パナソニックのHITパネルは2倍熱に強い?

太陽電池モジュール(ソーラーパネル)の性能を推し量る際には効率(%)や出力(W)といった値が気にされがちですが、仕様表などで出力温度係数という値を見た事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ソーラーパネルは太陽の光で日中は温められて、特に夏場には75℃までにものぼるほどなのだとか。パネル面が温められるほどソーラーパネルは出力が低くなってしまうのですが、この熱に対する耐性を知るための指標として出力温度係数が重要となります。

出力温度係数は結晶シリコンパネルで-0.4%/℃あたりが標準的な値ですが、この場合で温度が1℃上がると、出力は0.4%低下することになります。

標準で-0.4%と書きましたが、パナソニックはハイブリッド構造のHITパネルは熱耐性が高い特徴を持ち、出力温度係数が最新の製品で-0.258%/℃を達成しているのだそう。-0.4%と-0.258%で比べると、パネル温度が75℃まで上がった時、通常なら20%の出力低下が見込まれるところ、12.9%まで抑えられる事になります。1kW(1,000W)の定格出力のパネルで、71Wの出力差(瞬時)ということになります。

1000Wのうちの71Wと言われるとこれが多いのか少ないのか判断するのが難しいところですが、以下のページでは出力温度係数をどのように扱っていけばいいのかをより詳しく書いています。

システム出力係数・出力温度係数とは?

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ソーラーフロンティア、サブモジュールにおいて19.2%の効率を達成

ソーラーフロンティアは、30cm角サブモジュールにおいて19.2%の効率を達成したと発表。
これは2012年2月にの同社記録17.8%を1.4%上回ります。

太陽電池は、面積の小さいセルにおける研究段階ではより高記録を出しやすいものの、その後モジュールとして組み立てるとフレームやセル同士を並べた際のスペースなどが必要になるためモジュール変換効率は低くなります。
さらに量産の際は価格とのバランスを見ながらさらに効率が落ちることもあります。

今回の19.2%の記録は30cm角のサブモジュールとしてカテゴライズされる太陽電池での記録です。さらに小さい7×5cmのミニモジュールでは19.8%という記録も確認したということです。

楽しみですね。

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トリナソーラーが多結晶パネルで19.86%、変換効率の記録更新

トリナソーラーは、多結晶シリコンパネルにおける変換効率で19.86%を達成し、世界記録を更新したということ。

記録を更新したのは、通常のセルを半分にした形の、156x78mmのハーフセルを120枚合わせた多結晶パネルで、PERC技術などを採用したこのモジュールは「Honey Plus」シリーズのものだそう。

多結晶でありながら単結晶パネルに近い変換効率となっています。

太陽電池セル発電効率、結晶型の世界最高達成は「カネカ」

太陽電池メーカーのカネカは、結晶シリコン型の発電効率において世界最高記録を達成したと発表。

記録はヘテロ接合のバックコンタクト方式太陽電池によるもので26.33%という記録は前回のパナソニックの記録を0.7ポイントも上回るものです。

太陽電池の変換効率・記録の推移グラフ

ヘテロ接合といえばパナソニックのHITが有名ですが、カネカも独自にヘテロ接合のパネルを販売しています。ただ、効率がパナソニックのものと比べて低く、市場におけるシェアも高くないことから、あまり目立ちませんでした。

世界記録についてもパナソニックやシャープによる記録更新のニュースは頻繁に見かけますが、ここでカネカが入場ということで、面白くなりそうですね。

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パナソニックがモジュール変換効率で世界一23.8%を記録、バックコンタクト技術で

パナソニックは、三洋電機から受け継いだHIT太陽電池で国内メーカーとしては最高効率のモジュールを作り続けてきました。

しかし世界においては”バックコンタクト方式”によるモジュール配置で長年サンパワー社が効率では世界一の座を守っており、パナソニックはそれを追う形でした。

先んじてセル変換効率においては世界一の座を取ったパナソニックは今回、サンパワー社と同じくバックコンタクト方式を用いたセルを使ったモジュールで23.8%の世界一を達成したと発表。やりました!

現在市販されているパナソニックのパネルの効率は最高で19.5%。
今回の記録達成を成し遂げたセルの量産体制がひとたび整えば、国内メーカーで初めて、20%超えのモジュールを製造できることになりそうですね!

市場投入がいつになるのか、待ち遠しいです。

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ソーラーフロンティアとNEDOが共同で22.3%のCIS系セル開発、新記録!

NEDOがCIS太陽電池のリーディングカンパニーであるソーラーフロンティアと行った共同研究において変換効率22.3%を達成し、世界記録を塗り替えました。

宇宙用の太陽電池など特殊用途を想定した高価な多接合型セルでは30%台後半といった記録も出ていますが、この成果で重要なところは量産を前提とした技術での記録取得であったところ。

NEDOは2030年までに太陽光発電の発電コスト7円という目標を太陽光発電開発戦略(NEDO PV Challenges)において掲げており、この研究もその実現に向けたものでした。

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パナソニックが量産モジュールの変換効率で世界新記録22.5%

自社生産のパネルを販売する日本ブランドとしては国内で最高の変換効率を持つパネルを販売するパナソニックは、7月23日に量産ベースのセルを用いたモジュールで、モジュール変換効率22.5%(正確には22.48%)とサンパワーを抜いて世界一を記録したと発表。

記録を立てたのはシリコン系の太陽電池セルで125mm角セル72枚のパネルで、出力270.2Wのピーク出力を得たとしています。

記録樹立に際して、モジュール全体で損失を低減するための技術を複数用いた結果のものだと発表していますが、実際このパネルの製品化についての具体案はだされていません。

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カネカが効率28%の太陽電池を開発して世界最高に

薄膜型パネルのメーカーカネカは、世界最高効率の太陽光発電技術を開発したと発表。

効率が市場で人気の商品に比べて大幅に劣る薄膜型パネルを製造・販売しているカネカですが、デザイン性、意匠性といったアプローチでシェア拡大を狙うも、2014年3月期は特別損失を計上したといいます。

事業拡大のきっかけとなることが期待される新技術は韓国の成均館大学校の研究グループと開発したというもので、具体的にはレンズを使って太陽光を増幅したものを、2種類のパネルに振り分けて使うようなものだといいます。

これが「集光型パネル」に分類されるのかどうかや、種類の異なるこれらのパネルが被さる形で一枚になっているのか、など、詳しい内容はメーカーの発表を待ちたいところです。

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トリナソーラー、多結晶パネル出力で世界新記録324.5W

太陽光発電を手がける、トリナ・ソーラー(Trina Solar Limited)が開発した多結晶シリコン太陽光モジュールが、出力で世界新記録の324.5Wを達成した事が、中国太陽光発電技術国家重点研究室にて発表されました。

トリナ・ソーラーは、1997年に太陽光システムインテグレーターとして設立された会社です。この記録は、局所裏面電界や裏面パッシベーションなど高い技術を用いた、60枚の高効率Honey Plus多結晶シリコンセル(156x156mm2)による世界新記録です。

記録は、第三者検査機関のTUV Reinlandにより認められました。Honey Plus p型裏面不動態型(PERC)セルの変換効率記録20.76%に次ぐ、世界新記録になります。

今回の記録により、トリナ・ソーラーは2014年度、合計4回世界新記録を達成した事になります。トリナ・ソーラーの副社長兼ディレクターであるZhiqiang Feng氏は、「意義のある研究技術革新にフォーカスして取り組んでいく」「引き続きトリナ・ソーラーがPV市場における技術革新のリーダーとして台頭し続け、高効率モジュール製品の将来的な大量生産を目指す」などと語りました。

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ジンコソーラーの「Eagle+」多結晶セルパネルで出力記録更新

中国の太陽光パネルメーカー、ジンコソーラーホールディングは同社製の6インチセル60枚で構成した60セルの多結晶シリコン型太陽光パネルの試作品である「Eagle+」が、ドイツの第三者認証機関である上海テストセンターで測定した結果、既存60セルの平均最高出力255Wをこえ、業界最高の306.9Wを達成したと発表。
現行製品ではジンコソーラーの60枚セルのパネルの大きさは1650×992となっており、このパネルの大きさと同じものが306.9Wを出したと仮定すると効率18.75%となります。これは単結晶パネルにも及ぶ成績と言え、現在製品化されている多結晶パネルの効率の最高16.2%よりも2%以上高いことになります。

もちろん、あくまでこれは試作品の記録のため、ここから量産品に落とし込む段階でどこまでこの効率をキープできるのかが見どころとなりそうです。

今回使用したセルは数個の高効率と革新的技術を綜合し、その中でシリコン結晶欠陥を減らす新技術として米デュポンの導電ぺーストを使用し、新たな電導層の形成技術によりセルの欠陥を抑制したうえで、先進なモジュール体化包装技術としてデュポンの薄膜のパックシートを使用し、発電効率を向上させた上に信頼性も高めました。

試作した太陽光パネルの試験では、デュアル85の条件下で1000時間の試験後の劣化現象がフリーであることを実現し、セルと包装材料を抗酸化デザインにすることで、スネイルトレイルと呼ばれるセルの細かいひび割れがほぼ0%にまで抑えられたと強調しています。またジンコソーラー社のCEOは今回の高技術の革新運用によりモジュールの出力と信頼性を大幅に高め、安定した発電を25年は保証できる、さらに今後は量産をめざし、コスト削減と全世界の太陽光発電業界内の発電の加速させると述べています。

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