太陽光発電のパワーコンディショナー比較

パワーコンディショナー（パワコン、PCS／Power Conditioning Systemとも呼ばれる）は太陽光発電システムを構成する一部で、太陽電池で発電した電力を家電で使える電力に変換する機器です。ソーラーパネルでつくられたばかりの直流の電力から、家庭で利用される交流の電力に変換するインバータの機能が基本です。

パワコンの主な機能である電力の直流／交流変換に加えて附属的に備わっている機能を、ここではご案内します。

停電が起きると系統からの電力が途絶えます。この時太陽光発電設備からの送電を続けていると、停電復旧作業に支障をきたします。このように、系統が途絶えた際にも稼働し続けている状態（単独運転）を防いで系統が安全に運用できるよう備えているべき機能が、この「単独運転防止機能」です。各機器により方式が異なります。

この単独運転防止機能ですが、同一のトランスでつながっているご近所に太陽光発電を設置している家庭がある場合や、設置を検討している設備が複数台のパワコンを使用する場合、メーカーが異なるパワコンを使用すると単独運転の検出方式が異なり、それぞれの機能に支障をきたす可能性が指摘されるようになりした。このため該当の条件で連系を申請した場合、機能試験の成績を書面で提出することが求められ、これが工期遅れ（長い場合で2か月超）につながるばかりか、試験の結果次第では工程を増やさなくてはいけない場合もありました。

事業者の負担を軽減し、連系をよりスムーズにするためにはじまったのがJET認証などとも呼ばれる「多数台連系認証」です。適合製品は多数台連系であっても上述のような試験の必要がなく、スムーズな事業遂行が可能になります。

停電時などに、太陽光発電からの電力を直接パワーコンディショナから取り出して独立電源として使えるようにする機能です。住宅用のパワーコンディショナにはほとんどの製品に自立運転の機能が備わっています。発電事業のための産業用太陽光発電施設ではもともと自立運転機能は普及していませんでしたが、2011年の原発事故後は地域貢献、災害対策の側面がより重視されるようになり、産業用でも自立運転機能を持たせる例が増えてきています。

MPPT（Maximum Power Point Tracking／最大電力点追従制御）は、太陽電池から送られる常に電流が変動する電力に見合った電圧を常に探し続け、最大量を変換できるようにする機能です。特に性能の高いMPPT機能を持つパワコンは、追従速度が速く（≒電流が変動した際の感度が高い）電力ロスを最小限に抑えることができます。

売電単価が下がり、電力を得るメリットが減ってきている近年は、初めから自家消費を目的に太陽光発電を導入する家庭や事業主も増えてきています。太陽光発電を系統と繋げない場合、パネルの発電分が消費電力を上回ると逆潮流と言う状態が発電停止を引き起こし、手動による復旧が要求されることになります。自家消費専用のパワコンは逆潮流を防ぐため、出力の上限値を設定するようなシステムが標準的です。上限値を超えた出力は無駄になることになるため、太陽光発電システムの容量が大きく、自家消費電力量との差が大きくなるような場合は、こうしたシステム構成よりも系統と繋げて売電もできるようなシステムの方がお得であると考えられます。一方で、個人事業主など、太陽光発電の発電量が最も多い昼間に電力を使うことが多く、余剰発電分が少なくなるシステム構成の場合は、自家消費型のシステムの方がシンプルで、設備価格やメンテナンス費用が抑えられる場合もあります。

パワコン製造で実績の高いオムロンは、自家消費をする場合により多くの電力を活用できるよう追従機能を搭載した製品も用意しています。

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