新潟県村上市の合計220MW洋上風力発電事業に日立造船らが採択

新潟県村上市の環境課・新エネルギー推進室によって開催される村上市岩船沖洋上風力発電推進委員会で公募されていた「岩船沖洋上風力発電事業企画」の事業者に、日立造船株式会社を筆頭とする10社によるコンソーシアムが採択されました。

この採択により、当コンソーシアムは、出力220,000kW(5,000kW×44基)という大規模な着床養生風力発電の事業化の検討が本格化します。

2020年度から機器の製作を開始し、2024年度からの運転開始を目指します。本事業により、洋上風力発電事業による地球温暖化対策や、地域経済の振興、観光などの地域活性化に貢献できるものと考えています。円滑な導入を推進するために、既に2014年11月に推進委員会を設立しました。
竣工予定地は、新潟県村上市岩船沖約2kmの推進10mから35mの一般海域にあたる2,700haが対象です。

幹事会社の日立造船は全体設計、基礎構造の検討を行う予定。
その他の参加企業は以下の通りです。

【事業候補会社】
ウェンティ・ジャパン(事業開発、事業運営に関する検討)
住友電気工業(変電設備、送電ケーブルおよび架設の検討)
日立キャピタル(ファイナンス、事業運営に関する検討)
日立製作所(風車の性能および設置の検討)
三菱商事(事業開発、事業運営に関する検討)

【協力会社】
第四銀行(ファイナンスに関する検討)
東亜建設工業(建設工事に関する検討)
本間組(建設工事に関する検討)
三菱東京UFJ銀行(ファイナンスに関する検討)

参考

デンマーク、風力による電力需給比率世界一の年間約40%を達成

1990年後半頃までのデンマークは、エネルギー資源が乏しかったために石油や石炭を輸入して電力を作り出していました。しかし1997年頃から風力発電とバイオマス発電が電力全体の中で比率を高め始め、ついには2015年1月12日にデンマーク風力発電が世界記録を樹立しました。
デンマーク風力発電事業者であるDWIA(Danish Wind Industry Association)の発表では、2014年における一年間の総発電量に占める風力の割合は39.1%にのぼります。さらに2014年1月の単月のみではなんと消費電力のうち61.7%を風力発電でまかなうという記録を樹立しています。

消費電力やエネルギー環境が似ている北海道でも実現可能?

スマートジャパンの記事で面白いのが、このデンマークの例を北海道になぞらえているところ。
人口や総発電量、風力発電に適した土地といったところが、両者似通っているのだそう。

北海道といえば、太陽光発電の設備認定容量(設置しますよ、と予約しているような状態の設備の総量)が需要の半分を越した状況で「もうだめだ!」ということで、応急措置的に蓄電池による出力吸収なども試みていました。
一方デンマークは単月ではあれ、60%以上の電力を風力によってまかなえているのは、どういった違いによるものなのか、記事では詳しい説明がされています。

デンマークは国際連携線が整っている

デンマークには3箇所の国際連携線があり、これによって隣国との電力融通などが容易になります。
一方の北海道は、本州との1箇所のみでしか系統がつながっておらず、は2019年までに90万kWまで増やす計画はあるものの、デンマークを目指すには十分ではないとしています。

国を挙げたコージェネレーションシステムが功を奏す

また、デンマークは熱電併用であるコージェネレーションシステムを大規模に導入し、発電によって生まれる熱を利用した暖房を活用しています。これによって化石燃料の消費が抑えられ、風力発電の割合を高めているとしています。

北海道の場合はコージェネレーション対応の施設も導入していなければ、化石燃料の消費を抑えるという面からのアプローチも厳しい状況です。
また北海道は風力発電のみならず太陽光発電の開発が進んでいる状況。単純に考えて発電のポテンシャルが一日の半分に限られている太陽光発電は時間による出力差が激しく、蓄電設備やほかの発電設備の出力調整などによる効率的な運用による対応がさらに期待されるところです。
出力のこまめな調節が比較的簡単な発電方法としてガスタービン発電、揚水発電、水力発電などが挙げられます。
政府は北海道電力での大型蓄電池実証実験のプロジェクトを開始したばかりではあるものの、他のアプローチによる出力吸収の方法も同時進行で投資していくことが期待されるところですね。