沖縄県宮古島での太陽光発電事業は足止め、解決策はまだ出ず

沖縄電力が宮古島系統で新規接続を保留したというニュースを以前お届けしました。その後沖縄電力は、宮古島で太陽光発電事業を行う予定の企業70社の代表に対し、説明会を開いたということ。

現在190件の新規契約を保留している状態ということですが、受け入れ可能量に対してすでに接続希望申込量が上回っている状態であり、説明会ではこれに対する沖縄電力の見解が明らかにされたようです。

今後の方針としては現時点で契約、接続が完了していない事業者に、出力抑制と蓄電池の設置を提案。
参加者の中には、出力抑制をした場合の売電の補てんなどは行われるのか、と聞いた人がいたそうですが、そんなもの、行われるはずないですよね。沖縄電力も補てんについては行わないと断言しています。
売電の仕組みをわかっていれば、こうした質問以外にもっと聞くべきことがあったと気付いたかもしれません。

事業者の振り落としでより地域に貢献度の高い事業者が出てくることを期待

消費者の願いとしては、売電収入だけを目的にした事業者をここでいっきにふるい落として、地域のスマートグリッド、エコ社会化への貢献をより重要視してくれる事業者が出てきてくれると期待したいところ。

例えばコンビニ業界では、10kW以上を設置しながらもあえて余剰売電を行う方針が主流です。電力を多く消費するイメージの強いコンビニだからこそ、より環境保全に貢献できる店舗の開発を進める企業を、個人的には評価したい、と考えます。

また太陽光発電による発電量を売電せず、地域内の施設で融通しあう三井不動産のスマートシティのような例もあります。

こうした企業の実例は自社内の開発技術力や資金力を生かした、本当に稀な事例なのかもしれませんが、固定価格買い取り制度をフル活用しなくても採算の合う事業にする方法があることを示しています。
どんな企業にでもできることではないのかもしれませんが、この機会に発電事業の環境貢献性、地域への貢献性などを振り返れば、自治体などからの協力・理解も高まりそうな気もします。

蓄電池の導入実験はどうなった??自治体や政府からの支援と沖電の対策にも期待

宮古島では「エコアイランド宮古島宣言」を掲げているといいますが、自治体や政府からの支援の有無も、この問題の解決には不可欠なのではないでしょうか。

宮古島は経済産業省資源エネルギー庁の「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業」でマイクログリッドシステム構築の実証実験の場に選ばれています

宮古島系統の最大需要にあたる約50,000kWの8%、4,000kWの太陽光発電を設置し、同容量のNaS電池(出力4,000kW・蓄電容量28,800kWh)で出力の安定化を図るという内容の実証実験。
平成21年度に「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業補助金」を受けて始まった実証実験は今年3月で期間満了し、

太陽光発電が大量に導入された場合には電力系統の安定運用が維持できるよう対策し、低炭素社会の実現に向けて引き続き取り組んでいきます

沖縄電力による展望も発表されていますが、説明会においてはこの展望による具体的な対策については言及されなかったよう。

事業者・電力会社・政策決定者の歩み寄りで問題の早急な解決を図り、離島での高度なスマートグリッド構築の実現が見られることを期待しています。

参考

沖縄電力が宮古島の太陽光発電の申請を保留

沖縄電力が宮古島市の太陽光発電20件の新規接続を保留していると発表されました。

宮古では、EVを活用した実証実験や、宮古島市来間島で100%電力の地産地消を目指したりと、島のスマートエネルギー化に向けた様々な試みがなされていますが、こうした動きが足止めを食らう可能性もあります。

宮古島市圏内では、沖縄電力のメガソーラー以外に、既に1万kW分(10MW)の太陽光発電に対して連系を完了させており、さらに7700kW(7.7MW)分の連系許可分に対しては買電を行うとしていますが、通常電力の送電に支障を来す可能性があるという理由で新規申し込みのあった20件については接続を保留にしているということ。再生可能エネルギー固定買い取り制度施行後、接続保留になったケースは全国でも初の事例なのだとか。国や関係機関と調整し、接続限界量の調査分析結果が出るまでは新規の接続契約を保留したい考えだというこt。

「エコアイランド宮古島宣言」を掲げる宮古島の下地市長は沖縄電力に対して、十分な調査と市民への説明、その後は引き続きの太陽光発電の導入継続のための対策検討を含めた要請書を提出しました。

やはり系統の小さな島で太陽光発電などを活用した電力融通は難しいのでしょうが、宮古島でのスマートエネルギー化が、やがては日本列島の規模まで発展しうる技術の開発のきっかけにもなるかもしれません。

今後の展開に注目いたいですね。

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ホンダ、宮古島などで太陽光エネルギーを使ったEV実証実験

ホンダは自社の超小型電動自動車「MC-β」を使い、宮古島市において同市と東芝と共同の実証実験を行うと発表しました。

具体的には、小型電動モビリティーとそれに給電する電力供給装置などの導入・活用を検証するため、宮古市に3カ所の東芝製PV充電ステーションを設置。ここから給電を行ってMC-βを運用していきます。

宮古島市の来間島はエネルギーの100%地産地消を目指したりと、沖縄で盛んになってきている実証実験に、今後も注目していきたいですね。

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沖縄県来間島、太陽光の電力でエネルギーを100%地産地消

来間島(くりまじま)は宮古島の南西に位置する
沖縄県および宮古島市による「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」では、約100世帯が暮らすこの小さな島の電力を、すべて太陽光発電でまかなう実証実験を行います。

エネルギーを島内で地産地消するために、来間島には31カ所、合計380kWの太陽光発電と蓄電池を設置。
2011年度からシステム構築をはじめ、今月9日に運用を開始したそうです。
沖縄電力、三井物産東芝などが参加しているこの事業。国内では、淡路島でも、島内でのエネルギーの地産地消に向けて取り組んでいますが、来間島での実証実験は、島独自のエネルギー問題を抱える地域の先駆けとなりそうです。

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