アイランドキッチンへのリフォーム・リノベーション例が増えていますが、一口にアイランドキッチンと言っても配置・レイアウトによって使い勝手やメリットがかなり変わってきます。設備を選ぶ際、アイランド部分にコンロを置くかシンクを置くか、または両方を置くか、ワークトップはフルフラットにするのか造作壁を作るか、などをそれぞれ選択しますが、それぞれの美観や、ダイニング側とのコミュニケーションのオープン性によって選ぶべきタイプは変わってきます。
マンションなどで近年増えているアイランドキッチンの間取りで、ダイニングキッチンとワークトップを一体にするプランがあります。食事のムードによってリビングでも食べられるような配置や家具を選べば、平日・休日などオンオフの切り替えがうまくいきます。現在壁付けI型の独立キッチンなら、壁を取り去って間取りを変更し、作業台にもなるダイニングキッチンを加えるだけでアイランドキッチンのようなオープン性を得られる場合があります。
近年、流行のキッチンと言えばなんといってもアイランドキッチン。シンクやコンロの付いたワークトップが四方の壁から離れて設置された、写真のようなレイアウトのキッチンのことをいいます。
写真はシンクもコンロも、作業用のスペースもすべて一列にアイランド部分にまとまったタイプ(I型)になりますがアイランド部分にコンロもしくはシンクの片方を置き、背面にもう一方を置くタイプ(Ⅱ型)もよく見かけます。アイランド部分に何を置くかによって使い勝手も若干変わってきます。
アイランドキッチンの典型的なパターンと言えるのがこのタイプです。コンロからシンクへの移動が一列なので調理しやすく、背面全体を収納にするシンプルなプランで見た目のカッコよさを追及しやすいのも特徴と言えます。一方で、コンロ上方には大きな換気ダクトが天井から吊り下がる形になるのでその存在感の好き嫌いは人それぞれと言えそうです。さらに壁に沿った自然な排気を促しやすい壁付けコンロと比べて排気の効率が劣るのも無視できないデメリットと言えます。
スペース面においては、アイランド部分にコンロもシンクも収めないといけなくなると、切ったり盛り付けたりの作業スペースをどう取るかによっては狭くて使いにくい仕上がりにもなりやすいので注意が必要です。キッチンレイアウトの基礎では、作業用のスペースの広さと位置についても詳しくご案内していますのでご参照ください。
コンロとシンク両方の時と同様にコンロが部屋の真ん中にある迫力は外観面で抗いがたい魅力があるようで、「アイランドキッチンでアイランド部分にコンロが無いなんて意味がない」という意見もしばしば聞かれます。コンロとシンク両方を並べるよりもコンロ周りや背面のシンク回りに作業できるスペースが増える一方でシンクからコンロへは振り返りの動作が必要になるⅡ型は使い勝手の好き嫌いが分かれるところです。
換気効率の低さも同じく注意したいところです。換気の効率を上げ、ダイニング側に油が飛びにくくするようにコンロ前だけ造作壁を付けたりするプランもありますが、わざわざダイニングに対面できるようにしたのに壁を後付けするのは何かと矛盾も感じます。使うときだけ下から出てくるワークトップ埋込み型換気扇のような最新型機器もありますが、コストに余裕がある場合でないとあまり現実的ではありません。
アイランド部分にシンクのみを設けるプランは、コンロのみと同様Ⅱ型は使い勝手の面でメリット・デメリットの個人差があります。ただ、コンロが壁際になるため換気計画はしやすいと言えます。
また、材料を洗って切って準備するまでの作業はアイランドで、火を使う作業は壁側で、というように分業がしやすく、夫婦や親子、友達などと一緒に料理する機会が多いに向いていると言えます。さらには、コンロは料理をする時に限定的にしか使わないの対し、シンクは細々と使う機会があるため、みんなが集まるリビングに近い方が便利なこともありそうです。例えばダイニングのテーブルを拭くのに布巾を濡らしたり、食べる前に手を洗ったり、薬を飲むのに水を注いだり、など。キッチン側からもダイニング側からも使える位置とデザインのシンクを取り入れるのがポイントです。フラワーアレンジメントやパン教室などをしたい方も、シンク付きの広い作業台はありがたいのではないでしょうか。
台所がリビングやダイニングから分離された独立型キッチンを、よりリビングに開けた空間にしようと、壁を取り払ってオープン/セミオープンの対面型キッチンにするリフォーム例は多くあります。
独立型の時と違ってリビングを見渡すことができるため、例えば小さい子供の様子を見ながら、またはテレビを観ながら家事をしたいというニーズを満たすことはできたものの、キッチンの造作壁が作るダイニング側とキッチン側、ひいては作る人と食べる人という家族内の役割を分断してしまう言わば見えない境界を残す問題は解決しきれませんでした。
夫婦で一緒に料理をしたり、気の知れない友人たちと気軽なホームパーティをするなら、対面側からでも調理に加わりやすいフルフラットアイランドキッチンはオープン性において替えがたい選択肢と言えます。
一方で、コミュニケーションがオープンであればあるほど良いとは一概には言えないのも事実です。特に日本ではある程度オープンとクローズのメリハリをつけたい方も少なくないのではないかと想像します。アイランドキッチンでも、作業している手元を目隠しするための造作腰壁を作ることで、一種の生活感を感じさせる調理場の雰囲気をリビングから心理的にも視覚的にも遠ざけることができます。また、水はねや油はねでダイニング側を汚しにくいという実用的なメリットもあります。
一概に優劣を付けられないフルフラットと造作壁ありの選択は、コミュニケーションの仕方や質的な面でかなり変化が出てくるので、自身の生活スタイルや価値観を振り返って慎重に決めたいところです。
ここからは、ダイニングやリビングとの関係性からキッチンの間取り・レイアウトの例をいくつか挙げて比較していきます。
特にマンションなどスペースが限られている場合、アイランドキッチンに続くようにしてダイニングテーブルを配置したり、フルフラットワークトップの対面側に食事ができるスペースをもうけたカウンタースタイルのダイニングキッチンのレイアウトプランが近年増えています。平日の朝など簡単に済ませたい食事はダイニングとキッチンが繋がった配置なら調理、配膳、片付けの手間が省けて効率的と言えます。ダイニングテーブル一体型キッチンの横にはスペースに余裕を持たせたリビングを設けることが多く、休日ゆっくり食事をしたい時や友人などを呼んだ時などはリビングでも食事ができます。オンオフの切り替えがしやすいこうした間取りは、共働き家庭や、子供が巣立って第二の人生を楽しもうという老夫婦に多く採用されています。
大人数で料理をしたい時などにはフラット型のアイランドキッチンがおすすめだと書きましたが、こうした設備は機器自体も高価格帯のものが多く、多くの場合今までのキッチンの場所を移動するプランになるため配管や排気経路などの移設するための施工費がかさみがちです。一方、図にあるように現状が壁付けの独立型キッチンなら、壁を取り壊して間取りを変えるだけでアイランドキッチンに準じるオープン性の高いキッチンを実現することができます。キッチンをそのまま使えば壁を抜き足しするだけなのでリフォーム費用を格段に抑えられます。キッチンを新調するにしても壁付けのI型は安価な商品が多く、施工費も最小限に抑えられます。
このとき、調理用カウンターとしてもダイニングテーブルとしても使えるような家具を用意するのがポイントと言えます。キッチン自体のコストを抑える分このテーブルを大理石にするなど奮発してみてもいいかもしれません。リビング側からはキッチンの間にこのカウンターを挟むので、コンロやシンクのような生活感を排除するという意味でも有効な間取りと言えます。調理に関わるコンロやシンクがすべて壁側にあるため厳密にはアイランドキッチンとは言えませんが、コストをかけて部屋のセンター部分にキッチンを移したはいいけど、スペースや使い勝手が良くなくて結局次のリフォームで壁側に戻した、という例もありますし、そもそも「アイランド」にこだわる特別な理由もない限り、使い慣れた壁付けキッチンを生かしたプランの方が間違いがないかもしれません。
広告
妥協したくない方のための一括見積サイト
登録施工店が多く自由度の高い提案も期待できます。強いこだわりを適正価格で実現したい方、できるだけ多くの選択肢から最適な業者を見つけたい方に最適です。対応地域:全国