ソーラーフロンティア、アメリカに製造拠点設立の可能性

日本のパネルメーカーが海外に生産拠点を置く例が増えている昨今。海外進出と言うと、中国などの安価なパネルとの価格競争に励むための戦略という意味合いで理解されることが多いのですが、「100%国産パネル」を売りにしたソーラーフロンティアの”海外進出”はちょっと違った意味を持つものとなりそうです。

ソーラーフロンティアは、ニューヨークの州立大学ナノスケール理工学カレッジ(College of Nanoscale Science and Engineering/CNSE)と、最先端のCIS太陽光発電技術の米国での導入に向けた予備調査を始め、共同研究開発および生産の可能性について検討すると発表しました。

ソーラーフロンティアとニューヨーク州はウィンウィンな協力関係?

ソーラーフロンティアは中期経営計画の中核テーマとして、「海外での生産拠点の確立」を掲げているといいます。このCNSEとの協力による、ソーラーフロンティアの独自技術であるCIS技術のニューヨークでの共同研究開発/生産の可能性の調査は、その布石となり得るということ。

またニューヨーク州は、「ハイテク技術産業におけるイノベーションにより経済発展を進める」という目標を掲げています。
さらにニューヨーク州ハーフムーンにあるCNSEの太陽光エネルギー開発センターは、アメリカの太陽光発電業界の指導的地位を支えているとし、ソーラーフロンティアのCIS太陽電池における独自技術ともマッチしているんだとか。

ニューヨーク州の海外企業の誘致は、ニューヨークが最先端のナノテクノロジーの中心地になるというビジョンの実現のために、新たなハイテク分野の雇用と経済成長を促すことも視野に入れた数十億ドルに上る戦略的投資の一環で、ソーラーフロンティアが選ばれたのは、その技術が世界も一目を置くものである事を裏付けているのではないでしょうか。

「ソーラーフロンティアの独自技術であるCIS技術は、一般的な他の太陽電池モジュール技術とは一線を画しています。CIS薄膜太陽電池は設置後の発電量、すなわち実発電量がシリコン系のものを上回り、発電効率が性能の尺度の唯一ではないことを証明しています。高品質で高精度の生産が可能なソーラーフロンティアは、太陽光発電市場においてコスト競争力が高く、確実な投資利益をもたらします」

という、ソーラーフロンティア・アメリカズの最高執行責任者(COO)チャールズ・ピメンテル氏の言葉に垣間見える自信は、実際に稼働する発電所でしっかり発電量の差が証明されているからこそ、説得力のある言葉だと言えます。

ソーラーフロンティアのパネル詳細・今月の相場価格についてはこちら

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日立がアメリカで蓄電池の実証実験に参加

アメリカで、周波数調整(アンシラリー)および容量(キャパシティー)市場を想定した実証実験に日立製作所の蓄電システムが使われる事になりました。

採用された「CrystEna」は、コンパクトなコンテナ型蓄電システム。エネルギー貯蔵システムの中核製品の一つとなる蓄電システムで、日立の制御システム、パワーコンディショナー(PCS)、およびグループ会社である日立化成のLiイオン蓄電池などで構成されています。
蓄電池の長寿命化制御など、システム性能向上とコンパクトな設計により、経済性を高めているということ。

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米GEが日本の太陽光発電事業に参入

岡山県瀬戸内市塩田跡地に230MWのメガソーラーを建設する、ゴールドマン・サックス、日本IBM、東洋エンジニアリングなども関わる事業に、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)も関わることになったのだそう。

GEは、このメガソーラーの運営をしている、「くにうみアセットマネジメント」による特別目的会社(SPC)への出資を行い、株式の大半を取得する予定だそうです。

「近く瀬戸内市と土地の賃貸借契約を締結する」とされていますが、この計画が持ち上がったのは2012年、つまり買取価格が42円の年に申請は済ませているものだと考えられます。塩田跡地の土地の整備に費用がかさむことが予想されるとはいえ、パネル価格も安定してきている今、この規模で42円売電のできる発電所は、安定した収益も期待できるのではないでしょうか。

さすがというべきでしょうか、投資のしかたがダイナミックですね!

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パナソニック、北米に太陽光発電などの新会社

パナソニックが、米ニュージャージー州において同社の住宅関連部門の北米子会社内で事業を手掛けていた部門を成長性が見込めるため別会社化、「パナソニック・エンタープライズ・ソリューションズ社」を立ち上げたと発表しました。

事業内容としては太陽光発電や業務用大型ディスプレーの設計・販売などを手掛けるということで、「システムの企画立案から設置、維持管理などを一括して顧客に提供し、製品の単品売りとの差異化を図る」のだそう。

太陽光発電の事業においては、アメリカの国内の投資会社と組んで特定目的会社(SPC)を設立し、ビルや店舗などの屋上で売電事業を行うことになるそうです。
その際、「パナソニック製のHIT太陽電池にこだわらないで外部調達も積極活用」するということ。

日本の太陽光発電市場でも、高性能で価格もプレミアムな選択肢としてパナソニックのHIT太陽電池がありますが、アメリカで売電事業を行おうというとやはり採算の取れる安価なパネルが人気なのでしょうか。

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ハワイ州の全公立校に太陽光発電、マイクログリッド統合なども計画

ハワイ州では、公立の学校の全てに太陽光発電システムを導入することを決定しました。
電気代の削減だけでなく、科学や工学、数学などの教材としても使用されるそう。

2011年にオアフの4校に太陽光発電を設置して以来、2012年には47校にまで拡大していったこのプロジェクト。州内の全校に普及することで、ハワイ州の人々が一丸となってエコ認識を高めて行く様子は、なんだか海と自然の美しいハワイに、似つかわしい姿である気がしますね。

計画では3校の太陽光発電システムはマイクログリッド統合され、系統から独立して地域の電力インフラとして使っていくことになるのだそう。
この先はマイクログリッドの規模拡大なども視野に入れているのでしょうか?

沖縄同様、世界各地域における島でのエネルギー対策に、今後も注目していきたいところです。

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グアムに初の太陽光発電

世界中で離の抱えるエネルギー問題は類似しており、輸送費が大きな負担となる燃料を必要とする火力発電からの脱却を試みる動きは各地域の離島で広まっています。

島のエネルギーを100%太陽光でまかなうトケラウ島などのニュースは、小規模ながら期待が膨らむ事例。

日本でも沖縄の島々や淡路島などで、太陽光発電をはじめとしたスマートグリッド化、エネルギーの地産地消・自給率の効率が進んでいます。

アメリカではグアム島に初めて太陽光発電の開発計画が持ち上がったそうです。
規模は25MW。この容量で1万世帯分以上の電力需要をまかなえるのだそう。
NRG Solar(NRG Energy子会社)が事業主となり、航空・宇宙大手のボーイング(Boeing)社がEPC(設計・調達・建設)を行います。

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2013年版・世界の太陽光発電設置量まとめ

EPIA(European Photovoltaic Industry Association/欧州太陽光発電工業協会)による、2013年・世界の太陽光発電の設置量に関するレポートが発表されたので、まとめてご紹介します。

合計37GW、トップは中国/日本は2位!

2013年の世界的な太陽光発電導入量の合計は37GWにのぼりました。
昨年の29.9GWから大幅に伸びています。
ちなみにNPD Solarbuzzによると、2014年はさらに49GWに増えると予測。NPD Solarbuzzは、2013年に関しては36GWとかなり近い予測を出していました。(参考

1位は中国で、2013年中に11.3GWを設置。累積では18.1GWに成長。
日本は2位で6.9GW、次いでアメリカ4.8GW。


ヨーロッパではドイツが首位

前年の導入量から半分以下に落ち込んでいるものの、ヨーロッパの地域内では変わらずドイツが市場を先導しているということ。2012年に7.6GWだったのに対し、2013年は3.3GWでした。

ドイツに続いて4国が1GW前後をマーク。
イタリア(1.1〜1.4GW)、イギリス(1〜1.2GW)、ルーマニア(1.1GW)、ギリシャ(1.04GW)

2012年調子が良かったフランスベルギーデンマークなどは、2013年は制度改正などでふるわなかったよう。


アジアが市場先導を奪回

長年ヨーロッパによる市場のリードが続いていましたが、2013年はアジアが10年ぶりに市場を先導しました。
中国、日本の導入量の伸びが大きく貢献したようですが、インド(1.1GW)、韓国(442MW)、タイ(317MW)も順調に伸びているということです。


電力ミックスにおける太陽光発電

ヨーロッパ全体で太陽光発電の2013年中の導入量は9,621MW(約9.6GW)。一位の風力発電(2013年に欧州計で約10.1GW)と合わせて成長が続いている。

発電量にして、太陽光発電は電力需要の3%、ピーク時の需要においては6%をカバーするまでに成長したという。

逆に、石油、石炭、ガスなどの火力発電は軒並み発電容量を減らしており、再生可能エネルギーの割合が増える電力市場においてグリッドシステムの成長がさらに需要になってくる。


米国の太陽光発電、コストが電気料金平均を下回る

米国エネルギー省(DOE)は、大規模太陽光発電事業の発電コストが2013年末時点で11.2セント/kWhになったと発表。3年前の21.4セント/kWhと比べて約半分まで下がったことになります。
アメリカの平均的な電気料金の12セント/kWhよりも安くなった事で、グリッドパリティを達成したということになります。

この成果には、ハード面での価格低下、主にソーラーパネルの価格低下が大きく貢献しているということで、3年の間にパネル価格は約3分の1になっているということ。

DOEは「SunShot Initiative」を掲げ、太陽光発電を他の電源と対峙できる電力源にしようと計画。
具体的には、設置作業費の低下を促そうと、コンテストなども行っていましたが、実際にはソフト面はシステム全体の価格低下にはそこまで貢献しなかったよう。

日本の系統電力が25円前後であるのに対し1kWhあたり約11円とは、アメリカの太陽光発電の発電事情はすでに十分優位にあるようですが、さらにDOEは2020年までに6セント/kWhにまで下げようという目標を掲げています。

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中国がアメリカ、韓国のソーラーパネルに反ダンピング税徴収開始

アメリカ中国に対する再度のアンチダンピング調査のニュースもありましたが、対する中国も、アメリカ、そして韓国から輸入される多結晶シリコンの太陽光パネルに対して、反ダンピングの課税をするというニュースが発表されました。
期間は2014年1月20日から5年間。

これによってアメリカの太陽光発電業界はさらに打撃を受けることになるでしょうか。

太陽光発電の普及拡大による環境貢献といった視点に立てば、パネルの価格は安いに越した事はなく、そうしたスタンスを語っている中国の太陽電池メーカーもありました。
とはいえ、ダンピング課税を課したにもかかわらず、アメリカの再度のダンピング調査など、中国も黙ってはいられなかったのでしょうかね。

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家庭のピークカットには、太陽光発電は西向きに

アメリカテキサス州を中心に行われている「ピーカンストリートプロジェクト」という実証実験の結果から、一般家庭の電力消費と、太陽光発電、EV利用といった行動パターンを調査し、ピークカットに役立てる際のポイントが指摘されていたのでご紹介します。

一般的に北半球の場合は、太陽光発電は南向き、緯度と同じ傾斜をつけての設置が理想的と考えられています。
パネルに当たる日照量がより多くなるようなこうした設置の条件は、より多くの発電量を得るためには理想的とされますが、この研究ではさらに人々の行動パターンを加えて理想的な設置条件を指摘しています。

テキサス州のオースチンのミューラー(Mueller)地区の、太陽光発電を設置した200軒のデータを分析したところ、西向きに太陽光発電を設置した方がピークカットに効果的という結果が出たのだとか。

西向きに設置したパネルが発電する時間帯と、家庭で電力をより多く消費する時間帯が川なる時間が多いため、より多くの発電分を家庭内で消費でき、系統への負担を減らし、ピークカットにもつながるということです。

また同地区において、EVを利用する50軒のデータを集めたところ、電気料金を時間帯料金制にした場合でもピークカットに貢献するという結果が出ています。

これはテキサス州の限られた地域のデータをもとにしているため、日本の一般家庭に必ずしも当てはまるとは言えません。また今の制度では、より多くの余剰発電を出した方が儲かるため、わざわざ自家消費を多くするために西側を選んでつけたいという方は珍しいでしょう。

しかし、太陽光発電の価格が下がり、家庭でより多くを消費した方がお得になるようになった段階でこうした考えは重要になってきます。
日中家に人がいない家庭などは、朝と夕方により多くの電力を消費する事になります。
そうするとその時間帯に発電する量が多くなる東西2面の方が、南一面よりお得、というのがスタンダードになるかもしれませんね。

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