家庭のピークカットには、太陽光発電は西向きに

アメリカテキサス州を中心に行われている「ピーカンストリートプロジェクト」という実証実験の結果から、一般家庭の電力消費と、太陽光発電、EV利用といった行動パターンを調査し、ピークカットに役立てる際のポイントが指摘されていたのでご紹介します。

一般的に北半球の場合は、太陽光発電は南向き、緯度と同じ傾斜をつけての設置が理想的と考えられています。
パネルに当たる日照量がより多くなるようなこうした設置の条件は、より多くの発電量を得るためには理想的とされますが、この研究ではさらに人々の行動パターンを加えて理想的な設置条件を指摘しています。

テキサス州のオースチンのミューラー(Mueller)地区の、太陽光発電を設置した200軒のデータを分析したところ、西向きに太陽光発電を設置した方がピークカットに効果的という結果が出たのだとか。

西向きに設置したパネルが発電する時間帯と、家庭で電力をより多く消費する時間帯が川なる時間が多いため、より多くの発電分を家庭内で消費でき、系統への負担を減らし、ピークカットにもつながるということです。

また同地区において、EVを利用する50軒のデータを集めたところ、電気料金を時間帯料金制にした場合でもピークカットに貢献するという結果が出ています。

これはテキサス州の限られた地域のデータをもとにしているため、日本の一般家庭に必ずしも当てはまるとは言えません。また今の制度では、より多くの余剰発電を出した方が儲かるため、わざわざ自家消費を多くするために西側を選んでつけたいという方は珍しいでしょう。

しかし、太陽光発電の価格が下がり、家庭でより多くを消費した方がお得になるようになった段階でこうした考えは重要になってきます。
日中家に人がいない家庭などは、朝と夕方により多くの電力を消費する事になります。
そうするとその時間帯に発電する量が多くなる東西2面の方が、南一面よりお得、というのがスタンダードになるかもしれませんね。

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さくらインターネットが太陽光発電を使った実証実験

アップルやGoogle、Facebookなど、電力を大量に使うデータセンターを保有するアメリカの大手IT企業では、データセンターで使用する電力に再生可能エネルギー由来のものを使用する動きが盛んです。

グリーンピースのような環境保護団体のキャンペーンによって環境に配慮した電力源対策に乗り切った側面もありますが、ビジネスメリットを見いだすグーグルのような例もあるようです。

そして日本でもさくらインターネットが、運営するデータセンターの電力に再生可能エネルギーの利用を押し進める計画なのだそう。
経済産業省にの委託事業として行われる「高温超電導直流送電システムの実証研究」の一環で、さくらインターネット、住友電気工業、中部大学などが参加して「石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」を設立。現在の送電システムに比べ、送電時のエネルギーロスを大幅に減らせる送電技術を実証実験するものです。

第1フェーズでは、さくらインターネットの「石狩データセンター」と隣接地に建設予定の太陽光発電所を、高温超電導ケーブルを使って直流送電、電力の変換による電力利用ロスを減らすというもの。
同データセンターは、すでに「高電圧直流(HVDC)給電システム」を導入しており、商用の交流電力をサーバーで活用する際のAC/DC(交流/直流)変換を従来システムの3回から1回に減らすことで電力の利用効率を上げているのだそうです。

将来的には北海道稚内市の風力発電設備からの電力を使用する構想などもあるそうです。

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香川県が水上太陽光発電の実証実験

水上の太陽光発電に関する試みは全国でちらほら増えています。

香川県には約1万4600カ所ものため池があり、県はそれらを有効活用した太陽光発電の実証実験を始めるのっだそうです。

香川県は日照時間が全国で19番目に長いそうで、全国平均の日照時間を115.6時間上回るということ。
水上の太陽光発電には使わない土地の有効利用以外にも、太陽光発電にはメリットが多いとされていますが、香川県のようなスケールで行えばより効率的で効果的なエコ発電事業になりそうですね。

来年度から小規模の水上太陽光発電の実証実験を始めるということで、実験結果、特にどの程度の発電量が得られるのかは注目したいところです。

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EV蓄電池を再利用で太陽光発電の出力変動に対応、住友商事が実証実験

以前、住友商事などが大阪市の夢洲にある都市廃棄物処分場に建設した10MWのメガソーラー「大阪ひかりの森」
住友商事は、この施設の横に大型の蓄電池を設置し、出力が不均衡な太陽光発電施設の電力の出力変動を抑制する実証実験を開始しました。

環境省の2013年度「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業」に選定されて行われるこの実験では、EVで使用された蓄電池が再利用されます。

日産リーフで使われた蓄電池を16台分使用し、出力は0.6MW、容量は0.4MWhだということ。最大24台分まで増設可能だそうです。

住友商事と日産自動車株式会社は、共同で、EV用リチウムイオン電池の再利用に取組む合弁会社「フォーアールエナジー株式会社」を設立しており、今回の事業で使用される蓄電システムの技術開発などもフォーアールエナジーによるもの。世界初のEV蓄電池再利用型の大型蓄電池となります。

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ホンダ、宮古島などで太陽光エネルギーを使ったEV実証実験

ホンダは自社の超小型電動自動車「MC-β」を使い、宮古島市において同市と東芝と共同の実証実験を行うと発表しました。

具体的には、小型電動モビリティーとそれに給電する電力供給装置などの導入・活用を検証するため、宮古市に3カ所の東芝製PV充電ステーションを設置。ここから給電を行ってMC-βを運用していきます。

宮古島市の来間島はエネルギーの100%地産地消を目指したりと、沖縄で盛んになってきている実証実験に、今後も注目していきたいですね。

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パナソニックがエプコと共同で「パナソニック・エプコエナジーサービス」設立し電力アグリゲーション事業

パナソニックは、住宅設備のコンサルタントなどを行うエプコと共同(パナソニック51%、エプコ49%)で新会社「パナソニック・エプコエナジーサービス」を設立するそうです。

この新会社では、住宅から発電した電力を、固定価格買取制度における売電価格に上乗せした価格で買取り、集約して販売をするというもの。
関東、関西地域で実証実験後他地域にも広げていくということです。2018年度に50万件以上の契約を目標に掲げています。

2016年に予定される電力自由化の実現後には、新電力事業としてより大規模な事業に展開していくことも予想できます。
そのためのパートナー連携や、幅広いエネルギーサービスを検討しているそう。

エプコはパナソニックが筆頭株主の会社で、英国ケンブリッジ大学と共同研究を締結し、小売り自由化の際の先進的なスマートエネルギーサービス開発を行う予定です。

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沖縄県来間島、太陽光の電力でエネルギーを100%地産地消

来間島(くりまじま)は宮古島の南西に位置する
沖縄県および宮古島市による「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」では、約100世帯が暮らすこの小さな島の電力を、すべて太陽光発電でまかなう実証実験を行います。

エネルギーを島内で地産地消するために、来間島には31カ所、合計380kWの太陽光発電と蓄電池を設置。
2011年度からシステム構築をはじめ、今月9日に運用を開始したそうです。
沖縄電力、三井物産東芝などが参加しているこの事業。国内では、淡路島でも、島内でのエネルギーの地産地消に向けて取り組んでいますが、来間島での実証実験は、島独自のエネルギー問題を抱える地域の先駆けとなりそうです。

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沖縄でソニーが住宅間の電力融通の実証実験

2012年から沖縄県において、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、株式会社沖創工と共同でオープンエネルギーシステム(既存の送電システムに替わるものとして超分散型でダイナミックに再構成可能なオープンエネルギーシステム)の研究を行ってきたソニーコンピュータサイエンス研究所。

来年度、沖縄県における新たな実証実験として、直流方式によって複数住宅間で電力を相互融通する実証実験を始めるということです。

オープンエネルギーシステムの研究の一貫にも位置づけられると考えられます。
同じく沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)や沖創工(那覇市)を共同研究者とし、「亜熱帯・しょ型エネルギー基盤技術研究事業」の採択事業として沖縄県から補助を受ける予定。

詳しい研究の内容としては、沖縄県内の20戸の住宅が参加し、それぞれの住宅で太陽光発電からの電力を蓄電池にため、自動制御によって残量が少ない住宅に融通し合うというもの。

電力系統に頼らない次世代エネルギーシステムの商用化の可能性も検討する

ということ。

本国とはまた違った電力事情を持つ沖縄におけるこうした研究は、日本にとどまらず世界中の諸島における電力事情(大きな電力設備の建設ができない、燃料費がかかるなど)の改善につながりそうですね。

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ソーラーシェアリングにも有機系太陽電池

色素増感太陽電池の話題が続きます。諏訪東京理科大システム工学部の渡辺康之准教授の研究室が発表した、有機系太陽電池を使った、ソーラーシェアリングの実証実験についての調査結果が報告されました。

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この実証実験では、有機系の太陽電池光を通せる薄いフィルム状に加工できる特性を利用し、太陽電池をビニールハウスにかぶせて栽培を行いながら太陽光発電で電気を作るという方法を検証。

太陽電池は、作物が光合成で使う赤と青の光は透過させ、残る緑の光を使って発電する種類のものを使用。そうした環境で育てたミニトマトは、

生育は若干遅れるものの、収穫量は変わらないことを実証した

ということ。

有機系の太陽電池は効率の低さ、耐久性の低さといったデメリットはあるものの、設置面積を増やして全体の出力を増やしたり、コスト低減によって利用価値は高まるとされ、ソーラーシェアリングの新しい方法として、今後注目が高まります。

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三井物産・京セラなど、セブンイレブンでスマートグリッド実証実験

コンビニの環境対策について、過去にミニストップサークルK サンクスローソンの話題などをご紹介しました。

今度はセブンイレブンです!三井物産京セラらと共同で、セブンイレブン店舗をはじめとする東京電力管轄内の小売店50店舗で、日本初の実証実験を開始すると発表しました。

この実証実験では、太陽光発電、蓄電池設備を店舗に設置し、最先端のエネルギー管理システムと情報通信技術システム(ICT/Information and Communication Technology)で店舗の消費電力のピークカット、さらに複数店舗の蓄電池を一斉に放電してピークシフトします。

三井物産プラントシステムによって提案され、環境省によって「平成25年度廃熱利用等によるグリーンコミュニティー推進実証事業」に採択されて実施されるこの実証実験。努力目標に、10%以上のピークカット、約10%強のピークシフトを掲げています。

電力を大量に消費するコンビ二店舗を利用した、スマートグリッド社会に近づくための実証実験。成果が楽しみですね!

京セラの太陽光発電について・価格相場など

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