大阪府中央卸売市場に分散型電源の1.2MWの燃料電池導入

大阪中央卸売市場は、昨年11月よりBloom Energy Japan株式会社との間で燃料電池の導入に関する基本合意を締結して進めていた燃料電池の設置が完了し、運転開始式が3月9日に大阪中央卸売市場にて行われました。

この燃料電池は燃料として都市ガスを用いますが、燃焼ではなく化学反応で発電するため環境に優しく、また発電効率も高い分散型電源です。

災害に強いといわれている中圧ガス導管を使用したガスの供給で安定的な稼働が可能です。また、この燃料電池を市場で使用すると、系統電力から電気を購入する場合に比べ、年間で約30%のCO2排出量が削減できます。

商用として出力1200kWとなる1MWクラスの燃料電池が導入されるのは国内初です。この試みは、全国の中央卸売市場へ向けた先進的なモデルケースとして、CO2削減効果や電力供給の安定性や信頼性について実証を行い、その導入効果を情報発信していく役割も担っています。

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二酸化炭素排出力ゼロを民間で進める屋久島

世界遺産にも登録されている、鹿児島県・屋久でCO2(二酸化炭素)の排出量ゼロにする取り組みが進んでいます。「一ヶ月に35日も雨が降る」といわれるぐらい雨量の多い屋久の地域特性を活かした水力発電で、内の電力のほとんどの電力を賄います。

自社利益より「民需」を優先する民間企業

発電を担うのは大手の電力会社ではなくセラミックを製造する「屋久島電工」(従業員数約130人)。千尋(せんぴろ)滝(1300kW、1953年完成)、安房(あんぽう)川第1(2万千kW、1960年完成)、安房川第2(3万千kW、1979年完成)の3発電所のつくる電力の約2割は1万3千人超の島民や会社が使う「民需」に回され、残りを島内の工場で使用しています。同社の発電所ができるまでは、大正時代に造られた水力発電所(150kW)が一部集落と漁港の製氷工場に配電されていました。その他の地域は各地域の小規模水力発電所やランプに頼る生活をしていました。

屋久島の電力利用にとどまらない「CO2フリーの島づくり」

屋久島の一人当たりのCO2排出量は、全国の4割程度です。鹿児島県はこの長所を伸ばそうと森林の吸収量以上のCO2を出さない「CO2フリーの島づくり」を目標に掲げていて、CO2ほぼゼロを実現している発電以外にもCO2排出の排出量を抑える活動をしています。たとえば、屋久島グリーンホテルは自家発電装置を持たないLEDランタンを60個用意し停電時に客室に配るほか、生ごみは焼却せず全量を肥料に回すなど、CO2を抑える工夫を凝らしています。

岩手県、11基25.3MWの風力発電施設は蓄電池つき

岩手県は、高森高原の一帯に11基の大型風車と蓄電池1台の岩手県営風力発電所を新設する予定です。風車1基は2.3MWの発電能力で、合計で25.3MWに達し年間5300万kWhの発電量と見込んで、一般家庭1万5000世帯分の使用量に相当します。

高森高原は風況に恵まれ、平均風速6.5メートル/秒に達し、風力発電設備利用で28%程度が予想され、現在の計画で24%の低めの設定の為、実際の発電量予想値より上回る可能性は大きいです。

東北地方での太陽光や風力の導入量の拡大で,新設の発電所には出力制御が求められ、高森高原風力発電所では天候による出力の変動の対応と、余剰電力を充電できるように蓄電容量1万7280kWhの鉛蓄電池の導入の予定で、想定発電量に対し約0.1日分を充電することができる大型の蓄電池を併設します。風力発電所を2017年11月の運転開始予定に伴い、環境影響評価の手続きを完了した後に、2016年4月から工事に入る予定です。岩手県は再生可能エネルギーの電力自給率を2020年に35%までに引き上げる目標ですが、2013年度時点では18.6%にとどまっている為、県が率先して導入量の拡大をしていきます。

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北海道で補助事業、風力で環境負担ゼロの水素エネルギーを

北海道の苫前町では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の補助の元、風力発電所を用いた新たな燃料活用事業を2017年度までの完成を目指し、推し進めることを発表しました。

国は将来的に水素をメイン燃料とする構想を打ち出していますが、苫前町のこうした施策は国の方針と一致するもので、町の経営する温泉施設の燃料に、町営の風力発電所で生成した水素を利用しようというものです。この動きに対し、同じく北海道を拠点とする札幌のフレインエナジーや神戸の川崎重工業、名古屋の豊田通商などが既に賛同を表明し、それぞれの持つ水素や電気に関する技術による、風力を基にした新たなエネルギー変換技術の取り組みに期待が持たれています。

作られた水素は液状の有機ハイドライドに変換された後、再び気体に戻され、最終的に燃料電池の燃料となります。

苫前町の所有する苫前夕陽ケ丘風力発電所は、計3基で出力合計2200kWとなっており、実験はこの敷地内で行う予定で、実用的なものとしては北海道では初の試みです。

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長野県、浄化センターのメタンガスで発電、新電力に売電

長野県松本市では市内の浄化センターに出力315kWの燃料電池システムを導入しました。これにより、無駄になっていたメタンガスを利用して発電をすることで、新電力に高いプレミアム価格で販売することとなりました。高価買取によって、事業費4億4,000万円を売電によって回収する予定です。年間発電量としては約168kWhほどをみこんでいます。

企画の発端は、下水処理を行う際に発生する汚泥を細菌を利用して分解をすると、メタンと二酸化炭素が主成分である消化ガスが発生します。このガスを利用して細菌の動きを活性化させるために保温をしていましたが、ガスの消費は3~4割ほどにとどまっていました。そこで、燃料電池システムを導入し、残りのガスを利用した発電を始めました。
この発電によるメリットは効率が高く、メンテナンスが容易で、騒音や振動を生まず、排気ガスを発生しないということが挙げられます。さらに発生する熱も、高温水の形で再利用しています。汚泥消化槽の加温をすることのできる、コージェネレーションシステムを導入しました。

松本市には主要な浄化センターが2か所あり、両島浄化センターと宮渕浄化センターです。消化ガスの利用はまず、宮渕浄化センターで行われ始めました。宮渕浄化センターでは売電は行っていなく、センター内ですべての電力を消化しています。両島浄化センターでは、民間業者のノウハウを生かすために、プロポーザル方式を採用し、2013年9月にメタウォーターが設備建設工事を受注しました。受注当時から経済産業省の制度変更があり、消化槽を動かす電力を消化ガス発電で賄うことが必要となり、工事費用の変更や制御盤の工事などがありました。

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新潟県村上市の合計220MW洋上風力発電事業に日立造船らが採択

新潟県村上市の環境課・新エネルギー推進室によって開催される村上市岩船沖洋上風力発電推進委員会で公募されていた「岩船沖洋上風力発電事業企画」の事業者に、日立造船株式会社を筆頭とする10社によるコンソーシアムが採択されました。

この採択により、当コンソーシアムは、出力220,000kW(5,000kW×44基)という大規模な着床養生風力発電の事業化の検討が本格化します。

2020年度から機器の製作を開始し、2024年度からの運転開始を目指します。本事業により、洋上風力発電事業による地球温暖化対策や、地域経済の振興、観光などの地域活性化に貢献できるものと考えています。円滑な導入を推進するために、既に2014年11月に推進委員会を設立しました。
竣工予定地は、新潟県村上市岩船沖約2kmの推進10mから35mの一般海域にあたる2,700haが対象です。

幹事会社の日立造船は全体設計、基礎構造の検討を行う予定。
その他の参加企業は以下の通りです。

【事業候補会社】
ウェンティ・ジャパン(事業開発、事業運営に関する検討)
住友電気工業(変電設備、送電ケーブルおよび架設の検討)
日立キャピタル(ファイナンス、事業運営に関する検討)
日立製作所(風車の性能および設置の検討)
三菱商事(事業開発、事業運営に関する検討)

【協力会社】
第四銀行(ファイナンスに関する検討)
東亜建設工業(建設工事に関する検討)
本間組(建設工事に関する検討)
三菱東京UFJ銀行(ファイナンスに関する検討)

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横浜スマートシティプロジェクトの仮想巨大蓄電池「SCADA」

蓄電池SCADAは監視制御システムで多数の蓄電池をひとつの巨大な蓄電池と見立てて蓄電、放出するシステムです。
横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)で採用されており、穏やかな需要応答(DR)が可能になります。蓄電池SCADAは3つの機能を備えています。1つめは日間運用、2つめは短周期需給調整、3つめは予備力の運用です。日間運用とは発電量の空き容量とインセンティブに見合ったビルや家庭を、日々更新される需給データから割り出すことで効率的に電力を購入する方法です。蓄電池に貯蔵しておき、ピーク時に不足する分を供給できるようになります。2つ目は出力変動の大きい再生可能エネルギーの導入によって不足する電力量を火力発電や水力発電が賄っていた容量を蓄電池で補います。蓄電池は放電指令を受けてからすぐに反応するため、蓄電率の高い蓄電池に放電命令をかけ、蓄電率の低い蓄電池に充電命令を優先するシステムになっています。3つ目は電力系統の事故発生などの緊急時に需給調整用蓄電池から放電することで事故の影響を最低限に食い止めるという運用方法です。
プロジェクトには東芝、東京電力、日立製作所、明電舎、NEC,ソニーエナジーデバイスが参加しており、家庭や電気自動車などが普及するにつれて蓄電池がいたるところに存在する未来を見越して研究に取り組んでおり、技術実証でも現実的利用の可能性が見えてきたと発表しています。
需給調整の必要が発生した場合に、蓄電池とインターフェイスとがメーカーや機種によって異なっていると制御が困難になることが予想されており、国際電気標準会議(IEC)の規格に沿ったインターフェイスを統一化するという初の試みも行われています。

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