シャープのシェア1位奪回、サンパワ―とのOEMが功を奏す

太陽光発電業界の市場リサーチ・分析を行っているsolarbuzzによると、2014年の第一四半期においてシャープの太陽光発電のパネル供給量が700MW以上をマーク、世界一位になったそうです。(参考

シャープは1963年から2008年の45年間もの間PV業界のリーダーの座を維持してきたそうですが、2009年以降は一位の座をFirst Solarと中国ベースのPVメーカー(複数社)に奪われていました。
2014年第1四半期び一位奪回は、2009年第4四半期以来の快挙だということ。

とはいえこの功績は、シャープのブランド名の強さは証明したものの、他社の生産力に頼りながら成し遂げたものであると言えそうです。

image via SOLARBUZZ

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シャープは2012年12月、サンパワーとのOEM契約によりシャープブランドでのサンパワー製品の販売を開始すると発表しています。

グラフを見てみると、この発表のすぐ後である2013年第1四半期の供給量が大幅に伸びており、この時期には世界2位を取っています。
伸び幅分全部とは言えないまでも、多くの部分をサンパワーからのパネル供給に負っているとも考えられます。

SOLARBUZZも、シャープのアウトソーシング戦略が一位奪回の直接的な要因となったとしています。

アナリストRay Lian氏は

”ファブライト”と呼ばれる、自社の生産能力と外部調達を効果的にコントロールして短期的な商機の変化に対応するビジネスモデルの有効性を証明することにもなった。このファブライトモデルは現在、業界大手の垂直統合企業数社に採用されている

としています。

日本での需要拡大と、このファブライトモデルで中国や台湾の企業からの外部調達を活用したことが、シャープのブランド力の強さと相まった結果とみることができます。

NPD Solarbuzzによると、シャープは従来、自社でセルやモジュールを生産する垂直統合型を採用していたということ。
しかし近年は「主に中国や台湾を拠点とするパートナー企業に生産を外部委託しており、Sharpはモジュール販売に重点を置くようになっている。」としています。

シャープは生産国のみ公開していますが、サンパワーのOEMである「NB-245AB」はフィリピン、それ以外のモデルは日本で生産ということになっています。
これはNPD Solarbuzzの分析内容と、少し食い違っているような気もしますが、「原料などの調達先は非公開」ということなので、台湾や中国などの工場からセルなどは輸入し、モジュール組み立ては日本の工場で行っている、という考え方が一番自然かと思います。

さて、これをどう締めくくるべきか迷いますが、とにかくシャープブランドの強さは健在ですし、ブランド名を汚さないためにも、OEM契約先や原料供給先も慎重に選んではいると予想できます。なので、この功績を評価してやはりシャープを選ぶ、という選択も、もちろんありだとは思います。

しかし、「パネルの生産体制」という面で見た時、大手で唯一国内工場での一貫生産を続けているソーラーフロンティア、マレーシアに生産拠点を移して価格を抑えながら、自社での一貫生産体制を行うパナソニックなど、生産体制の透明性がより高いブランドを評価したいという方にとって、世界一位であってもシャープは魅力に欠けて映るのも、無理はない話です。

製品の詳細・価格などは「シャープの太陽光発電」でくわしくご案内しています。