デンマーク、風力による電力需給比率世界一の年間約40%を達成

1990年後半頃までのデンマークは、エネルギー資源が乏しかったために石油や石炭を輸入して電力を作り出していました。しかし1997年頃から風力発電とバイオマス発電が電力全体の中で比率を高め始め、ついには2015年1月12日にデンマーク風力発電が世界記録を樹立しました。
デンマークの風力発電事業者であるDWIA(Danish Wind Industry Association)の発表では、2014年における一年間の総発電量に占める風力の割合は39.1%にのぼります。さらに2014年1月の単月のみではなんと消費電力のうち61.7%を風力発電でまかなうという記録を樹立しています。

消費電力やエネルギー環境が似ている北海道でも実現可能?

スマートジャパンの記事で面白いのが、このデンマークの例を北海道になぞらえているところ。
人口や総発電量、風力発電に適した土地といったところが、両者似通っているのだそう。

北海道といえば、太陽光発電の設備認定容量(設置しますよ、と予約しているような状態の設備の総量)が需要の半分を越した状況で「もうだめだ!」ということで、応急措置的に蓄電池による出力吸収なども試みていました。
一方デンマークは単月ではあれ、60%以上の電力を風力によってまかなえているのは、どういった違いによるものなのか、記事では詳しい説明がされています。

デンマークは国際連携線が整っている

デンマークには3箇所の国際連携線があり、これによって隣国との電力融通などが容易になります。
一方の北海道は、本州との1箇所のみでしか系統がつながっておらず、は2019年までに90万kWまで増やす計画はあるものの、デンマークを目指すには十分ではないとしています。

国を挙げたコージェネレーションシステムが功を奏す

また、デンマークは熱電併用であるコージェネレーションシステムを大規模に導入し、発電によって生まれる熱を利用した暖房を活用しています。これによって化石燃料の消費が抑えられ、風力発電の割合を高めているとしています。

北海道の場合はコージェネレーション対応の施設も導入していなければ、化石燃料の消費を抑えるという面からのアプローチも厳しい状況です。
また北海道は風力発電のみならず太陽光発電の開発が進んでいる状況。単純に考えて発電のポテンシャルが一日の半分に限られている太陽光発電は時間による出力差が激しく、蓄電設備やほかの発電設備の出力調整などによる効率的な運用による対応がさらに期待されるところです。
出力のこまめな調節が比較的簡単な発電方法としてガスタービン発電、揚水発電、水力発電などが挙げられます。
政府は北海道電力での大型蓄電池実証実験のプロジェクトを開始したばかりではあるものの、他のアプローチによる出力吸収の方法も同時進行で投資していくことが期待されるところですね。