バイオマス・ジャパン、追尾型の架台を発表

時間によって発電量が変わる太陽光発電は、年間を通して一番発電量が多く得られるよう、夏至の日中の太陽の位置に対し90度になるような角度に設定される事が多い。つまり、真南×その土地の緯度という組み合わせを目指して、架台なりを調整するのだが、追尾型というのは年間を通して固定された方位にパネルを向けるのではなく、季節と時間によって異なる太陽の場所に合わせて、パネルの向きを変えていくという考え方を取っている。私の記憶が正しければ、方位の定まらない船の上などで最大限の電力を得るために使われる事が多かったが、地上での応用も期待されている。

常に最適な角度で日射を得られるので、当然発電量は増え、同時に設備にかかるコストも増えることになるのだが、増える発電量の価値が増えるコストを上回れば、より効率の良い投資となりうる。

追尾型を古くから作っているメーカーと言えばフジプレアム。同社は追尾型の設備の性能について、既にいくつかの実例を出しているが、通常の1.4〜1.6倍というのが平均的な数字のようだ。
今回追尾型の架台を発売するというバイオマス・ジャパンも1.6倍の数字を目安として出している。

アイデア自体は新しくない。土地代が高い日本では一定の土地にできるだけ多くの積載量を得られる事がメリットとなる場合も多いだろう。
しかし中々普及が進んでいないようだ。やはり価格が1.6倍強では済まない場合が多いのかもしれない。

パネルを10年使用したらどれだけ劣化する?1ヶ月で実証実験

20〜30年は持つと考えられている太陽光発電は「寿命」という概念よりも経年劣化による買い替えをいつにするか、という考え方が重要となってきます。

ただ、20〜30年とはいえ実際に普及が加速したのはここ数年。実際の設置環境下で30年の月日を経たシステムは研究用のものであったりとサンプルが少なく、メーカー比較などもしにくいのが実際のところです。

そんな中、認証機関のテュフラインランドは、7〜10年間の使用期間における劣化の状況を1ヶ月で試験できる「高加速温度サイクル試験サービス」を開始すると発表。日立製作所と共同開発したものだそうです。

ちなみに10年後の経年劣化は、一般的に普及している単結晶型で90%〜95%程度と考えられており、高耐性を売りにするメーカーにとってはこうしたサービスの利用で優位性をアピールできるチャンスとなります。三菱電機やソーラーワールドQセルズなどにぜひその実力を実証してみてほしいものですね!

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太陽光発電の耐用年数・寿命
メーカー総合比較

オムロンの蓄電池付きパワコンは直流のまま充電、容量は蓄電池6.4kWhパワコン4.8kW

オムロンが、戸建住宅向けの太陽光発電用ハイブリッド蓄電システムを2015年春に発売することを発表しました。容量6.4kWhの蓄電池と出力4.8kWのパワーコンディショナーで構成され、世界最小・最軽量クラスと長寿命を両立させたシステムになっています。

パワーコンディショナーは、少ないロスで充電可能にするため電力を直流のまま貯める太陽光発電用と蓄電池用を1台で兼用しています。

リチウム蓄電ユニットは6.4kWhの容量で世界最小・最軽量となる約60kgと、家庭用空気清浄機並の小型化で室内にも溶け込む外観となっています。搬入にクレーンや基礎工事が不要になり、設置時の工数や工費が大幅にカットできます。また、充放電は約8000サイクルで10年以上は使用できます。

系統の電圧上昇時や太陽光発電電力がパワーコンディショナーの出力を越えた際には直流のままの蓄電に切り替わることで効率的に電力を活用できるほか、経済性重視のモードや安全優先で電力を維持するモード、強制充電するモードなど、利用状況に合わせて運転モードが選択できるようになっています。

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太陽光発電を使った家畜飼育システム6万円から

近年の耕作放棄地が拡大している現状を受け、独立行政法人 農業・食品産業技術研究機構(農研機構)は、2月25日に家畜飲料水供給システムを開発したことを発表しました。

今回開発した家畜飲料水供給システムは、既存の太陽光電気牧柵システムに揚水ポンプを組み合わせたもので、100m離れた場所に高さ20mのポンプから、1時間に400リットルの家畜の飲料水を供給します。本システムの導入コストは約6万円で、4頭の家畜を飼育することが可能です。電気牧柵への電圧低下などの影響はありません。
放牧地が商用電源から遠くにある場合は、揚水にかかるコストが問題視されていましたが、本システムの採用により問題が解消することが見込まれ、農研機構では、導入方法の講習会など、本技術の普及活動を計画しています。

今回は動物を使ったメガソーラーの除草の話題は最近多いですが、メインの畜産業に太陽光発電を利用するというアイデアでした。
ちなみに放牧と電力事業を併業するソーラーシェアリングも、アメリカなどでは行われていますよ。

ソーラーパネルと動物の組み合わせ、なんだかほっこりします。

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Wave Energy、大容量パワーコンディショナパッケージシステム 「SOLAR SPEC」発売

コンパクトな一体型の太陽光発電用大容量パワーコンディショナ「SOLAR SPEC」シリーズに関し、株式会社Wave Energyは新モデルの追加とリニューアルを発表しました。
SOLAR SPECは太陽光発電で必要とされるパワーコンディショナーや集電回路・昇圧変圧器・高圧機器類などが一体化され設置面積も少なく済むコンパクトなつくりで、完成品として出荷されます。また施工も簡単で建設コストも低減されるというのが特徴でもあります。

その新型モデルは新たに倉庫や工場の屋根に据え付け可能で小規模な直流側DC600Vタイプの300kWとDC1000Vタイプの660kWが発売されます。さらに大規模メガソーラーに対してはDC1,000Vタイプの750kW2台が収納できるモデルも発売され、出力電圧が22,000Vです。

またリニューアル内容としては施工が容易になるよう外形を統一し、冷却ユニットを複数搭載することで万一1台が故障しても継続運転が可能です。300kVA以下の製品はキュービクル式高圧受電設備のPF-S型対応、1000Vシリーズにも集電盤機能が追加されるなど、コストダウンや信頼線・施工性がアップしています。さらに3G回線を内蔵した遠隔監視装置が搭載されているため、リアルタイムでの監視が可能になっています。

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未使用の周辺土地を使って増設ができるニプロンのPVマキシマイザー

株式会社ニプロンが開発した「PVマキシマイザー」とは、太陽光発電の発電量を増やすことができる製品です。ニプロンは、現状の発電所に装置を設置することで3割程度増加することができるとし、東京ビッグサイトで2月25日~27日に開催の第5回スマートグリッドEXPOで「PVマキシマイザー」を出展します。

大規模太陽光発電所では、太陽光パネルを直列に並べることができない起伏や池があるなど複雑な形状の使えなかった敷地内の土地を有効利用することができると、太陽電池モジュールを30~50%も増設することができます。それを可能にできるPVマキシマイザーは、増設したストリングの末端に取り付けることで、既存のストリングと同じ電圧まで昇圧することが可能だからです。

PVマキシマイザーが役立つ理由は4つあります。1つがパワーコンディショナーの変更がないため高価買取制度の売電価格が変わりません。2つめにパワーコンディショナーに設定されている最大出力の時間は短いためほとんど余力のある状態が、ストリングを追加することで他の時間の発電量に上乗せることができます。3つめに増設の方が新設に比べて、安価になるため回収年数が短くなります。また、太陽電池モジュールを増設せずにPVマキシマイザーのみ導入した場合でも発電量を増やす効果があります。4つめがPVマキシマイザーは変換効率が高く最大99.4%という数値と25年以上と寿命が長いボードがソリューションのカギとなっています。ブーストコンバーター機能を付けたボードは、600V、4.5kWまで対応することが可能です。

PVマキシマイザーは監視ボード(PMB)とデータ集積ボード(DPB)を組合せることで保守管理コストの低減にも役立ちます。ニプロンは他にも装置の開発をおこなっており、今後もニプロンのソリューションが役立つことでしょう。

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三菱電機、蓄電池を用いて再エネ発電量を制御する技術を開発

三菱電機株式会社は、2014年2月13日付の自社のニュースリリースで、再生可能エネルギー対応蓄電池制御技術を開発したと発表しました。
この技術では太陽光発電を始めとした再生可能エネルギーを大量導入する際、出力変化量を推定して蓄電池の充放電を制御し、電力の需給バランスを保って、電力系統に影響のない安定した周波数の電力を供給できるとしています。

蓄電池の充放電の制御は蓄電池の健康状態を推定した上でも行えるため、蓄電池の余寿命の最大化も期待できます。
また、三菱電機が保有する蓄電池評価データと各蓄電池の測定データから蓄電池の劣化状態を正確にモニタリングできる環境も整えられています。これらのシステムは蓄電池のメーカーや種類に問わず対応できるとしています。

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ノーリツの太陽熱システム、エコマーク取得

湯まわり設備メーカーノーリツの商品が業界初のエコマークを取得しました。その商品は太陽熱利用ガスふろ給湯暖房システム「XFシリーズ」、太陽熱利用ガスふろ給湯システム「VFシリーズ」です。太陽熱利用システムとは、太陽熱エネルギーとガスを組み合わせた給湯システムのことで家庭から排出されるCO2の約3割を占める給湯・暖房利用時におけるCO2排出量を大幅に削減することに貢献し、地球温暖化の抑制になります。

そもそもエコマークとは、様々な製品およびサービスの中で「生産」から「廃棄」にわたる過程で環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められたものにつけられる環境ラベルです。

(株)ノーリツでは社員にeco検定の取得を推進し、環境省から「エコ・ファースト企業」にも認定されるなど、環境意識の向上と持続可能社会への貢献を進めています。

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エクソル工場屋根などでコスト削減の接着工法をセメダインと共同開発

2015年2月から販売されるダブル接着工法NAI-Xはエクソルと接着剤で有名なセメダインにより共同開発された商品で、工場や倉庫、スーパーマーケットなどに多い、重ね式折半屋根にも素早く太陽電池を設置できる接着剤工法です。従来の接着剤工法に比べて、屋根への穴あけが不要になるため、雨漏りの心配がないことや工期を最大34日短縮できるとエクソルは述べています。つまり、ほぼ1か月の工期短縮により、人件費をカットすることができるため、太陽光発電システムの導入コストを抑えることができるのです。

同社が接着剤を採用し、セメダインと共同開発を行うのは初めてではなく2011年にもXSOL接着工法を販売しており、今回のダブル接着工法も基本的な考え方は一緒になっています。明らかに違う点は養成期間であり、従来工法が夏季で2週間、冬季で4週間から5週間必要であったのに対して、今回販売される工法は初期固定接着剤のかわりに高機能両面テープを採用したため養成期間が不要となったのです。また、この採用された両面テープの強度も高く、自動車の外装部品や住宅の表札など他の業種で実績のあるテープであり、アクリルフォームを用いています。

環境対応は地上11メートルまでの屋根であることが条件で、塩害対応から海岸線から500メートル離れている屋根に設置ができるようになっています。

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スイス エアライト・エナジー社、追尾集光型の持ち運び太陽光発電「サンフラワー・ソーラー・ハーベスター」を発表

太陽光発電と、海水の淡水化、温熱、冷却の全てを実現し、更には持ち運び可能なシステムである、「サンフラワー・ソーラー・ハーべスター」の開発が進んでいます。同システムを開発しているのは、スイス企業「エアライト・エナジー」。同社によると、2013年から始まったこのプロジェクトは、2016年までに世界各国での試験運転開始と、2017年半ばまでの商品発売を目指しています。

システムは組み立て式で、一つの容器に収容も可能な設計ですが、反射板も含めた全長は10mのものとなっています。いわゆる集光追尾型の太陽光発電ですが、電力だけでなく熱を同時に供給でき、その熱を利用して冷却システムを動かしたり、低温脱塩システムを通して海水を淡水化したりと利用価値を高め、砂漠や無電化地域など遠隔地での活躍が期待される製品となっています。

花弁状に配置した反射板には、お菓子の包装などに使われるホイル素材を利用し、コストカットを実現しました。その反射板が、米IBM社製の水冷式太陽光パネルに光を集約させ、パネルに搭載された太陽電池チップに電力を貯めていきます。このチップは水冷システムによって最適な温度に管理されるため、従来の製品よりも、75%も集約率が高まりました。

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