防災・停電対策|容量別の停電時に使える時間と備え方
停電への備えでは、蓄電池の容量と、停電時に使う家電の消費電力から、何時間使えるかを考えます。冷蔵庫・照明・テレビ・スマートフォンの充電だけ(合計210〜390W)なら、実際に取り出せる容量(実効容量)10kWhで約26〜48時間、ふだんどおりに使うと(4人世帯の平均)約15時間です。2018年の北海道胆振東部地震では概ね全域に電気が戻るまで45時間程度、2019年の令和元年房総半島台風では停電の99%が解消するまで約280時間かかりました。停電が長引くときは、太陽光で昼に充電できるかが分かれ目になります。
停電が長引くと、蓄電池に貯めた電気だけでは足りなくなります。何時間使えるかは容量と使う家電で決まり、停電中に充電できるかは太陽光の有無と機種で決まります。家族構成・住まいの地域・在宅医療機器の有無から、停電時に使いたい家電と時間を先に決めておくと、容量と種類を選びやすくなります。
停電時に蓄電池があるとできること
停電時に蓄電池が維持できる生活機能と、蓄電池なしの場合の対応を比較しました。
| 停電時に維持したいこと | 蓄電池あり | 蓄電池なし |
|---|---|---|
| 冷蔵庫の食材保存 | ◯ 使える | × 冷やせない |
| 照明(リビング・寝室) | ◯ 使える | △ 懐中電灯・ランタン |
| スマホ・PC充電(情報収集) | ◯ 充電できる | △ モバイルバッテリーの容量の分だけ |
| テレビ・ラジオ(情報収集) | ◯ 使える | △ 電池式ラジオのみ |
| エアコン(夏冬の温度管理) | ◯ 全負荷型なら200Vのエアコンも使える | × |
| IH調理器・電子レンジ | ◯ 全負荷型で可 | × カセットコンロのみ |
| 給湯(エコキュート) | ◯ 200V対応の全負荷型で可 | × |
| 在宅医療機器(CPAP・酸素濃縮器等) | ◯ 給電する回路に入っていれば使える | △ 機器の内蔵・予備バッテリーの分だけ |
- 特定負荷型は、あらかじめ決めた回路に入っている家電だけ使えます。使える時間は、蓄電池の容量と家電の消費電力で決まります(下の表)
- 在宅医療機器の停電時の使い方は、主治医や機器の取扱事業者に確認しておきましょう
容量別の停電時に使える時間
停電時に使える時間は「蓄電池の容量÷使う家電の消費電力」で計算できます。冷蔵庫・照明・テレビ・スマートフォンの充電だけを使い続ける場合の消費電力は次のとおりです。
| 家電 | 消費電力の目安 |
|---|---|
| 冷蔵庫 | 50〜100W |
| テレビ | 100〜180W |
| 照明 | 50〜100W |
| スマートフォンの充電 | 10W |
| 合計 | 210〜390W |
- 消費電力はオムロン ソーシアルソリューションズ「マルチ蓄電プラットフォーム」の製品ページの目安です。2026年10月15日に確認
この必須の家電だけを使う場合と、ふだんどおりに使う場合の時間を、蓄電池の実効容量別に計算すると次のとおりです。
| 実効容量 | 必須の家電だけ (210〜390W) |
ふだんどおり (4人世帯の平均) |
|---|---|---|
| 5kWh | 約13〜24時間 | 約8時間 |
| 7kWh | 約18〜33時間 | 約11時間 |
| 10kWh | 約26〜48時間 | 約15時間 |
| 13kWh | 約33〜62時間 | 約20時間 |
| 16kWh | 約41〜76時間 | 約24時間 |
- 必須の家電だけは、冷蔵庫・照明・テレビ・スマートフォンの充電(上の表の合計210〜390W)を使い続けた場合です
- ふだんどおりは、環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」の4人世帯の平均(1日約15.7kWh)を1日を通して同じように使った場合です
- 実効容量÷消費電力で計算しています。電気を変換するときの損失は含めていないため、実際はこれより短くなります
ふだんどおりに使うと、表の容量ではどれも1日もたずに使い切る計算のため、停電時は使う家電を絞るのが基本です。実効容量はカタログの定格容量より小さく、たとえばニチコン ESS-U5L1は定格9.7kWh・実効8.6kWhです(容量の選び方)。
主な機種の容量と停電時の出力、必須の家電だけで使える時間の目安は次のとおりです。
| メーカー・主力機種 | 容量 | 停電時の出力 | 必須の家電だけで使える時間 |
|---|---|---|---|
| 京セラ Enerezza Plus | 5.5kWh | 2.0kW | 約14〜26時間 |
| シャープ クラウド蓄電池 | 9.5kWh | 組み合わせるパワコンで決まる | 約24〜45時間 |
| パナソニック 創蓄連携システムT | 9.7kWh | 5.5kVA | 約25〜46時間 |
| Qセルズ Q.READY | 9.7kWh | 5.9kVA | 約25〜46時間 |
| 長州産業 Smart PV Multi | 9.8kWh | 4.0kVA | 約25〜47時間 |
| オムロン マルチ蓄電プラットフォーム | 9.8kWh | 4.0kVA(太陽光が足りないときは最大2.5kVA) | 約25〜47時間 |
| ニチコン 単機能蓄電システム | 11.1kWh | 3.0kVA(片相1.5kVA) | 約28〜53時間 |
| スマートソーラー ハイブリッドシステム-T | 11.5kWh | 3.0kW(太陽光の発電中は4.2kW) | 約29〜55時間 |
| エリーパワー POWER iE5 GRID II | 12.9kWh | 5.5kVA | 約33〜61時間 |
| カナディアンソーラー EP CUBE | 13.3kWh | 5.9kVA | 約34〜63時間 |
| テスラ Powerwall 3 | 13.5kWh | 9.69kW | 約35〜64時間 |
| 長府工産 LiB Tower Pro | 14.9kWh | 5.9kVA | 約38〜71時間 |
- 使える時間は、定格容量÷必須の家電の消費電力(210〜390W)で計算しています。実際に取り出せる量(実効容量)は定格容量より小さく、電気を変換するときの損失もあるため、実際はこれより短くなります
- 停電時の出力は、停電時に一度に使える電力の上限です。エアコンなど消費電力の大きい家電を同時に使う場合は、出力の範囲に収まるかを確認しましょう
過去の大規模停電の長さ
停電がどれくらい続くかは災害によって大きく違います。近年の大規模停電の例は次のとおりです。
| 災害 | 最大の停電戸数 | 電気が戻るまで |
|---|---|---|
| 平成30年北海道胆振東部地震(2018年9月) | 約295万戸 | 概ね全域に供給できるまで45時間程度 |
| 令和元年房総半島台風(台風第15号・2019年9月) | 934,900戸 | 停電の99%が解消するまで約280時間 |
- 出典:内閣府「令和元年版 防災白書」(北海道胆振東部地震)、内閣府「令和元年台風第15号・第19号をはじめとした一連の災害に係る検証レポート(最終とりまとめ)」(2020年3月)
45時間を必須の家電だけ(210〜390W)で過ごすには、実効容量で約9〜18kWhが必要な計算です。280時間(約12日)になると約59〜109kWhが必要で、家庭用の蓄電池に貯めた分だけでは足りません。停電が長引いたときは、太陽光で昼に充電できるかが分かれ目になります。
全負荷型 vs 特定負荷型|停電時カバー範囲の違い
停電時のバックアップ範囲で「全負荷型」と「特定負荷型」に分かれます。災害時にどこまで生活機能を維持したいかで選びましょう。
| 項目 | 全負荷型 | 特定負荷型 |
|---|---|---|
| バックアップ範囲 | 家全体(200V機器・エアコン含む) | 指定した回路・コンセントのみ |
| エアコン使用 | 使える(200Vのエアコンも) | 決めた100V回路にあれば使える |
| エコキュート | 200V対応モデルで使用可 | 原則使えない |
| 停電時の使い方 | 家全体に給電(一度に使える電力には上限がある) | 決めた回路だけに給電し、使う電気を限って長く持たせる |
| 価格 | 同じ容量帯では下限はほぼ同じで、上限は特定負荷型より高い | 同じ容量帯では下限は全負荷型とほぼ同じ |
| 向いている家庭 | 災害多発地域・要冷蔵医療機器あり・テレワーク家庭・オール電化 | 必要最低限の備えで価格を抑えたい家庭 |
- 価格の比べ方と、停電時の出力の考え方は全負荷型と特定負荷型の選び方で確認できます
蓄電池とポータブル電源の使い分け
「ポータブル電源で十分では?」という声に対し、両者の特性を比較しました。家庭規模・予算・想定する停電期間で使い分けるのがおすすめです。
| 項目 | 蓄電池 | ポータブル電源 |
|---|---|---|
| 容量 | 5.5〜19.9kWh | 製品ごとに違う(仕様のWhで確認) |
| 価格 | 工事費込み約154〜285万円 | 製品ごとに違う(工事は不要) |
| カバー範囲 | 家全体(全負荷型)/指定コンセント(特定負荷型) | 直接コンセント接続した機器のみ |
| 停電時に使える時間 | 必須の家電だけなら実効10kWhで約26〜48時間 | 容量と使う家電で決まる(計算方法は蓄電池と同じ) |
| 充電源 | 夜間電力+太陽光(屋根) | コンセント+ソーラーパネル別売 |
| 向いている用途 | 長期停電・在宅医療・家族多数 | キャンプ兼用・短時間停電・賃貸 |
- 家全体の停電への備えは蓄電池、外出時や部屋単位の利用はポータブル電源、という使い分けもできます
太陽光があれば停電中も昼に充電できる
蓄電池だけでは、貯めた電気を使い切ると終わりですが、太陽光があれば晴れた日の昼に発電した電気を蓄電池に貯め、夜に使えます。停電が長引くほど、この差が大きくなります。ただし、停電中に太陽光で蓄電池を充電できるかは、機種と組み合わせによって違います。導入前に仕様と施工店の説明で確認しましょう。下の図は停電中の電力の流れを示したものです。
停電を検知して蓄電池が自立運転に切り替わると、必須家電への給電を続けます。太陽光で昼に充電できる組み合わせなら、停電が長引いても電気を補えます。
- ① 太陽光発電からの再充電:晴天時の日中に蓄電池を充電。日中発電→夜間放電のサイクルで長期停電に対応
- ② 蓄電池からの主役供給:冷蔵庫・LED照明・通信機器・医療機器などの必須家電を維持
太陽光×蓄電池の防災運用
- 晴天時:日中に太陽光発電→蓄電池に充電→夜間に放電 のサイクルで電力自給
- 発電量の目安:太陽光4kWの1日の発電量は平均約12.7kWh(東京・南向き30度の年平均)で、必須の家電だけの1日分(210〜390W×24時間=約5〜9kWh)を上回る計算です(容量の選び方)
- 曇りや雨の日:発電量が大きく減るため、使う家電をさらに絞る
防災備えとしての蓄電池選び 4つのチェックポイント
防災を目的に蓄電池を導入する家庭は、次の4点を確認しましょう。
- 家族構成と必須機器:人数・年齢・在宅医療機器の有無で、停電時に使いたい家電と時間が変わり、必要な容量と全負荷/特定負荷の選択も変わります
- 地域の災害リスク:自治体のハザードマップで想定される災害を確認し、停電が長引いた場合に使いたい家電と時間を決めておきます
- 太陽光発電の有無:太陽光があれば昼に充電できる組み合わせかを確認します。太陽光がなければ蓄電池に貯めた分だけで過ごすため、使う家電を絞る前提で容量を考えます
- 自動切替機能:停電を検知して自動で自立運転に切り替わるか、手動の操作が必要かは機種で違うため、仕様で確認します
防災備えとしての蓄電池選びは複数社の提案で確定
家族構成・地域の災害リスク・住宅タイプに合った容量・方式(全負荷型/特定負荷型)の組み合わせは、施工店の現地調査と提案で決めるのが確実です。複数社の見積もりで、防災備えとしての提案内容を比較しましょう。
家庭用蓄電池を一括見積もりで賢く選ぶ
家庭用蓄電池は同じ機種・同じ容量でも、販売施工店ごとに本体価格・工事費・補助金申請サポートの内容が異なり、総額が変わります。容量・全負荷/特定負荷・既設太陽光との相性などを踏まえて複数社から見積もりを取ると、相場感をつかみながら比較しやすくなります。以下は家庭用蓄電池の見積もり窓口で、いずれも無料で申し込めます。
- 対応しているメーカーは一括見積もりサイトによって異なり、当サイトでご案内しているメーカーでも見積もりに含まれていない場合があります。ご希望のメーカーが含まれているかは事前に各サイトでご確認ください。
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優良販売店のみを紹介・幅広いメーカーを比較
グリエネ
全国450社の販売施工会社から最大5社を紹介する一括見積もりサイトです。申し込むと最初にカスタマーサポートが状況や要望を聞いて紹介先を選ぶため、機種選びに迷っている段階でも依頼できます。加盟会社には工事保険への加入などの審査があります。
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蓄電池の一括見積もり・最大5社
タイナビ蓄電池
累計5万人の利用実績がある蓄電池の一括見積もりサイトで、地域に対応した会社から最大5社の見積もりを取れます。蓄電池だけの見積もりと、太陽光パネルとのセットの見積もりを選べます。グリエネで紹介された会社と別の選択肢を検討したいときの2つ目の候補として便利です。
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太陽光・蓄電池をまとめて相談したい方へ
エコ×エネ
太陽光発電・蓄電池の一括見積もりサイトです。太陽光発電を導入済みの家庭は卒FIT対策として蓄電池の見積もりを、これから設置する家庭は太陽光と蓄電池をセットで見積もりを依頼できます。
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東京都・太陽光&蓄電池に特化した専門窓口
エコエネハウス
東京都の太陽光・蓄電池に特化した専門窓口です。補助金の申請手続きを専門スタッフがサポートし、東京都と市区町村の補助金を組み合わせた費用の提案を受けられます。無料相談から始められるので、東京都にお住まいで太陽光とあわせて蓄電池を検討している方の選択肢に。対応エリアは東京都が中心です。
よくある質問(FAQ)
- 停電時に蓄電池はどれくらい持ちますか?
- 冷蔵庫・照明・テレビ・スマートフォンの充電だけ(合計210〜390W・オムロンの製品ページの目安)なら、実際に取り出せる容量(実効容量)10kWhで約26〜48時間使える計算です。ふだんどおりに使うと(環境省の4人世帯の平均 1日約15.7kWh)約15時間です。電気を変換するときの損失は含めていないため、実際はこれより短くなります。太陽光があれば昼に充電して、さらに長く使えます。
- 全負荷型と特定負荷型はどちらを選ぶべきですか?
- 停電時に普段通りの生活を維持したい場合は全負荷型(家全体・200V機器も使える)、必要最低限のコンセントだけで価格を抑えたい場合は特定負荷型を選びます。テレワーク家庭・要冷蔵医療機器のある家庭・地震多発地域では全負荷型が安心です。
- 蓄電池とポータブル電源、どちらが防災に良いですか?
- 用途で使い分けます。蓄電池(10kWh前後で工事費込み約177〜207万円)は分電盤につないで家の回路に給電でき、長い停電や在宅医療機器のある家庭に向きます。ポータブル電源は工事が要らず、直接つないだ家電だけに給電するもので、短い停電や外出先での利用に向きます。容量と価格は製品ごとに違うため、使いたい家電の消費電力と時間から必要な容量(Wh)を確かめましょう。
- 太陽光発電なしでも防災効果はありますか?
- あります。冷蔵庫・照明・テレビ・スマートフォンの充電だけなら実効容量10kWhで約26〜48時間使えるため、短い停電なら蓄電池だけで乗り切れます。ただし、2019年の令和元年房総半島台風(台風第15号)のように停電の99%が解消するまで約280時間かかった例もあります。長引く停電では、太陽光で昼に充電できるかが分かれ目になります。
- 停電時はエアコンも使えますか?
- 全負荷型なら200Vのエアコンも使えます。特定負荷型は、あらかじめ決めた100Vの回路に入っているエアコンだけ使えます。ニチコンの例では、エアコンの消費電力は冷房580W・暖房660Wで、動き始めは冷房1,400W・暖房2,000Wまで上がります(ニチコン調べ)。冷蔵庫や照明だけの場合より電気の減りが早く、停電時に一度に使える電力(自立運転の出力)に収まるかも確認が必要です。
- 災害時に自動で蓄電池が動作しますか?
- 停電を検知すると自動で自立運転に切り替わる機種(例:オムロンのマルチ蓄電プラットフォーム)と、手動の操作が必要な機種があります。切り替えの方法と、停電時に使えるコンセント・回路は、契約前に仕様と施工店の説明で確認しましょう。




