沖縄県宮古島の「島嶼型スマートコミュニティ実証事業」

沖縄県にある宮古島において、2011年度から2014年度にかけて「島嶼型スマートコミュニティ実証事業」と呼ばれる事業が実施されてきました。この事業は、島内で行われる太陽光発電や風力発電について、発電効果を可能な限り活用することを目的とした事業です。沖縄県や宮古島をはじめ、沖縄県が行うスマートエネルギーアイランド基盤構築事業の一環として、三井物産や宮古テレビのほかに、東芝沖縄電力、沖縄エネックといった企業も参加しています。

事業内容は「全島EMS(エネルギー管理システム)実証事業」のほか、「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」などの事業から構成されています。通称「すまエコプロフェクト」と呼ばれている「全島EMS実証事業」に関しては、地域エネルギー管理システム(CEMS)の構築のために、多くの住宅や事業所、そしてポンプ場などが参加しました。タブレット端末を使って電力消費量を可視化する「見える化」やデマンドレスポンスなども実施され、地下ダムにおける揚水ポンプについては太陽光発電がピークになる時間帯を見計らって、稼働する時間を移行していくといった運用が実証されました。

「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」は100%自活を実証

当初の計画は31カ所、合計380kWの太陽光発電と蓄電池176kWhを設置するものでしたが、2014年には蓄電池の容量が足りず、もう一台追加し、太陽光発電380kW、蓄電池352kWhという設備で実証実験に挑みました。
そして今回太陽光を使った再生エネルギーなどのみで、宮古島市における来間島内に必要な電力の需要を賄うことが実証に至ったと発表されました。

来間島の人口は約200人、電力需要はピーク時に200kWほどになりますが、屋根の上には380kWになる太陽光発電設備が設置され、島内における電力系統に定置型蓄電池が導入されるなど、連系線による送受電が最小限になる運用も実証されました。

「全島EMS(エネルギー管理システム)実証事業」の結果は後日

全島において行われたEMS実証実験では、デマンドレスポンスに対して平均1割の家庭が応答することを確認。またポンプ稼働を、太陽光発電の稼働が活発になり余剰が出やすい昼間にシフトするなどといった実験を行ったということ。

詳細は2月18日に行われるシンポジウムで報告される予定です。

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日立、東電ら、電力自由化後の電気事業者向けシステムで業務提携

一昨年から「情報システムサービス」に関して戦略的業務提携を進めていた日立システムズ日立東京電力の3社は昨年3月「日立システムズパワーサービス」を設立。
この新会社も含めた4社で新たに電気事業者向けの電力システムサービスを提供すると発表しました。

その名も「ePower Cloud」

新電力なども含めた電力自由化後のエネルギー業界のプレイヤーにとって、電源確保はもちろん、受給をより効率的にするマネージメントの方法の確立は必須と言えます。
今回日立システムズパワーサービスが主な事業主体となって提供される「ePower Cloud」は、発電実績管理、ばい煙排出量管理、メーターデータ管理、料金計算等の業務システムの他、人事労務、経理等の経営管理システムをクラウドサービスで提供されるというもの。

海外展開も計画

2015年3月にまずは国内中心にサービス開始をしていきますが、今後は需要が高まることが予想される海外市場にも積極的に目を向けていくとしています。

また自由化による新電力への顧客流出を少しでも食い止めたい東京電力ですが、この取組みを通じた競争力の強化も狙っているということです。

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京セラとIBM、デマンドレスポンス効果を自動報告できるシステムの実証試験を開始

京セラと日本アイ・ビー・エム(IBM)、東急コミュニティーの3社は自動デマンドレスポンス(ADR)に関する実証実験を10月から開始すると発表。

関東の各所で2015年3月までの半年間にかけて行われるこの実証実験では、一連のデマンドレスポンスと、実際に要請(デマンド)に応えた(レスポンス)結果を報告するまでを、すべて自動で行うシステムの有効性を確かめるという内容。
自動デマンドレスポンス(ADR)の国際標準規格OpenADR2.0 Profile bを採用して本実験は行われるということ。

この実証実験は早稲田大学がEMS新宿実証センターで実施するADR連携実証の一環とされるそうで、関東地区の京セラ横浜事業所、商業施設9店舗、一般住宅15世帯の計25ヵ所を使って行われるのだそう。

前回ご案内したエナリスと日産のデマンドリスポンス実証実験同様、電力自由化後の電力サービスの多様化に向けて各社準備を進めている模様ですね。

今回関わっている3社はいずれも、電力アグリゲータとしての各種認証を取得しているということで、新電力もしくは新電力と消費者の仲介のようなサービスの提供は視野に入っていることが伺えます。

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エナリスが日産と、V2Hを活用したデマンドレスポンスを実証実験

エナリスは、日産自動車と共同で日産リーフとリーフを使用したV2Hシステム「LEAF to Home」を活用したディマンドリスポンス(デマンドレスポンス)実証実験を今年10月から開始したのだそう。

神奈川県の複数箇所にて展開される実証実験は、電気自動車に搭載される蓄電池機能を自宅やビルで使えるようにできるV2H(Vehicle to Home)/V2B(Vehicle to Building)である「LEAF to Home」を活用し、系統の逼迫時など電力使用の抑制要請があった際(オン・デマンド)建物で使用する電力を系統から電気自動車(EV)にシフト(リスポンス)することによる、節電効果などを計測するという内容。

デマンドレスポンスによって、電力需要者はインセンティブをもらえるメリットや、電気代削減ができるといった効果も期待できるものの、これまでの手動によるリスポンスには限界があったことから、この実証実験を実施するに至ったのだとか。

エナリスといえば新電力ですが、今後新電力を一般住宅でも選択できる電力自由化後は、電気料金のバリエーションも増えてくることが予想されます。
デマンドリスポンスという形でないにせよ、ピークカットを目的として時間帯ごとに単価を変えるという試みは積極的に行われていくことかと思います。

その際にはV2Hのようなシステムの可能性がさらに高まることになりそうですね。

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