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国際経済の情勢に従って大きく揺れ動く石油やガスなどの燃料価格の変動に応じて毎月単価を決定し、電気・ガス料金に追加もしくは差し引かれるものです。このページでは、燃料費調整制度についてや各電力会社の燃料費調整単価や価格変動についてご案内しています。
従来から日本の電力構成の半分以上を占めている火力発電は燃料に原油、石炭、液化天然ガス(LNG)を使用しています。ひとえにコストの安さが強みの火力発電ではありますが、産油国の情勢や為替の影響を受け原価の変動が大きい側面を持ち合わせています。電力会社のコントロールが及ばないこうした変動の中でも経営を無理なく存続させることは電力の安定性という国民全体のメリットに関わるという前提において、1996年1月から導入されたのがこの燃料費調整制度です。
毎月変更される単価は財務省の貿易統計を元に自動的に計算され、各家庭や事業所の電気料金に追加もしくは差し引くことで金額は反映されます。
実際のみなさんの電気代ではいくらくらいの燃料費調整額が徴収されているのでしょうか。ここでは最新月の燃料価格とともに電力会社10社の燃料費調整単価をご案内しています。
2015年11月反映分の燃料価格 | |
---|---|
A 原油価格 | 48,301円/kl |
B LNG価格 | 57,008円/t |
C 石炭価格 | 9,686円/t |
2015年11月燃料費調整単価 (円/kWh) |
|||
---|---|---|---|
電力会社 | 低圧 | 高圧 | 特別高圧 |
北海道電力 | -1.33 | -1.28 | -1.24 |
東北電力 | -0.69 | -0.67 | -0.65 |
東京電力 | -1.60 | -1.54 | -1.52 |
中部電力 | -3.00 | -2.87 | -2.83 |
北陸電力 | 0.05 | 0.04 | 0.04 |
関西電力 | -1.20 | -1.16 | -1.14 |
中国電力 | -0.39 | -0.37 | -0.36 |
四国電力 | -0.48 | -0.46 | -0.45 |
九州電力 | -0.83 | -0.78 | -0.77 |
沖縄電力 | -0.78 | -0.75 | -0.74 |
電力会社 | 係数 α(石油) β(LNG) γ(石炭) |
基準燃料 価格 |
基準単価 低圧 高圧 特別高圧 |
燃料費調整単価上限 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
低圧 | 高圧 | 特別 高圧 |
||||
北海道電力 | 0.4699 - 0.7879 |
37,200円 | 0.193 0.186 0.180 |
3.59円/kWh | 3.46円/kWh | 3.35円/kWh |
東北電力 | 0.1152 0.2714 0.7386 |
31,400円 | 0.217 0.210 0.202 |
3.41円/kWh | 3.30円/kWh | 3.17円/kWh |
東京電力 | 0.1970 0.4435 0.2512 |
44,220円 | 0.228 0.220 0.217 |
5.04円/kWh | 4.86円/kWh | 4.80円/kWh |
中部電力 | 0.0276 0.4796 0.4263 |
45,900円 | 0.229 0.219 0.216 |
5.26円/kWh | 5.03円/kWh | 4.96円/kWh |
北陸電力 | 0.2303 - 1.1441 |
21,900円 | 0.158 0.149 0.147 |
1.73円/kWh | 1.63円/kWh | 1.61円/kWh |
関西電力 | 0.2985 0.2884 0.4300 |
40,700円 | 0.211 0.203 0.200 |
4.29円/kWh | 4.13円/kWh | 4.07円/kWh |
中国電力 | 0.1543 0.1322 0.9761 |
26,000円 | 0.241 0.230 0.222 |
3.13円/kWh | 2.99円/kWh | 2.89円/kWh |
四国電力 | 0.2104 0.0541 1.0588 |
26,000円 | 0.192 0.185 0.179 |
2.41円/kWh | 2.33円/kWh | 2.33円/kWh |
九州電力 | 0.1490 0.2575 0.7179 |
33,500円 | 0.176 0.166 0.163 |
2.95円/kWh | 2.78円/kWh | 2.73円/kWh |
沖縄電力 | 0.2410 - 1.1282 |
25,100円 | 0.310 0.299 0.294 |
3.89円/kWh | 3.75円/kWh | 3.69円/kWh |
上述の表に示した各数値(係数、基準燃料価格および基準単価)は、電力会社が基本料金や電力単価などの料金体制を決める際にあわせて設置する基準値で、これをもとに以下でご案内する計算式を当てはめてその月の燃料費調整額は自動的に算出されます。それぞれの数値に関して簡単にご案内していきます。
毎月変動する燃料価格は貿易統計を元に、全国で行われた燃料に関する取引の平均値を自動計算されます。一方で各電力会社は、自社の電源構成を元に原油、LNG(天然ガス)、石炭それぞれの換算係数を用意しています。α(石油)、β(LNG)、γ(石炭)で表されることが多いこの係数とその月に反映される燃料価格をそれぞれ掛け合わせたものが、各社の平均燃料価格となります。以下は計算式です。
平均燃料価格 = (A × α) + (B × β) + (C × γ)
A(原油価格)
B(LNG価格)
C(石炭価格)
α(石油係数)
β(LNG係数)
γ(石炭係数)
係数は電気料金の改定を行う際に同時に決められるもので、毎月同じ値が使われます。
燃料価格はその月から5ヶ月〜3ヶ月遡った3ヶ月間の平均値が使われるため※、当月に取引された実際の燃料価格との差が生じることになります。
基準燃料価格も換算係数と同じく電気代の改定の際に決められた値が毎月使用されます。この値は、電気料金の改定認可申請日の直近3ヶ月の輸入価格の平均値に係数を掛け合わせて算出されます。
平均燃料価格が1,000円変動した場合に電気料金に加算ないし減算される単価を意味する基準単価は電力契約内容によって値が異なります。一般家庭に適用される低圧契約の単価は事業用の高圧・特別高圧に比べて高い値となります。
燃料費調整単価には上限が設けてあり、その月の平均燃料価格が基準燃料価格の1.5倍までを電気代に反映できることとなっています。表では参考として、燃料費調整単価の上限値をご案内しています。表によれば、仮に燃料調達費が急騰した場合最大で5.26円/kWh分(中部電力・一般家庭用)電気代が高くなる場合もありうることが分かります。300kWhの家庭なら月1,600円近く電気代が高くなるイメージです。各電力会社の火力発電の比率によって、燃料価格の影響の大きさが異なることが分かります。
先にご案内した各数値を以下の式に当てはめて燃料費調整単価が計算されます。電気料金の徴収時には燃料費調整額として、ここで計算した燃料費調整単価と使用電力量を掛け合わせた値が上乗せもしくは差し引かれます。
燃料費調整単価 = (その月の平均燃料価格 - 基準燃料価格) × (基準単価 ÷ 1000)
以下の図1では月の電力消費量を290kWh/月に固定し※東京電力の料金プラン(従量電灯B・30A)と燃料費調整単価に当てはめて実際の電気料金の推移を示しています。
燃料費調整単価は-2円から3円の間で推移し、毎月の電気代も燃料費調整単価に沿って推移しています。東京電力は2012年9月に電気料金を値上げしていますが、値上げと燃料費の高騰が相まって2014年6月には電気代8,567円、単価にして29.54円/kWhと、2010年の平均6,307円(21.75円/kWh)と比べると36%も高い価格を記録しました。東京電力だけでなく、火力発電に関わる燃料費の増加で経営難に陥った各電力会社は次々に値上げに踏み切っていますが、同じ燃料費に関わる電気代の値上げ/値下げでも、燃料費調整制度を使って吸収しきれる場合と、電気代自体の値上げをする場合の違いはどこにあるのでしょうか。
燃料価格の上下に対応しながら電気代を調整する燃料費調整単価は上述の計算式からもわかるように、原油なら1kl、天然ガスと石炭は1tあたりの単価の上下にのみ対応しています。この場合先にも少しご案内したように、電源構成は変わらないことを前提に、固定の換算係数を掛けてその月の平均燃料価格を算出します。
対して今回のように電源比率が大きく変わったことで総発電量におけるコストが上がった場合は、電気料金の改定で対応します。改定に際しては火力発電の比率を反映した新しい換算係数、さらに最新の燃料価格を元にした「基準燃料価格」も合わせて政府に申請を行い、価格の妥当性などを審査した上で実施されます。
現在は新電力が電力を販売する際、各供給先の地域電力会社の燃料費調整単価を顧客の電気代に反映させています。2016年の電力小売自由化後はそれぞれの電力事業者が自由に料金設定を行うこととなりますが、燃料費の変動にどのように対応するかも、電力購入先選定の一つのポイントとなりそうです。
各社多様な電気料金プランを用意していますが、料金体系だけでなく本当に安くなるのかをまずシミュレーションで確認できるサービスも併せて提供されています。以下は主要な電気事業者の電気代シミュレーションができるページをご案内しています。
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