IHSが北米では蓄電池付き太陽光発電設備が2018年には全体の9%を占める700MWになると予測

調査会社の米IHSは、北米の蓄電池付き太陽光発電システムの合計出力が、2014年の30MWから2018年には約700MWに拡大するとの見通しを発表しました。2018年には、北米に設置済みの太陽光発電システムの約9%が、蓄電池も備えることになります。

ここ数カ月の間、米国における太陽光発電システム向けの、エネルギー貯蔵システム市場の伸びが加速しています。これは、大手企業が頭金なしで蓄電池を販売し始めたためで、主要な投資家もこれを支援しているからです。また、米国の商業用ビルは、ピーク時の電力需要に比例した料金体系の「peak demand charge」の対象であるため、この利用料の削減につながる、蓄電池付き太陽光発電システムの主要顧客となりつつあります。

一方、住宅向け市場はそれほど拡大しないと予想しています。それは、停電時の補助電源として導入しても、今のところ蓄電池のコストに見合わないからです。米国に比べて住宅向けでも費用対効果が高い、ドイツやイタリア、英国など欧州では市場が広がってきています。

太陽光発電設備向けエネルギー貯蔵システムの市場を牽引している企業は、米STEM社や米Green Charge Networks社などですが、太陽光発電設備と蓄電池、制御システムを組み合わせ、電力のピークシフト・カットを実現している「米SolarCity社(CEOはテスラモーターズのイーロンマスク氏)」の動向に、IHSは注目しています。

参考

米スタートアップのStem社、米エネルギー省からの助成プログラムに採択

京セラと共同で蓄電池と太陽光発電システムを使ったエネルギーマネージメントシステムを発表したStem社は、アメリカのスタートアップとして期待されている企業。

同社はアメリカのエネルギー省(Department of Energy/DOE)が進める「SunShot Initiative」の助成プログラムに採択され、93万5000米ドル(約1億円)を得たと発表。

助成金は主に

エネルギー貯蔵の評価用のソフトウェア・プラットフォームや、太陽光発電の導入率が高い地域における、分散型電力貯蔵システムの自動制御技術を開発する

ために使われるそうで、まさに京セラのソーラーパネルを使用したエネルギーマネージメントシステムの構想をさらに大きくするものといえます。

サンショット・イニシアティブでは毎年、今後のエネルギー市場を促進するための事業などに助成などを行っています。

2年前は、いかに設置コストを低く抑えられるかを施工店に競わせるようなコンテストを行っていました。

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京セラ米子会社、米Stem社と共同でピークカットで電気代20%削減の蓄電システムを供給

京セラの米子会社Kyocera Solarは、アメリカのスマートグリッ関連会社Stem社と共同で太陽光発電とエネルギー貯蔵を統合したシステムの販売を、アメリカはカリフォルニアとハワイ、ニューヨークの3州で始めると発表。

この製品では、30日後までの電力使用量を予測、電気料金(単価)が安い時間帯を狙って系統から蓄電システムに電力を貯蔵。

蓄電池に貯めた電力と、太陽光発電からの電力は主に電気料金の高い時間帯に使用することで、電気代を削減できるのだそう。

あくまで系統からの蓄電ということで、京セラの太陽光発電はStem社のエネルギーマネージメントシステムに組み込まれるというイメージでしょうか。

ピークカットの効果が高い、アメリカの電力事情

Stem社のリリースによると、電気購入量が20%削減できる、ということですが、実際どの程度の容量(蓄電池と太陽光発電)でどれくらいの規模の電力需要者が使用した場合に、この成果が得られるのかなどは公表されていません。

スマートジャパンの記事には

「導入する太陽電池モジュールや蓄電池の容量は顧客の電力使用量や要望に応じて変わる」

とだけ記載されています。
太陽光発電システムと同じく容量自体は需要家の消費電力次第なのはわかりますが、
Stemのエネルギーマネージメントシステム自体の価格がどれくらいなのか、くらいの情報はあると参考になりますよね。

アメリカは日本の”時間帯契約”のような電気料金システムとは比較にならないくらい、電気の単価が時間によって変わるのだそう。
(日本も電力自由化後にはそのような体制が標準となるといわれています)
電力が高い時間帯というのはいわゆる需要がピークとなる時間帯で、逆に需要が少ない時間帯は、単価が安くなります。

需要家にとっては電気代削減できるメリットがありますが、
このような需要家が増え、電力需要が一定に保てることは、電力使用の効率化にもつながり、社会全体にとってのメリットも少なくないと考えられます。

アメリカでお先に製品化した蓄電池付き太陽光発電システムですが、一般消費者でも新電力を選択できるようになり、電力サービスの体系が多様化すると予想される電力自由化後(2016年)には、日本でも同様のシステムの需要が増えてきそうですね。

参考