V2Hとトライブリッド|太陽光×蓄電池×EVの選び方と価格
V2H(Vehicle to Home)はEVに貯めた電気を家庭で使う仕組み。選び方の軸は ①EVと家の間で充放電する単体のV2H(ニチコン EVパワー・ステーションは機器の希望小売価格128万円・税抜)と、太陽光・蓄電池・EVを1台のパワコンで統合管理するトライブリッド方式(ニチコン T5/T6・V2H込みの販売例で工事費込み約260〜380万円)の2タイプ ②国のV2H補助金(CEV補助金)は2026年度分の受付を8月27日に終了、東京都などの自治体の補助は別にある ③停電時はEVから家に給電でき、日産の試算ではリーフ(62kWh)で一般家庭の約4日分・軽EVのサクラで約1日分、の3点です。すでに太陽光・蓄電池がある家は単体V2H、これから3点セットで導入する家はトライブリッドが目安になります。
V2Hは太陽光発電と組み合わせると、昼間に発電した余剰電力をEVに貯めて夜や停電時に家庭で使うという循環が成立します。さらに蓄電池を加えたトライブリッド方式では、太陽光・蓄電池・EVを1つのパワコンで統合制御することで効率を最大化できます。
V2Hとトライブリッドの違い
V2H単体方式
EVと家庭の電気を相互変換する充放電器を独立した機器として設置する方式です。既存の太陽光発電・蓄電池とはそれぞれ独立して動きます。シンプルな構成で初期費用が抑えられるのがメリットで、すでに太陽光・蓄電池が設置済みの家庭の後付け用途に向きます。
トライブリッド方式
1つのパワーコンディショナで太陽光・蓄電池・EVの3つを統合制御する方式です。DC(直流)のまま3者間で電力をやり取りできるため、AC変換による電力ロスを抑えられます。代表例はニチコンのトライブリッド蓄電システム T5/T6 シリーズ。3点セットを一気に導入する新築・全面リフォーム向けで、統合UIによる一元管理が魅力です。
| 方式 | V2H単体 | トライブリッド |
|---|---|---|
| パワコン構成 | 3台(太陽光・蓄電池・V2Hそれぞれ独立) | 1台に統合 |
| 変換ロス | 大(AC↔DC変換が複数回) | 小(DCのまま流通) |
| 初期費用 | 機器(ニチコン EVパワー・ステーション)は希望小売価格128万円(税抜)+工事費 | V2H込みの販売例で工事費込み約260〜380万円(蓄電池7.4〜19.9kWh) |
| 向くケース | 後付け/既設太陽光・蓄電池がある | 新築/3点セットで一気に導入 |
ニチコン トライブリッド T5/T6 と EVパワー・ステーション
ニチコンは2012年に世界で初めて家庭用V2H「EVパワー・ステーション」を発売したメーカーで、国内V2H市場で約9割のシェアを占めるトップメーカーです(富士経済『エネルギーマネージメント・パワーシステム関連市場実態総調査2024』2022年度V2X金額・数量ベース)。トライブリッド蓄電システム T5/T6 シリーズは、家庭用蓄電池とV2H充放電器を1つのパワコンで統合制御する設計で、太陽光・蓄電池・EV連携の中核的な位置づけになります。
容量別の価格例
| 蓄電容量 | 価格例(V2H込み・工事費込み) |
|---|---|
| 7.4kWh | 260〜270万円台 |
| 9.9kWh | 280〜290万円台 |
| 14.9kWh | 340〜350万円台 |
| 19.9kWh | 370〜380万円台 |
- 太陽光発電・蓄電池の販売店が公開している、V2Hスタンドまで含めた工事費込みの総額の例です。施工店・設置条件で変わるため、必ず相見積もりで確認してください
- メーカー希望小売価格(税別)は、パワコンがES-T5 150万円・ES-T6 180万円、蓄電池ユニット(7.4kWh)が屋内用190万円・屋外用200万円、V2Hスタンド&V2Hポッドが190万円です(2025年2月の発表時点)。実際の取引価格は販売店によって大きく異なります
T5とT6の違い
パワコンの違いで、ES-T5は太陽光の入力4回路・連系出力5.9kW、ES-T6は入力5回路・連系出力9.9kWです。蓄電池は7.4kWh・9.9kWh・14.9kWh・19.9kWhの4種類から選べ、どちらも全負荷200Vに対応しているため、停電時もエアコンやIHなどの200V機器に給電できます。
V2H単体機:EVパワー・ステーション(VSG3)
蓄電池を含まないV2H単体機は、ニチコンの「EVパワー・ステーション」VSG3シリーズ(2024年春発売)です。メーカー希望小売価格は128万円(標準モデル・税抜)で、別途工事費がかかります。全負荷200Vに対応し、停電時も家全体に給電できます。旧モデルのVCGシリーズは2026年2月に生産を終えています。
東光高岳 SmanecoV2H(出力3kWの単体機)
東光高岳のSmanecoV2Hは、電力会社の系統と連系しない「系統非連系型」のV2H単体機です。2026年度の国のV2H補助金でも補助対象の機種に登録されていました。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型式 | CFD1-B-V2H1 |
| 方式 | 系統非連系型 |
| 出力 | 最大3kW |
| 定格電圧 | AC200V/100V |
| 接続規格 | CHAdeMO(V2H) |
| 価格 | メーカーのサイトに掲載なし(販売店の見積もりで確認) |
- 仕様はCHAdeMO協議会の登録情報によります
出力が最大3kWのため、停電時に同時に使える家電は限られます。トライブリッドのような太陽光・蓄電池との統合制御はできないため、停電時の非常用電源としてEVを使いたい世帯向けの選択肢です。
国のV2H補助金(CEV補助金)は2026年度分の受付が終了
V2Hの国の補助金は、経済産業省の「CEV補助金」(次世代自動車振興センターが交付)です。2026年度分(令和7年度補正予算)は申請が予算に達し、8月27日にセンターに届いた申請で受付を終了しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交付 | 次世代自動車振興センター(経済産業省の補助事業) |
| 機器 | 購入費の1/2(機種ごとの上限あり・最大75万円) |
| 工事 | 上限55万円(個人宅の場合) |
| 主な条件 | 個人宅は、設置場所を使用の本拠とするEV等があること。工事の着工は交付決定の後 |
| 受付 | 先着順。2026年8月27日に終了 |
- 次の募集の有無・内容は、経済産業省・次世代自動車振興センターの発表を確認してください
- EV車両の購入補助(CEV補助金の車両分)は別の制度で、2026年度分は受付中です(12月に終了する見込みと公表)
自治体の補助金
国とは別に、東京都などの自治体が独自にV2Hを補助している場合があります。対象や金額は自治体ごと、また新築か既存住宅かでも異なります。補助金は工事の着工前に申請が必要なものが多いため、見積もりの段階で施工店に補助金を使いたいことを伝え、お住まいの自治体の制度を確認してください。
V2H対応のEV/PHEV車種
V2Hが使えるのは、急速充電口(CHAdeMO)があり、車両側がV2Hに対応しているEV/PHEVです。ニチコン EVパワー・ステーションの対応車種一覧に載っている主な車種は次の通りです。
| メーカー | 主な対応車種 |
|---|---|
| 日産 | リーフ/サクラ/アリア/クリッパーEV |
| 三菱 | アウトランダーPHEV/エクリプスクロスPHEV/eKクロスEV/ミニキャブEV |
| トヨタ | bZ4X/プリウスPHV(2019年5月〜2023年1月式・急速充電インレットはオプション)/クラウン・アルファード・ヴェルファイア・RAV4のPHEV |
| レクサス | RZ/UX300e/ES(2026年式〜) |
| ホンダ | N-ONE e:/N-VAN e:(急速充電ポート付きの車両)/Honda e |
| マツダ | MX-30(EV・ROTARY-EV)/CX-60・CX-80のPHEV |
| スバル | ソルテラ/トレイルシーカー |
| 輸入車 | BYD(ATTO 3・DOLPHIN・SEALION 7など)/ヒョンデ(KONA・INSTER)/メルセデス・ベンツ(EQS・EQE・EQA・EQBなど) |
| 一覧にない車種(注意) | テスラ/ヒョンデ IONIQ 5(停電時の非常用に限って使用可) |
V2Hを前提にEVを選ぶ場合は、購入前にV2H機器メーカーの対応車種一覧で確認してください。同じ車名でも年式・グレード・オプションの有無で対応が分かれることがあります。
災害時にどれくらい使えるか
V2H+EVがあれば、停電時に満充電のEVから家に電気を送れます。まかなえる日数はEVのバッテリー容量で大きく変わり、自動車メーカーの試算では軽EVで一般家庭の約1日分、日産リーフ(62kWh)で約4日分です。
| EV車種(容量) | 一般家庭の何日分か(メーカーの試算) |
|---|---|
| 日産リーフ(ZE1型・40kWh/62kWh) | 約2〜4日分 (62kWhで約4日分) |
| 日産サクラ(20kWh) | 約1日分 |
| 三菱eKクロスEV(20kWh) | 最大約1日分 |
| 三菱アウトランダーPHEV | 最大約11日分 (ガソリン満タンで、エンジンでの発電と組み合わせた場合) |
- 日産・三菱の公式サイトの試算です。1日の使用電力量を、日産は約12kWh(環境省「平成29年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査」の世帯あたり年間電気消費量の全国平均4,322kWhから算出)、三菱は約10kWhとしています。V2H機器の変換ロスは含まないため、実際に使える量はこれより少なくなります。
- 環境省の同じ調査の令和5年度(確報値)では、世帯あたりの年間電気消費量は全国平均で約3,900kWh(1日あたり約10.7kWh)です。家族の人数・住まい・季節で変わります。
- アウトランダーPHEVは、V2H機器につないでいる間はエンジンで発電できません。発電するときはV2H機器から外します。
使う家電を冷蔵庫・照明・スマートフォンの充電などに絞れば、そのぶん長く使えます。太陽光発電と組み合わせると、停電中も晴れた日中は発電した電気を使えるため、EVの電気を長くもたせやすくなります。停電中に使える範囲(専用コンセントだけか、家全体か)は機器の組み合わせで変わります。
V2Hの導入は太陽光・蓄電池の構成設計とセットで
V2Hは太陽光・蓄電池・EVの全体構成と、補助金の活用タイミングをふまえて設計するのが基本です。一括見積もりサービスで複数社の提案を比較してください。
住宅用で信頼できる施工会社を探す
住宅の屋根は形・向き・広さに制約があり、載せられるメーカーやパネルの枚数は家ごとに変わります。価格にも幅があり、経済産業省の集計(2025年設置)では1kWあたり平均29.0万円に対し、安いほうから3割の水準は25.6万円です(5kWなら約17万円の差)。複数社から見積もりを取り、価格と提案の中身を比べてください。以下は住宅用の見積もり窓口で、複数社をまとめて比べられる一括見積もりサイトと、販売店などから直接提案を受けられる窓口があり、いずれも無料で申し込めます。
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東京ガスの太陽光発電・蓄電池の導入サービスです。家の状況や予算に合わせた提案を受けられ、補助金の申請手続きのサポートから導入後のアフターサポートまで対応しています(地域や条件により、東京ガス提携の販売施工店が契約・施工する場合があります)。対象は戸建ての持ち家で、対応地域は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県です。
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東京都の太陽光&蓄電池・補助金特化
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東京都の太陽光・蓄電池に特化した専門窓口です。補助金の申請手続きを専門スタッフがサポートし、東京都と市区町村の補助金を組み合わせた費用の提案が受けられます。無料相談から始められるので、東京都で太陽光と蓄電池の導入を検討している方の選択肢に。
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よくある質問(FAQ)
- V2Hとトライブリッドの違いは?
- V2Hは「EVと家の間で電気をやり取りする」充放電器単体のこと。トライブリッドは太陽光・蓄電池・EVの3つを1つのパワーコンディショナで統合管理する方式で、ニチコンが代表例です。トライブリッドは変換ロスが少ない一方、V2Hまで含めた販売例で工事費込み約260〜380万円と初期費用が高め。すでに太陽光・蓄電池がある場合は単体のV2H(ニチコン EVパワー・ステーションは機器の希望小売価格128万円・税抜)が現実的です。
- EVを持っていなくてもV2Hを先に付ける意味は?
- V2Hの本来機能(EVから家への給電)はEVがないと使えません。トライブリッド方式の場合はEVなしでも太陽光×蓄電池の高効率制御は動きますが、EV購入予定がない段階でV2Hだけ先行設置するのは費用対効果が低くなります。EV購入時期を決めてからセットで導入計画を立てるのが現実的です。
- 災害時にEVからどれくらい家電を動かせる?
- 自動車メーカーの試算では、満充電のEVでまかなえる電力は、日産リーフ(ZE1型・62kWh)で一般家庭の約4日分、日産サクラ(20kWh)で約1日分です(日産は1日の使用電力量を約12kWhとして試算)。三菱アウトランダーPHEVは、エンジンでの発電と組み合わせればガソリン満タンで最大約11日分です(三菱は約10kWhとして試算)。V2H機器の変換ロスは含まないため実際に使える量はこれより少なく、使う家電を絞ればそのぶん長く使えます。ニチコンのEVパワー・ステーションやトライブリッドのように全負荷200Vに対応した機種なら、停電時もエアコンやIHなどの200V機器を使えます。
- V2Hに国の補助金は使える?
- 国のV2H補助金(CEV補助金)は、2026年度分(令和7年度補正予算)の受付を予算到達により8月27日に終了しました。補助額は機器代の1/2(機種ごとの上限・最大75万円)と工事費(上限55万円)でした。国とは別に東京都などの自治体が独自にV2Hを補助している場合があるので、お住まいの自治体の制度を確認してください。
- V2H対応のEV車種は?
- V2Hが使えるのは、急速充電口(CHAdeMO)があり、車両側がV2Hに対応した車種です。ニチコン EVパワー・ステーションの対応車種一覧(2026年8月時点)には、日産リーフ・サクラ・アリア、三菱アウトランダーPHEV・eKクロスEV、トヨタbZ4X、ホンダN-ONE e:、マツダMX-30、スバルソルテラ、レクサスRZ、BYD ATTO 3・DOLPHIN、ヒョンデKONAなどが載っています。テスラは一覧になく、ヒョンデIONIQ 5は停電時の非常用に限られるため、V2Hを前提にEVを選ぶ場合はV2H機器メーカーの対応車種一覧で確認してください。
- V2Hの工事費はいくら?
- 工事費は機種・設置場所・EVまでの配線の長さ・分電盤の改修の有無で変わるため、メーカーも本体価格とは別に「工事費が必要」と示すのみです。V2Hは本体と工事費を合わせると100万円を超えることが多いので、複数社の見積もりで工事費の内訳まで比べてください。
- 後付けで太陽光・蓄電池とV2Hを連携できる?
- 可能ですが連携の深さは構成次第です。既存の太陽光・蓄電池とは独立してV2H単体を後付けする場合(ニチコン EVパワー・ステーション・東光高岳 SmanecoV2H 等)はそれぞれが個別動作するシンプルな構成に。最初からトライブリッドで設計する場合(ニチコンT5/T6等)はパワコンが統合され、太陽光の余剰電力をEVや蓄電池へ配分する制御ができます。すでに太陽光・蓄電池があるなら単体V2H、これから3点セットで導入するならトライブリッドが目安です。



