東芝が新電力に参入、太陽光や省エネ機器とのセット販売を含めた「エネルギーサービス事業」を推進

米サンパワーの世界最高効率ソーラーパネルを日本市場において独占OEM販売しながら住宅用太陽光発電市場で急速にシェアを伸ばしてきた東芝新電力に登録。太陽光発電の設置者などからFITにプラス価格で電力を買い取る事業を一つの軸としながら「エネルギーサービス事業」として、太陽光発電システムと省エネ機器も合わせて販売する方向を明らかにしました。

新電力事業においては他の電力事業者と同様、御電力取引所(JEPX)などからも電力を調達しながら最適な電源構成において電源単価の低下に努めるとしています。


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住友商事が東芝の蓄電池システムで米国の周波数調整市場に参入

住友商事と米国子会社の米州住友商事は、米国の蓄電池会社Willey Battery Utility(WBU)社の株式を、英RES社の米国法人より取得しました。

住友商事は今後、WBU社を通じて、米国最大クラスの独立系統運用機関であるPJM Interconnectionが運営する周波数調整市場向けに、蓄電池を使った需給調整サービスを提供します。出力変動を吸収して電力網を安定化する手法の一つとして、蓄電池を使った電力網の需給調整サービスへの需要は高まっています。

WBU社は、東芝製の蓄電池システム(出力6MW、容量2MWh)をPJM Interconnection向けの需給調整サービスに使います。このサービスでは、東芝が蓄電システムの納入とメンテナンスを、再生可能エネルギー開発事業者RES社の米国法人が、変圧器などの供給・設置やシステム管理・操作・制御を担当し、オハイオ州ハミルトン郡で、4月に着工12月に運用開始予定です。

東芝のLiイオン蓄電池に関する技術力、RESグループの開発・設計・建設能力、住友商事グループの電力事業運営ノウハウを融合し、今回を皮切りに他州市場への参画も検討する予定です。

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東芝、東京都府中市に水素エネルギー開発センター開所、

再生可能エネルギーから水素を作り電力利用するシステムを実用化する目的で、東芝は府中市の事業所内に「水素エネルギー開発センター」を作ったと発表しました。太陽光発電システムや水電解装置、燃料電池等を導入した施設で建築面積は900平米の規模の施設です。

太陽光発電などの電力を利用して、効率よく水と電池で水素を発生させて貯蔵する「固定酸化物形電解装置」を採用されています。

東芝グループは、今後2020年度に水素関連事業で1000億円の売上高にすることを目指していて、この施設はその実現のための一環として作られました。

2015年度以降は遠隔の諸島などでの地産地消型のエネルギー供給システムとして実用化をめざし、さらに2025年前後に大規模風力発電で作った安価な水素の国内供給と水素タービン発電の水素サプライチェーンを構築し、クリーンな電力の安定貯蔵と供給を目指しています。

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スコットランドで再エネ発電から水素を貯蔵生成する実証実験、東芝がEMS提供

東芝は、他の7つの団体と共同での海外初の水素実証試験への参加を発表しました。風力と太陽光だけで水素を製造し、燃料電池車に供給する他、燃料電池に送り電力を得るというもので、スコットランドのファイフ州メチルで行います。

スコットランドは、電力源に占める再生可能エネルギーの比率を高める政策を打ち出しており、洋上風力などで2020年には100%を目指しています。メチル港には、風車(出力750kW)と、電力を利用して水から水素を生成する水電解装置(出力30kW)があります。これらは、水素関連施設を運用するBright Green Hydrogen社が設置しました。近くには、ファイフ州が470万ポンドを投じ、Fife Renewables Innovation Centreを完成させ、同センターへの電力は、系統電力と風車による電力と水素燃料電池の電力とを切り替えて送り、暖房用温水は、燃料電池以外の電力で地中熱ヒートポンプを駆動して供給します。

実証試験期間は2015年4月~2020年3月までで、2016年度内に新たな設備を導入し、残り4年間で運用データを集めます。導入する設備は太陽光発電システム(出力200kW)、2種類の水電解装置(60kWと250kW)、水素貯蔵タンク、燃料電池(出力100~150kW)、25台のハイブリッド車です。

試験では、風力発電と太陽光発電で電力を供給し、水を分解して得た水素をタンクに蓄え、その水素を水素燃料電池とハイブリッド車の燃料として供給します。また、燃料電池を通じて電力を得て、メチルのビジネスパークに供給します。

東芝は、「水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)」の提供とシステム全体の制御を担います。これは電力の需給予測に基づき、水素の製造、貯蔵、利用を最適制御する仕組みです。
東芝では他にも複数の場所で水素EMSを運用し、異なった運用データを得る予定です。

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沖縄県宮古島の「島嶼型スマートコミュニティ実証事業」

沖縄県にある宮古島において、2011年度から2014年度にかけて「島嶼型スマートコミュニティ実証事業」と呼ばれる事業が実施されてきました。この事業は、島内で行われる太陽光発電や風力発電について、発電効果を可能な限り活用することを目的とした事業です。沖縄県や宮古島をはじめ、沖縄県が行うスマートエネルギーアイランド基盤構築事業の一環として、三井物産や宮古テレビのほかに、東芝沖縄電力、沖縄エネックといった企業も参加しています。

事業内容は「全島EMS(エネルギー管理システム)実証事業」のほか、「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」などの事業から構成されています。通称「すまエコプロフェクト」と呼ばれている「全島EMS実証事業」に関しては、地域エネルギー管理システム(CEMS)の構築のために、多くの住宅や事業所、そしてポンプ場などが参加しました。タブレット端末を使って電力消費量を可視化する「見える化」やデマンドレスポンスなども実施され、地下ダムにおける揚水ポンプについては太陽光発電がピークになる時間帯を見計らって、稼働する時間を移行していくといった運用が実証されました。

「来間島再生可能エネルギー100%自活実証事業」は100%自活を実証

当初の計画は31カ所、合計380kWの太陽光発電と蓄電池176kWhを設置するものでしたが、2014年には蓄電池の容量が足りず、もう一台追加し、太陽光発電380kW、蓄電池352kWhという設備で実証実験に挑みました。
そして今回太陽光を使った再生エネルギーなどのみで、宮古島市における来間島内に必要な電力の需要を賄うことが実証に至ったと発表されました。

来間島の人口は約200人、電力需要はピーク時に200kWほどになりますが、屋根の上には380kWになる太陽光発電設備が設置され、島内における電力系統に定置型蓄電池が導入されるなど、連系線による送受電が最小限になる運用も実証されました。

「全島EMS(エネルギー管理システム)実証事業」の結果は後日

全島において行われたEMS実証実験では、デマンドレスポンスに対して平均1割の家庭が応答することを確認。またポンプ稼働を、太陽光発電の稼働が活発になり余剰が出やすい昼間にシフトするなどといった実験を行ったということ。

詳細は2月18日に行われるシンポジウムで報告される予定です。

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東芝、水素による電力貯蔵を2020年実用化に目途、コストは蓄電池の半分

2014年12月に世界で初めてFCV(燃料電池自動車)を発売したトヨタをはじめとし、水素を用いた電力保存の方法が各社で模索されています。

東芝によると、水素を使った電力貯蔵技術に関して2020年にも実用化ができる見込みを発表。
それによると、蓄電池を使った電力貯蔵に比べて設置・運用費用が半分で済むのだそう。また蓄電池よりも長期の電力保存が可能というころで、再エネ設備の出力吸収の一つの打開策として強力視されます。

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