東京電力、丸紅、住友電気工業による自動デマンドレスポンス実証実験の成果を発表

東京電力丸紅が実施しているデマンドレスポンスの実証プログラムに住友電気工業が参加し、電力使用量が計画通りに削減できることを証明するなど電力の需要調整に有効とされるデマンドレスポンスの自動化技術が進化しています。
情報通信関連製品の開発・製造拠点である住友電気工業の横浜製作所が対象となり、レドックスフロー電池と集光型太陽電池、そして熱と電力を供給できるガスコージェネレーションシステムという3種類の最先端蓄電と発電設備を組み合わせた設備です。

要請から10秒でシステム応答、15分で640kWの削減量達成

東京電力からの発令に基づきアグリゲータのエナノック・ジャパンが参加企業に指令を出す方式のデマンドレスポンスにおいて、住友電気工業の横浜製作所ではエナノックからの信号を受け10秒以内にシステムが応答、自動的に電力量削減を開始しました。さらに15分以内には取り決めた削減量の640kWに達し、デマンドレスポンスを実施しているその後1時間にわたっても削減量を維持し続けるという結果でした。
仕組みとしては自社で開発したエネルギー管理システムが蓄電と発電設備を管理し、電力会社からの購入量を調整するというものです。

まだまだ余力のある設備でどこまでのDRに対応できるか

国内最大級の蓄電容量5000kWhを誇るレドックスフロー電池は削減電力量の8倍に相当し、100kWの発電能力がある集光型太陽電池と4000kWのガスコージェネという発電設備のシステム構成で、電力削減量に対し十分な余裕もあります。通信プロトコルには国際標準規格「OpenADR2.0」を採用し、住友電気工業はデマンドレスポンスにおける標準ツールとして、効果を示すことのできたエネルギー管理システム「sEMSA」を広めるという方針を出しています。

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沖縄県宮古島の「島嶼型スマートコミュニティ実証事業」

沖縄県にある宮古島において、2011年度から2014年度にかけて「島嶼型スマートコミュニティ実証事業」と呼ばれる事業が実施されてきました。この事業は、島内で行われる太陽光発電や風力発電について、発電効果を可能な限り活用することを目的とした事業です。沖縄県や宮古島をはじめ、沖縄県が行うスマートエネルギーアイランド基盤構築事業の一環として、三井物産や宮古テレビのほかに、東芝沖縄電力、沖縄エネックといった企業も参加しています。

事業内容は「全島EMS(エネルギー管理システム)実証事業」のほか、「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」などの事業から構成されています。通称「すまエコプロフェクト」と呼ばれている「全島EMS実証事業」に関しては、地域エネルギー管理システム(CEMS)の構築のために、多くの住宅や事業所、そしてポンプ場などが参加しました。タブレット端末を使って電力消費量を可視化する「見える化」やデマンドレスポンスなども実施され、地下ダムにおける揚水ポンプについては太陽光発電がピークになる時間帯を見計らって、稼働する時間を移行していくといった運用が実証されました。

「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」は100%自活を実証

当初の計画は31カ所、合計380kWの太陽光発電と蓄電池176kWhを設置するものでしたが、2014年には蓄電池の容量が足りず、もう一台追加し、太陽光発電380kW、蓄電池352kWhという設備で実証実験に挑みました。
そして今回太陽光を使った再生エネルギーなどのみで、宮古島市における来間島内に必要な電力の需要を賄うことが実証に至ったと発表されました。

来間島の人口は約200人、電力需要はピーク時に200kWほどになりますが、屋根の上には380kWになる太陽光発電設備が設置され、島内における電力系統に定置型蓄電池が導入されるなど、連系線による送受電が最小限になる運用も実証されました。

「全島EMS(エネルギー管理システム)実証事業」の結果は後日

全島において行われたEMS実証実験では、デマンドレスポンスに対して平均1割の家庭が応答することを確認。またポンプ稼働を、太陽光発電の稼働が活発になり余剰が出やすい昼間にシフトするなどといった実験を行ったということ。

詳細は2月18日に行われるシンポジウムで報告される予定です。

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アメリカでPG&EとBMWが提携、EVを使ったデマンドレスポンスなど

PG&E社(パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック・カンパニー。米国の電力ガス会社)が1月5日電気自動車の蓄電池を電力系統の運用制御に利用する事業を開始すると発表しました。この事業はドイツのBMW社と提携して行われます。この事業によって、電力が最もよく使われる時間帯に必要な電力を少なくすることが期待されるため、従来よりも送電線や変圧計にかかる負担は減少します。そのため太陽光発電などの再生可能なエネルギーをより多く取り入れることが可能となります。

BMW社はまず、アメリカカリフォルニア州にある技術開発の拠点に大規模なエネルギー貯蔵システムを導入します。この貯蔵システムを利用し電力需要の少ない時間帯に価格の下がった電力を貯め、電力を良く使う時間帯に貯蔵した電力を使用します。

準備が整い次第BMW社は顧客に対しBMWi3(電気自動車)の次期モデルを提供します。その提供したBMWi3の蓄電池をPG&E社の電力系統と連携させます。そうすることでPG&E社は電力需要の多い時間帯の、BMWi3への充電状況を把握できるようになります。その情報をもとにBMW社は蓄電池の充電を遠隔制御して、消費電力の削減を行います。

PG&E社はこうした取り組みへの対価をBMW社に支払い、BMW社はこの資金で電気自動車の所有者の購入及び運用のコストを下げる取り込みを行います。このプログラムの参加者への報酬の支払いもこの資金で賄われ、参加者は携帯電話のアプリケーションでどの程度の報酬が受けられるかを確認することが出来ます。

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京セラとIBM、デマンドレスポンス効果を自動報告できるシステムの実証試験を開始

京セラと日本アイ・ビー・エム(IBM)、東急コミュニティーの3社は自動デマンドレスポンス(ADR)に関する実証実験を10月から開始すると発表。

関東の各所で2015年3月までの半年間にかけて行われるこの実証実験では、一連のデマンドレスポンスと、実際に要請(デマンド)に応えた(レスポンス)結果を報告するまでを、すべて自動で行うシステムの有効性を確かめるという内容。
自動デマンドレスポンス(ADR)の国際標準規格OpenADR2.0 Profile bを採用して本実験は行われるということ。

この実証実験は早稲田大学がEMS新宿実証センターで実施するADR連携実証の一環とされるそうで、関東地区の京セラ横浜事業所、商業施設9店舗、一般住宅15世帯の計25ヵ所を使って行われるのだそう。

前回ご案内したエナリスと日産のデマンドリスポンス実証実験同様、電力自由化後の電力サービスの多様化に向けて各社準備を進めている模様ですね。

今回関わっている3社はいずれも、電力アグリゲータとしての各種認証を取得しているということで、新電力もしくは新電力と消費者の仲介のようなサービスの提供は視野に入っていることが伺えます。

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エナリスが日産と、V2Hを活用したデマンドレスポンスを実証実験

エナリスは、日産自動車と共同で日産リーフとリーフを使用したV2Hシステム「LEAF to Home」を活用したディマンドリスポンス(デマンドレスポンス)実証実験を今年10月から開始したのだそう。

神奈川県の複数箇所にて展開される実証実験は、電気自動車に搭載される蓄電池機能を自宅やビルで使えるようにできるV2H(Vehicle to Home)/V2B(Vehicle to Building)である「LEAF to Home」を活用し、系統の逼迫時など電力使用の抑制要請があった際(オン・デマンド)建物で使用する電力を系統から電気自動車(EV)にシフト(リスポンス)することによる、節電効果などを計測するという内容。

デマンドレスポンスによって、電力需要者はインセンティブをもらえるメリットや、電気代削減ができるといった効果も期待できるものの、これまでの手動によるリスポンスには限界があったことから、この実証実験を実施するに至ったのだとか。

エナリスといえば新電力ですが、今後新電力を一般住宅でも選択できる電力自由化後は、電気料金のバリエーションも増えてくることが予想されます。
デマンドリスポンスという形でないにせよ、ピークカットを目的として時間帯ごとに単価を変えるという試みは積極的に行われていくことかと思います。

その際にはV2Hのようなシステムの可能性がさらに高まることになりそうですね。

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京セラ、IBM、東急コミュニティが自動デマンドレスポンスの実証実験開始

2014年10月から2015年3月にかけて、京セラ株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社、株式会社東急コミュニティーの三社により、自動デマンドレスポンス(以下ADR)の実証試験を実施します。

デマンドレスポンスとは、電力逼迫時に発電事業者が家庭や企業等の需要家側に協力を求めて電力使用量を減らし、電力需給バランスを調整する仕組みです。東日本大震災以降、電力逼迫時にも電力の安定供給が可能な体制が求められていますが、現段階における日本では、発電事業家が需要家側に電話やメールで節電要請を出すケースが多く、電力需給のバランスを調整する体制が十分整っているとは言えません。そのような状況を背景に、発電事業者が電力使用量をリアルタイムかつ正確に算定可能となるようなADRの仕組みづくりが求められています。また、ADRの仕組みが確立すれば、電力需要家も節電要請への対応等に応じてインセンティブを受けることが出来、電力小売市場の活性化も期待されています。

今回の実証試験は、京セラ横浜事業所、商業施設9店舗、一般住宅15世帯の計25か所を対象としています。試験自体は、発電事業者より出される節電要請の受発信から、各施設における証明、空調、蓄電池等のエネルギーマネジメントシステム対応機器を制御することにより電力の抑制、最適化を図ることで、節電要請にそれぞれの施設が自動で対応し、その結果を取りまとめ、それらを節電要請をした発電事業者への実績報告としてフィードバックするという日本初の取り組みとなっています。

今回実証試験を実施する三社は、発電事業者と需要家側をとりまとめ、仲介として重要な役割を果たすアグリゲーターの各種認証を取得しており、今回の試験を通じてADRの技術やノウハウを蓄積するとともに、アグリゲーター事業の強化に取り組んでいきます。

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