ペロブスカイト太陽電池とは|SOLAFIL・タンデム型・住宅用はいつから
2026年はペロブスカイト太陽電池の商用化が動き始めた年。日本勢では 積水化学のSOLAFIL(フィルム型・2026年事業開始・効率15%・耐久性10年)、カネカのタンデム型(ペロブスカイト×シリコン・2028年度発売予定・効率40%目標)、リコーのAirソーラー(屋内発電向け・東京都採用)の3社が異なる方向で先行。ただし住宅用の市販はまだ始まっていないため、現時点で太陽光を導入するなら主要メーカーのN型TOPCon(変換効率22〜23%・量産実績豊富)が現実的な選択肢です。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量・薄型・曲げられるという従来のシリコンパネルにはない特徴を持つ次世代の太陽電池です。2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明したこの技術は、主原料のヨウ素で世界生産シェア約30%を占める日本に有利な構造があり、政府の支援を受けて積水化学・カネカ・パナソニック・リコー等が量産化に向けて動いています。本ページでは、直近の各社の一次情報を整理し、住宅用にいつ買えるのか・主要メーカーのシリコン系と何が違うのか・耐久性は本当に大丈夫なのかを客観データでご案内しています。
結論|住宅用ペロブスカイトはまだ「待ち」
現時点でペロブスカイト太陽電池の住宅用市販は始まっていません。各社の事業フェーズは以下の通りです。
- 積水化学 SOLAFIL:2026年3月事業開始。当面は自治体・公共施設向け(さいたま市・滋賀県・福岡県・東京都など環境省採択先)。2027年度に100MW規模の生産ライン立ち上げを最優先で進行。住宅用への展開時期は未公表
- カネカ タンデム型:研究レベルで変換効率32.6%、目標40%。NEDOグリーンイノベーション基金事業に採択済。2028年度に商用販売開始予定で、住宅用はその後
- リコー Airソーラー:屋内低照度環境向け。2020年から世界初の市販開始済だが、住宅屋根用ではない
住宅用太陽光の導入を検討中であれば、現時点では主要メーカーのN型TOPCon(変換効率22〜23%・量産実績豊富・25年出力保証)が現実的な選択肢です。新FIT制度の初期投資支援スキーム(屋根設置10kW未満は最初4年24円/5〜10年目8.3円(2段階))の適用期間も限られているため、導入時期を遅らせるデメリットも考慮しておきたいところです。
積水化学 SOLAFIL(フィルム型・2026年事業開始)
積水化学工業とグループ会社の積水ソーラーフィルム(SSF)は、2026年3月27日にフィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」の事業開始を発表しました。日本勢の中で最も早く商用フェーズに入った製品です。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| サイズ | 幅1m × 長さ1.5m |
| 変換効率 | 15% |
| 耐久性(公表値) | 10年 |
| 形状 | 軽量・薄型・曲げ可能なフィルム型 |
| 主な設置対象 | 耐荷重の低い金属屋根(工場・学校・公共施設等) |
| 2026年度の供給先 | 環境省「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデル創出」採択先(さいたま市・滋賀県・西日本高速道路・福岡県・福岡市・東京都) |
| 2027年度の計画 | 100MW規模生産ライン立ち上げを最優先で進行 |
住宅用への展開はいつ?
SOLAFILは現時点でBtoB(業務用)・BtoG(自治体向け)が中心で、住宅用の販売は始まっていません。2027年度に量産ライン拡張を最優先と発表しており、住宅用への展開時期は公表されていない状況です。耐久性10年(公表値)は住宅用シリコン系の25年と比べて短く、長期運用を見込む住宅用としては実証データの蓄積が必要な段階です。
カネカ タンデム型(2028年度発売予定・効率40%目標)
カネカはペロブスカイト×シリコン(ヘテロ接合)のタンデム型で、シリコン単体の理論限界(約29%)を超える変換効率を狙う方向で開発しています。
タンデム型の仕組み
タンデム型は、波長の異なる光を2層で吸収するのが基本原理です。上層のペロブスカイトは短波長(青〜緑)を吸収し、下層のシリコンは長波長(赤〜近赤外)を吸収。シリコン単体では変換できない短波長の光を回収できるため、理論限界を引き上げられます。カネカの場合、自社のヘテロ接合シリコン(ハイブリッドモジュール)に積層する設計です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現在の変換効率(研究レベル) | 32.6% |
| 将来目標 | 40%以上 |
| 商用販売開始予定 | 2028年度 |
| 政府支援 | NEDOグリーンイノベーション基金事業「次世代型タンデム太陽電池量産技術実証事業」採択(カネカ・積水化学への合計支援94億円規模) |
| 実証事業 | さいたま市と協定(2026年3月18日〜2027年3月26日、市庁舎で屋外実証) |
2028年度の発売開始からまず産業用・公共用に投入され、住宅用への普及はその後の数年がかかる見込みです。住宅用の高効率パネル(22〜23%)を上回る30〜35%級が住宅用に下りてくる時期は、現状では2030年前後が現実的な見通しです。
リコー Airソーラー(屋内発電・東京都採用)
リコーは複写機開発で培った有機光導電体技術をベースに、低照度の屋内環境でも発電できる固体型色素増感/ペロブスカイト太陽電池を世界で初めて2020年に市販化した会社です。住宅屋根用とは異なる「Airソーラー」というブランドで展開しており、用途も製品サイズも住宅用とは別領域に位置しています。
- 2026年3月27日、東京都の「次世代型ソーラーセル普及拡大事業」共同事業者に選定
- 都庁・お台場海浜公園に Airソーラー搭載のガーデンライトを41基設置
- インクジェットプリント技術を応用し、レーザー加工・真空プロセスを使わない低コスト量産技術を開発中
- 主用途は屋内CO2センサー・コンビニのIoT機器・ガーデンライト等の小電力デバイス
N型TOPConとペロブスカイト系の比較
住宅用に量販されているのは、主要メーカーが採用するN型TOPCon系のシリコン高効率モジュールです。ペロブスカイトとの違いを整理します。
| 項目 | N型TOPCon(住宅用) | 積水化学SOLAFIL(フィルム型) | カネカタンデム型(2028予定) |
|---|---|---|---|
| 変換効率 | 22〜23% | 15% | 研究32.6%・目標40% |
| 出力保証 | 25年(業界標準) | 耐久性10年(公表値) | 未公表(シリコン側で長期化期待) |
| 住宅用販売 | 量販中 | 未開始 | 2028年度以降 |
| kW単価相場 | 22〜26万円/kW | 非公表(BtoB中心) | 未確定 |
| 強み | 長期信頼性・量産実績・kW単価 | 軽量・薄型・曲面対応 | 高効率(理論限界超え) |
住宅用で30年運用を見込む場合、現時点で確実なのは主要メーカーのN型TOPCon。ペロブスカイトは耐久性の実証データが蓄積され、kW単価が住宅用相場帯まで下がってからの判断が安全です。
BIPV・プラグインソーラーで広がる新市場
ペロブスカイトの軽量・薄型・曲面対応という特性は、従来シリコンでは設置できなかった新しい市場を切り開きます。
BIPV(建材一体型太陽電池)
屋根材・外壁・窓ガラスなどの建材そのものに太陽電池を組み込む方式。耐荷重の制約で従来パネルが乗らなかった工場・学校・公共施設の金属屋根、さらにはビル外壁・カーテンウォール・自動車の屋根など、設置可能な面積が一気に広がります。住宅でも、寄棟屋根の三角形部分・庇・カーポート屋根など、これまで諦めていた面に発電設備を増やせる可能性があります。
プラグインソーラー(ベランダ発電)
欧州(特にドイツ)で普及が進む方式で、集合住宅のベランダ等にコンセント接続で設置する小型発電設備です。日本では規格・電力会社の系統接続ルールがまだ整備中ですが、ペロブスカイトの軽量・薄型化が進めば賃貸住宅や集合住宅向けの新市場として立ち上がる可能性があります。
なぜ日本勢が先行できているのか
ペロブスカイト太陽電池は日本発の技術です。2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明し、その後世界中で研究が進みました。日本勢が量産化で先行できている背景には、以下の要因があります。
- 主原料ヨウ素の世界シェア約30%が日本(千葉県の天然ガス鉱床由来)。原料調達面で優位
- 研究蓄積の厚さ。発明から15年以上の国内研究の蓄積がある
- 政府支援。2025年9月、経産省は積水化学・カネカ・パナソニック・エネコート・リコーなど5社にペロブスカイト量産化補助で総額246億円を決定
- FIT制度の運用実績。住宅用太陽光の量販ノウハウが既に蓄積されている
よくある質問(FAQ)
- ペロブスカイト太陽電池は一般家庭でいつ買えるようになりますか?
- 現時点で住宅用の市販はまだ始まっていません。積水化学のSOLAFILは2026年から自治体・公共施設向けに供給開始、住宅用への展開時期は未公表です。カネカのタンデム型(ペロブスカイト×シリコン)は2028年度に商用販売開始予定で、住宅用はその後の展開が見込まれます。住宅用太陽光の導入を検討中であれば、現時点では主要メーカーのN型TOPCon(変換効率22〜23%・量産実績豊富)が現実的な選択肢です。
- ペロブスカイトの変換効率はどれくらいですか?
- 積水化学SOLAFILのフィルム型ペロブスカイト単体は変換効率15%(2026年事業開始時点)。カネカのタンデム型(ペロブスカイト×シリコン)は研究レベルで32.6%、目標は40%以上です。シリコン単体の理論限界(約29%)を超えられるのがタンデム型の強みで、量産化されれば住宅用太陽光の発電量を1.5〜2倍に伸ばせる可能性があります。
- ペロブスカイトの耐久性は本当に大丈夫ですか?
- 積水化学SOLAFILの公表耐久性は10年で、シリコン系(25年保証が主流)と比べると短いのが現状です。耐久性は研究段階で改善が進んでおり、タンデム型ではシリコン側の安定性に支えられて長期化が期待されています。住宅用で30年運用を見込む場合、現時点で確実なのは主要メーカーのN型TOPConで、ペロブスカイトは耐久性の実証データが蓄積されてから判断するのが安全です。
- ペロブスカイトはなぜ日本勢が先行できているのですか?
- ペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ素は世界生産シェアの約30%を日本が占めており、原料調達面で優位性があります。さらに2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明した経緯から、日本国内に研究蓄積が厚いのも背景です。経産省は2025年9月に積水化学・カネカ・パナソニックなど5社に総額246億円の補助を決定し、政府主導で量産技術確立を支援しています。
- BIPV・プラグインソーラーとは何ですか?
- BIPV(建材一体型太陽電池)は、屋根材・外壁・窓ガラスなどの建材そのものに太陽電池を組み込む方式です。ペロブスカイトはフィルム状で軽量・薄型のため、従来のシリコンパネルでは設置できなかった耐荷重の低い屋根や曲面にも適用できます。プラグインソーラーは集合住宅のベランダ等にコンセント接続で設置する小型発電設備で、欧州(特にドイツ)で普及が進んでいる方式。日本でも2026年以降、規格整備と並行して市場形成が進む見込みです。
- 今すぐ太陽光を導入するならペロブスカイトを待つべき?
- 現時点で住宅用ペロブスカイトの市販はないため、待つ意味は限定的です。新FIT制度の初期投資支援スキーム(屋根設置10kW未満は19円×5年+8.3円×15年)は適用期間が決まっており、導入時期を遅らせるほど制度メリットを受けられる年数が短くなります。住宅用は主要メーカーの最新N型TOPConモデルで導入し、将来タンデム型が住宅用に普及した段階で増設・更新を検討するのが現実解です。
住宅用は主要メーカーで一括見積り
住宅用太陽光は、量産実績と長期保証が確立した主要メーカーのN型TOPConで導入するのが現実的です。複数メーカーの見積りを取って価格・性能・保証を比較すれば、ペロブスカイトの本格普及を待たずに新FIT制度の恩恵を受けられます。
住宅用で信頼できる施工会社を探す
太陽光発電のメーカー選びで欠かせないのがいい施工店との出会い。実際に設置するとなると制約の多い住宅屋根は選べるメーカーが案外少ないこともあり、限られた選択肢から最適解を見出すにはメーカーと購入者をつなぐ施工店が重要な役割を果たします。必ず複数社から相見積もりを取って比較するのがおすすめで、2026年新FIT制度下では同じシステム容量でも施工店ごとに20万円以上の差が出ることも珍しくありません。以下は主要な住宅用一括見積もりサイトです。いずれも無料でご利用いただけます。
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話題の蓄電池も!選択肢を増やす相見積もりに
グリエネ
安さ勝負のネット系販売店も地域密着型店も提携する大手サイトで、安さも信頼性も譲れない方におすすめです。登録施工店が多く、太陽光発電と合わせて利用することでメリットが大きい蓄電池も一緒に見積もれて便利です。
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厳選施工店から選びたい
ソーラーパートナーズ
太陽光発電の施工業者の中には、販売のみを行い施工は別会社に下請けさせる業態もあります。ソーラーパートナーズでは販売店経由の施工店の紹介はしない方針で、他の一括見積もりサイトと違いをつけています。施工業者の顔が見える形で相見積もりを取りたい方に。
販売店・メーカーから直接見積もりを取る選択肢
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太陽光+蓄電池の販売店。複数メーカーを扱うため、仕様や構成の柔軟な相談ができます。
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関東エリアの大手ブランド。東京ガス自身が太陽光+蓄電池をセットで提案してくれます。



