エネルギーミックス/電源構成とは

需要に見合う電力を供給するためにどの発電設備からどれだけ発電量を得たかを比率として表したものをエネルギーミックスや電源構成と言います。安全安価でクリーンな電源構成(エネルギーミックス)を目指して、日本は現在どの位置にいるのでしょうか。このページでは2014年までの電源構成の実績と、経済産業省が発表した2030年のエネルギーミックス案を各方面からの批判も含めてご案内していきます。

エネルギーミックスとは

国内の産業や住宅に必要な電力需要を満たすためにどの電源からどれだけの発電量を得るかの比率をエネルギーミックスと言います。各発電方法はそれぞれ異なる特徴を持ちますが、エネルギーミックスの案を決める際は以下の要素を総合的に満たせるような比率になるよう議論が重ねられます。

エネルギー自給率

電力の燃料を見た場合日本は多くの比率を輸入に頼っており、自給率は4%と言われています。産油国の政情などに大きく影響を受ける石油火力への偏重は燃料の安定性の面や価格のコントロールも燃料産出国に依存する面でリスクが高いと言えます。国内でのエネルギー自給率を高めることは電力の安定性に影響を与えます。今回2030年のエネルギーミックスを決めるに際しては原発を含むエネルギー自給率を25%まで引き上げることが目標に置かれています。

CO2排出量

気候変動に際して重要度が増すのがCO2排出量の問題です。以下の表は各電源における二酸化炭素排出量(1kWhあたり)を示します。かっこ内の数値は総排出量のうち発電時に燃料を燃やすことで排出されるCO2の量です。

発電方法 CO2排出量
g-CO2/kWh
原子力 20
太陽光(住宅用) 38
風力(陸上) 25
水力 11
石油火力 738(695)
石炭火力 943(864)
LNG火力 599(476)

原子力や再エネでも原料の採掘や運送、発電所の建設の段階でどうしても二酸化炭素を排出せざるを得ないものの、その量はわずかです。むしろ、火力発電の全体に占める割合や火力発電の中でもどの燃料を選ぶかといったことが二酸化炭素排出量に大きな影響を与えます。

国際社会の一員として果たすべき責務でもある温室効果ガスの削減について、2030年のエネルギーミックス案を基に2030年までに2013年度比26%減という目標を固め、主要7カ国首脳会議(G7サミット)で政府によって各国に表明されました。

ちなみに電力会社とPPS各社は顧客に販売した電力におけるCO2の排出量をCO2排出係数として発表しています。電力会社10社の平均値は590g-CO2/kWhとなっています。

発電コスト

表では発電コスト検証ワーキンググループが平成27年5月26日に報告した検証を元に、各発電設備のコストを示しています。

発電方法 コスト
円/kWh
原子力 10.1〜
太陽光(住宅用) 29.4
風力(陸上) 21.6
水力 11
石油火力 30.6〜43.4
石炭火力 12.3
LNG火力 13.7

原発の稼働停止で火力発電の比率が増えたことで電気料金は2〜3割上昇したと言われています。またCO2排出量を下げながら安全な電力を得るにはコストの高い再エネの開発を推進することが不可欠と言える中で、再エネ推進の原動力となっている固定価格買取制度は電気代に応じて付加金を徴収することを前提としており、電気料金の低下をさらに難しくさせます。こうした状況の中で、2030年に電気代を現在より引き下げることを目標にした場合、原子力発電および二酸化炭素排出量の多い石炭の比重を増やさなければ難しいということがわかります。

2014年までの日本の電源構成

図1は2004年から11年間の日本の総発電電力量および電源の構成比率を示したものです。

電力は需要予測に対して若干多めの発電量が得られるよう電源を稼働させますが、2011年に原発事故が起きて以来、予備率と呼ばれるこの余裕分を通常の目標水準から減らして運用している状態が続いています。さらに節電努力で需要自体が抑えられていることも重なり、図1内に黒い線で示される総発電量はここ2011年以来低下を続けています。

2014年は原発の発電量がゼロとなり、LNG(液化天然ガス)を燃料とした火力発電が半分に近い46.2%を占める電源構成となりました。太陽光発電に代表されるオレンジの再エネの比率も少しずつ増えてはいるものの、2014年の時点で3.2%と頼りになる電力源と言うにはまだ物足りない状況です。

2030年の電源構成(エネルギーミックス)

2015年7月17日、経済産業省は2030年を見据えた電源構成(エネルギーミックス)などを決めた「長期エネルギー需給見通し」を正式発表しました。10回にわたる長期エネルギー需給見通し小委員会の会合で決められた電源構成は以下の通りです。

電源 電源比率 発電量1,065TWh 必要設備容量 現設備容量
不足容量
石油火力 3% 32TWh 4.6GW 203GW
石炭火力 26% 277TWh 39.5GW
LNG火力 27% 288TWh 41.0GW
原子力 22~20% 234TWh 38.2GW 42.5GW
再エネ
電源
比率
22~
24%
地熱 1~1.1% 11TWh 1.6GW 0.5GW
(1.1GW)
バイオ
マス
3.7~4.6% 44TWh 6.3GW 1.4GW
(4.9GW)
太陽光 7% 75TWh 65.5GW 25.0GW
(40.5GW)
風力 1.7% 18TWh 10.3GW 2.9GW
(7.5GW)
水力 8.8~9.2% 96TWh 54.7GW 48.0GW
(6.7GW)

石炭火力で電力コスト高騰に対応

「長期エネルギー需給見通し」では、総発電電力量は経済成長を年率1.7%と見た場合の総電力需要から17%の省エネを見込んで10,659億kWh(=1,065,900GW=1,065TWh)と試算しています。火力発電は原発事故の起こる前年2010年の61.7%と比較しても5.7%構成比率が低くなっていますが、2010年に比べて火力発電に占める石炭の比率が増えている※2ことはポイントの一つと言えます。今回石炭を天然ガスに次ぐ主力電源に置いたのは、ひとえにコストの低さが目的だと考えられます。火力発電の中では一番コストが低くより容易に手に入る燃料として最大限に活用することで電気代の高騰を抑えようとする意図があるものの、石炭の大きな欠点にとして二酸化炭素排出量がことさらに大きいことが挙げられ、二酸化炭素排出量とコストのバランスは一つの大きな議論のポイントです。一つの打開案として石炭火力の発電所を新設する場合は発電効率の高い設備の設置を義務付ける対処を加えています。

原子力発電は震災前より減らしながらも主力電源に

原子力発電のは20〜22%と、LNG、石炭に次いで主力の電源とする案が採択されたことに対して違和感を覚える方も少なくないかもしれません。二酸化炭素排出量が低くて安価という原子力発電の魅力を最大化したかったものの、その安全性に疑問を抱く方に配慮して震災前よりも7〜8%低い比率を採用したとしています。ただこの数値は40年の運転期間を迎えた原発が、原子力規制委員会の審査に合格して60年に延長できることを前提としており、審査結果や世論の変動に柔軟に対応できるよう電源比率は3年ごとに見直されます。

再生可能エネルギーは最大24%目標

発電時に二酸化炭素を排出せず、安全性も高い再生可能エネルギーはできるだけ比率を高めたいものの、発電コストが高いことは大きな難点と言えます。再エネの普及は現在主に固定価格買取制度によって進められていますが、この制度によって再エネ容量が増えれば増えるほど、より多くの負担が付加金として国民全体に降りかかってきます。簡単に言えば再エネが増えることは電気代も上がることを意味し、電気代の高騰にはある程度の上限をもうける必要があると言えます。そこで出されたのが22~24%という比率で、中でも発電量が不安定な太陽光・風力は合計9%におさめ、安定した発電量が得られる地熱、水力、バイオマスは15%まで引き上げることを目標に定めています。

「ベストミックス」の言葉の矛盾

電源構成ないしエネルギーミックスはしばしば「ベストミックス」と呼ばれることがありますが、現実に即さないという指摘からこの呼称が使われることは少なくなってきています。もともとベストという単語は「コスト」「安全」「安定供給」「クリーン」といったそれぞれに異なるメリットやデメリットを持つ各電源を"最適な"比率で構成するといった意味合いで使われていましたが、何をもって"最適"とするかの議論は十分になされているとは言い難い状況でした。そのため近年は、「ベストミックス」よりも、単にエネルギーミックスや電源構成と呼ぶ場合が増えています。

ブルームバーグによる市場動向から見る2030年電源構成予測

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は政府の発表したエネルギーミックスに対し、市場動向を加味した 上での独自案を公表しています。

電源 電源比率 政府案との比
石油火力 0% -3%
石炭火力 22.8% -3.2%
LNG火力 42.2% 15.2%
原子力 8.9% -13.1~11.1%
再エネ
電源
比率
26.1%
地熱 0.8 -0.2~0.3%
バイオマス 2.9 -0.8~1.7%
風力 2.4% 0.7%
太陽光 11.6% 4.6%
水力 8.4% -0.4~0.8%

ブルームバーグは、二酸化炭素排出量の26%削減は現実的だとした上で、しかしながらその内訳は政治的権力の影響が見られることを指摘しています。

独自案では再エネ比率を政府案より3%近く高めた26.1%に設置し、火力発電の中でもLNG(天然ガス)の割合を大幅に増やす内容となっています。再エネの中でも太陽光発電の設置容量の増加率を大きく見積もったブルームバーグの予測では太陽光発電の弱点である出力の不安定さにも言及し、これを補うためにもガス火力の役割は大きいとしています。

さらに、二酸化炭素排出量で目標値を達成するために政府案では原子力発電に頼る形となっていますが、ブルームバーグでは政府案を達成するためには13基の原子炉を40年から運転延長する必要があるとし、この見通しの実現は非常に難しいとしています。

JPEAは太陽光発電の予測導入量を11%と予測

日本の太陽光発電市場について、太陽光発電協会(JPEA)は政府の予測導入量は30年を待たずに達成すると予測しています。2015年4月に2013年の改訂版として出した「JPEA PV Outlook 2030」によると、同協会は2020年の国内累積導入見通し(導入量)を65.7GWとしています。さらに政府が電源比7%、容量64GWと予測する2030年には11%に達する予測を出しています。ただ全体における再エネ比率に関しては、太陽光発電以外の再エネ普及率が売電単価に関わらず伸び悩んでいることから見ても大きく飛躍するとは予想し難いというスタンスを取っており、むしろ電源構成の中の再エネ比率24%は太陽光発電を11%まで伸ばすことなしに達成はできないと見ています。

気になる再エネの構成比率、どこまで上げられる?

ブルームバーグによる予測もJPEAによる予測も太陽光発電の普及率をより大きく評価している点で共通していますが、予測を実現するには太陽光発電の大きな欠点である出力の不安定さを解決する必要があります。現在年間発電量の2%を占めるに過ぎない太陽光発電ですが、需要が減る祝日の昼間の最大出力時などは出力抑制を行う必要があるほどのインパクトを持っています。この問題を解決するためには蓄電池などを併用したマイクログリッドおよびスマートグリッド技術の追及で系統で出力変動を吸収する方法や、発電したその地で自給自足を促すメリットの増長する方法などが挙げられます。国は現在でも蓄電池や自給自足型の太陽光発電への補助金に大きな予算を組んでいますが、今後も補助金の必要性は高いと見込まれます。

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