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農地で行う太陽光発電

ソーラーシェアリング・営農型太陽光発電

平成25年3月31日の農林水産省の発表を境に、農地として使われている土地すべてにおいて、原則付きで太陽光発電と農業を併行で行う営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が可能となりました

ソーラーシェアリングとは

ソーラーシェアリングとは、支柱を立ててその下で作物を作る事ができるようにした太陽光発電設備(営農型発電設備)を使い、農業も発電事業も同じ土地で行う農電併業、いわば一石二鳥の土地の使い方です。

「日光をパネルで遮ってしまって作物が育てられるのか」という疑問が出てくるかと思いますが、下の「ソーラーシェアリングに適した作物は?」でも触れているように、配置の仕方次第で作物の生育には影響が出ないばかりか、農業を営む上でのメリットにもつながる可能性があるとされます。

農地法・農地転用許可制度

元来の規制内容

区分 営農条件、市街地化の状況 許可方針
農用地区域内農地 農業振興地域整備計画で農用地区域と定められている農地 原則不許可
(農振法・土地収用法対象事業に基づく例外あり)
甲種農地 特に良好な営農条件を備えている農地
(8年以内に市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地等)
第一種
農地
良好な営農条件を備えている農地
(10ha以上の規模の一団の農地/土地改良事業等の対象となった農地等)
第二種
農地
市街地かが見込まれる農地
(鉄道の駅が500m以内にある等)
生産性の低い小集団の農地
一部許可
(周辺の他の土地に立地することができない等)
第三種
農地
市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
(鉄道の駅が300m以内にある等)
原則許可

農地で太陽光発電をしたい場合、農地法に基づく農地転用許可制度に則って、転用許可をとらなければいけません。こうした制度の必要性を農林水産省では農地が少なくなる事による国内での食料自給率の低下を防ぐためと説明しています。

それぞれの農地は、周辺の市街地化の進み具合や営農条件(土壌や気候などを含め、農業に適している度合い)などによって5段階に農地区分が分けられており、区分によって農地転用の許可条件が違います。(表を参照)

条件付きでソーラーシェアリングのための農地転用が認められる

ソーラーシェアリングを行う場合ですが、上の表にも記載のある通り第2・3種農地ならば転用が認められているので、農地転用における問題は出てきません。ソーラーシェアリングに限らず、農業を辞めて産業用太陽光発電事業を行うことも可能です。

問題となってくるのが第1種農地以上の農地。「農業を辞めるわけではないので、第1種農地以上の農地でもソーラーシェアリング認められるべきだ」という声に対する農林水産省の対応が平成25年3月31日の発表で、農用地区域内農地、甲種農地、および第1種農地についてもソーラーシェアリングが条件付きで認められました。

第一種農地以上の農地でソーラーシェアリングをする際の条件

「一時転用許可」の条件として出されたものがつぎの3項目です。これらをクリアしてソーラーシェアリングを行うことで、農家は今までと変わらず農作物の収入を確保しながら売電収入も見込める事となりました。

  • 支柱を建てた下で農業を続け、その土地を含め周辺の営農に支障を与えない事
  • 3年ごとに再許可を取得する事
  • 年に1度の報告で、農作物の生産に支障が無いことをチェックする事

ソーラーシェアリングの価格と収益性

当サイトでご案内する価格相場表は、一般住宅における屋根上太陽光発電において理想的な条件で設置できる場合の価格を掲示しています。「10kW以上の太陽光発電の価格について」では野立てなどの産業用太陽光発電に対し、単価でプラス5万円程度が一般的に必要となることをご案内しています。

パネルの種類や設置方法、使用する架台の種類で単価は変わりますが、野立ての発電所と同程度であるとすれば、単価で40万円前後(工費込み)を見込んでおくとよさそうです。

ソーラーシェアリングに必要な土地面積と、設置後の収益

次の項でもご案内していますが、同時に育てる作物に必要な光の量によって、面積当たりに設置できる量は変わってきますが、大体の目安で100㎡程度の農地であれば10kWの設置が可能です。

200㎡の農地に20kWを設置した場合の収益

初期費用:20(kW)×40(万円)=800万円

毎月の売電収入:20(kW)×95(kWh)×32(円)=60,800円

初期投資回収期間10.97年(利回り9.12%/年)

20年後の収益659.2万円

売電収入だけでない、ソーラーシェアリングのメリット

農業における収入に加えて売電収入が加わることで単純に面積当たりの収益性が高まるメリットに加え、ソーラーシェアリングには副次的なメリットが期待できます。

パネル下には適度な影がかかりますが、水分の蒸散を抑えられて灌漑設備の節約効果になったり、作業中の日光による暑さの軽減になったりということが指摘されています。

ソーラーシェアリングに適した作物は?

日照に応じて成長する作物 光飽和点(klx)
トウモロコシ なし
他にもサトウキビ、アワ、キビ、ヒエなど
豊富な日照が必要な作物 光飽和点(klx)
スイカ 80
トマト 70
比較的多い日照が必要な作物 光飽和点(klx)
きゅうり 40~55
40~50
ナス 40
えんどう 40
ブドウ(巨峰) 40
桃(白鳳) 40
梨(幸水) 40
いちじく 40
他にもピーマン、サツマイモ、オクラ、かぼちゃ、さといも、大根、人参、牛蒡など
比較的日陰を好む作物 光飽和点(klx)
レタス 25
ミツバ 20
シンビジウム 10
プリムラ 10
シクラメン 15
アザレア 5
他にも、苺、白菜、キャベツ、ワラビ、フキ、ミョウガ、キノコ類など

ソーラーシェアリングを行う際に適しているのがC3型植物という区分に属する作物です。実は植物のほとんどがそれにあたるC3型植物は「光飽和点」を持ち、一定の光量までは成長を続けますが、それ以上の光が当たっても成長を促すことはないとされます。

トウモロコシやサトウキビのような作物は光飽和点を持たない植物(C4型)に属しており、ソーラーシェアリングによって太陽光を防いでしまうのは生育の妨げとなる可能性が大きいです。またスイカやトマトなどの光飽和点が比較的高い作物はソーラーシェアリングをするにはリスクが高い(収穫量が落ちる可能性がある)と考えられます。

夏場の晴天時の照度は約10万ルクス(100klx)、日陰で1万ルクス(10klx)、曇天で5千ルクス(5klx)、冬場の晴天時は5万ルクス(50klx)と言われています。

光飽和点40klx周辺には多くの作物が属していますが、夏場の作物ならパネルの間隔が半分程度であれば生育に大きく支障は出ないと考えられます。

静岡県の一例では稲と里芋をパネル下で育てる営農型太陽光発電を設置していますが、パネルの設置間隔を通常の2倍程度開け、さらにパネルが回転するタイプの架台を採用したことで、天候によって照度が足りないと判断した際などに光の量を調整できるようにしています。

光飽和点が20klx前後ともなるとほぼ日陰でも十分作物が育てられると考えられ、さらに葉が日に焼けてしまうのを防ぐ効果なっども期待できるためにシーラーシェアリングのメリットが一番享受しやすいと考えられます。

ソーラーシェアリングのデメリットと問題点

価格の問題

ソーラーシェアリングようの太陽光発電システムは一般的な屋根上設置の太陽光発電と比べて、少々単価が高くなります。一度に多くの投資が必要なことは農家にとっては大きな負担であることには変わりありません。ローンなどを組めばその分初期費用回収年数も長くなります。

制度上の問題

高額な投資を決断したとしても、十分な収益が上がらないうちに発電事業を辞めざるを得ない可能性が常にあることを念頭に置いておかないといけません。

第1種農地以上の農地でソーラーシェアリングを行う場合に、農作物の恒常的な生産を維持した上で3年ごとに農地転用許可を更新しなければいけないという条件が付いています。万が一農地転用許可の更新ができなければ発電が続けられないというリスクがあります。

直近の課題は「遊休農地・耕作放棄地・休耕田」での太陽光発電

ソーラーシェアリングの技術が進む事は農業従事者にとっては嬉しいことですが、高齢化や後継者不足により農業の持続が不可能になった土地(遊休農地や耕作放棄地)や、減反政策により稲作ができない水田(休耕田)などでは法の改正による対応が求められます。

福島県の避難地域においては、第1種農地の転用が条件付きで認められました

逆に農地の転用が基本的に許可される第2種および第3種農地においては、太陽光発電書として耕作地をつぶす例も増えています。しかし可能であれば農地を残す方が良いともされます。福井県では2013年末までに14件、計1ha分の農地が、太陽光発電設備をつくるために農地転用許可を受けたといいます。作物の栽培だけでなく、地域のつながりに関わる農地の役割、生物多様性の面などから、農地を単純に発電所に作り替えてしまう事に警告を発する声もあります。(参考記事

実用化しているソーラーシェアリングの方法と、今後の発展

現在実用化されているソーラーシェアリングの方法としては、一定の間隔で支柱を立て、支柱に沿ってソーラーパネルを設置するものがあります。(写真)

今後はさらにソーラーシェアリングの方法にバラエティが出てくることが予想されます。その中には色素増感太陽電池を使い、薄いフィルム状に加工したソーラーパネルをビニールハウスに被せる方法(記事)や、追尾型の太陽光発電システムを利用する方法(記事)などもあり、それぞれ実証実験が行われています。

農業に限らず、酪農と太陽光発電の併業をする他国における例を国内でも行える可能性もあります。酪農というほどではありませんが、発電設備を置いた土地で同時に動物を飼う事によって草取りのメンテナンス費を削減する例は国内でもすでに出てきています。

特に土地が限られた日本では、既に持つ土地の機能を保ちながら太陽光発電も行うような試みが今後も増えていく事が予想されます。

農地での太陽光発電の施工はどこに頼めばいい

ご案内の通り、営農型の太陽光発電には特有のリスクが付きまといます。設置例がまだそれほど多くない現状で、営農型の設置実績や知識を持った施工店を見つけるのは容易ではありません。

産業用に特化した一括見積サービスには、営農型を含め実績の高い施工業者が多数登録しています。こうしたサービスを上手に利用することで、安心して営農型の太陽光発電を始めることができます。

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