三菱地所・サイモン株式会社、自社施設に1MWの大容量ソーラーカーポートを導入、自家消費用でも採算合う?

日本におけるアウトレットの開発、所有、運営を行う三菱地所・サイモン株式会社(三菱地所:60%、Simon Property Group, Inc.:40%で作られた合弁会社)は、自社が茨城県で運営する「あみプレミアム・アウトレット」において、1MW分のソーラーカーポートを同施設の駐車場一部に設置したと発表しました。

カーポートとしてはかなり大規模な1MW(1,000kW)というサイズもですが、この事業のすごいところは同発電設備で発電した電力は自家消費用としてその地で消費されるというところです。

大規模な自家消費用太陽光発電は、前例としてIKEAが仙台の店舗に設置した約500kWのものなどがありましたが、今回は規模でいうとその倍。

大規模な太陽光発電は地域によっては売電が制限される可能性もあるため自家消費の選択もうなずけますが、今回の「あみプレミアム・アウトレット」は東京電力県内である茨城県。出力抑制の可能性も少ないため、FITを利用して売電した方が1.5倍程度多い収入になると考えられます。それをあえて自家消費にしたところは称賛に値しますね。

ちなみに総工費は3.6億円ということ。太陽光発電の耐用年数は30年前後と言われますが、メンテナンス費を含めても1kWhあたり15円を切ると予想されます。対して業務用の電気料金単価は16~17円、賦課金を入れるとこの先20円弱まで上がる可能性があるため、採算性の確保も十分だと考えられます。

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パルシステム神奈川ゆめコープ、太陽光発電124.8kWを自給自足

パルシステム神奈川ゆめコープは、同生協の関連施設屋根に自家消費用の太陽光発電を設置すると発表。

藤沢センターに72.8kW、麻生センターに52kWで、藤沢センターでは約22%、麻生センターでは約17%分の消費電力を同発電設備でまかなうことになるといいます。

ゆめコープではパルシステム東京子会社である新電力「うなかみの大地」から再エネ比率の高い電力の購入をすすめていたりと、エココンシャスな活動に活発ですね。

自家消費設備としての規模はIKEAのものには劣りますが、少なくない規模です。

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IKEAは日本でも再エネ100%へ!

まだまだ産業用の売電設備が全盛だった時期に仙台の店舗で自家消費用太陽光発電を設置し、売電収入ありきの日本企業との違いを見せつけていたIKEAは、今後も自家消費用の再エネ設備に投資していくことを明かしています。

すでに自国スウェーデンやポーランドでも店舗の消費電力をすべて再生可能エネルギーで発電しているというIKEAグループ。日本においては2017年の8月期に消費電力の再エネ率を8.4%(15年の実績は6.8%)まで引き上げるという目標を掲げています。

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さくらインターネットがデータセンターでの自家消費用の石狩太陽光発電所(200kW)完成

インターネットプロバイダのさくらインターネットは8月10日、「さくらインターネット石狩太陽光発電所(北海道石狩市)」を完成させたと発表。
この発電所は、データセンター用の電力源として優先的に使用されるということ。
雨の日や夜間は電力を作れない太陽光発電ですが、系統電源さらには非常用としてバッテリーとも接続されたシステムは停電時も給電が可能。

200kW(0.2MW)という大容量の太陽光発電所ですが、売電をしなくても自家消費でまかなう事業は日本では稀有とも言えます。

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ソーラーパネル搭載の屋台、ニューヨークに登場

太陽電池を搭載したゴミ箱海外パネルメーカーの誘致など、再エネを利用したエコなコミュニティ作りに邁進するニューヨークで、新たな試みです。

同市を拠点に2013年に創業したMOVE Systems社は陽光パネル搭載の屋台「MRV100」を開発。販売予定価格は1台1万5000~2万5000ドルですが、発売に先駆けて5月11日より無償で、MFVライセンスの取得ベンダーに500台提供するパイロット・プログラムが開始されました。

市内で路上販売を行っている約8000台の屋台のうち6割以上がガソリンや石油を燃料にした発電機を使用し、環境にも人にも悪い影響を及ぼしています。ハイブリッド自動車の技術を応用した、天然ガスと太陽光による発電システムの導入により、排気ガスの削減、電力の安定、騒音問題、ベンダーのエネルギーコストの低減に繋がります。

アメリカの非営利団体Energy Visionによる見込みでは、MRVへの屋台置き換えや商品廃棄物から生成する再生可能天然ガスの利用で、年間1500万Lのガソリン、2万tのCO2排出量の削減ができるとされています。

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東京メトロ、東西線の駅の屋根で計1.1MWメガソーラー

東京メトロが2012年から進めてきた東西線ソーラー発電所が完成しました。3月28日に8ヵ所目の駅で発電を開始したことにより、約3年間の導入プロジェクトが完結しました。

地下鉄路線のうち地上にある8つの駅の屋根に太陽光パネルを設置し、8ヵ所の発電能力は合わせて1.1MWになります。年間の発電量は、一般家庭の約322軒分の年間電気使用料に相当します。発電した電力は、駅構内の照明や空調、エレベーターなどに使われ、電力会社からの購入量の抑制に生かされます。

発電量の多い駅からは、余剰分を隣接する駅に融通することができます。電車に電力を供給する電車線を利用して、電車間や電車一駅間で送配電が可能になっています。複数の駅を組み合わせた発電設備ですが、駅の屋根を利用してメガソーラーを実現したのは初めてのことです。東西線ソーラー発電所の中で、一番発電能力があるのは妙典駅です。東京メトロは今後も環境への負荷を減らすため、再生可能エネルギーの導入量と回生電力の利用量を拡大していく方針です。

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オフグリッドのロックフェス、沖縄、中城城跡で

3月21日、世界遺産「中城城跡」の特設会場で、太陽光発電を利用したロックフェスが開催されます。同フェスは世界初のオフグリッドシステムを採用し、すべての会場に設置されたソーラーパネルから発電した電気を利用したクリーンなフェスを目指すとしています。

登場するアーティストは、MONGOL800、シャオロン・トゥ・ザ・スカイ、ギターウルフ等。フェスの実行委員長を務める「シャオロン・トゥ・ザ・スカイ」のギターボーカリスト・當山貴志さんは「慧通信工業が開発したパーソナルエナジーにより沖縄で取れたての太陽光でクリアなサウンドを提供する」と話しました。

10時開場12時開演、チケットはイープラス、ローソンチケット、楽天チケットで取り扱われています。

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東京工業大学、太陽光発電を自給自足でよりエコなキャンパスに

太陽光発電について現在の課題として、各地での電力会社の買取った電力の受け入れの増加に伴って、電力系統の負担増加による大規模停電の発生が心配されています。

解決策のひとつとして「太陽光エネルギーの地産地消」が挙げられます。東京都目黒区の東京工業大学大岡山キャンパスの「環境エネルギーイノベーション棟」では、ビルの壁面に太陽光パネルを取り付けて、エネルギーをビル内で自給自足しています。さらに余った電力は他の建物に融通しています。このように「売電」ではなく「地産地消」によって電力系統への負担を減らしているのです。

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ボストン市に設置されたSoofaの「充電できるベンチ」を超えた構想

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ボストン市は、MITメディアラボからスピンアウトしたスタートアップ企業”Changing Environments”が開発した”スマートベンチ”「Soofa」を市内の公園に導入すると発表。
単なる「充電できるベンチ」にとどまらずコミュニティデザインの領域にまで踏み込んでいる同製品、他州での導入も検討されているということ。


Soofaには持参した充電ケーブルで充電できる機能の他にも、空気の質や騒音データなどの情報を収集できる機能が備わっており、これらの情報は充電ポートの空き状況とともにサイト上でチェックできます。

各Soofaには公募による名前が付けられており、例えば
「ボストン・コモン(ボストン市のセントラルパーク)にいるから!」
「ボストン・コモンのどこよ!?」
「え〜っと、LISAで充電してる!」
なんて感じで、待ち合わせなんかにも使えるようになりそう。

同時に充電できるのは2台ということで、充電中に手持ち無沙汰になってお喋りし始めた二人の関係が恋に発展するなんてベタなドラマも想像しちゃいます。


将来は冷水機などの併設、コードレスの充電機能なども考えており、「私たちの世代のために、街を現代的にアップデートしたかった」という開発者の構想にはまだまだ先がありそうです。

ちなみにSoofaを開発した”Changing Environments”は、冒頭の写真にも登場している女性3人によって立ち上げられた企業。
「女性にもこのような試みを起こせること、そしてスタートアップ企業を立ち上げられるということを女の子に見てもらい、勇気づけたいのです」と語る姿にまんまと勇気づけられました。

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環境にさらに優しいメガソーラーは木の架台で – 福島県に4.8MWの木製架台メガソーラー

太陽光発電事業の環境貢献性を高くするための試みとして、ちょっと前から話題になっているのが木製架台
間伐材のように用途が限られた木材を有効利用できることに加え、発電施設を解体する際は他用途にさらに再利用したりでき、発電事業のライフサイクル全体を通したエネルギー消費の低減に貢献、つまり発電設備としてのエネルギー収支比をより大きくすることが可能となります。

福島県棚倉町の藤田建設工業は木造住宅建築のノウハウを生かした木製架台の実用化に着手し、完成した架台のお披露目を行いました。
強度を考え、今回はヒノキを採用。これまでに防腐処理をした木製架台の例がありましたが、解体時にウッドチップなどに再利用することを考えて防腐処理はしなかったのだそう。

発電所は20年は稼働することになりますが、防腐処理がなくても劣化しないのかが気になるところ。
同社はこの架台を使用して、県内社有地に2か所、合計4.8MWのメガソーラーを設置すると発表。3万2550本分の間伐材が架台に姿を変え、来年3月には発電所が稼働する予定。企業向けに、見学会なども開かれる予定です。

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