ワールドカップブラジル2014のスタジアムにはメガソーラーがずらり

ワールドカップが開幕し、教育や医療制度に満足できない市民による反動の不安が残る中、ブラジルは開幕に向けて一つ誇っていい功績がある。それは、スタジアムへのソーラーパネル設置による環境貢献の功績だ。というのはPVマガジン。

トーナメントが行われる12会場のうち3つの会場屋根にはすでに大規模なソーラーパネルが設置されており、さらに2つの会場で太陽光発電設置の計画があるといいます。

稼働中のスタジアム屋上太陽光発電システム

スタジアムへのパネル設置が、国民の最低限の生活の確保以前にするべきことなのかどうか、というのは別の議論の際にして、

マラカナスタジアム(photo via pv magazine)

マラカナスタジアム(photo via pv magazine)

現在、レシフェのアレナ・ペルナンブーコにはインリーソーラーのパネルが1MW、7月13日に予定される決勝戦の戦場ともなるリオデジャネイロのエスタジオ・ド・マラカナンには同じくインリーソーラーが400kW、ベロオリゾンテのエスタディオ・ミネラオにはポルトガルのMartifer Solar(マルティフェル・ソーラー)のパネルが1.4MW設置されています。

マラカナスタジアム(エスタジオ・ド・マラカナン)の400kWのシステムで、年間500MWhを見込み(1250kWh/kW、設備利用率は14.27%で日本平均の約1.1倍)、スタジアムに必要な電力の3%がそこから供給されるということ。

写真は改修前のマラカナスタジアム。(ウィキペディアから)
ブラジルに今すぐ行きたくなる写真です。

worldcup_brazil

これから建設予定の太陽光発電システム

国立スタジアムMane Garrinchaは、2.5MWにもなるパネルをワールドカップ後に設置の予定。
「これが完成すると世界で初めてエネルギーの自給自足を可能なスタジアムになる」と報道担当は言っていますが、これは出力ベースの話で、蓄電池などを設置しないと完全な自給自足は不可能かと思われます。

ちなみに2.5MWで2000世帯の電気をまかなえるそうなのですが、一世帯130kWhの計算になり、日本平均の半分以下ということになります。
アメリカは日本の4倍ほどの電力を使っていることから「日本の家庭は省エネが進んでる~」なんて思いがちですが、生活の水準が違えどまだまだ家庭内でできることがありそうです。

サルヴァドールのアレーナ・フォンチ・ノヴァにも、ワールドカップ後に500kWの太陽光発電設置計画があると発表されています。
3000人の人口が消費する電力に相当する750MWhを生産できるこの屋上太陽光発電の建設には550万ブラジルレアル(約25.1億円)が必要だとしています。
日本の太陽光発電の価格相場と比べても高めの予算ですが、伸縮性のルーフへの特殊な素材のパネルを採用するつもりのためだと考えられます。
これによってスタジアムの10%の電力消費を節約できるとしています。

いままでで一番グリーンなワールドカップだけど…

イギリスのNGOであるPractical Actionの会長サイモン・トレース氏は、

FIFAが歴史上一番グリーンなワールドカップの開催のために多くの資金を費やした事実は評価されるべきであるが、一方でこれらのスタジアム一つ分ほどの太陽光発電設備も擁さない国があることも事実だ。
ボスニアヘルツェゴビナ、クロアチア、カメルーン、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、ホンジュラス、イラン、コートジボワールそしてウルグアイは、国内の太陽光発電設備の総容量がMane Garrinchaに建設予定の2.5MW分にも満たない。

といいます。

他にも、「これまでのワールドカップに比べて太陽光発電の設置が遥かに増えているのは確かだけど、使いすぎているとされる115億ドルもの予算に対しては、合計出力5.9MWとはあまりに少ない容量に見える」
という声もあります。
参考