アメリカではさらに太陽光発電加速か?オバマ大統領による発表

2012年の大統領選の際にも太陽光発電の促進についてポジティブな考えを発表していたオバマ大統領。

9日のカリフォルニア州での演説の際に太陽光発電と省エネ対策についてを強化する意向を示し、雇用創出の面でも貢献できるような政策を打ち出す予定だと発表。
(ちなみにカリフォルニア州はアメリカの中でも再生可能エネルギーの開発が進んでいる州。太陽光発電政策についての演説をする場所として選んだのも容易に理解できます。)

具体的な内容としては、

今後3年間に20億ドル(約2,030億円)を投じて連邦政府ビルの省エネ効率を高めるほか、300以上の企業・団体の協力で2020年までに5万人の雇用創出につなげる

のだとか。

ニューヨーク州が太陽光発電技術の先進都市になるために、ソーラーフロンティアの工場誘致に関する事前調査を行ったニュースも以前お届けしました。
中国へのアンチダンピング関税が功を奏さなかったこともあり、次は正攻法で、ということでしょうかね。

ちなみにアメリカの最大手パネルメーカーファーストソーラーはパネルのリサイクルプロジェクトをメーカー主導で行っている、ほぼ唯一と言っていいパネルメーカーです。
日本のメーカーでさえパネルは売り切り。発電事業が終わった後を含めたライフサイクル全体に関われるメーカーこそ、本当にエコに貢献できるメーカーじゃないかな、と個人的には思っているので、ファーストソーラーのようなビジョンを持った企業が活躍できるような支援が行われることを期待しています。

参考

太陽光発電発電設備の容量は13GW超

経済産業省による「再生可能エネルギーの発電設備導入状況(平成26年度1月版)」が公開されたので、太陽光発電関連の内容をまとめてご案内します。

このデータは経済産業省の資源エネルギー庁が発表している、平成24年7月から、平成26年1月末までの期間、固定価格買取制度によって導入された再生可能エネルギーの設置状況をまとめたもの。

これによると、平成26年1月末までに、13GW分の太陽光発電が導入されたということです。


導入済み容量:内訳

導入済み容量:内訳

再生可能エネルギーは19カ月間で太陽光発電7.6GWが導入され、太陽光は97%

固定価格買取制度によって導入された再生可能エネルギーの容量は761.2万kW(約7.6GW)だったのに対し、太陽光発電は7.4GW超を占め、その率は97%とほぼ全体となっています。

さらに内訳を示すグラフをみると分かるように、ミドルソーラーは全体の半分を占めています。


認定済み未設置容量:内訳

認定済み未設置容量:内訳

さらに25.6GWが増える見込み、認定済み未設置の半数以上はメガソーラー

設備認定を受けているものの発電容量が約33.2GW、ここから設置済みを引くと、認定済み未導入が約25.6GWあるという計算に。
住宅用(10kW)は認定済みのものの90%弱が既に導入済みであるのに対し、ミドルソーラーは30%弱、メガソーラーは10%程度しか導入が終わっていません。


各設備の容量の全国平均と分布状況

各都道府県ごとのデータも公開されています。このデータから、全国の平均、およびバラつきの状況も読み取ることができます。

住宅用(10kW未満)

平均設備容量は4.6kW、バラつきはそこまで目立たず、都市部でも平均で4kW程度の容量が得られている。
沖縄県の一件あたりの設備容量は平均を大きく引き離しており、全国一位の5.7kW。

ミドルソーラー

ミドルソーラーの定義は10kW以上1MW未満。とはいえその容量は20kW~50kW程度のものがほとんどです。
(その理由については50kW未満の低圧連系がお得?で詳しくご案内しています。)
全国の平均は37kWですが、これは都道府県でバラつきがみられ、住宅用で平均容量全国一位の沖縄県がミドルソーラーでは平均容量が一番少なく17kW。その他東京都、京都府、神奈川県、愛知県、大阪府といった都市部で20~30kWと、ミドルソーラーにしては規模が小さめでした。

メガソーラー

メガソーラーの全国平均は、導入済みのもので約1.8MW。認定済みのすべての設備の平均容量が4.3MWなので、やはり比較的規模が大きいものほど稼働に漕ぎ着けるまでに時間を要していることが分かります。

北海道はメガソーラーが多く設置されているイメージが強く、実際、認定済みの容量で全国一位、全体の11%を占める1.8GWが北海道に集中しています。

次点に福島県(1.2GW)が付けています。福島県はメガソーラーの平均設備容量が全国1位の11.6MWと大きいのは、被災して住めなくなった土地に大規模なメガソーラ―を設置する例が多いのでしょうか。

メガソーラーの稼働率(ここでは設備利用率ではなく、認定済みのなかで実際導入が終わっている設備の割合)が、容量にして全国平均で10%程度ですが、傾向として設備利用率が高い都道府県(=より多くの発電量が見込める都道府県)のほうが、設備利用率が低い都道府県と比べて稼動済みのものが多く、可能性としては、設備利用率が低い地域では、少しでも事業の採算性が上がるよう、認定から設置までの期間を空けているとも考えられます。

【関連:都道府県別の発電量の比較

東京都内のビル・マンションなど、太陽光発電適正物件をシミュレーション

クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)が東京都と連携して運営するポータルサイトで、都内の建物で太陽光発電を設置した場合に期待される設置容量や発電量のシミュレションができるサービスが開始しました。

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例えば、都内の公園内にある図書館に太陽光発電を設置する場合、約330kWを載せられる可能性があり、年間の発電量は310871kWhと、キロワットあたりでは950kWh弱の分析結果となりました。

一般的に日本の年間発電量は1050kWh〜1140kWhで計算されます。(稼働率12%〜13%)
これに比べるとかなり低い値ですが、シミュレーションした場所は近接する建物がなく、都内では比較的発電量の多い方のようです。
他の場所では800kWh台という数値が出ていたりと、結構シビアなシミュレーション結果になっていると予想されます。

建物が隣接する場所の多い都心部。検討するなら影による発電量低下が少ないソーラーフロンティア製パネルなどを考えてもいいかもしれません。

被災地のスマートエネルギーへの補助金事業の詳細が発表

一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(NEPC)は、東日本大震災の被災3県(岩手県、宮城県、福島県)においてのスマートエネルギーシステム導入を促進させるための補助金事業の詳細を発表しました。

「平成26年度スマートエネルギーシステム導入促進事業費補助金(スマートエネルギーシステム導入促進事業)」の公募内容は以下の通り

補助対象事業者(5つの条件すべてに該当するもの)
(1)以下を満たすこと。
①日本法人(登記法人)である民間会社、学校法人、医療法人、社会福祉法人、宗教法人等の非営利法人、防災街区計画整備組合、国立大学法人、独立行政法人、もしくは地方公共団体
② ① の日本法人(登記法人)、または①を主申請法人(幹事法人)とする共同体等であること(なお、設備を導入する者が導入する施設の所有者でない場合には、当該施設の所有者も含めた共同体等であること。)。
(2)経済産業省が定める補助金等の交付停止事業者に該当していないこと。
(3)事業を円滑に遂行するために必要な費用に関し、十分な経営基盤を有していること。
(4)委託契約等で他の法人に事業を実施させる場合、委託先に対して確定検査等を行い、確定検査等で確認した資料の写し等を保管する体制が取れていること。
(5)事業を運営・管理できる能力を有しており、事業を実施するための実施体制及び管理体制が整備されていること。

対象事業
東日本大震災の被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の地域の施設(医療施設、福祉施設、教育施設、鉄道やバスの駅、道の駅、サービスステーション、コンビニエンスストア、宿泊施設、スーパーマーケット等の食品小売業等の施設のうち、災害発生時の防災拠点として機能し得る施設)に導入する下記の設備を補助対象にします。(公募要領の「2.補助対象事業について」が全て含まれていること。)
①再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電等の発電設備)
②蓄電池
③電気自動車(PHV・EV・FCV、系統又は建物等との連系によって電力供給を行うことができるものに限る。)
上記①と②又は①と③を必須の設備とします(①と②と③を設置した場合も補助対象とします。)。
また、上記の設備に加え、以下の設備を追加的に設置出来ます。
④燃料電池
⑤コージェネレーション
⑥熱利用システム(太陽熱、温度差エネルギー、バイオマス熱、氷熱及び地中熱利用システム等、再生可能エネルギーを熱源とした熱利用システム)
⑦エネルギー管理システム

補助率
・太陽光、風力などの再生可能エネルギー発電設備
固定価格買取制度の設備認定を受ける場合 – 1/10以内
固定価格買取制度の設備認定を受けない場合 – 1/3(地方公共団体、非営利民間団体等は1/2)以内
・蓄電池 – 1/3(中小企業等が保有する施設等に設置する場合は1/2)以内
・電気自動車(PHV・EV・FCV) – 2/3以内
・燃料電池 – 2/3以内
・コージェネレーション – 2/3以内
・熱利用システム – 2/3以内
・エネルギー管理システム – 2/3以内

3月10日から公募を開始するということ。

参考

NEPC、スマートエネルギーシステム導入促進事業を開始

一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(NEPC)が平成26年度「スマートエネルギーシステム導入促進事業」を発表。
スマートエネルギーを通じた被災地の復興を試みる事業に対する補助金助成を中心とした事業になる予定です。

東日本大震災の被災3県(岩手県宮城県福島県)の地域施設において導入する再生可能エネルギー(太陽光・風力発電など)や蓄電池などが対象となり、対象機器とその補助額については下記に記載します。

導入設備 補助率
再生可能エネルギー
(太陽光発電、風力発電等の発電設備)
1/10以内
固定価格買取制度の設備認定を受ける場合)
1/3もしくは1/2以内※1
(固定価格買取制度の設備認定を受けない場合)
蓄電池 1/3もしくは1/2以内※2
電気自動車(PHV・EV・FCV) 2/3以内
燃料電池 2/3以内
コージェネレーション 2/3以内
熱利用システム 2/3以内
エネルギー管理システム 2/3以内

※1 地方公共団体、非営利民間団体等は1/2以内とします。
※2 中小企業等が保有する施設等に設置する場合にあっては1/2以内とします。

特に注目したいのが、再生可能エネルギーの発電設備においては「固定価格買取制度の設備認定を受けない」、つまり、「売電に頼らない発電機器」の補助金額がかなり大きいということ。

大規模な太陽光発電事業の建設が相次いでいる一方、そのほとんどが売電による収入を第一とした事業なのが事実。
もちろん、事業として行う以上利益を求めるのは当然です。

一方で全量売電の発電所の増加が系統への負担を増やしたり、消費者に賦課金という形で負担を増やし、再生可能エネルギーによって得をするものと損をする者の格差を生んだり、といった問題も露わになってきています。

よりスマートなグリッド構想を実現させるための実験的な事業がこの補助金によって発足し、被災地を核として日本がより強くエコな社会に生まれ変わってくれることを期待したいですね。

参考

豊洲新市場に太陽光発電2MW、運搬車に電力を供給

東京都は、中央区築地から移転を計画する江東区の豊洲新市場の青果棟と水産卸売棟の屋上に、2MW(2,000kW)の太陽光発電を設置すると発表。
この発電施設で作られた電力で、構内を走る電力駆動の運搬車の電力を100%まかなう方針を明らかにしました。

自治体による環境対策が進む中、豊洲新市場の太陽光発電は、屋根の上に載せる設備としては大規模であることと、売電に頼らず、自家消費をするということでユニークだと言えます。

売電価格が下がる来年度は、こうした売電に頼らない事業が多様になることを期待したいですね。

2014年度太陽光発電の売電価格決定!産業用32円・住宅用37円

2014年度(平成26年度)の太陽光発電の売電価格(買取価格)がほぼ決定したようです。10kW以上(いわゆる産業用)32円・10kW未満(いわゆる住宅用)37円になる予定。

10kW未満の太陽光発電施設については1円の価格低下にとどまりました。この1年でパネルによっては価格がキロワットあたり約3万円下がっているものもあり、補助金(最大1万5千円)が廃止されたとしても収益には大きく響かなさそうです。既築住宅に付けたいと思っている方はパネル価格の最新相場をご確認の上、自分の納得のいくタイミングで付けることができそうです。
逆に新築で、最近各住宅メーカーから出ている10kW以上が載るようなエコ住宅の購入をお考えの方は、今年と来年度では大きく売電収入が変わってきてしまいます。10kWの搭載なら、20年間で約84万円売電収入が減る計算になります。もし迷っている方がいれば、すぐにでも決定した方がよさそう。

3月中は意見公募の期間ではありますが、ほぼこの価格に決定すると考えられます。

産業用の太陽光発電は、買取価格が大幅に下がる事により、中国メーカーなどの安価なソーラーパネルの人気が高まりそうです。
また、洋上の風力発電が10kW以上の太陽光よりも高い36円に設定されることで、新電力参入などを目指す発電事業者などが洋上風力に参入する可能性も大きくなってきそうです。

米国の太陽光発電、コストが電気料金平均を下回る

米国エネルギー省(DOE)は、大規模太陽光発電事業の発電コストが2013年末時点で11.2セント/kWhになったと発表。3年前の21.4セント/kWhと比べて約半分まで下がったことになります。
アメリカの平均的な電気料金の12セント/kWhよりも安くなった事で、グリッドパリティを達成したということになります。

この成果には、ハード面での価格低下、主にソーラーパネルの価格低下が大きく貢献しているということで、3年の間にパネル価格は約3分の1になっているということ。

DOEは「SunShot Initiative」を掲げ、太陽光発電を他の電源と対峙できる電力源にしようと計画。
具体的には、設置作業費の低下を促そうと、コンテストなども行っていましたが、実際にはソフト面はシステム全体の価格低下にはそこまで貢献しなかったよう。

日本の系統電力が25円前後であるのに対し1kWhあたり約11円とは、アメリカの太陽光発電の発電事情はすでに十分優位にあるようですが、さらにDOEは2020年までに6セント/kWhにまで下げようという目標を掲げています。

参考

「買取価格」洋上風力は値上げ・太陽光は価格見直し頻度を上げることを検討

2012年7月から導入された再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度(FIT)。急速に成長する再生可能エネルギー市場を受けて、買取価格に関して変更が加えられるべき点が徐々に明らかになってきています。

まず、買取価格の見直しは現在1年に一度の頻度で行われていますが、太陽光発電においてはそれを半年に一度の周期に変更することも検討する考えを、政府の「調達価格等算定委員会」委員長、植田和弘・京都大学教授が示しています。
太陽光発電は、設置のハードルが低く普及が進みやすい(「バブルが起こりやすい」)とし、消費者の電気代に上乗せされる付加金の負担をできるだけ少なくするようにという配慮からで、市場の動きを見ながらより早い段階での価格の引き下げに対応できる体制を整えるためとされます。

また、現在風力発電は陸上・洋上どちらにおいてもキロワットあたり22円が定められていますが、洋上の風力発電は開発コストが陸上に比べて多くなるため、価格を区別する方向で検討するそうです。
海外の例に倣って洋上の風力発電の買取価格を、陸上の価格の1.5~2倍程度にすることが考えられています。
設備利用率(稼動率)の面では陸上が20%なのに対し洋上では30%と、同じ出力の設備でも、より効率良く発電できるメリットもある洋上風力発電。
今後開発コストを引き下げて普及を進めていくことで、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合の増加に大きく貢献することが予想できます。

インドに4GWのギガソーラー建設計画

インドに世界最大級の太陽光発電所の建設計画が、その規模はなんど4GW!(4,000MW)
ギガワット級の発電所をまとめて建設できるのはさすがインド、羨ましい限りですね!4,000MWで発電量は年間60億kWhの見込み、つまりキロワットあたり年間1,500kWhもの発電量が得られる計算になります。設備稼働率にして17%!日本の12%と比べると1.4倍になります。

場所は西部ラジャスタン州ジャイプール近郊。国営企業などが中心となった、政府規模のプロジェクトになります。
2016年までに稼働開始の予定だという事。

インドは「ジャワハルラル・ネルー・ソーラー・ミッション(Jawaharlal Nehru National Solar Mission/JNNSM)」を掲げ、太陽光発電の普及を推進。2022年までに計20GWの太陽光発電施設を建設することを目標にしているということ。

参考