二酸化炭素排出力ゼロを民間で進める屋久島

世界遺産にも登録されている、鹿児島県・屋久でCO2(二酸化炭素)の排出量ゼロにする取り組みが進んでいます。「一ヶ月に35日も雨が降る」といわれるぐらい雨量の多い屋久の地域特性を活かした水力発電で、内の電力のほとんどの電力を賄います。

自社利益より「民需」を優先する民間企業

発電を担うのは大手の電力会社ではなくセラミックを製造する「屋久島電工」(従業員数約130人)。千尋(せんぴろ)滝(1300kW、1953年完成)、安房(あんぽう)川第1(2万千kW、1960年完成)、安房川第2(3万千kW、1979年完成)の3発電所のつくる電力の約2割は1万3千人超の島民や会社が使う「民需」に回され、残りを島内の工場で使用しています。同社の発電所ができるまでは、大正時代に造られた水力発電所(150kW)が一部集落と漁港の製氷工場に配電されていました。その他の地域は各地域の小規模水力発電所やランプに頼る生活をしていました。

屋久島の電力利用にとどまらない「CO2フリーの島づくり」

屋久島の一人当たりのCO2排出量は、全国の4割程度です。鹿児島県はこの長所を伸ばそうと森林の吸収量以上のCO2を出さない「CO2フリーの島づくり」を目標に掲げていて、CO2ほぼゼロを実現している発電以外にもCO2排出の排出量を抑える活動をしています。たとえば、屋久島グリーンホテルは自家発電装置を持たないLEDランタンを60個用意し停電時に客室に配るほか、生ごみは焼却せず全量を肥料に回すなど、CO2を抑える工夫を凝らしています。