太陽光発電の過積載とは?
最適な過積載率やピークカット率などシミュレーション

メガソーラープロジェクトに限らず住宅用においても「過積載(積み増し)」という手法が一般的になってきています。これは簡単に言うと、パワーコンディショナーの容量に対して、ソーラーパネルの容量を大きくすることを意味します。トラックに荷を積みすぎて規定違反となる「過積載」と言葉自体が一緒なのでネガティブなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、太陽光発電事業などにおいてはメリットも少なくない過積載は推奨されることも多いです。

過積載のメリットとデメリット

「パワコンそのままで発電量120%」といった広告で過積載について初めてお知りになった方もいらっしゃるかもしれません。先の言葉だけ聞くと「そんなウマい話、裏があるに違いない」と身構えてしまいそうですが、話の真相が「パワコンそのまま(パネルは125%増量)で発電量120%」と分かれば何でもない話です。

実際はどれくらいお得なのか、損となり得る分岐点はどこなのか、といった数字的な話は後半で詳しくご案内していきますが、まずは過積載という手法についての概要を確認していきます。

初期費用を抑え、パワコンの稼働率を上げられる

太陽光発電に関わる初期費用のうちパワーコンディショナ(パワコン)が占めるのは10〜15%程度です。さらに耐用年数が20〜30年の太陽光発電に比べて、パワーコンディショナは10〜20年と短いので、20〜30年のうちに一度買い換えることを考えると必要総コストの20〜30%をパワコンが占めると考える事ができます。一方で、4パネルの最大出力が出る時間帯の割合は非常に少なく、年間を通した稼働率は20%にも満たない事が多いです。

こうした状況を見ると、パネル4kWにパワコン4kWという合わせ方は、実はパワコン側からするととてももったいないということが分かります。実際に住宅用でパネル5kWにパワコン4.5kWなどちょっとした過積載設置は常識の範囲で行われてきましたが、近年はパワーコンディショナに対してソーラーパネルが150%、200%といったものも見られるようになり、「スーパー過積載」などといった言葉まで聞かれるようになってきています。

発電量が無駄になる?

快晴時にソーラーパネルが5kW発電していても、パワーコンディショナの容量が4.5kWしか無ければ0.5kW分が無駄になるというのは確かです。一方曇天でソーラーパネルが1kWしか発電していない時でも4.5kWのパワコンを付けている事も、無駄といえば無駄でしょう。

過積載をする上では、ピークカットされて失う発電量と、過剰な設備投資という相反するデメリットのうち、経済的に一番メリットとなるポイントをシミュレーションして見つける事が一番重要なポイントと言えます。

過積載でも保証が付けられるようになってきている

以前はパワコンの能力を大きく超えるパネルをつけると機器保証などが受けられなくなるといった問題がありましたが、近年は過積載の有効性が立証されてきており過積載対応のパワコンが各メーカーから発売され、過積載でも保証が受けられるようになってきています。

実際に過積載を利用したメガソーラーの事例

太陽光発電の過積載設置が市民権を得た過程には各地の事業者による野心的なプロジェクトがありました。以下では比較的早い段階で過積載設置の可能性について実証した太陽光発電事業の実例をいくつかご案内します。

雪国でも採算性を上げるために選んだ過積載

新潟県で昭和シェルが手掛けたプロジェクトでは、約7MWの出力のパネルに対し、6MWのパワーコンディショナーを使用しています。

パワコンに対して1.17倍のパネルと過積載率はそれほど高くはありませんが、昭和シェルの子会社でもあるソーラーフロンティアのパネルは設置後数年は出力に対して5〜10%近く多い発電量が得られることが多いです。新潟のように年間日射量が比較的少なく不利な環境では少しでも採算性を上げることが重要となるので、過積載のような手法が検討されることが多いようです。

影がかかることも見越して過積載

全国一設備利用率(容量あたりの発電量)が少ない秋田県の廃棄物処理場に建設されたメガソーラーは、1.5MWのパワーコンディショナ―に対して2.2MWのパネルを使い、1.47倍とかなり高い過積載率を採用しています。影がわざとかかるようなレイアウトにしたことなども考えるとこの割合が一番採算性が高かったようです。過積載率と採算性に関しては、お住まいの地域の日射条件やその時の売電単価などで最適な割合が変わってきます。次の項ではシミュレーション例を使いながら過積載のバランスについて追求していきます。

過積載のベストバランスな「過積載率」は?

過積載をしてもあまりにロスが多いと発電事業者にとっては機会損失にもなりかねません。この項では過積載率何割くらいだと発電量がどれくらいロスになるのか、といったことを実際に計算し、シミュレーションしていきます。

時間別の日射量を調べよう

過積載によってロスになる可能性がある発電量の割合を計算するには、お住まいの環境における日射量をできるだけ正確に知る必要があります。これには、NEDOが無償で提供しているデータベースを使うのが良いです。以下ではデータの取り方や計算方法をご案内しています。

時間別日射量と発電量の調べ方

  1. NEDOの日射量データベースにアクセス
  2. 年間時別日射量データベース(METPV-11)を選択
  3. 「エリア」「地点」を選択し、グラフを表示
  4. 左上オレンジのボックス「表示データ選択」で「斜面日射量」を選択し、下の青いボックス「日射量データ表示種類」設置する向きや角度を設定
  5. 下の紫のボタン「一年分のデータをダウンロード」を押したら出てくるポップアップで任意の形式を選択し、データが取得する
  6. 取得できたファイルには24時間365日、全8760時間分の日射量データがJ(ジュール)表示で掲載されているので、これをkWh(3.6MJは1kWh)に直す。これに任意のシステム損失係数を掛けたものが、その時間に得られる大体の発電量に相当する

過積載率とピークカット率シミュレーション

上述の方法で取得した発電量シミュレーションデータを使い、過積載率とピークカット率を計算したものが以下の表です。(データは埼玉県所沢市、南向きに傾斜25度の設置環境におけるもの)

過積載率 ピークカット電力量
(パネル1kWあたりの年間)
ピークカット率
(ロス率)
ロス金額
143% 15kWh 1.2% ¥4,200
169% 72kWh 5.9% ¥20,160
200% 137kWh 11.2% ¥38,360

表では、ピークカットされた電力分をパワーコンディショナの標準稼働年数である10年間に渡ってロスし続けた場合に、どれくらいの金銭的なロスになるのかを計算しています。電力単価は平成29年の住宅用太陽光発電の売電単価に相当する28円で計算しています。ここでロスする金額(×パネル容量kW)が、パワコンの容量をダウンサイズすることで浮く金額を下回っていれば、過積載によって採算が合う可能性が高いと言えます。

パワコンによって可能な過積載率は様々ですが、例えばオムロンのパワーコンディショナは170%の過積載率でも保証が付けられる商品が出ています。この割合を超えると保証対象外となる可能性があるので、そうしたリスクも合わせて考える必要が有ります。

過積載設置を信頼できる施工店に相談する

住宅用で信頼できる施工会社を探す

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