さくらインターネットがデータセンターでの自家消費用の石狩太陽光発電所(200kW)完成

インターネットプロバイダのさくらインターネットは8月10日、「さくらインターネット石狩太陽光発電所(北海道石狩市)」を完成させたと発表。
この発電所は、データセンター用の電力源として優先的に使用されるということ。
雨の日や夜間は電力を作れない太陽光発電ですが、系統電源さらには非常用としてバッテリーとも接続されたシステムは停電時も給電が可能。

200kW(0.2MW)という大容量の太陽光発電所ですが、売電をしなくても自家消費でまかなう事業は日本では稀有とも言えます。

参考

さくらインターネットが太陽光発電を使った実証実験

アップルやGoogle、Facebookなど、電力を大量に使うデータセンターを保有するアメリカの大手IT企業では、データセンターで使用する電力に再生可能エネルギー由来のものを使用する動きが盛んです。

グリーンピースのような環境保護団体のキャンペーンによって環境に配慮した電力源対策に乗り切った側面もありますが、ビジネスメリットを見いだすグーグルのような例もあるようです。

そして日本でもさくらインターネットが、運営するデータセンターの電力に再生可能エネルギーの利用を押し進める計画なのだそう。
経済産業省にの委託事業として行われる「高温超電導直流送電システムの実証研究」の一環で、さくらインターネット、住友電気工業、中部大学などが参加して「石狩超電導・直流送電システム技術研究組合」を設立。現在の送電システムに比べ、送電時のエネルギーロスを大幅に減らせる送電技術を実証実験するものです。

第1フェーズでは、さくらインターネットの「石狩データセンター」と隣接地に建設予定の太陽光発電所を、高温超電導ケーブルを使って直流送電、電力の変換による電力利用ロスを減らすというもの。
同データセンターは、すでに「高電圧直流(HVDC)給電システム」を導入しており、商用の交流電力をサーバーで活用する際のAC/DC(交流/直流)変換を従来システムの3回から1回に減らすことで電力の利用効率を上げているのだそうです。

将来的には北海道稚内市の風力発電設備からの電力を使用する構想などもあるそうです。

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Apple、新データセンターに太陽光発電を併設

GoogleやFacebookなど、アメリカの大手IT企業はデータセンターで大量の電力を使う事から、それをクリーンエネルギーでまかなおうという動きが活発です。

「データセンターを再生可能エネルギーのみで稼働させる」という大きな目標を掲げたアップル社は、新設するデータセンターにソーラーファームを併設すると発表しました。

場所はネバダ州リノ。

年間約4350万kWh(キロワット時)のクリーンエネルギーを生み出せるそうです。
年間で4350万kWhというと、日本の発電量の基準で40MW超のメガソーラーということになります。

アップル社は、ノースカロライナ州メイデンのデータセンターでは敷地内の太陽光発電と、燃料電池の併用により、年間約1億6700万kWhのクリーンエネルギーを生産しているという事。

売電目当ての太陽光発電施設が目立つ日本ですが、完全に自社内で消費する企業もそろそろ目立ってきてもいい頃じゃないでしょうか。
来年あたりからでしょうかね。

とりあえず、パチンコ店は屋根にソーターパネル付けて、店内の電力の半分くらいはそれでまかなう、ってくらいの事してくれれば、ちょっとはパチンコのイメージもよくなります。
まぁパチンコ屋のターゲット層で、店の電力消費量を気にするような人は皆無なのでしょうが。

Google再生可能エネルギーは長期的な投資先として魅力的

Googleやfacebookなど、データセンターでの電力消費が大きい米国の大手IT企業が、その電力を再生可能エネルギーでまかなおうという活動が盛んです。
その理由には、電力を多く消費していることに対して消費者からの圧力が大きくなってきたことに加え、Googleは投資先として有望視しているようです。

再生可能エネルギーと言えば、日本では売電収入を主な目的とし、企業が大型ソーラープロジェクトを立ち上げたりという話も多くあります。
しかしGoogleの視点はちょっと違って、環境対策はもちろん、長期的に化石燃料に頼りよりも再生可能エネルギーのコストは低くなると見ているということ。

データセンターの近くに実際に発電所を建てられない場合でも、再生可能エネルギーを使って作られたエネルギーを買う契約を結ぶという方法で、長期的な再生可能エネルギーへの投資を考えています。

環境貢献CSRはグーグル、フェイスブック、アップルに倣う?

2005年~2010年の間、世界の電力需要は横ばいだった中、クラウド・サービスのためのデータセンターの電力需要は56%もの増加を見せたそうです。
グラフを見ても分かる通り、今や日本に次いで5番目に電力を使用するのだそう。

image via グリーンピース「Make IT Green Report 2010」

image via グリーンピース「Make IT Green Report 2010」

そんな中、米国の大手IT企業ではデータセンターの電力を自然エネルギーにする動きが盛んなのだそうです。

グーグルではすでに自然エネルギーに10億ドル以上を投資していて、データセンター周辺の風力発電所からの電力供給契約などの具体策による同社の電力使用量の30%以上は自然エネルギーによるもので、さらにこの比率を拡大する方針です。

またグリーンピースがフェイスブック上でフェイスブックに向けたキャンペーン活動が実を結んだ実例は面白いです。
石炭火力発電に大きく依存する地域に新しいデータセンターを建設すると発表したフェイスブックに対して、グリーンピースが大規模な国際キャンペーンを実施。その結果、「石炭火力と友達にならないで」と求めるユーザーが殺到し、その声にこたえる形で、今後データセンターの建設予定地を判断する基準として自然エネルギーの利用を加えることや、地元の電力会社や政府に対して自然エネルギーの供給拡大を働きかけることなどを約束しました。

アップルに対しても同じように働きかけを行ったグリーンピース。その結果2012年5月、アップルは2012年末までに米ノースカロライナ州のメイデンにあるデータセンターの電力を100%自然エネルギーにすると発表しています。

日本では、グリーンピースが2012年2月に外部機関に委託して実施したオンライン調査の結果では、企業がどのような電気(電源)を使っているかが気になる、と答えた消費者は65%にのぼったそうです。

固定価格買取制度による企業の太陽光発電導入は進みましたが、「売電目的」である事業も目立つことが現実。
そんな中、コンビニチェーンのローソン、そしてミニストップの太陽光発電事業はあえて売電にすべて回さず、その約1割分は店舗内での消費に充てて災害時に備えたりと、事業の「環境貢献性」・「地域貢献性」を強調しているのが印象的でした。

売電42円の申請期限が迫っています。
売電利益に関していえば、今年度よりも収益率が悪くなると考えられる売電事業、今後は「儲ける」ためだけでない設置がより増えることに期待したいです。

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