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総括原価方式とは年間のサービス(商品)の提供料金を適正な利潤やコストを上乗せして算出する計算方法です。電力会社・鉄道会社・ガス会社などがサービスを提供する際の料金をこの方式で決定しています。公共料金の基本的な料金の設定方法です。
事業者にとっては事前に必要な営業資金や利潤を設定し、それを回収できるような料金設定を行うため確実で健全な経営につなげられるメリットが挙げられます。
総括原価方式はひとえに電力会社を守るための制度だと考えられがちですが、同時に消費者(需要家)を守るためのものでもあります。電気料金は経済産業省によって審査を受けた上で決定されるために、電力会社の経営状況によって電気代をその都度変えるということはできません。現に、原発後火力発電の燃料費が増えたことを理由に各電力会社が値上げ申請を行った際も経済産業省は申請された率よりも低い値上げのみ許可を与える対処を行っています。
また、行き過ぎたコスト削減で十分な設備投資が行われない状況を防げることで電力の安定供給につながります。鉄道や通信などを支える電力はインフラの中でも安定供給の重要性が特に高いと言えます。
メリットの裏を返せばデメリットも見えてきます。電力会社にとっては何らかの思わぬ自体で経営が困難になったとしても、今回のように簡単に値上げは許されないため赤字決済を余儀なくされる場合もあります。また、逆に発電コストが下がり、予測していた営業資金を下回る場合でも消費者に還元されにくい環境を作るとも考えられます。
2016年の電力自由化後は、この総括原価方式は廃止され電力会社10社を含めて自由な料金設定を行うようになります。上述のように総括原価方式は、電気代の急騰を防ぐ役割も担っていたために、逆に電気代が上がる可能性もあるとも指摘されます。消費者である私たちは、電気の購入先を価格だけでなく電源構成や環境面も含めそれぞれの目で厳しく比較することで、消費者自信が望む電力市場の形を日々選択していくことが重要になってくると言えます。
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