電源別の発電コスト比較|2040年LCOE試算と3軸(コスト・安定供給・環境負荷)
このページの要点
2025年2月とりまとめの発電コスト検証ワーキンググループの試算(第7次エネルギー基本計画の根拠資料)では、2040年時点の事業用太陽光が7.0〜8.9円/kWhと、LNG専焼(16.0〜21.0円)・石炭アンモニア20%混焼(20.9〜33.0円)を大きく下回る最安水準。発電コストは単一電源の優劣で決まるのではなく、コスト×安定供給×環境負荷の3軸で組み合わせを評価する時代になっています。家庭でも、住宅用太陽光の自家消費を増やすほど買電量が減って燃料費調整単価の影響を抑えられます。
「太陽光は高い」が常識だったのは2010年代前半までで、その後の世界的なコスト低下で順位は大きく入れ替わりました。2025年2月にとりまとめられた最新の検証では、2040年時点でも事業用太陽光が国内最安水準を維持する見通しです。本ページでは電源別のLCOE試算と第7次エネルギー基本計画の電源構成目標を整理し、家庭でできる電源選びの考え方までご案内しています。
2040年時点の発電コスト試算(2025年検証)
2025年2月にとりまとめられた総合資源エネルギー調査会「発電コスト検証ワーキンググループ」の試算で、第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)の根拠資料です。2040年時点で新設・稼働する各電源のLCOEを電源別に比較できます。
| 電源 | 発電コスト (円/kWh) |
|---|---|
| 事業用太陽光 | 7.0〜8.9円 |
| 住宅用太陽光 | 10.5〜14.3円 |
| 陸上風力 | 8.0〜13.1円 |
| 洋上風力 | 14.4〜15.1円 |
| 水力(中小) | 7.3〜16.6円 |
| 地熱 | 12.7〜18.0円 |
| バイオマス(専焼) | 22.1〜29.2円 |
| 原子力 | 12.5円 |
| LNG(専焼) | 16.0〜21.0円 |
| 石炭(アンモニア20%混焼) | 20.9〜33.0円 |
| 石油 | 24.9〜27.6円 |
- 政策経費を含む。新設設備を更地に建設・稼働した前提の機械的試算で、既設設備の実コストではない点に注意。
出典:資源エネルギー庁 発電コスト検証ワーキンググループ(2026-07-01 参照)
試算から読み取れる要点
- 事業用太陽光(7.0〜8.9円)が最安水準を確立。2010年代前半の30円台/kWhから10分の1以下に低下
- 住宅用太陽光(10.5〜14.3円)も電力会社から買う電気の3段階目(300kWh超)を下回り、自家消費前提なら家計面でも合理的
- LNG専焼(16.0〜21.0円)・石炭アンモニア20%混焼(20.9〜33.0円)は太陽光の2〜3倍。脱炭素対応費とCO2対策費の上乗せで前回検証から大幅に上昇
- 原子力(12.5円)は中位。建設費上振れリスク・廃炉費用・事故時補償の見方次第で振れ幅が大きい
- 洋上風力(14.4〜15.1円)は2021年検証(26円超)から大幅低下。今後の入札動向次第でさらに下がる余地
第7次エネルギー基本計画の電源構成目標
2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画で、2030年度・2040年度の電源構成目標が示されました。2040年度に再エネが初めて最大電源として位置づけられ、火力は段階的にフェードアウトする経路です。
| 電源 | 2023年度 実績(%) | 2030年度 目標(%) | 2040年度 目標(%) |
|---|---|---|---|
| 太陽光 | 9.8 | 14〜16 | 23〜29 |
| 風力 | 1.1 | 5 | 4〜8 |
| 水力 | 7.6 | 11 | 8〜10 |
| 地熱 | 0.3 | 1 | 1〜2 |
| バイオマス | 4.1 | 5 | 5〜6 |
| 原子力 | 8.5 | 20〜22 | 20 |
| 火力 | 68.6 | - | 30〜40 |
| LNG火力 | - | 20 | - |
| 石炭火力 | - | 19 | - |
| 石油等 | - | 2 | - |
| 水素・アンモニア | - | 1 | - |
| 再エネ合計 | 22.9 | 36〜38 | 40〜50 |
出典:第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)/資源エネルギー庁(2026-07-01 参照)
第7次計画の特徴は、AIデータセンター・半導体工場の国内回帰で電力需要が増加する見通しを踏まえ、再エネを最大限活用しつつ、脱炭素火力(水素・アンモニア混焼)と原子力の両方を「活用する」方針に転換した点です。GX(グリーントランスフォーメーション)投資は今後10年で150兆円規模とされており、再エネ・蓄電池・送配電網・水素サプライチェーンに広く配分される計画です。詳細はエネルギーミックスとはを参照してください。
2024〜2025年の再エネコストはさらに低下
国際機関IRENA(国際再生可能エネルギー機関)の最新レポートでは、2023年の世界の太陽光発電の平均LCOEは約0.044USD/kWh(約7円)、陸上風力は約0.033USD/kWh(約5円)まで低下しています。日本は土地代・系統接続費が高いため世界平均より割高ですが、大規模案件では事業用太陽光で10円/kWhを切る入札も2024年以降見られるようになりました。
住宅用太陽光も、パネル価格が2015年比で半値以下、蓄電池が2020年比で2〜3割低下しており、自家消費前提なら買電単価を下回るケースが多くなっています。卒FIT後の余剰電力を自家消費に振り向ける動きが加速している背景にもなっています。
電源を評価する3つの軸
単一の電源がすべての面で優れていることはありません。電源構成を組むときは「コスト・安定供給・環境負荷」の3軸で評価して、組み合わせのバランスを取るのが現実的です。
| 電源 | コスト (2040年LCOE) |
安定供給 | 環境負荷 (CO2) |
|---|---|---|---|
| 太陽光 | ◎ 最安水準 | △ 天候依存 | ◎ 低炭素 |
| 風力 | ○ | △ 天候依存 | ◎ 低炭素 |
| LNG火力 | ○ 中位 | ◎ 調整電源 | △ 石炭より低いがCO2排出 |
| 石炭火力 | △ CO2対策費込み | ○ ベースロード | × 最大のCO2源 |
| 原子力 | ○ | ◎ ベースロード | ◎ 運転中は無排出 |
| 水力 | ○ | ◎ 調整可能 | ◎ 低炭素 |
変動性の大きい太陽光・風力を主力電源化するためには、蓄電池・揚水発電・需給調整市場のDRなどの調整力が鍵になります。2024年から本格稼働した需給調整市場では、家庭の蓄電池やEVを含む分散型リソースを組み合わせた調整サービスが拡大中です。詳細はデマンドレスポンスで扱っています。
家庭でできる電源選び
発電コストの議論は一見抽象的ですが、家庭の選択にも直接つながります。次の3つは家計と環境価値の両面で意味があるアプローチです。
- 屋根があるなら太陽光自家消費を増やす。電力会社から買う電気の3段階目(300kWh超)よりも、住宅用太陽光のLCOE(10.5〜14.3円/kWh)の方が安く、燃料費調整単価の影響も受けにくくなります。太陽光の見積比較から始められます。
- 再エネ100%プラン(非化石証書付)を選ぶ。化石燃料価格の変動が単価に響きにくく、企業のRE100対応や家計の脱炭素意思表示にもつながります。再エネ100%プラン比較を参照してください。
- 新電力のCO2排出係数を比較して選ぶ。同じ料金水準でも、契約先の電源構成で1kWhあたりのCO2排出量は大きく違います。CO2排出係数の比較で環境価値込みの選び方を整理しています。
電気料金の見直し・新電力切替の候補
電力プランは家庭の使い方で最適解が変わります。ここでは「家計を予測しやすい安定運用」「基本料金0円・市場連動で攻める」「複数社を横並びで比較したい」の3つの典型ニーズに対応する代表的なサービスをご紹介します。
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家計予測しやすい安定型
アルカナエナジー
基本料金+3段階単価のオーソドックスな従量制で、燃料費調整には上限を設定。法人向け高圧電力で実績を積んだ事業者で、市場連動型のような単価変動リスクがなく、毎月の電気代を予測したい家庭に向きます。
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基本料金0円・市場連動の攻め型
リボンエナジー
基本料金0円・燃料費調整額0円で、使った分だけを支払う市場連動型。電力量単価は卸電力市場(JEPX)に連動して30分ごとに変動するため、安い時間帯に洗濯機・食洗機・EV充電を寄せられる家庭ほど割安になります。市場が高騰する時間帯は単価が上がる点には注意が必要です。
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複数社を横並びで比較したい
エネチェンジ
郵便番号と現在の使用量を入れるだけで、対応エリアの主要プランの年間削減額が10分程度で試算できます。固定単価型・燃調上限あり・市場連動型を一覧で比較でき、ガス・通信とのセット割もまとめて確認可能です。
もっと多くの電力会社を比較したい方へ
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独立系・ガス系・通信系・石油系・再エネ特化型をタイプ別に整理。料金プランの3タイプ、セット割、再エネ比率、燃料費調整の上限有無で横並びに比較できます。
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各タイプの代表事業者を並列展示・シミュレーション活用法・申込手順までを段階的にご案内します。
よくある質問(FAQ)
- LCOEとは何ですか?
- LCOE(Levelized Cost of Energy/均等化発電原価)は、建設費・燃料費・運転維持費・廃炉などのコストをすべて含めて発電量で割り、1kWhあたりの単価として均した値です。新設設備を更地に建設・稼働した前提の機械的試算で、既設設備の実コストとは異なる点に注意は必要ですが、電源別のコスト比較で広く使われる指標です。
- なぜ「太陽光が最安」と言えるのですか?
- 2025年2月にとりまとめられた発電コスト検証ワーキンググループの試算で、2040年時点の事業用太陽光のLCOEが7.0〜8.9円/kWhと示されました。同じ試算でLNG専焼は16.0〜21.0円、石炭アンモニア20%混焼は20.9〜33.0円、原子力は12.5円なので、事業用太陽光が新設設備としては最安水準と評価できます。世界的にもパネル価格低下が続いており、IRENAの2023年データでも太陽光の平均LCOEは7円前後まで低下しています。
- 原子力のコストはどう評価すればよいですか?
- 2025年検証では2040年時点で12.5円/kWh前後とされています。事故対応費・廃炉費用・新設時の建設費上振れリスクの見方次第で振れ幅が大きく、安定供給とCO2非排出という強みと、初期投資・社会受容性のハードルとを総合判断する性質の電源です。第7次計画では既存炉の最大限活用+次世代革新炉の開発・設置の方針が示されました。
- 再エネは安いのに、なぜすぐ100%にできないのですか?
- 太陽光・風力は天候依存で出力が変動するため、需要に追従するための調整力(蓄電池・揚水発電・需給調整市場のDR)と送配電網の容量増強が前提になります。2024年から需給調整市場が本格稼働し、蓄電池やEVの分散型リソースを組み合わせた調整サービスが拡大しているのは、この変動を吸収するための仕組みです。エネルギーミックスは『コスト×安定供給×環境負荷』の3軸で組み合わせる前提になります。
- 家庭でも発電コストの議論は関係ありますか?
- 関係します。住宅用太陽光のLCOEは10.5〜14.3円/kWhで、電力会社から買う3段階目の単価(300kWh超)より低い水準。屋根に余裕がある家庭は自家消費を増やすほど買電量が減り、燃料費調整単価がどれだけ動いても家計の振れ幅が抑えられます。再エネ100%プラン(非化石証書付)や新電力のCO2排出係数で電力会社を選ぶのも、需要側から電源構成に関与する手段になります。




