NEDOのアメリカでの実証実験で、日産自動車らEVの行動範囲拡大への有効性を検証

太陽光発電などの再エネ発電設備と組み合わせることで低炭素社会の実現に大きく貢献すると考えられるEV(電気自動車)は、現状で連続走行距離が短いことや、電源などのインフラの不足といった問題を抱えています。

EV(電気自動車)の普及に取り組む米国カリフォルニア州では、様々な優遇措置が行われ、全米内トップのEV普及台数ですが、その実態は、通勤や買い物といった近距離移動に限定利用されています。この課題を解消するため、カリフォルニア州北部都市圏において、調査を開始することが決まりました。

この事業では、特に都市間をつなぐ幹線道路における急速充電のインフラ整備と、誘導サービスシステムを導入し、その後、EVユーザーの行動を調査することで、対策の有効性を実証します。また、世界各国でのEV普及モデルが確立されることが期待されています。

同事業は、独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が請け負い、日産自動車株式会社、Nissan North America社、兼松株式会社に委託して実施します。

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アメリカ、太陽光の発電コスト5セント/kWhに

アメリカの公的研究機関Lawrence Berkley National Laboratoryが、2014年9月のレポートで大規模太陽光発電システムからの長期電力購入契約単価が平均5米セント/kWhとなったことを発表しました。
調査会社米GTM Reserch社も、アメリカの太陽光発電システムからの電力購入単価が現在4.5~7.5米セント/kWh、大規模太陽光発電システムの設置価格が、連邦政府の税金控除前の金額(1.5米ドル/kWh未満)となるものもあるということを発表しています。

数年前まで、大規模太陽光発電所の設置は国のRPS政策(電力会社が売却する総電力量の一部を、再生可能エネルギー発電で賄うことを義務付けた)のためでした。しかし、太陽光発電は天然ガスを使う火力発電よりも電源コストが低い(例:米Austin Energy社の場合、天然ガスの電源コスト7米セント/kWh, 太陽光の電源コスト5米セント/kWh)ことが次第に明らかになってきたことから、RPS政策以外での太陽光発電導入が増えていきました。
現在では、太陽光発電は投資面に優れ、消費者の電気料金を下げる発電方法として注目されており、一部の州では火力発電よりも低コスト・低リスクの発電方法となりうるため、米国内の電力会社は太陽光システムからの電力購入を増やしています。

全米太陽光発電協会(SEIA)とGTM Reserch社の最新の米国太陽光発電市場レポートによると、2014年第3四半期の総導入量1.35GWのうち、60%以上が大規模太陽光発電所による電力事業で占められていました。GTM Reserch社は、2014年の年間太陽光発電導入量が対前年比36%の6.5GWになると予測しています。また、再生可能エネルギーの設備投資の税額30%を控除できる「ITC政策」が2016年末で終了する予定であるため、大規模太陽光発電所の建設ラッシュは2015~2016年の間は続くとみられています。

日本では系統電力の販売価格相当までやっと下がった太陽光発電のコストですが、さらに高次なグリッドパリティを達成したことで優遇策なしにも太陽光発電の普及が進められるようになったアメリカ。
コスト削減にも大きく貢献していると考えられるのが、アメリカの化合物系太陽電池最大手ファーストソーラー。日本市場での活躍の本格化にも期待が高まりますね。

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ソーラーフロンティア、米ニューヨークのネット・ゼロ・エネルギービルにパネル納入

日本の企業であるソーラーフロンティア株式会社が、アメリカニューヨークに建設される世界最大級のネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)にCIS薄膜型太陽電池モジュールを納入することになりました。ソーラーフロンティア株式会社は次世代型CIS薄膜型太陽電池による太陽光発電ソリューションプロバイダーです。その出荷量と売り上げの両方において、世界最大の規模があります。ソーラーフロンティア株式会社のCIS技術には20年以上の歴史があり、世界最高クラスの変換効率を誇ります。

ネット・ゼロ・エネルギービルとは、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用を通じて、利用段階でのエネルギー消費を限りなくゼロに近づけるビルのことです。CIS薄膜型太陽電池モジュールは、実際の発電環境下において、結晶シリコン系太陽電池モジュールより高い発電量が見込めます。また、周囲の建物や隣接するモジュールの配置による影の影響を受けにくい特性があり、高密度の都市部でより多くの発電を実現します。さらには、落ち着いた黒を基調としたデザインや、優れた防眩性(まぶしさを防ぐ性質)があるため、都市部での使用に適しています。

このCSI薄膜型太陽電池を採用するネット・ゼロ・エネルギービルの名前は「ZENビル」で、その広さは356,000フィートになります。このビルは再生可能エネルギーとエネルギー効率か技術に関する「生きた実験室」の役割を担います。ここでエネルギー効率を高水準に引き上げる技術が開発され、その技術はアメリカニューヨーク州だけにとどまらず、世界中のビルで、ビルの運営コスト削減に応用されることになります。

ソーラーフロンティアはニューヨーク市との提携などアメリカ進出を着々と進めています。このビルの竣工により米国市場へのアピールにつながることが期待されます。

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ドイツで再エネ自家消費の実証実験にNEDO参画、日本の5企業が事業委託

再生可能エネルギーの開発が進んだドイツでは世界に半歩差をつけて太陽光発電のグリッドパリティを達成し、すでに再生可能エネルギーが国内全体の電気エネルギー使用量の約20%を占めるまでに浸透してきています。

日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ドイツのシュパイアー市でマンションなどの共同住宅施設を対象として、太陽光発電を最大限に有効利用する「自己消費モデル」の確立を目指し実証実験を開始しました。日本からはNTTドコモNTTファシリティーズ野村総合研究所日立化成、日立情報通信エンジニアリングの5社が参加しています。

自己消費モデルは、太陽光パネルと蓄電池、ヒートポンプの3つを組み合わせることで成り立たせ、太陽光パネルは太陽光をパネルに受け、ヒートポンプは外気を利用した蓄熱型温水器として、それを蓄電池により蓄積し、住宅利用するものです。

最適な住宅エネルギーとして活用するために、家庭向けエネルギーシステム(HEMS)によるエネルギーのコントロールを行い、住宅全体の電力として供給およびサポートを行います。

このシステム導入の大きなポイントの一つとして、逆潮流量の最小化があります。系統への逆潮流を極力減らすということはつまり売電量を少なくするということ。すでに系統電力以下の価格でしか買い取られない現状のドイツの制度においては、売電するより自家消費を増やすことが収益上有利になってきますが、これに加えて系統への負担を減らし、系統電力の質を保つという上でも重要な意味を持ちます。

日本でもすでに系統連携の回答保留などの問題で再生可能エネルギーの容量が増えることにより生じる問題が浮き彫りになり始めていますが、ドイツでのこの実証実験の成果が問題解決の糸口となるのか、注目が高まるところです。

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ドイツは国民負担大でも再エネ推進、日本でも見習いたい国民意識

現代ビジネスの2本立ての記事「太陽と風で変わる世界、取り残される電力会社」で、再エネで最も進んでいるといわれるドイツ(実に再エネの発電量が全体の30%を占めるのは先進工業国としては突出している)についての現状や、アメリカで開発が進んでいるエネルギーマネージメントのアプローチなどが特集されていました。

日本でも2016年の電力自由化後はこうした技術が普及する可能性が高いので、読んでいて面白かったです。
記事の内容は本文で確認していただくとして、

記事の中で特に筆者に響いた内容で、日本の国民意識にも広まってほしいな、と思った部分をピックアップします。


現在ドイツは北西部の離島ヘルゴラント(全く関係ないがMassive Attackの「Heligoland」は名盤である)の遠洋で洋上風力の開発を進めているそうですが、これには多くの国民負担が伴うとされています。
既に太陽光発電で月に数千円単位の賦課金を支払っているにも関わらず、(2013年の一般家庭の賦課金は平均1620円)開発に反対の声は小さく、「アンケート調査によると、国民は進んでこの重荷を担おうとしている」
ことが分かっているのだそう。

現代ビジネスの記事はアナリストであるマルカス・スタインバーガー氏の言葉で締めくくられていますが、本当に素晴らしい言葉なのでこちらでも紹介します。

確かにドイツ国民は多額の金を支払っている。しかし、ドイツは豊かな国であり、私たちはそれを負担することができる。これは世界への贈り物と言えるだろう

なぜ日本でこういう意見が言えるメディアが出てこないのだろう、という議論はさておき、

現に初期の住宅用太陽光発電をけん引していたのは日本の心正しき国民だったことを考えると、日本ももし国民投票をすれば、同様の結果になるのかな、とも思いました。

米インフラ企業、ナイジェリアで合計1.2GWの太陽光発電所を開発

アメリカの再生可能エネルギー発電開発事業者である、New Generation Power(NGP)社は、Motir Seapire Advisors社と共同でナイジェリアに大規模太陽光発電所の建設を行う方針を明らかにしました。合計の出力規模は1200MW(1.2GW)。Motir Seaspire Advisors社はアメリカのインフラ開発関連の企業です。

現在ナイジェリアは、国民の約6割の人々に電力が供給できていないいわゆる無電化地域が大半を占める国であり、太陽光発電の有望な市場としても期待されています。今回開発する太陽光発電所は、約59万400MWhの発電量が見込まれていて、ナイジェリアの家庭の約100万世帯の消費電力が賄えるといわれています。

工事の予定としては、2015年までに着工して、その後2年以内に稼働を開始することになっています。投資額は、アメリカドルで約20億ドル以上にのぼると試算されています。今後の資金調達や計画の立案・建設についてはナイジェリア政府との協力しながら行われる予定です。

今回農村部を中心とした電化政策の先には、地域ごとのマイクログリッドミニグリッド構築を視野に入れているということ。

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オランダで自転車用道路に太陽電池

少し前にアメリカのBrusaw夫妻によるSolar Roadwaysのニュースが話題になりました。クラウドファンディングで100万米ドルの目標額を220%も上回る資金調達に成功したこのプロジェクト、どこかで読んだことがある方も多いのではないでしょうか?もしかして、出資した方もいるかもしれませんね。

なんとオランダでは実際にこの太陽電池を道路に埋め込むアイデアを実際に形にし、実証実験を開始したのだそう。

SolaRoad_visualWeb

SolaRoad」と呼ばれる太陽電池の道はオランダのアムステルダム北西約15kmの位置にある、自転車専用道路100mに設置され、既に稼働が始まっているのだそう。
現在は系統に送電していますが、将来的にはEVや電動自転車に道路からそのまま充電できるようにすることも考慮に入れています。まさに、地産池消

パネルはBrusaw夫妻が開発したような特殊な形のものではなく、通常の太陽電池を強化ガラスで覆ったもので、5年間の開発費350万ユーロ(約5億円)を投じたとしているものの、20年の寿命の間に投資費用回収は可能としています。

米スタートアップのStem社、米エネルギー省からの助成プログラムに採択

京セラと共同で蓄電池と太陽光発電システムを使ったエネルギーマネージメントシステムを発表したStem社は、アメリカのスタートアップとして期待されている企業。

同社はアメリカのエネルギー省(Department of Energy/DOE)が進める「SunShot Initiative」の助成プログラムに採択され、93万5000米ドル(約1億円)を得たと発表。

助成金は主に

エネルギー貯蔵の評価用のソフトウェア・プラットフォームや、太陽光発電の導入率が高い地域における、分散型電力貯蔵システムの自動制御技術を開発する

ために使われるそうで、まさに京セラのソーラーパネルを使用したエネルギーマネージメントシステムの構想をさらに大きくするものといえます。

サンショット・イニシアティブでは毎年、今後のエネルギー市場を促進するための事業などに助成などを行っています。

2年前は、いかに設置コストを低く抑えられるかを施工店に競わせるようなコンテストを行っていました。

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エリーパワーがアメリカの太陽光接続マイクロインバーター用に蓄電システムを提供

2006年に創業され、大型リチウムイオン電池の開発と製造を行っているエリーパワー株式会社は、アメリカのEnphase Energy,Incと提携することを発表しました。

Enphase Energy,Incは、2006年にアメリカのカリフォルニア州に創立された、太陽光発電用マイクロインバーターで世界トップシェアーを誇っている会社で、アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、フランスなど世界各国に販売チャネルを持っています。

今回の提携により、エリーパワーは、約1.2kWhのバッテリーモジュールをEnphase Energy向けに開発と製造を行い、提供することになります。よって、Enphase Energyは、2015年から太陽光パネル・双方向マイクロインバータ・バッテリモジュールをパッケージ化した分散型電力貯蔵システムを市場投入することが可能になります。

分散型電力貯蔵システムは、双方向マイクロインバーターと、バッテリーモジュールを一体化して、個別に交流変換を行うエリーパワー社とEnphase Energy社の技術を終結したシステムです。太陽光発電システムと連携することで、住宅内のエネルギーマネジメントの最適化が可能になります。創業以来、安全性に重点を置いて太陽光システムを開発してきたEnphase Energy社は、高性能で高品質のリチウムイオン電池を開発するエリーパワーの技術の導入により、Enphaseの分散型電力貯蔵システムの性能と信頼性を更なる向上が期待されると考えています。エリーパワーの会社の方針としても、今後も高性能・高品質のバッテリーモジュールを開発し、Enphase Energy社との協力により世界のエネルギー問題の解決を目指したいとしています。
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ポルトガルにハンファQセルズの13.3MWのメガソーラー

日経のテクノロジーオンラインに掲載された記事によると、日本での人気も増しているQセルズポルトガルでパネル提供から施工まで担当した13.3MWのメガソーラーが完成したそうです。

このメガソーラーはQセルズのポルトガルにおいて初めてEPCサービスを提供したもので、なんと13.3MWという大規模な施設を5週間で完成させたのだとか。
ドイツのメガソーラー事業で、145MWを5週間という記録があるので最速とは言えませんが、日本の比較的大規模なメガソーラーが年を跨いだ事業計画をつくるのと比べると、やはりすごいと感じますね。

ハンファQセルズによると、施工期間が短くなることによって施工コストの削減や投資回収期間の短縮、投資収益率(ROI)の向上につながるとしています。普通に考えると、これが常識な気がします。
対して日本は設備認定を受ければその年度の買取価格による売電事業が可能であり、認定だけ受けて実際の施工はシステム価格が下がるまで待つという事業が多くありました。経済産業省が見かねてメス入れも始めています。

Qセルズは1MWの施工に要する時間は1日以内(2009年の3.9日から1/4程度に短縮)としています。今回5週間かかっているのは、連係や試運転も含めた期間だったから。


今回のものを含めてQセルズがパネル供給をしたメガソーラーの合計出力は600MW以上になったということ。

ちなみにこのポルトガルのメガソーラー、記事では

13.3MWで年間発電量約4000kWhを見込んでいる

とされていますが、4000kWhというと約4kW分の年間発電量相当にしかならないのでなにかの間違いかと思われます。

これが仮に4000MWhの間違いだたっとして計算するとキロワットあたり300kWh/年で日本で一番発電量が伸びにくい北陸地方の発電量の1/3程度ということになってしまい、これもまた違うかと。

欧州の地中海地域では晴天が多く発電量が伸びやすい地域もあるようです。ポルトガルは実のところどうなのか、気になるので日経さんには確認のほどお願いしたいところです。