2014年前期のパネルシェアは中国勢が圧倒的

おなじみ米NPD Solarbuzzから、2014年第2四半期のシェアが発表されました。

2014年第1四半期はシャープが約4年ぶりにシェア一位を奪回したものの、すぐに逆転されてしましましたね。

上位6位が中国メーカー、上位20社もほぼ中国勢

順位が明らかにされていないのですが、上位6社のラインナップがトリナソーラ−、カナディアンソーラージンコソーラーJAソーラーインリーソーラーレネソーラーということ。全て中国メーカーです。

ちなみに2013年のメーカーシェアランキングとあまり変わらないとすると、
インリー、トリナがほぼタイで1位と2位、
それから3位から6位は
カナディアン、ジンコ、レネ、JAといった順序かと予想します。
この中でインリーとレネを除いて4社がそれぞれ各社過去最高の出荷量を記録したということ。
中でもトリナソーラーは一四半期で1GWに届く勢い(第3四半期は1GWを達成の見込み)というので、もしかすると1位が逆転しているかもしれませんね。

ちなみに上位20社のほとんどが中国メーカーで、全体の出荷量のうち71%を占めているのだとか。

アメリカとの摩擦も関係ない(?)勢いの中国メーカー

中国メーカーのパネルにアンチダンピング課税をかけているアメリカの太陽光発電市場ですが、中国メーカーはお隣の台湾などのアジア諸国を経由しての出荷や、中国以外の製品のOEMなどという抜け穴作戦で対抗していたのですが、その抜け穴も完全に塞ごうとアメリカ側は課税対象を広げたことで今後のシェアの動向がきになるところです。

抜け穴を塞ぐ貿易是正措置の決定を目の前にして中国メーカーの米国向け出荷が増加したということで、中でもトリナソーラーが米1位のファーストソーラーに届く勢いでの出荷量を記録したのだそう。

参考

世界の太陽光発電設置容量が2005年から10年間で40倍近くに

米調査会社NPD SolarbuzzのアナリストMichael Barker氏によると、世界における太陽光発電の累積設置容量は現時点で150GWを超え、2014年の終わりには200GWに達する見込みだということ。
2005年には世界中で5GWしかなかった太陽光発電の累積設置容量ですが、この10年で30倍はおろか40倍近くにまで成長すると予想されているのですね。

太陽光発電は2005年から2011年まではずっとヨーロッパ市場が率いていたといいます。年ごとの世界需要の60~85%をヨーロッパが占めていた時期です。その後FIT制度の廃止などもあって市場が縮小、2014年には25%以下にまで下がってきています。

参考
ちなみにスタートダッシュは日本が早かった印象があります。1994年にすでに補助金制度を導入しており、住宅用を中心にすでに2004年の時点で約1GWの累積設置量がありました。参照

モジュール供給量ではトリナソーラーがインリーに追いつく勢い

四半期ベースでのパネル供給量争いでシャープが2009年以来初の一位奪回というニュースをお届けしましたが、すぐに一位の座を明け渡すことになりそうです。

NPD Solarbuzzのアナリストによると、第2四半期はトリナソーラーインリーソーラーを抜かし、初めて四半期で1GWという大台記録を更新する模様だということ。

トリナソーラー2012年には3位2013年には2位とシェアを伸ばしています。

日本でもインリーソーラーよりもトリナソーラーの知名度のほうが若干高い気もします。

参考

シャープのシェア1位奪回、サンパワ―とのOEMが功を奏す

太陽光発電業界の市場リサーチ・分析を行っているsolarbuzzによると、2014年の第一四半期においてシャープの太陽光発電のパネル供給量が700MW以上をマーク、世界一位になったそうです。(参考

シャープは1963年から2008年の45年間もの間PV業界のリーダーの座を維持してきたそうですが、2009年以降は一位の座をFirst Solarと中国ベースのPVメーカー(複数社)に奪われていました。
2014年第1四半期び一位奪回は、2009年第4四半期以来の快挙だということ。

とはいえこの功績は、シャープのブランド名の強さは証明したものの、他社の生産力に頼りながら成し遂げたものであると言えそうです。

image via SOLARBUZZ

image via SOLARBUZZ

シャープは2012年12月、サンパワーとのOEM契約によりシャープブランドでのサンパワー製品の販売を開始すると発表しています。

グラフを見てみると、この発表のすぐ後である2013年第1四半期の供給量が大幅に伸びており、この時期には世界2位を取っています。
伸び幅分全部とは言えないまでも、多くの部分をサンパワーからのパネル供給に負っているとも考えられます。

SOLARBUZZも、シャープのアウトソーシング戦略が一位奪回の直接的な要因となったとしています。

アナリストRay Lian氏は

”ファブライト”と呼ばれる、自社の生産能力と外部調達を効果的にコントロールして短期的な商機の変化に対応するビジネスモデルの有効性を証明することにもなった。このファブライトモデルは現在、業界大手の垂直統合企業数社に採用されている

としています。

日本での需要拡大と、このファブライトモデルで中国や台湾の企業からの外部調達を活用したことが、シャープのブランド力の強さと相まった結果とみることができます。

NPD Solarbuzzによると、シャープは従来、自社でセルやモジュールを生産する垂直統合型を採用していたということ。
しかし近年は「主に中国や台湾を拠点とするパートナー企業に生産を外部委託しており、Sharpはモジュール販売に重点を置くようになっている。」としています。

シャープは生産国のみ公開していますが、サンパワーのOEMである「NB-245AB」はフィリピン、それ以外のモデルは日本で生産ということになっています。
これはNPD Solarbuzzの分析内容と、少し食い違っているような気もしますが、「原料などの調達先は非公開」ということなので、台湾や中国などの工場からセルなどは輸入し、モジュール組み立ては日本の工場で行っている、という考え方が一番自然かと思います。

さて、これをどう締めくくるべきか迷いますが、とにかくシャープブランドの強さは健在ですし、ブランド名を汚さないためにも、OEM契約先や原料供給先も慎重に選んではいると予想できます。なので、この功績を評価してやはりシャープを選ぶ、という選択も、もちろんありだとは思います。

しかし、「パネルの生産体制」という面で見た時、大手で唯一国内工場での一貫生産を続けているソーラーフロンティア、マレーシアに生産拠点を移して価格を抑えながら、自社での一貫生産体制を行うパナソニックなど、生産体制の透明性がより高いブランドを評価したいという方にとって、世界一位であってもシャープは魅力に欠けて映るのも、無理はない話です。

製品の詳細・価格などは「シャープの太陽光発電」でくわしくご案内しています。

各国の2013年前半での各国の累積設置量

2013年6月末の時点での、各国の累積設置量に関する情報が続々出てきているのでまとめました。

アメリカ

アメリカでは、2013年前半で1,8GWの設置量があり、累積で10GWを達成したのだそう。そのうち5.53 GWはメガソーラーが占めているそうです。

NPD Solarbuzzのレポートによると、今後18カ月でさらに8GWが追加されると予測されており、これにより2014年末までに18GWに達すると予測しています。

参考
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フランス

フランスでは、2013年6月末の時点で、本土だけで3.33 GW、領土とコスタリカを合わせて4,113 MW(4.113MW)の累積設置量となったそうです。

参考

イギリス

イギリスのエネルギー・気候変動省(DECC)によると、2013年5月末の時点で累積1.7 GWがイギリスのFITに登録されていることを発表しました。
2020年までに15%の国内電力需要を再生可能エネルギーでまかなおうという計画を立てているというイギリス。それには22 GWの発電量が必要ということです。

参考

イタリア

イタリアは6月末時点で累計17.3 GW

参考

ドイツ

ドイツは2013年前半で1,800MWなので、2012年末の累積と合計して34,200MW(34.2GW)。もうちょっとで35GWですね!
ちなみにこの前半期の1,800MWと言うのは2年前の水準を上回る程度で、(2011年の前半における新規設置数は1,713 MW)2012年の同時期は4,186 MWもの設置数があったのだそう。
昨年のブームは大きかったのですね~。

参考

こちらのページでは、世界各国の太陽光発電導入数のデータを表にまとめています。
政策によって各国の導入量には大きく差があります。