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発電面に雪が積もると発電が停止してしまうばかりか、積雪の重みでパネルが損傷する恐れもあります。積雪地域におすすめの耐久性の高いパネルや、積雪地域でもできるだけ多くの発電量を得るために知っておくといいことなどご案内しています。
積雪地方にお住まいの方には残念ですが、パネルに雪が積もるほど降雪のあった日はほぼ発電しません。ここでは年間降雪量が200cm以上の地域(具体的には秋田県、青森県、北海道、富山県、山形県、石川県、福井県、新潟県、岩手県、鳥取県の10県※)において実際に運用されている発電設備の発電量を調査し、全国の他の地域と比較してご案内しています。(調査の集計方法および全都道府県の発電量、稼働率比較はこちらから)長野県は積雪量も雪の降る日数も多い県ですが、意図的にここでは除外しています。(以下「積雪地域でも長野県は異例の発電量」参照)
全国の平均発電量は設備利用率にして約14.1%、発電量でいうと1234kWh程度です。一方全国で発電量が一番少ないのは秋田県で、設備利用率にして10.3%、発電量は903kWhにまで減ります。秋田県は全国5位の積雪量に加えて、日射量の少なさから極端に発電量が少ない地域になっており、全国平均の73%程度しか発電量が得られない結果となっています。
全体を通して、積雪の多い地域は全国平均に比べて1~2割程度発電量が減ることは覚悟する必要がありそうです。設備利用率にして12%前後の地域が多くなっていますが、経済産業省が売電単価を決める際に目安とするのは13%(2014年度基準)よりも少ないことから設備内容を工夫しない限り採算を合わせることは難しいと言えます。
表は積雪地域(ここでは年間降雪量200cm以上の地域のみ表示)における年間の日射量推移を示したものです。これらの地域では11月~2月の雪が降りやすい時期に日射量が全国平均を下回ります。
積雪量の多さと年間を通した日射量の少なさが相まって、秋田県は日本一発電量の少ない地域となっています。
青森県及び北海道は降雪量が全国1位と2位ですが、夏場の日射量が多いことで秋田県と比べて年間を通した発電量が伸びます。
多くの積雪地域において、冬場は積雪と少ない日射量が原因で発電量が伸び悩みます。一方春から夏にかけては、日射量が増えて発電量が伸びやすいと予想されます。出力に対して発電量が伸びやすいメーカーのパネルを選んだり、設置方法を工夫することで採算の合う発電設備にすることも十分可能です。
長野県は全国でも10位に入る積雪地域であるにも関わらず、なんと全国2位の発電量が得られる異例の地域です。その理由は夏場の発電量の伸びにあります。一般に夏場はパネルの温度が上がることでパネルの発電量に多くの損失が生じます。一方気温が上がりにくい地域では比較的多い発電量を保つことができ、夏場の豊富な日射量をより生かすことが可能となります。
積雪が特に多い地域はパネルの耐性が高いメーカーを選びことをおすすめします。雪の重みに耐えられる耐性を備えているパネルメーカーで有名なのがカナディアンソーラーです。拠点が雪の多いカナダだということもあり、製造するすべてのパネルにおいて風圧荷重/積雪耐性が5,400Paと業界では最高レベルの耐性を誇ります。日本での実績も長く、製造が中国で安価なこともあり、雪国では選ばれることの多いパネルです。
カナディアンソーラーと同じく5,400Paまで対応しているのはジンコソーラーとQセルズですが、この2メーカーはまだ日本での実績が浅く、取り扱いの施工店も多くありません。
一度にたくさん降るよりも少量の雪の日が続きやすいという降雪地域では、耐性よりも全天を通して発電量が伸びやすいパネルを選ぶことで、日射量の少なさをカバーできます。
ソーラーフロンティアは雪などでパネルの一部が隠れても発電量が低下しない構造になっており、全天を通して実発電量を引き上げてくれることが期待できます。
雪の降る地域、日射量が増えにくい地域では、過積載という設置手法が用いられることが多くあります。以下の事例でご案内するように産業用設備でも大規模な過積載が行われることがありますが、住宅用でも例えば4.5kWのパネル容量に対して4kWのパワーコンディショナーといった設備内容が一例に挙げられます。
メリットは、初期費用を抑えられること。パネルが100%の力で発電できる時間帯は一年の中でも限られていることを考えれば、発電量を多少犠牲にしたとしても過積載の方が採算性がよい場合も多く考えられます。
パネルの表面はなめらかで、いざ雪が落ちる際にはいっきにドサっと勢いよく落ちることが想定されます。それによって隣家の壁や植物などを破損してしまうトラブルが多く報告されています。人身傷害につながった場合の被害なども考えると、降雪対策は慎重にならざるを得ません。
本音としてはいちはやく積もった雪を落としたいところでしょうが、雪止めを付けてある程度溶けるまでパネルの上に残す対応も時には必要です。
比較的太陽光発電には向かないとされがちな東北や北陸などの地域では、最適な設置方法が各発電所で模索されています。ここでは実際に稼働している雪国型太陽光発電設備の事例で試されている設置方法をいくつかご案内しています。
昭和シェルは、子会社であるソーラーフロンティアのパネルを自社の敷地内に設置。雪国での稼働についての実証実験を兼ねた発電事業を2010年から始めています。
場所 | 新潟市東区(昭和シェル 新潟石油製品輸入基地内・敷地面積3.5万㎡) |
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事業者 | 昭和シェル石油株式会社 |
規模 | 1MW(ソーラーフロンティア製CISパネル) |
稼働開始日 | 2010年(平成22年)8月31日 |
設置方法 |
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成果 |
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まずは角度について。新潟市は緯度が38度近くありますが、ここでは20度および30度のいわゆる小設置角度が採用されています。小設置角度は雪国に限らず大規模な太陽光発電を行う場合に採用されることが多い設置方法で、後列にかかる影の長さが短くなるため、限られた面積により多くのパネルを並べられるメリットがあります。しかし雪国の場合はパネルの傾斜が小さくなると、積もった雪が落ちづらくなることが予想されます。この実験では、30度のほうが若干降雪時の雪の落ち方がスムーズだったものの、20度と比べてそこまで大きな差はなかったとしています。発電面とフレームに段差が無いソーラーフロンティアのパネル形状が助けた部分もあるかもしれません。ここでは、雪国でも小設置角が有効であると証明されています。
次に発電量について。この発電所では、平成22年9月から平成23年8月の一年間で発電量約1139kWhが得られており、設備利用率は13%となっています。これは計画時の予想発電量の120%だったと発表では言っていますが、2010年の時点ではまだ北陸地域などで太陽光発電の事例は少なく、かなり控えめに予測が行われていたとも考えられます。とはいえ実験結果が出された年は1月の降雪量が例年の2.3倍の130cm、年間通すと200cmの降雪があったにも関わらず、十分な発電量が得られています。
同じく新潟県では、新潟県企業局がメガソーラー事業の施工をプロポーザル形式で公募して東芝が勝ち取った同事業は、大幅な過積載を含むかなり実験的な内容となっています。
場所 | 新潟県阿賀野市(敷地面積3.2ha) |
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事業者 | 新潟県企業局 |
規模 | 1MW (単結晶パネル255W×4,914枚・PCS 500kW×2台) |
稼働開始日 | 2012年(平成24年)7月1日 |
設置方法 |
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成果 |
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東芝の建設計画では、パワコンに対して1.25倍とかなり多い容量のパネルを接続しています。そしてその運用実績を見るとその過積載率が適切だったという判断を下せます。つまり、パネルにおいての設備利用率を見ると、先述の昭和シェルの発電所と同等である13%弱が引き出せており、稼働期間や設置環境が違うために一概には言えないとはいえ、パネルの発電分をほとんど無駄にすることなく電力に変えることに成功しています。
発電量を最大限に生かすための設置方法や設備を調整したり、雪が落ちて隣家とのトラブルにならないように配慮したりと、ほかの地域に比べて気を付けなければいけないことが多い積雪地域で太陽光発電をご検討の場合は、その地域で実績の高い施工店に依頼するのが確実です。施工店を探すには一括見積を利用するのが手軽です。
太陽光発電のメーカー選びで欠かせないのがいい施工店との出会い。実際に設置するとなると制約の多い住宅屋根は選べるメーカーが案外少ないなんてこともあり、限られた選択肢から最適解を見出すにはメーカーと購入者をつなぐ施工店が重要な役割を果たします。施工店選びには一括見積サービスを利用される方がほとんどですが、ここでは当サイトがおすすめする見積もりサイトとその特徴をご案内します。
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