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設備利用率とは、一定の稼動期間中(一般的には一年間単位)に得られた発電量が、その発電設備が仮に同期間中に100%の出力で発電し続けた場合に占める割合です。
例えば設備利用率20%というと、年間で73日間(1752時間)100%の力で稼働したのと同じ電力を産出したという意味になります。主に再生可能エネルギーにおいての性能を示すときに使われることが多い指標です。
太陽光発電設備の発電量を元に、以下の式で設備利用率が求められます。発電量の求め方についてはこちらでご案内しています。
年間の設備利用率(%)=年間発電量÷{発電設備容量×365(日)×24(時間)}×100
日本の平均値として1kWあたり約1139kWhの発電量が得られるとされ、これをもとに出されたのが、日本の平均稼働率13%という数値です。お住まいの地域の発電量が分かれば、より正確な設備利用率を求める事も可能です。
設備利用率と同じような文脈で語られることが多いのが「稼働率」ですが、指標として使う場合にこの2つの意味合いは大きく異なります。発電設備における設備利用率は発電量に対する値なのに対し、稼働率は稼働時間のみを反映した値となります。
より具体的にいうと、設備利用率が20%なら年間で1kWあたり1752kWhの発電量が得られるという意味になり、設備利用率で具体的な発電量を算出できます。
一方年間稼働率が50%というと、年間で発電設備が動いている時間が50%ということになります。満月など月の光が強い場合は微量であれ太陽光発電が稼働する場合がありますが、こうした環境での1時間の稼働も、さんさんと降り注ぐ太陽のもとでの1時間の稼働も、「稼働率」という指標では同じ意味でとらえられます。
日本における太陽光発電の設備利用率は13%とされています。これは経済産業省が売電のための買取価格を決定する際に参考値として利用される便宜上の数値で、2013年度までは12%が使われていました。その年までに設置された太陽光発電設備の稼働状況から参考値が算出されますが、全国に広がる発電所で13%を超える設備利用率が多く確認されていることから、2015年度からは日本の平均稼働率として14%が採用される予定です。
太陽光発電の設備利用率の日本平均が引き上げられている背景には、普及が進んで発電状況のデータが増えたことで太陽光発電の本来の実力が評価されてきていることが挙げられるほか、各メーカーによる性能の向上(出力損失の低減)に関する努力や、定格出力に対してパフォーマンスが上回る傾向の強いソーラーフロンティアのCIS太陽電池なども多く採用されるようになってきたことが考えられます。
ここまでは経済産業省が規定するいわゆる「モデル値」をご案内してきました。この項ではソーラークリニック(住環境計画研究所)に掲載されている住宅用太陽光発電所のデータ1639件分(2014年2月のもの)を使って、実際の設備利用率についてご案内していきます。
年間発電量ランキングを見ると、静岡県磐田市の1kWあたりで1,850kWhが最高値となっています。この場合の設備利用率は約21.1%です。
逆に最低値は、岩手県盛岡の1kWあたり356kWhで設備利用率4%。これは平均からみてもかなり低いため、故障や不具合があったと予想されます。これは極端な例で除くとして、その次に低い数値が秋田県南秋田郡大潟村の751kWhで稼働率約8.6%になります。
設置環境によって、実際の設備利用率は10%以上も差が出ることが分かります。
全国平均を算出すると、設備利用率は14.8%になります。
分布をみると、設備利用率17%以上は上位8%以上の発電所で得られており、設置状況が良ければ同程度の稼働率が期待できそうです。また経済産業省の定義する全国平均値13%の設備利用率は、実に80%以上の発電所で達成されていることが確認できます。10%以下しか設備利用率が出ていない発電所は約1%にとどまっています。
当サイトの収益シミュレーションでは経済産業省の基準に倣い13%を採用していますが、お住まいの地域の設備利用率が13%よりも高い場合、シミュレーション以上の収益も十分に期待できると考えられます。
メーカー | 設備利用率 | 偏差値 |
---|---|---|
ソーラーフロンティア | 16.0 | 1.06 |
シャープ | 15.2 | 1.01 |
パナソニック | 14.7 | 0.97 |
三菱電機 | 14.8 | 0.98 |
京セラ | 15.2 | 1.01 |
サンテックパワー | 15.2 | 1.01 |
インリーグリーン | 15.2 | 1.01 |
カナディアンソーラー | 15.0 | 1.00 |
伊藤組モテック | 14.9 | 0.99 |
カネカ | 14.5 | 0.96 |
平均値 | 15.1 | - |
パネルメーカーごとの設備利用率の比較を、発電量に関するページ内のSBエナジーのデータを参考に算出、掲載しています。
SBエナジーは北海道の帯広、苫小牧(海側)、苫小牧(内陸側)の3か所の2012年2月から11月までのデータを集計・平均化して算出しています。
ソーラーフロンティアの値が他のメーカーを大きく引き離していることがわかります。この理由として、曇天時のパフォーマンスの良さなどが挙げられます。またソーラークリニックのランキングでも、上位発電所の多くがCIS太陽電池を使用していると予想されます。(上位10件中7件の発電所名に"CIS"が使われていることから)
他のメーカーについてはカネカを除いて8メーカーがどれも結晶型のパネルで、設備利用率も誤差の範囲と考えられるくらいの同率の結果になっています。
表はコスト等検証委員会が平成25年度に提出した報告を基に作成したものです。2030年時点の発電コスト予測を算出するために、同報告では各発電設備における設備利用率と平均的な稼動年数がまとめられました。太陽光発電の設備利用率は当時目安とされていた12%が採用されています。
発電方法 | 原子力 | 石炭火力 | LNG火力 |
---|---|---|---|
設備利用率 | 70% | 80% | 80% |
1kWで得られる発電量 | 6,132kWh | 7,008kWh | 7,008kWh |
稼働年数 | 40年 | 40年 | 40年 |
1kWhあたりの発電コスト | 8.9円 | 10.3円 | 10.9円 |
発電方法 | 風力(陸上) | 風力(洋上) | 地熱 |
---|---|---|---|
設備利用率 | 20% | 30% | 80% |
1kWで得られる発電量 | 1,752kWh | 2,628kWh | 7,008kWh |
稼働年数 | 20年 | 20年 | 40年 |
1kWhあたりの発電コスト | 8.8~17.3円 | 8.6~23.1円 | 9.2~11.6円 |
発電方法 | 小水力 | バイオマス | 太陽光 |
---|---|---|---|
設備利用率 | 60% | 80% | 12% |
1kWで得られる発電量 | 5,256kWh | 7,008kWh | 1,051kWh |
稼働年数 | 40年 | 40年 | 20年 |
1kWhあたりの発電コスト | 19.1~22円 | 17.4~32.2円 | 9.9~20円 |
発電方法 | 原子力 | 石炭火力 | LNG火力 | 風力(陸上) | 風力(洋上) | 地熱 | 小水力 | バイオマス | 太陽光 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
設備利用率 | 70% | 80% | 80% | 20% | 30% | 80% | 60% | 80% | 12% |
1kWで得られる発電量 | 6,132kWh | 7,008kWh | 7,008kWh | 1,752kWh | 2,628kWh | 7,008kWh | 5,256kWh | 7,008kWh | 1,051kWh |
稼働年数 | 40年 | 40年 | 40年 | 20年 | 20年 | 40年 | 40年 | 40年 | 20年 |
1kWhあたりの発電コスト | 8.9円 | 10.3円 | 10.9円 | 8.8~17.3円 | 8.6~23.1円 | 9.2~11.6円 | 19.1~22円 | 17.4~32.2円 | 9.9~20円 |
原子力発電や火力発電等は、人力によって稼働を休止させない限り発電を続けるため、比較的高い設備利用率が実現されています。
日本の原子力発電は従来70~80%の設備利用率で稼働していましたが、福島第一原子力発電所の事故以降は大幅に下がり、2011年は38.0%、2012年は4.4%にとどまっています。(参考)
再生可能エネルギーはその土地の自然環境を元に算出されるため、「日本における平均的な設備利用率」とはいっても実際は地域によって開きがあります。
再生可能エネルギーの中でも、地下から吹き上がる蒸気を利用した地熱発電は安定的な発電量を得られ、80%という高い設備利用率が注目されています。
また小水力発電は設備利用率60%とコンスタントに発電が可能で、さらに開発規模も小さいため設置数を比較的容易に増やせる事が魅力です。
太陽光発電は地域によってこの稼働率が大きく変わってきますが、全国平均で設備利用率は12%(2015年度基準では14%)と低めです。しかし住宅やビルの屋根など本来使用していない部分を利用できるなどのメリットがあります。
設備利用率の異なる再生可能エネルギーのそれぞれのメリットを生かして電力ミックスに多様性を持たせることで、よりダイナミックな次元でのスマートエネルギー社会の実現が期待されます。
30年ともそれ以上とも言われる太陽光発電の耐用年数ですが、ライフスパン全体を通した設備利用率というより長い目で見た場合に、重要なポイントの一つとなるのが施工店のサポートです。
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