CO2排出係数で電力会社を比較|2024年度版・環境省公表値と実質ゼロの再エネプラン
このページの要点
CO2排出係数は電気1kWhあたりのCO2排出量で、電力会社の環境対応力を測る客観指標です。環境省が2026年1月に公表した令和6年度(2024年度)実績では、旧一般電気事業者の調整後排出係数は0.396〜0.669 kg-CO2/kWhの範囲に分布。原子力再稼働率が高い関西・中部が低めで、離島電力網の沖縄が最も高い構造になっています。家庭向け新電力では東京ガスの電気(0.368)がさらに低い水準です。再エネ100%プランや非化石証書の活用で実質ゼロを実現する電力会社も増え、環境価値で電力会社を選ぶ動きが本格化しています。
電気は同じ1kWhでも、どの電源で作られたかでCO2排出量が大きく違います。化石燃料を燃やす火力は1kWhあたり数百グラム、太陽光や風力はライフサイクルで見ても数十グラム。この差を電力会社単位で集計したのがCO2排出係数で、温対法のもとで毎年公表される公的データです。本ページでは2024年度の最新実績をベースに、係数の読み方・主要事業者の数値・実質ゼロメニューの選び方をご案内しています。
CO2排出係数とは
CO2排出係数は「実二酸化炭素排出量 ÷ 販売電力量」で算出され、単位はkg-CO2/kWh。温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)に基づき、全ての電気事業者に毎年の算定・公表が義務付けられています。環境省は前々年度の実績を翌年1月に一覧で公表しており、企業のサステナビリティ報告書や温室効果ガス算定で公的基準値として広く使われます。
基礎排出係数と調整後排出係数の違い
| 区分 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 基礎排出係数 | 発電時の実排出量から算出(FIT買取分を含む素の値) | 発電構成の実態評価・電源切替議論 |
| 調整後排出係数 | 基礎排出係数に非化石証書・J-クレジット・京都メカニズムクレジットの環境価値を反映した最終値 | 企業の温室効果ガス算定・RE100報告・契約者へのCO2割当 |
同じ会社でも「再エネ100%プラン」は調整後で0.000、通常プランは残差として高めに——というメニュー別の公表が2024年度から標準化されています。電力会社の環境対応力を比較するときは、調整後排出係数を見るのが現在の基本です。
FIT由来の再エネ電力の扱い
固定価格買取制度(FIT)で買い取られた太陽光・風力発電の電力は、環境価値が電気事業者ではなく賦課金負担者(電気を使う全ての家庭・事業者)に付与される仕組みになっています。そのため電力会社がFITで仕入れた再エネを販売しても、それだけでは基礎排出係数ゼロとは謳えません。電力会社がこの環境価値を自社の係数に反映させるには、別途「非化石証書」の購入が必要です。詳細はグリーン電力証書のページもご参照ください。
発電燃料別のCO2排出係数
火力発電で使う化石燃料のCO2排出係数を、燃料自体(燃料排出係数)と発電後(電力排出係数)で示したものです。発電所の熱効率の違いを反映した実務上の比較には電力排出係数を使います。
| 燃料 | 燃料排出係数 (tC/TJ) | 電力排出係数 (kg-CO2/kWh) |
|---|---|---|
| 石炭(輸入一般炭) | 24.42 | 0.800 |
| 石油(発電用原油) | 19.14 | 0.660 |
| LNG(液化天然ガス) | 13.70 | 0.430 |
| 廃プラスチック | — | 0.660 |
- 燃料排出係数の単位は tC/TJ、電力排出係数は kg-CO2/kWh(発電所の効率を考慮した変換後)
出典:環境省「温室効果ガス算定・報告・公表制度」/資源エネルギー庁(2026-06-01 参照)
LNG(液化天然ガス)は石炭の約半分、石油と比べても約65%のCO2排出(石油比で約35%削減)に収まるのが特徴です。電源構成で石炭火力をLNG火力に置き換えるだけでも、大幅なCO2削減効果が見込めます。一方、発電時にCO2を出さない原子力(20 g-CO2/kWh)、再エネ(太陽光38・風力25・水力11・地熱13 g-CO2/kWh)はライフサイクルで見ても桁違いに低い水準です(詳細はエネルギーミックスとはを参照)。
旧一般電気事業者の排出係数(2024年度)
いわゆる旧「一般電気事業者」と呼ばれる地域大手の事業者全体(または残差メニュー)の調整後排出係数です。2026年1月9日に環境省が公表した令和6年度(2024年度)実績に基づきます。
| 電力会社/プラン | 基礎排出係数 (kg-CO2/kWh) | 調整後排出係数 (kg-CO2/kWh) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 北海道電力 | 0.518 | 0.518 | 事業者全体値 |
| 東北電力 | 0.486 | 0.400 | 事業者全体値(調整後は非化石証書反映) |
| 東京電力EP | 0.421 | 0.421 | 事業者全体値(速報値) |
| 中部電力ミライズ | 0.376 | 0.411 | 事業者全体値 |
| 北陸電力 | — | 0.496 | 調整後排出係数のみ公表(基礎は未取得) |
| 関西電力 | 0.396 | 0.396 | 事業者全体値(残差メニューは 0.415) |
| 中国電力 | 0.521 | 0.472 | 残差メニュー値(再エネメニューは0.000) |
| 四国電力 | 0.376 | 0.457 | 残差メニューC値(メニューA/Bは0.000) |
| 九州電力 | 0.449 | 0.449 | 事業者全体値(メニューBは0.472・メニューAは0.000) |
| 沖縄電力 | 0.669 | 0.669 | 未調整値(離島電力網で火力依存度高) |
出典:環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」/各電力会社公式(2024年度(令和6年度)実績/2026-06-01 参照)
表から読み取れる傾向
- 関西電力(0.396):原子力再稼働率の高さを反映し、地域大手の中で最も低い水準(東北電力0.400も非化石証書の反映で続く)
- 沖縄電力(0.669):離島電力網で火力依存度が高く、広域連系線を通じた電力融通ができない構造的事情
- 中国電力(0.472)・北海道電力(0.518):石炭火力比率が高めの電源構成
- 東京電力EP・九州電力:原子力稼働と火力のバランスで中位
- 同じ会社でも再エネ100%メニュー(メニューA等)を契約すれば調整後排出係数は0.000となる事業者が増加(地域大手はほぼ全社が同種メニューを提供)
家庭向け新電力の排出係数
家庭向け供給がある新電力の排出係数です。公表形態が会社ごとに違うため、基礎排出係数のみ・調整後のみが公表されている会社もあります。
| 電力会社/プラン | 基礎排出係数 (kg-CO2/kWh) | 調整後排出係数 (kg-CO2/kWh) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京ガスの電気 | — | 0.368 | 調整後排出係数(ガス系・自社電源多様化で低水準) |
| ENEOSでんき | — | 0.508 | 調整後排出係数(石油系) |
| エネット | 0.414 | 0.414 | 事業者全体値(通常メニュー 0.547・EnneGreen 0.000) |
| イーレックス | 0.000429 | 0.000429 | バイオマス主体で非化石証書活用・実質ゼロ |
出典:環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」/各電力会社公式(2024年度(令和6年度)実績/2026-06-01 参照)
東京ガスの電気(0.368)は家庭向け新電力で最も低い水準で、地域大手の最低値(関西電力 0.396)も下回ります。自社LNG電源と再エネ調達力の高さを反映した数値です。バイオマス主体のイーレックス(0.000429)は非化石証書活用で実質ゼロを達成しており、ENEOSでんき(0.508)は石油系大手として中位に位置しています。
実質CO2ゼロを実現する再エネメニュー
再エネ100%・非化石証書の活用で、調整後排出係数 0.000 kg-CO2/kWh を実現するメニュー/事業者の代表例です。2024年度時点で地域大手もほぼ全社が同等メニューを提供しており、家庭でも選択肢が大きく広がりました。
| 電力会社/プラン | 基礎排出係数 (kg-CO2/kWh) | 調整後排出係数 (kg-CO2/kWh) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 北海道電力「カーボンFプラン」 | 0.000 | 0.000 | 再エネ活用プラン |
| 関西電力「再エネECOプラン」 | 0.000 | 0.000 | 再エネ100%プラン |
| 中国電力 再エネメニュー | 0.000 | 0.000 | 非化石証書・J-クレジット活用 |
| 四国電力 メニューA(再エネ100%) | 0.000 | 0.000 | 固定価格買取制度クレジット反映 |
| 九州電力「まるごと再エネプラン」 | 0.000 | 0.000 | メニューA |
| エネット EnneGreen | 0.000 | 0.000 | 非化石証書で実質再エネ100% |
| みんな電力 | 0.000 | 0.000 | 電源トレーサビリティ公開・実質再エネ100% |
| オクトパスエナジー | 0.000 | 0.000 | 再エネ100%プラン |
出典:環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」/各電力会社公式(2024年度(令和6年度)実績/2026-06-01 参照)
「実質CO2ゼロ」を選ぶときの注意点
これらのメニューは、実際の発電電源が100%再エネとは限らないケースがほとんどです。多くは「通常の電源で発電して非化石証書で環境価値を相殺する」というカーボンオフセット型のしくみで、電源そのものを切り替えているわけではありません。実態の電源(電源開示)まで公開しているのは、みんな電力・オクトパスエナジーなど一部の再エネ特化型事業者に限られます。RE100対応や本格的な環境価値訴求を重視するなら、電源開示の有無まで含めて選ぶのがおすすめです。
環境価値で電力会社を選ぶときに見る4ポイント
CO2係数の読み方を踏まえて、契約先を環境価値で選ぶときに押さえたい4点を整理します。
- 調整後排出係数で比較する。基礎排出係数は「素の実排出量」、調整後排出係数は「実際にお客様に割り当てられるCO2量」を表します。比較は調整後排出係数を基準にするのが標準です。
- メニュー別の公表有無を確認する。事業者全体値しか開示しない会社では、再エネメニュー契約者も通常メニュー契約者も同じ数値で評価される見え方になります。メニュー別に公表する会社のほうが透明性が高く、再エネメニューを選ぶ意味がはっきりわかります。
- 非化石証書の出所を確認する。「実質再エネ100%」と謳うメニューでも、その非化石証書が自社電源由来か市場購入かで環境貢献の意味合いが変わります。RE100準拠を重視する企業需要家は「トラッキング付き非化石証書」の開示を求める流れがあり、家庭でも開示姿勢を判断材料にできます。
- 第7次エネルギー基本計画の流れと連動して見る。2025年2月閣議決定の第7次エネルギー基本計画で2040年度の再エネ比率は40〜50%が目標に。今後10年で国全体のCO2排出係数は緩やかに改善しますが、個別事業者の環境努力の差は依然として大きいため、早めに低排出の会社に切り替える価値は残ります。
温対法ベースの公表制度と新電力の自主行動計画
温対法に基づく公表制度
温対法は全ての電気事業者に対して、毎年度の販売電力量1kWhあたりのCO2排出量算定と公表を義務付けています。環境省が事業者の報告を取りまとめ、毎年1月に前々年度実績を一覧公表する運用が定着しました。2026年1月9日に令和6年度(2024年度)実績が公表され、本ページもこれをベースとしています。
主要新電力の自主行動計画(RE100・GX連動)
2020年以降、家庭向けに供給する新電力の多くがRE100(再エネ100%コミットメント)やGX同盟などの枠組みに参加し、自社供給電力のCO2排出係数を段階的に引き下げる自主計画を公表しています。東京ガス・大阪ガス・CDエナジー・Looopでんき・オクトパスエナジー等が代表例で、2030年目標・2040年目標を公開するケースも増えました。詳細は各社公式の環境・サステナビリティページをご参照ください。
出典:環境省 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度(対象年度:2024年度(令和6年度)実績/公表日:2026年1月9日(環境省)/2026-06-01 参照)
電気料金の見直し・新電力切替の候補
電力プランは家庭の使い方で最適解が変わります。ここでは「家計を予測しやすい安定運用」「基本料金0円・市場連動で攻める」「複数社を横並びで比較したい」の3つの典型ニーズに対応する代表的なサービスをご紹介します。
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家計予測しやすい安定型
アルカナエナジー
基本料金+3段階単価のオーソドックスな従量制で、燃料費調整には上限を設定。法人向け高圧電力で実績を積んだ事業者で、市場連動型のような単価変動リスクがなく、毎月の電気代を予測したい家庭に向きます。
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基本料金0円・市場連動の攻め型
リボンエナジー
基本料金0円・燃料費調整額0円で、使った分だけを支払う市場連動型。電力量単価は卸電力市場(JEPX)に連動して30分ごとに変動するため、安い時間帯に洗濯機・食洗機・EV充電を寄せられる家庭ほど割安になります。市場が高騰する時間帯は単価が上がる点には注意が必要です。
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複数社を横並びで比較したい
エネチェンジ
郵便番号と現在の使用量を入れるだけで、対応エリアの主要プランの年間削減額が10分程度で試算できます。固定単価型・燃調上限あり・市場連動型を一覧で比較でき、ガス・通信とのセット割もまとめて確認可能です。
もっと多くの電力会社を比較したい方へ
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独立系・ガス系・通信系・石油系・再エネ特化型をタイプ別に整理。料金プランの3タイプ、セット割、再エネ比率、燃料費調整の上限有無で横並びに比較できます。
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各タイプの代表事業者を並列展示・シミュレーション活用法・申込手順までを段階的にご案内します。
よくある質問(FAQ)
- CO2排出係数とは何ですか?
- 電気1kWhを作るときに排出される二酸化炭素の量で、単位はkg-CO2/kWh。「実二酸化炭素排出量÷販売電力量」で算出され、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)に基づき全ての電気事業者に毎年の算定・公表が義務付けられています。環境省は前々年度の実績を翌年1月に公表しており、企業の温室効果ガス算定などに公的基準値として使われます。
- 基礎排出係数と調整後排出係数の違いは?
- 基礎排出係数は発電時の実際のCO2排出量から算出した値で、固定価格買取制度(FIT)の買取分も含みます。調整後排出係数はそこに非化石証書・J-クレジット・京都メカニズムクレジットなどの環境価値を反映した最終値です。同じ会社でも再エネ100%メニューは0.000に、通常プランは残差として高めになるなど、メニュー別の公表が2024年度から標準化されています。比較は調整後排出係数で行うのが現在の基本です。
- FITで買い取られた再エネは電力会社のCO2係数に反映されますか?
- そのままでは反映されません。FITで買い取られた太陽光・風力発電の環境価値は電気事業者ではなく賦課金負担者(電気を使う全ての家庭・事業者)に付与される仕組みのため、電力会社がFITで仕入れた再エネを販売しても基礎排出係数ゼロとは謳えません。電力会社が自社の係数に反映させるには、別途「非化石証書」の購入が必要です。
- 「実質CO2ゼロ」プランは本当に再エネ100%ですか?
- ほとんどの場合、実際の発電電源が100%再エネとは限りません。多くは「通常の電源で発電して非化石証書で環境価値を相殺する」というカーボンオフセット型です。実態の電源を開示しているのはみんな電力・オクトパスエナジーなど一部の再エネ特化型事業者に限られます。RE100対応を本格的に考えるなら、電源開示の有無まで含めて選ぶのがおすすめです。
- CO2係数が低い電力会社はどこですか?
- 2024年度実績(2026年1月公表)では、旧一般電気事業者の中では関西電力(0.396)が原子力再稼働率の高さを反映して最も低く、中部電力ミライズ(0.411)も比較的低水準です。家庭向け新電力では東京ガスの電気(0.368)が最も低く、自社LNG電源と再エネ調達力の高さを反映しています。バイオマス主体のイーレックス(0.000429)は非化石証書活用で実質ゼロを達成しています。
- 離島電力網の沖縄電力はなぜCO2係数が高いのですか?
- 沖縄電力は2024年度実績で調整後排出係数0.669と主要事業者で最も高い水準です。本土の電力会社のような広域連系線を通じた電力融通ができず、地域内の火力発電に強く依存する構造のため、CO2排出量の改善が難しい構造的課題があります。再エネ導入余地と離島系統対応の技術整備が今後の焦点です。




