太陽光発電を使った家畜飼育システム6万円から

近年の耕作放棄地が拡大している現状を受け、独立行政法人 農業・食品産業技術研究機構(農研機構)は、2月25日に家畜飲料水供給システムを開発したことを発表しました。

今回開発した家畜飲料水供給システムは、既存の太陽光電気牧柵システムに揚水ポンプを組み合わせたもので、100m離れた場所に高さ20mのポンプから、1時間に400リットルの家畜の飲料水を供給します。本システムの導入コストは約6万円で、4頭の家畜を飼育することが可能です。電気牧柵への電圧低下などの影響はありません。
放牧地が商用電源から遠くにある場合は、揚水にかかるコストが問題視されていましたが、本システムの採用により問題が解消することが見込まれ、農研機構では、導入方法の講習会など、本技術の普及活動を計画しています。

今回は動物を使ったメガソーラーの除草の話題は最近多いですが、メインの畜産業に太陽光発電を利用するというアイデアでした。
ちなみに放牧と電力事業を併業するソーラーシェアリングも、アメリカなどでは行われていますよ。

ソーラーパネルと動物の組み合わせ、なんだかほっこりします。

参考

SBエナジー、鳥取米子ソーラーパークの併設地でヤギ除草の実証実験

岐阜県で除草のために飼われていたヤギが盗まれて食べられてしまったという事件は記憶に新しいと思いますが、実はこのヤギ除草日本全国で注目されはじめているんです。横浜市の明治学園大学では除草ヤギが学生たちの人気者になったとか。

ソフトバンクの孫社長の肝いりで設立されたSBエナジーでは、2014年10月から11月にかけて同社のメガソーラー施設にヤギ2頭を導入、草刈機や除草剤による除草との違いを検証する実験を行いました。
その結果、ある程度の除草効果が認められた他に、地域住民から好感を得たことで、来年以降も調査を継続するとしています。

実証の地となったのはSBエナジーと三井物産の共同出資による特定目的会社「鳥取米子ソーラーパーク」と鳥取県米子市の大協組による、出力42.9MWの「ソフトバンク鳥取米子ソーラーパーク」の併設地。

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エコも学べる動物園「埼玉県こども動物自然公園」にソーラーフロンティアのパネル導入

ソーラーフロンティアのCIS太陽電池が埼玉県東松山市の埼玉県こども動物自然公園の『ペンギンヒルズ』に設置されたそうです。
4kWの太陽光発電システムは、フンボルトペンギンのエクササイズをサポートするための造波装置のための電力を、晴天時には100%を供給できるということ。

カドミウムを含まない、反射光が少ない、といった製品への配慮に加え、国内生産といったメーカーのイメージも、こうした施設で積極的に採用されるゆえんなのかもしれません。
ソーラーフロンティアのリリースには採用の理由として、「一般的な結晶シリコン製に比べパネルを生産する時に使う原料やエネルギーが少なく、資源を有効活用して製造できる(エネルギーペイバックタイムが短い)という特徴が評価されています。また、実際の使用環境下での発電量が優れており、このようなパネルの特性がこの度の採用の決め手となりました。加えて、パネルのガラス表面は太陽光の反射を抑える特性を備えており動物にも優しいパネルです。」と説明しています。

採用された施設について。絶滅危惧種であるフンボルトペンギンの繁殖と保全を目的とした世界最大規模の生態観察空間で、2012年から進められている埼玉県のエコタウンプロジェクト『こども動物自然公園ECO-zoo整備事業』の一環で、この事業が行われたそう。

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JR都城駅の太陽光発電、除草にヤギを利用

宮崎県で県2位の人口を持つ都市である都城市。
その中心の都城市栄町に位置するJR都城に、JR九州グループの運営する「都城太陽光発電所」が3月から稼働開始しましたが、その運用にヤギを活用する実証実験を行うと発表しました。

発電所の2万㎡の土地の除草のために5匹のヤギを放ち効果を測定します。
駅を利用する乗客からの反響も大きく、住民への癒し効果もあるということ。

鉄道会社では既に西武鉄道が、自社の太陽光発電所でのヤギ除草を行っているということで、親子合わせて4匹のヤギで年間176kgのCO2の削減効果を試算しているということ。

運用費の削減にCO2の削減、さらには癒し効果まで、一石三鳥にもなりうる動物による除草は全国で例が増えています。

羊の次は「エミュー」メガソーラーの”エコ除草”

日本毛織(ニッケ)のメガソーラーの羊による除草の次は、大分石油株式会社のエミューによる除草のニュースです。

ソーラーフロンティア製パネルを使用した1.102MWのメガソーラー「久兵衛2号発電所」では、”エコ除草”と称する施設管理がユニークで、エミュー6羽、ヤギ2頭を使った除草を実施。
除草に関わるメンテナンス費を削減できるメリットの他に、除草作業を無くすためのコンクリート基礎の弊害である温度上昇による発電量の低下といったデメリットも回避でき、さらに成長したエミューは食肉として販売する事も考えているといいます。
しかもメガソーラーの間から動物がひょっこり顔を出すことで癒し効果といった意外なメリットも。

そういえば、草食動物でおとなしくて比較的飼いやすいとされるアルパカも、毛を販売できるメリットもあって、適しているのではないでしょうかね?
ちなみに米国では酪農との兼業も進んでいるというニュースもありました。
メガソーラーと草食動物の組み合わせ、今後も増えていくと、ほっこりしていいですね。

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日本毛織(ニッケ)のメガソーラーでは羊が除草

アメリカの中規模太陽光発電プロジェクト(いわゆるミドルソーラー)と、酪農を組み合わせたプロジェクトの記事を以前ご紹介しましたが、日本でも、羊をつかって除草するというアイデアを実践したメガソーラーがあるというニュースを発見しました。

事業主は日本毛織(ニッケ)。
自社の本業である羊毛紡績にも関係が深い”羊”を六甲山の牧場から譲り受け、「ニッケまちなか発電所明石土山」に放ちます。

グループ企業が保有していたゴルフコースの跡地22万㎡に、45億円かけて16.8MWのメガソーラーを建設するという計画は、今月に第一期分の9.8MWが完成。残り約5.8MW分も来年1月末に完了する予定。

プレスリリース