ドイツで再エネ自家消費の実証実験にNEDO参画、日本の5企業が事業委託

再生可能エネルギーの開発が進んだドイツでは世界に半歩差をつけて太陽光発電のグリッドパリティを達成し、すでに再生可能エネルギーが国内全体の電気エネルギー使用量の約20%を占めるまでに浸透してきています。

日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、ドイツのシュパイアー市でマンションなどの共同住宅施設を対象として、太陽光発電を最大限に有効利用する「自己消費モデル」の確立を目指し実証実験を開始しました。日本からはNTTドコモNTTファシリティーズ野村総合研究所日立化成、日立情報通信エンジニアリングの5社が参加しています。

自己消費モデルは、太陽光パネルと蓄電池、ヒートポンプの3つを組み合わせることで成り立たせ、太陽光パネルは太陽光をパネルに受け、ヒートポンプは外気を利用した蓄熱型温水器として、それを蓄電池により蓄積し、住宅利用するものです。

最適な住宅エネルギーとして活用するために、家庭向けエネルギーシステム(HEMS)によるエネルギーのコントロールを行い、住宅全体の電力として供給およびサポートを行います。

このシステム導入の大きなポイントの一つとして、逆潮流量の最小化があります。系統への逆潮流を極力減らすということはつまり売電量を少なくするということ。すでに系統電力以下の価格でしか買い取られない現状のドイツの制度においては、売電するより自家消費を増やすことが収益上有利になってきますが、これに加えて系統への負担を減らし、系統電力の質を保つという上でも重要な意味を持ちます。

日本でもすでに系統連携の回答保留などの問題で再生可能エネルギーの容量が増えることにより生じる問題が浮き彫りになり始めていますが、ドイツでのこの実証実験の成果が問題解決の糸口となるのか、注目が高まるところです。

参考

NTTドコモのグリーン基地局、電気代削減でメリットを高め商用化を

NTTドコモグリーン基地局事業を着々と進めています。
最近の成果について伝える記事をご紹介します。

商用化に向け費用対効果向上

もともと同システムは、ソーラーパネルから蓄電池に充電して満タンの状態を保ち、その余剰を自家消費する形で20%の電気代削減を達成していたといいます。

しかしせっかくソーラーパネルで発電した電力が、使い切れないこともあり、今回は、蓄電池の電力を夜間に消費して、系統の電力も混ぜながら日没には満充電に戻せるような「パワーシフト制御」を導入し、電気代30%削減に成功。

この成果にも満足することなく、さらに充放電のタイミングや太陽光発電の電力の使い方(直接使うか、充電するか)のパターンを何通りも試しながらベストを探り、独立制御可能なレベルまでもっていくことを目標にしているのだそう。

ベースとなるポイントは災害時に長時間の電源確保を可能とする事、
と同時に商用化を進めるために、導入コストに相当する費用効果を得る事

電気代の削減はもちろん、コストを抑えるために使用する機器もシステム構築に関わるパナソニックにこだわらず、複数メーカーから検討しているということ。

単なるCSRに終わらず社会貢献と利益追求の両立が目指せるか

ちなみに費用対効果で考えれば今年度までは売電価格が商用電力と比べて高いので、「売電すればいいじゃないか」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

来年度以降、売電価格が引き下げられた後に市場に出る予定の製品のため、市場に合わせた製品開発を行っている、というのもあるとは思いますが、そもそものグリーン基地局の研究目標は「環境対策」だったそうで、CSR的な意味もこの事業は担っているいうことになります。

蓄電池が満タンの状態でも、余った電力を売電せずに自家消費する方がより環境に優しい製品と言えます。
さらにCSRに始終せず商用化を目指す事は社会全体でより大きなメリットを得られる可能性があります。

ちなみにNTTドコモは全国10万カ所の基地局で年間約18億kWを消費しているのだそう。日本全国の消費量の0.2%にも上るそうで、電気代削減だけでもメリットは決して少なくなさそうです。

CSR性の高い分野で利益も追求しながら、本当の意味で社会貢献できる事業について、もっと知っていければと思います。

参考

ドコモの携帯電話グリーン基地局は、太陽光発電×蓄電池で6時間作動を確認

NTTドコモは、太陽光発電と蓄電池を利用する事で「災害に強く、環境に優しい携帯電話基地局」の実証実験を2011年からはじめており、運用状況が発表されました。

パナソニックの創蓄連携システムを使い、ドコモが開発する次世代制御技術「グリーン電力コントローラ」を活用してR&Dセンターで行われた実証実験では、停電などで通常の電力の供給が無くなった場合でも、基地局の機能を最大6時間保持することに成功、同設備に関連する温室効果ガスの発生も30%削減に成功したといいます。

現在、東京都、神奈川県、山梨県の3局に広げて実証実験を続けるドコモ。2014年度はさらに関東甲信越地方の各地10局での実証実験を始めていますが、先には年内の商用化の目標があるということ。

参考

グリーン基地局とは

パナソニックによる創蓄連携システム

NTTドコモが進める「グリーン基地局」事業は携帯電話の基地局を太陽光発電と蓄電池でクリーンな電源で運用するとともに、停電時にもサービスを途絶えさせないようにするための災害対策の一環です。

システムの開発にはパナソニックが関わっており、太陽光、蓄電池、系統のどの電力を使用するかなどを制御できる創蓄連携システムを提供しています。
基地局専用にプログラムされたシステムでは、直流をそのまま貯蔵することで電力の利用効率向上の成果も上げています。

グリーン基地局が目指す事

性能目標

同システムが性能面で掲げる目標は、「災害時でも3日間の電力確保」というもの。
今回実証実験では6時間という成果を上げていますが、システム制御の最適化のための実証実験の結果を元に、蓄電池の容量を増やして達成を目指すものかと予想しています。
基地局自体の消費電力も、まだ見直せる余地があるかもしれません。

市場展望

現在は実証実験の段階ですが、あくまで商用化を念頭に置いたものです。
日本で災害に強い電力網の確保はもちろんなのですが、
無電化地域では固定電話以前に携帯電話の普及が進んでいるような状況もあり、
同様のインフラ設備の有用性は高いと考えているそうです。