都市ガス小売自由化|2017年からの市場動向と電気・ガスセット割の選び方
このページの要点
2017年4月に都市ガス小売市場が全面自由化され約9年が経過しました。家庭の選択肢は大手都市ガス(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス)/新電力系ガス/地域ガス/LPガス系新規参入の4軸に整理されています。電気・ガスセット割は家庭の定番プランとして定着し、4人世帯で年5,000〜15,000円の節約効果が標準的です。2022年のLNG高騰で自社調達網を持たない事業者は撤退・統合が進み、現在は『LNG調達力』が経営安定度の重要な判断軸になりました。なお、LPガス(プロパンガス)は元から自由料金制で乗換えの節約余地が大きいジャンルとして別軸で位置付けられます。
2017年4月1日、都市ガスの小売が全面自由化され、家庭でも都市ガス会社を自由に選べるようになりました。電力の全面自由化(2016年4月)に続く制度改革で、エネルギー市場の競争促進と消費者選択肢の拡大が目的でした。9年が経過した現在、電気・ガスセット割が家庭の定番になり、年5,000〜15,000円の節約効果を享受する世帯が増えています。本ページでは自由化の背景、現在の市場動向、主要事業者、切替えの手順、LPガスとの違いまでをご案内します。
都市ガス自由化の経緯と制度
2011年の東日本大震災以降、家庭用エネルギーの価格安定化を目的に、経済産業省『ガスシステム改革小委員会』で小売全面自由化を柱とする改革案がまとめられました。これにより電力に続き、2017年4月1日に都市ガスの小売が全面自由化されました。
3段階の自由化プロセス
| 段階 | 時期 | 対象 |
|---|---|---|
| 大口需要家向け | 1995年〜 | 年間100万m³以上の大口需要家が対象。発電所・大規模工場等 |
| 中規模需要家向け | 2004年・2007年 | 商業ビル・中規模工場まで段階拡大 |
| 家庭・小規模需要家向け | 2017年4月 | 全面自由化。家庭でも自由にガス会社を選べるように |
自由化の対象は『都市ガス』のみ
2017年自由化の対象は都市ガス(13Aなど)のみで、LPガス(プロパンガス)は対象外です。LPガスは元から自由料金制で、料金は業者ごとに大きく異なり、業者乗換えで料金を大きく下げられる余地があります。詳細はLPガス適正価格でご確認いただけます。
自由化9年の市場動向
自由化当初は東京ガス・大阪ガス・東邦ガス等の大手都市ガス事業者からの切替えが活発化しましたが、2022年以降のLNG価格上昇を経て事業者再編が進みました。現在の市場構造を整理します。
| 事業者カテゴリ | 主な事業者 | 家庭向け特徴 |
|---|---|---|
| 大手都市ガス | 東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・西部ガス・北海道ガス | 自社LNG調達網・全国シェア大・電気とのセット割が定番 |
| 新電力系ガス | 東京電力エナジーパートナー・関西電力・中部電力ミライズ・ENEOSでんき・SBエナジー | 電力会社からのガス参入。電気とのセット割で集客 |
| 地域ガス | 大阪ガスマーケティング・西部ガスエネルギー等の地域エネルギー会社 | 地域密着・他事業(給湯器販売等)と組み合わせ |
| LPガス系新規参入 | 日本瓦斯(ニチガス)・サイサン等 | LPガス販売網を活かして都市ガス供給に参入 |
切替えシェア
2024年時点で都市ガス契約世帯の約20%が大手都市ガス以外の事業者に切替え済です。電力自由化の家庭低圧シェア25.6%(2024年10月時点)と並び、家庭向けエネルギー市場の競争は安定的に続いています。2022年の燃料高騰で一部の新電力系ガスが事業撤退・統合した影響で、大手都市ガス+大手電力系の主要事業者への集中が進みました。
- シェアの数値は、電力・ガス取引監視等委員会および資源エネルギー庁が公表するスイッチング・契約切替え状況の集計に基づく目安です。
2022年LNG高騰の影響と教訓
『LNG調達力』が経営安定度の判断軸に
- 2022年のロシア・ウクライナ情勢でLNGスポット価格が3倍に急騰
- 自社LNG調達網を持たない新電力系ガス事業者は事業継続が困難になり、複数社が撤退・他社への譲渡を選択
- 大手都市ガス(東京ガス・大阪ガス等)はLNG調達の長期契約・自社化を進めており、料金変動の影響を比較的吸収できた
- 今後の事業者選びでは『LNG調達力』が経営安定度の重要な判断軸
電気・ガスセット割の経済効果
電気・ガスを同じ事業者でまとめて契約する『セット割』は、家庭向けプランの定番になっています。標準的な4人世帯(電気月13,928円+ガス月7,500円想定)でのセット割効果を整理します。
| セット割タイプ | 割引内容 | 4人世帯の年間効果 |
|---|---|---|
| 大手都市ガス系 (東京ガス・大阪ガス等) |
電気・ガス両方の料金から月+0.5〜1%程度 | 年5,000〜10,000円 |
| 新電力系 (東京電力EP・関西電力等) |
ガス料金から月-200〜500円 | 年2,400〜6,000円 |
| 石油系 (ENEOSでんき&ガス) |
電気&ガス+ガソリンの3点セット割 | 年8,000〜15,000円 |
| セット割なし (個別契約) |
— | 基準 |
セット割の効果は事業者・プランで差がありますが、年5,000〜15,000円のレンジが標準的です。ただし『セット割の見かけの数字』だけでなく、電気・ガス単体の料金単価もあわせて比較しないと総額で損するケースもあります。比較サイトのシミュレーション利用がおすすめです。
ガス会社切替えの手順
都市ガス会社の切替えは、電力切替えと同じく工事不要・解約金原則なしで完了します。切替えに伴う停ガス・点検は不要です。
- 現契約の確認:検針票で契約事業者・使用量・月額を確認します(5分程度)。月使用量の推移(直近12か月)も把握しておくと、新事業者でのシミュレーションが正確になります。
- 比較サイトでシミュレーション:郵便番号・使用量入力で複数社を比較します(10〜20分程度)。供給エリアの事業者数は地域で異なります。
- 電気とのセット割を確認:セット割があるなら電気契約も同時切替えを検討します。電気・ガス単体の単価も合わせて比較するのが安全です。
- 申込:新事業者のサイトで申込みます(オンラインまたは電話)。旧事業者への解約通知は新事業者が代行します。
- 次回検針から自動切替え:通常1〜2か月後の検針タイミングで切替完了。停ガス・工事はありません。
切替えの注意点
- 供給エリアの確認:地域によって参入事業者数が異なる。地方部では大手都市ガス+少数の選択肢のみ
- 給湯器・コンロの互換性:13A供給ならほぼ無関係(旧型機器でも継続使用可)
- 解約金の有無:一部の長期契約プランで解約金あり。契約前に要確認
- 支払い方法:クレジットカード・口座振替・コンビニ等、事業者で対応が異なる
都市ガスとLPガス(プロパンガス)の違い
都市ガスとLPガスは、供給方式・料金体系・自由化の歴史が大きく異なります。乗換えで節約できる金額もLPガスの方が大幅に大きい傾向があります。
| 項目 | 都市ガス | LPガス(プロパンガス) |
|---|---|---|
| 供給方式 | 導管(地下パイプライン) | ボンベ配送 |
| 主成分 | メタン(13A・LNG由来) | プロパン・ブタン(石油由来) |
| 料金規制 | 2017年4月まで規制・以降自由化 | 元から自由料金制 |
| 月額料金 (4人世帯) |
月7,500〜10,000円 | 月12,000〜18,000円(業者で差大) |
| 乗換えの節約効果 | 年5,000〜15,000円 | 年30,000〜60,000円(差が大きい) |
| 主要供給エリア | 都市部・住宅密集地 | 都市ガス導管未整備エリア・地方部 |
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電気料金の見直し・新電力切替の候補
電力プランは家庭の使い方で最適解が変わります。ここでは「家計を予測しやすい安定運用」「基本料金0円・市場連動で攻める」「複数社を横並びで比較したい」の3つの典型ニーズに対応する代表的なサービスをご紹介します。
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家計予測しやすい安定型
アルカナエナジー
基本料金+3段階単価のオーソドックスな従量制で、燃料費調整には上限を設定。法人向け高圧電力で実績を積んだ事業者で、市場連動型のような単価変動リスクがなく、毎月の電気代を予測したい家庭に向きます。
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基本料金0円・市場連動の攻め型
リボンエナジー
基本料金0円・燃料費調整額0円で、使った分だけを支払う市場連動型。電力量単価は卸電力市場(JEPX)に連動して30分ごとに変動するため、安い時間帯に洗濯機・食洗機・EV充電を寄せられる家庭ほど割安になります。市場が高騰する時間帯は単価が上がる点には注意が必要です。
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複数社を横並びで比較したい
エネチェンジ
郵便番号と現在の使用量を入れるだけで、対応エリアの主要プランの年間削減額が10分程度で試算できます。固定単価型・燃調上限あり・市場連動型を一覧で比較でき、ガス・通信とのセット割もまとめて確認可能です。
もっと多くの電力会社を比較したい方へ
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独立系・ガス系・通信系・石油系・再エネ特化型をタイプ別に整理。料金プランの3タイプ、セット割、再エネ比率、燃料費調整の上限有無で横並びに比較できます。
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各タイプの代表事業者を並列展示・シミュレーション活用法・申込手順までを段階的にご案内します。
よくある質問(FAQ)
- 都市ガス小売自由化はいつから始まりましたか?
- 家庭・小規模需要家向けの都市ガス小売全面自由化は2017年4月1日からです。1995年の大口需要家向けから始まり、2004年・2007年に中規模需要家向けが段階的に解放され、2017年4月に家庭まで含めた全面自由化が完了しました。電力の全面自由化(2016年4月)に続く制度改革で、エネルギー市場の競争促進と消費者選択肢の拡大が目的でした。
- 都市ガス自由化の対象はLPガスも含みますか?
- 対象は都市ガス(13Aなど)のみで、LPガス(プロパンガス)は対象外です。LPガスは元から自由料金制で、業者ごとに料金が大きく異なります。業者乗換えで年30,000〜60,000円の節約余地があるため、料金見直しのインパクトは都市ガスより大きい傾向です。
- 家庭向け都市ガスの主な事業者カテゴリは?
- 4つに整理できます。①大手都市ガス(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス・西部ガス・北海道ガス):自社LNG調達網と全国シェア、②新電力系ガス(東京電力エナジーパートナー・関西電力・中部電力ミライズ・ENEOSでんき・SBエナジー等):電気とのセット割で集客、③地域ガス(地域エネルギー会社):地域密着、④LPガス系新規参入(日本瓦斯・サイサン等):LPガス販売網を活かして都市ガス供給に参入。
- 電気・ガスセット割でどれくらい節約できますか?
- 標準的な4人世帯で年5,000〜15,000円のレンジが目安です。大手都市ガス系(東京ガス・大阪ガス等)は両方の料金から月+0.5〜1%程度、新電力系(東京電力EP・関西電力等)はガス料金から月-200〜500円、石油系(ENEOSでんき+ENEOSでんき&ガス)は電気&ガス+ガソリンの3点セットで年8,000〜15,000円が典型例です。ただし『セット割の数字』だけでなく『電気・ガス単体の単価』もあわせて比較するのが安全です。
- 都市ガス会社の切替えで工事や停ガスは発生しますか?
- 発生しません。電力切替えと同じく工事不要・解約金原則なしで完了します。停ガス・点検も不要で、申込から1〜2か月後の次回検針タイミングで自動切替えされます。新事業者のサイトから申込めば、旧事業者への解約通知も新事業者が代行します。一部の長期契約プランで解約金が設定されている場合があるため、契約条件は事前にご確認ください。
- 2022年のLNG高騰の影響は今もありますか?
- ロシア・ウクライナ情勢でLNGスポット価格が3倍に急騰した影響で、自社LNG調達網を持たない新電力系ガス事業者は事業継続が困難になり、複数社が撤退・他社への譲渡を選びました。大手都市ガス(東京ガス・大阪ガス等)はLNG調達の長期契約・自社化を進めており、料金変動の影響を比較的吸収できました。今後の事業者選びでも『LNG調達力』は経営安定度の重要な判断軸です。




