2015年1月版、電力自由化の市場動向 – 新電力の参入状況など

富士経済が、電力自由化に関する新規参入状況に関する調査を発表しました。

2014年11月時点で409社の新電力の半数以上が実態なし

調査によると、2014年11月7日の時点で登録されている新電力は409社。
しかし、過去約一年で登録された新規参入企業を中心に332社へのアンケート調査を実行したところ、電力事業の実績があるのは10%程度にとどまり、さらには今後電力事業を行う計画さえ不明瞭な企業の登録が半数以上もあることがわかっています。

またアンケートに協力した企業のうち40%超130社以上が太陽光発電関連事業ということ。
固定価格買取制度で爆発的に増えたメガソーラーや中規模太陽光発電所の事業者が、登録していると予想されます。

この結果の背景として、現状ではまだ電力会社としての届出基準が明確でないことが挙げられています。

2013年度は227億kWhが新電力経由で販売

新電力によって販売された電力の合計は2013年度で227.1億kWhにのぼったということ。
参考までに、東京電力の2013年度の販売電力量は2667億kWhなので、この12%弱の規模になります。ただ新電力は一般電気事業者からのベース電力の利用も含まれています。
2014年度はさらに供給量は伸びて277.7億kWhになる予定だということ。

新電力の主要プレイヤーとして、エネットJX日鉱日石エネルギー昭和シェル石油、オリックスなどが挙げられています。

電力小売り自由化に向け、2015年末までに各社準備を進める

電力小売りの自由化が2016年に実施される予定であり、経済産業省も制度設計の検討・関係政省令の整備を15年前半に進める予定をしています。

電力小売りが自由化されると事業区分が無くなりすべて対等な条件となりますが、大手の電力会社では電源設備が豊富なため有利であるという点については変化はなさそうです。

プレイヤーが出揃う2015年後半からは各社企業向けサービスで肩慣らし

そのため顧客を持つ事業者と設備を保有する事業者が提携して大手に対応するという状況が進みそうです。電力小売業者は自由化に伴って登録制となりますが、新たに参入する業者がシステムを整えたり販売体制を確立するには半年は要するため合従連衝のピークは15年前半となる見通しで、登録が始まるとみられている15年7月頃には新規業者が出そろうとみられています。

家庭や小規模な事業所など契約電力が50キロワット未満の電力販売が大手電力会社に限らず開放されることになりますが、家庭向けにとどまらず15年後半には企業向けの新しいサービス等、自由化の足掛かりとなる事業展開が見られると予測されます。

新電力側から期待されるのは「セット販売」などの新サービス形態

実際すでにそうした動きも見られ、ソフトバンクグループのSBパワー(東京・港)が全国展開しているメガソーラーで発電した電力を大口顧客向けに販売し始め、開始から5か月ほどですでに約100拠点の契約が進んでいます。
ソーラーパネルを設置している家庭の電力を1円上乗せして買い取るというサービスを開始し、既存の顧客はもとより新規顧客の開拓も見据えているのです。

また他に通信と電力の組み合わせやガス・電機・自動車などの他分野でも電力との融合を考えた新規サービスの準備が進められています。

電力会社は域外進出を中心に準備を整える

大手電力会社ではエリア外でも電力販売を行うなどの事業展開に乗り出しているところもあります。このように事業者同士の競争で新たなサービスの登場や需要する側が電力を選べる仕組みなどがたらされるとともに、企業の立場としては電力コスト削減に取り組むことになりそうです。

参考