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各電源の発電コスト比較と一覧

各種再エネや原発、火力発電の発電コストについて、コスト等検証委員会や発電コスト検証ワーキンググループさらには資源エネルギー庁のエネルギー白書の報告をふまえながら、詳しく分かりやすくご案内していきます。

「コスト等検証委員会」による発電コスト試算

政府によって開かれたエネルギー・環境会議「コスト等検証委員会」は2011年(平成23年)12月、各発電設備の発電コストについての試算を報告しました。この背景には同年の原発事故を受け、2004年のコスト等検討小委員会の報告から見直されることがなかった従来のコスト試算への指摘や意見(主に原子力発電の試算額が低すぎないか、という趣旨もの)に応えるべく、中立性を高めた情報の提供が主な目的として掲げられました。表がそれぞれの電源における発電コストの一覧です。

2010年
モデルプラント
2030年
モデルプラント
原子力 8.9〜円/kWh 8.9〜円/kWh
石炭火力 9.5円/kWh 10.3円/kWh
LNG火力 10.7円/kWh 10.9円/kWh
石油火力 22.1〜36円/kWh 25.1〜38.9円/kWh
陸上風力 9.9〜17.3円/kWh 8.8〜17.3円/kWh
洋上風力 9.4〜23.1円/kWh 8.6〜23.1円/kWh
2010年
モデルプラント
2030年
モデルプラント
地熱 9.2〜11.6円/kWh 9.2〜11.6円/kWh
産業用太陽光 30.1〜45.8円/kWh 12.1〜26.4円/kWh
住宅用太陽光 33.4〜38.3円/kWh 9.9〜20.0円/kWh
一般水力 10.6円/kWh 10.6円/kWh
小水力 19.1〜22.0円/kWh 19.1〜22.0円/kWh
バイオマス(専焼) 17.4〜32.2円/kWh 17.4〜32.2円/kWh
バイオマス(混焼) 9.5〜9.6円/kWh 9.5〜9.6円/kWh

大きなポイントとして原子力発電のコストに事故リスク対応費用(0.5円)が加わったことが挙げられます。他の発電方法が下限と上限が設けられているのに対して原子力だけ下限のみが示されている理由は、この事故リスク対応費用に加算すべき費用として原発事故の被害額がさらに増える可能性を考慮したとされています。損害想定額が1兆円増えるごとに発電コストには0.1円加算されるとされます。

「発電コスト検証ワーキンググループ」による発電コスト試算

2015年2月から4月にかけてコスト等検証委員会の試算をアップデートしながらより実質的な発電コストを検証することを目的に、「発電コスト検証ワーキンググループ」が開かれました。以下では同ワーキンググループによって示された2014年と2030年のモデルプラントによる発電コスト一覧をご案内しています。

2014年
モデルプラント
2030年
モデルプラント
原子力 10.1〜円/kWh 10.3〜円/kWh
石炭火力 12.3円/kWh 12.9円/kWh
LNG火力 13.7円/kWh 13.4円/kWh
石油火力 30.6〜43.4円/kWh 28.9〜41.7円/kWh
陸上風力 21.6円/kWh 13.6〜21.5円/kWh
洋上風力 - 30.3〜34.7円/kWh
2014年
モデルプラント
2030年
モデルプラント
地熱 16.9円/kWh 16.8円/kWh
産業用太陽光 24.2円/kWh 12.7〜15.6円/kWh
住宅用太陽光 29.4円/kWh 12.5〜16.4円/kWh
一般水力 11.0円/kWh 11.0円/kWh
小水力 23.3〜27.1円/kWh 23.3〜27.1円/kWh
バイオマス(専焼) 29.7円/kWh 29.7円/kWh
バイオマス(混焼) 12.6円/kWh 13.2円/kWh

計算方法は2011年のコスト等検証委員会のものを踏襲しているため、2010年時点のモデルプラントとの比較が容易にできる形になっています。2010年の試算から見直しが入った部分としては、初期費用の計算方法を適正化したことで特に建設費の大きい電源において発電コストが小さく見積もられる傾向を調整したこと、そして発電量500億kWh以下の比較的規模の小さな電源においても政策経費を反映するようにしたことの2点です。以下図1では「コスト等検証委員会」および「発電コスト検証ワーキンググループ」の試算を比較してご案内していますが、固定価格買取制度で大きく価格低下が起こった太陽光発電を除いてすべての電源で、発電コストは2010年よりも2014年の方が高くなっています。

発電コストの内訳

図2は発電コスト検証ワーキンググループによる2014年の発電コストの内訳を示したものです。一言に発電コストといっても、電源の種類によって大きく異なる要素で構成されていることがお分かり頂けます。

火力発電はバイオマスも含めて燃料費の割合が大きな比率を占めています。中でも石油とLNG(液化天然ガス)は燃料価格の上下が激しいという弱点を持ち、石炭も含めて毎月の電気代から燃料費調整額として燃料価格の変動分を吸収できる制度が採用されています。

再エネに関しては発電コストのうちのほとんどを資本金が占める構成となっています。一方で、一基ごとの発電量が大きいもののその一基を建設するのに莫大な資本が必要な火力発電や原子力発電は事業者が限られるのに対し、特に太陽光発電などは資本金あたりの発電量は少ないものの設置場所さえ確保できれば事業者を選ばず小規模から開発が可能で、分散電源としてより優れていると考えることもできます。

再エネ導入に伴う系統安定化費用

再エネの中でも太陽光発電および風力発電は天候による発電量の差が激しいため供給量を一定に保つために系統安定対策が必要になってきます。この費用は主に上述の2種類の電源にかかわるものではありますが、それぞれの電源の導入量によってコストが変わってくるなどの理由から発電コスト自体には計上せず、別途で試算する方法を取っています。

太陽光発電は5000〜9000万kW(50〜90GW)、風力は500〜1500万kW(5〜15GW)の間で導入量に幅をもたせながら試算された結果は3,000億円〜7,000億円という結果になっています。

日本の経済における発電コストの影響
(「エネルギー白書」における発電コストへの言及)

ここまでは各発電設備における発電コストの一覧比較や変遷について確認してきましたが、発電コストの影響を直接的に受ける電気代や日本全体の経済におけるコスト負担の形はどのように変化しているのでしょうか。経済産業省資源エネルギー庁では毎年、前年度に講じたエネルギー関連施策の効果などを含めた状況を国会に報告するために「エネルギー白書」を作成しています。ここからは平成26年度(2014年度)のエネルギー関連の状況を報告した「エネルギー白書2015」を元に、発電コストの経済や家計への影響をご案内していきます。

電力にかかわる燃料費の上昇は年間3.4〜3.6兆円と試算

東日本大震災の影響で原子力発電所の稼働が停止したことで、火力発電への依存度が高まったことは多くの方が知るところかもしれません。図1は2004年から2014年までの電源構成と総発電電力量を示しています。原発事故前の2010年までは原子力発電が平均28.5%の比率を占めていましたが、2014年にはこれがゼロになった分の9割に当たる25.8%を火力発電で補う形となっています。全体における火力発電の割合は2014年で88%にのぼります。

燃料価格 コスト影響額
2013年 2014年 2013年 2014年
原子力 1円 1円 −0.3兆円 −0.3兆円
石炭 4円 4円 +0.1兆円 +0.1兆円
LNG 13円 13円 +1.9兆円 +2.5兆円
石油 18円 17円 +1.8兆円 +1.1兆円
合計 - - +3.6兆円 +3.4兆円

エネルギー白書では2008〜2010年度の発電実績の平均値を元に、2013年および2014年(見込み値)の電力供給において、原子力発電を停止したことによる発電燃料コストの金額の変化について検証した結果をまとめています。化石燃料自体の値上がりと円安、そして何より化石燃料の需要増大の影響を大きく受けたことで燃料コストが3.6〜3.4兆円と大きく上昇したという試算結果になっています。

燃料はほとんどを海外からの輸入に頼っている日本では、この燃料コストの上昇は貿易収支に直接的に影響を与えます。2014年度の貿易収支は2010年度比マイナス14.4兆円という結果になっていますが、燃料コストの上昇分は4分の1を占めるインパクトを持っており、真剣な対策を迫られている状況と言えます。

電気代は1.2倍に、火力依存で燃料費の影響が増大

原発事故後、電気代がどんどん上がっていると言われますが、実際どれくらいの影響を家計に与えているのでしょうか。表は2010年から2014年までの電気料金単価の推移を示したものです。

年度 電灯料金
(一般家庭)
電力料金
(事業者)
2010 20.37円/kWh 13.65円/kWh
2011 21.26円/kWh 14.59円/kWh
2012 22.33円/kWh 15.73円/kWh
2013 24.33円/kWh 17.53円/kWh
2014 25.51円/kWh 18.86円/kWh

表で示した単価は電灯料収入(家庭用電力の収入)および電力料収入(事業用電力の収入)をそれぞれ販売電力量で割った値を示した実績値です。2010年から5年で、一般家庭向け、事業者向けいずれの電気代も5円程度単価が上がったことがわかります。これは一般家庭用で25%、事業用で38%の値上げを意味します。

次に図4では、東京電力の2010年以降のモデル電気代の推移をご案内します。これは使用電力量を290kWhに定め、東京電力が実際に提供する料金体系(基本料金、単価、燃料費調整額、再エネ賦課金、口座振替割引)を当てはめて電気代を算出したものです。

図4では電気代とともに燃料費調整額の推移もご案内しています。図4で示す期間では、マイナス2円からプラス3円の間で推移しています。燃料費調整額が2.83円と高くなった2014年3月は、290kWh程度の家庭ですと820円を燃料費調整額として支払ったことになります。2015年に入って化石燃料の価格が大きく下がり、燃料費はまたマイナスに下がりましたが、2012年9月に電気代値上げ、さらに2014年から消費税が3%上がったことで、燃料費が電気代は7,500円を下ることは難しくなっています。2015年の時点で、燃料費調整額を含まない電気代自体の値上げ額は2010年比約1.2倍です。これに燃料費調整額が加わり電気代として各家庭から徴収されることになりますが、火力発電の比率が9割弱と極めて高い状態が続けば不安定に揺れ動く電気代に国民の負担感は募ることが容易に考えられます。

節電率は7.7%、それでも上がる電気代負担

エネルギー白書では総務省の家計調査結果を元に、エネルギー関連支出の動向を調査しています。それによると、電気代上昇の影響を受けて高まったと見られる家庭の節電努力のおかげもあってか2010年の年間平均電力使用量5,566.3kWhは2014年には7.7%減って5,137.9kWhになっています。一方電気代にかかわる支出自体は13.7%増加しています。

電気代上昇のしわ寄せは高齢者低所得世帯に

同家計調査では二人以上世帯における世代・年収別の支出状況も掲載されています。それによると、年収が906万円以上の高所得層において消費支出に占める電気代は3.1%であるのに対し、436万円までの低所得層においては支出の4.8%と1.7%の開きがあることがわかります。また、70歳以上世帯は消費支出がもっとも少ない中で電気代が占める割合は4.6%と一番多くなっています。ちなみに30〜59歳世帯の消費支出における電気代の比率は3.5〜3.6%です。電気代単価上昇の影響が一番出やすい層としてこれら低所得・高齢者層をどうサポートしていくかも一つ注目すべき部分と言えます。

コスト比較の難しさと基準を持つ目的

発電方法や建設のプロセスが大きく異なる各電源について同一条件でコスト試算を行うには限界があります。先述のコスト等検証委員会や発電コスト検証ワーキンググループの報告においても、発電コストに反映されなかったものの考慮すべき留意点がそれぞれ加えられています。

こうした但書きで軌道調整をしながらも一つの参考として基準を持つことにはある程度意味があると考えられます。一つに電源構成(エネルギーミックス)の目標を立てる際経済成長を促し家計の負担を極端に増やさなくて済むよう、安価な電源を一定量確保する目的として各電源のコスト比較は役立ちます。

最後に一つの参考として自家発電を前提としたグリッドパリティの概念についてご案内したいと思います。このページでご案内した各電源の発電コストは、あくまで発電所で電気を作るまでのコストを比べたものですが電力会社が保有電源で電力を作って販売する際、発電コストに加えて送電コスト、電力会社の運営に関わる諸経費、そして一定の利益を確保しなければいけません。純粋な発電コスト以外の経費も含んだ商用電力と、ある電源の発電コストを比較して同等かそれ以下の価格を達成された状態をグリッドパリティと言います。この言葉は再エネの価格低下について語る際よく使われますが、住宅用太陽光発電においては多くの場合、このグリッドパリティを達成できるほど価格低下は進んでいると言えます。

政策においてトップダウンで日本のエネルギー利用の方向性を形作るのも一つですが、グリッドパリティ達成後であれば、市場を中心にボトムアップで政府の目標を超える再エネ電源を確保できる可能性は高いと考えるのも自然です。

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