネックスによる日本最大級の屋根借りメガソーラー「ベネックス流山ソーラーポート」にパネル供給をしたと発表。
使用されるのは単結晶PANDAシリーズののモジュールで、千葉県流山市で行われるということですが、どの施設の屋根を借りるかはリリースでは公表されていません。
2MWを一括で設置できるとなると、かなり大きな屋根だと思います。

インリーソーラー、アメリカのダンピング課税対策に拠点シフトの可能性も

先月アメリカが、中国メーカーの安価な製品に対してアメリカに輸出する際の抜け穴(中国以外でモジュールを組み立てて出荷など)を完全に塞ぐための課税措置を考えていると発表しました。

それに対してモジュール出荷量で世界一、ワールドカップスポンサーもしていたインリーソーラーは、課税が決まった時点で生産拠点を海外に移すことも考えているという報道が出ています。

さてどうなることやら。

”フリーでフェアな貿易”を目指して、中国のパネルメーカーなど149社による太陽光発電協会「CPIA」が発足

中国の大手パネルメーカーインリーソーラーカナディアンソーラージンコソーラー、JAソーラーなどを含む中国の太陽光発電、エネルギー関連の149社が結合して業界団体CPIA(Chinese Photovoltaic Industry Association)を発足。初代の代表にはトリナソーラーのCEO、Jifan Gao氏が選出されたと発表されました。

この組織で今後どのような活動が行われていくのかは発表されていませんが、中国メーカーや中国の太陽光関連事業に関する透明性を高めてEPIA(欧州の太陽光発電協会)やSEIA(アメリカの太陽光発電協会)との関係を強化することなどが主なミッションとされると考えられます。

米・中や欧・中のアンチダンピングを巡ったやりあいに関して、双方の業界を潰しあうことになりかねないとして反対していた立場の人々(太陽光発電の設置業者や発電事業者など)にとっては、CPIAの設立に期待が膨らみますが、米×中のアンチダンピング抗争を仕掛けた張本人であり、最近ではアメリカ政府に対し台湾のセルを使用することでアンチダンピング関税の抜け穴を通っていた中国メーカーのパネルに対する処置を要請していたソーラーワールドなどにとっては苦しい状況となりそうです。

ワールドカップブラジル2014のスタジアムにはメガソーラーがずらり

ワールドカップが開幕し、教育や医療制度に満足できない市民による反動の不安が残る中、ブラジルは開幕に向けて一つ誇っていい功績がある。それは、スタジアムへのソーラーパネル設置による環境貢献の功績だ。というのはPVマガジン。

トーナメントが行われる12会場のうち3つの会場屋根にはすでに大規模なソーラーパネルが設置されており、さらに2つの会場で太陽光発電設置の計画があるといいます。

稼働中のスタジアム屋上太陽光発電システム

スタジアムへのパネル設置が、国民の最低限の生活の確保以前にするべきことなのかどうか、というのは別の議論の際にして、

マラカナスタジアム(photo via pv magazine)

マラカナスタジアム(photo via pv magazine)

現在、レシフェのアレナ・ペルナンブーコにはインリーソーラーのパネルが1MW、7月13日に予定される決勝戦の戦場ともなるリオデジャネイロのエスタジオ・ド・マラカナンには同じくインリーソーラーが400kW、ベロオリゾンテのエスタディオ・ミネラオにはポルトガルのMartifer Solar(マルティフェル・ソーラー)のパネルが1.4MW設置されています。

マラカナスタジアム(エスタジオ・ド・マラカナン)の400kWのシステムで、年間500MWhを見込み(1250kWh/kW、設備利用率は14.27%で日本平均の約1.1倍)、スタジアムに必要な電力の3%がそこから供給されるということ。

写真は改修前のマラカナスタジアム。(ウィキペディアから)
ブラジルに今すぐ行きたくなる写真です。

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これから建設予定の太陽光発電システム

国立スタジアムMane Garrinchaは、2.5MWにもなるパネルをワールドカップ後に設置の予定。
「これが完成すると世界で初めてエネルギーの自給自足を可能なスタジアムになる」と報道担当は言っていますが、これは出力ベースの話で、蓄電池などを設置しないと完全な自給自足は不可能かと思われます。

ちなみに2.5MWで2000世帯の電気をまかなえるそうなのですが、一世帯130kWhの計算になり、日本平均の半分以下ということになります。
アメリカは日本の4倍ほどの電力を使っていることから「日本の家庭は省エネが進んでる~」なんて思いがちですが、生活の水準が違えどまだまだ家庭内でできることがありそうです。

サルヴァドールのアレーナ・フォンチ・ノヴァにも、ワールドカップ後に500kWの太陽光発電設置計画があると発表されています。
3000人の人口が消費する電力に相当する750MWhを生産できるこの屋上太陽光発電の建設には550万ブラジルレアル(約25.1億円)が必要だとしています。
日本の太陽光発電の価格相場と比べても高めの予算ですが、伸縮性のルーフへの特殊な素材のパネルを採用するつもりのためだと考えられます。
これによってスタジアムの10%の電力消費を節約できるとしています。

いままでで一番グリーンなワールドカップだけど…

イギリスのNGOであるPractical Actionの会長サイモン・トレース氏は、

FIFAが歴史上一番グリーンなワールドカップの開催のために多くの資金を費やした事実は評価されるべきであるが、一方でこれらのスタジアム一つ分ほどの太陽光発電設備も擁さない国があることも事実だ。
ボスニアヘルツェゴビナ、クロアチア、カメルーン、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、ホンジュラス、イラン、コートジボワールそしてウルグアイは、国内の太陽光発電設備の総容量がMane Garrinchaに建設予定の2.5MW分にも満たない。

といいます。

他にも、「これまでのワールドカップに比べて太陽光発電の設置が遥かに増えているのは確かだけど、使いすぎているとされる115億ドルもの予算に対しては、合計出力5.9MWとはあまりに少ない容量に見える」
という声もあります。
参考