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太陽光発電の出力制御|地域別の実績と見通し・住宅用(10kW未満)の扱い

出力制御は、エリア全体で電気が余りそうなときに、太陽光や風力の発電を一時的に止めてもらう仕組みです。住宅用の10kW未満は国の方針で当面の間は対象外です。2025年度の出力制御率は九州5.8%が最も高く、東北と四国が3.1%で、東京エリアでも初めて行われました(0.09%)。10kW以上の設備は、接続の時期とエリアによって、無補償で応じる上限(年30日・年360時間・上限なし)が違います。

ここでは、資源エネルギー庁の審議会(次世代電力系統ワーキンググループ)の資料と、一般送配電事業者の案内をもとに、出力制御のしくみ、住宅用の扱い、エリア別の実績と見通し、10kW以上の設備に適用されるルールを説明します。

出力制御のしくみ(電気が余ったときに止める順番)

電気は、使う量(需要)とつくる量(供給)を常に一致させる必要があります。春や秋の晴れた休日の昼のように、冷暖房をあまり使わず需要が少ない時間に太陽光の発電が増えると、供給が需要を上回りそうになります。このとき一般送配電事業者は、次の順番で供給を減らします(優先給電ルール)。太陽光・風力の出力制御は、火力の抑制やほかのエリアへの送電などを行ってもなお余る場合です。

この表は電気が余ったときに供給を減らす順番(優先給電ルール)です。
順番 行うこと
1火力発電(石油・ガス・石炭)の出力を下げる、揚水発電のくみ上げ・蓄電池の充電で電気を使う
2地域間連系線でほかのエリアへ送る
3バイオマス発電の出力を下げる
4太陽光・風力の出力制御
5長期固定電源(水力・原子力・地熱)の出力を下げる(技術的に難しいため最後)
  • 出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取組等について」(第52回 系統ワーキンググループ 資料1、2024年9月18日)に掲載された優先給電ルールの順番。

出力制御は、一般送配電事業者が対象の発電所へ指令を出して行います。遠隔で出力を制御できる機器(出力制御機能付きのパワーコンディショナと通信回線)を付けた設備は、指令に合わせて自動で出力を下げます。

住宅用(10kW未満)は当面の間、出力制御の対象外

10kW未満の太陽光発電(主に住宅用)は、国の方針で当面の間、出力制御の対象外とされています。九州電力の案内では、10kW未満は「10kW以上の制御を行った上で、それでもなお必要な場合」に限って制御される順番で、実際には制御しない区分に入っています。

この表は10kW未満の太陽光発電の扱いです。
項目 内容
出力制御当面の間、対象外。10kW以上の設備を制御してもなお足りない場合に限って制御される順番
出力制御機能付きの機器東京電力パワーグリッドの案内では、契約容量10kW未満の太陽光は、オンライン制御に必要な出力制御機能付きパワーコンディショナ等の設置は不要(対象外)
例外10kW未満の設備を複数の屋根に設置して合計10kW以上で売電する事業(いわゆる屋根貸しなど)は、出力制御の対象
  • 出典:九州電力「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度および経済的出力制御(オンライン代理制御)の開始等について」(2022年3月)、東京電力パワーグリッド「出力制御について」「指定電気事業者制度の廃止について」(2021年4月1日)。

晴れた日の昼に、住宅の太陽光の売電量だけが落ちる場合は、出力制御ではなく電圧上昇抑制の可能性があります。電圧上昇抑制は、設置した場所の配電線の電圧が高いときにパワーコンディショナが自動で出力を絞る機能で、出力制御とは別のものです。

エリア別の出力制御率(2023〜2025年度の実績と2026年度の見通し)

出力制御率は、太陽光・風力(変動再エネ)について、出力制御で止めた電力量の割合です(出力制御量÷(出力制御量+発電量))。九州エリアは2018年度から出力制御が行われており、2023年度の8.3%が最も高い年でした。近年はほかのエリアにも広がり、2025年度には東京エリアでも行われました。

この表はエリア別の出力制御率の実績と2026年度の見通しです。
エリア 2023年度 2024年度 2025年度 2026年度
(見通し)
九州8.3%4.8%5.8%6.9%
東北0.8%1.3%3.1%3.0%
四国1.8%3.2%3.1%2.6%
中国3.6%2.3%1.4%1.6%
関西0.1%2.1%1.1%1.4%
北海道0.01%0.04%0.25%1.4%
北陸0.6%0.9%0.1%1.0%
東京——0.09%0.9%
中部0.2%0.3%0.3%0.3%
沖縄0.27%0.15%0.17%0.2%
  • 実績の出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について」(第12回 次世代電力系統ワーキンググループ 資料1-1、2026年8月6日)。速報値を含みます。「—」は資料に数値の記載がない年度です。関西は淡路島南部地域を除き、四国は含みます。
  • 見通しの出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギー出力制御の短期見通し等について」(第13回 次世代電力系統ワーキンググループ 資料3、2026年10月6日)。2026年4〜7月を実績に置き換えて更新した値で、需要や電源の稼働状況によって変わります。

2025年度の出力制御量は九州エリアで9.8億kWh、東北エリアで5.4億kWhでした。同じ資料では、2026年度の春は全エリアで出力制御が発生し、九州エリアでは揚水発電所の補修停止の増加、ほかのエリアへの送電量の減少、好天による太陽光の発電量の増加などが重なって例年より増えたとされています。

10kW以上の設備に適用される出力制御のルール

10kW以上の設備は、電力会社に接続した時期とエリアによって、補償なしで出力制御に応じる上限が違います。

この表は10kW以上の太陽光発電に適用される出力制御のルールです。
ルール 無補償で応じる上限 適用される設備
旧ルール年30日まで2015年1月25日までに連系承諾を受けた設備
360時間ルール年360時間まで(太陽光の場合)その後、東京・中部・関西エリアで接続した設備(この3エリアは指定電気事業者になっていなかった)
無制限・無補償ルール上限なし指定電気事業者のエリアで接続した設備。2021年4月1日以降に申し込んだ設備は全国で適用
  • 出典:九州電力「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度および経済的出力制御(オンライン代理制御)の開始等について」(2022年3月)、東京電力パワーグリッド「指定電気事業者制度の廃止について」(2021年4月1日)。
  • 旧ルールの10kW以上500kW未満の太陽光は、それまで「当面の間、出力制御の対象外」とされていましたが、経済的出力制御の開始とあわせて対象に加わりました(九州エリアは2022年12月から)。

オンライン制御と経済的出力制御(オンライン代理制御)

遠隔で出力を制御できる機器を付けた事業者(オンライン事業者)は、一般送配電事業者の指令に合わせて自動で出力を下げます。機器を付けていない事業者(オフライン事業者)は、現地で手動で出力を下げる必要があります。オフライン事業者が本来行う出力制御をオンライン事業者が代わりに行う「経済的出力制御(オンライン代理制御)」も導入されています(九州エリアは2022年12月1日から)。

この表は経済的出力制御(オンライン代理制御)での精算です。
事業者 実際の動き 精算
オンライン事業者自分の分に加えて、オフライン事業者の分も代わりに出力を下げる代わりに止めた電力量は発電したものとみなし、買取価格相当の代理制御調整金を受け取る
オフライン事業者原則として実際には止めない(オンラインだけでは足りないときは実際に止める場合がある)代わりに止めてもらった電力量は発電しなかったものとみなし、買取料金から代理制御調整金が差し引かれる
  • 出典:九州電力「太陽光発電設備の廃棄等費用積立制度および経済的出力制御(オンライン代理制御)の開始等について」(2022年3月)、東京電力パワーグリッド「出力制御について」。代理制御調整金は、出力制御の2か月後の料金で精算されます(九州電力の例)。

資源エネルギー庁の資料では、出力制御の対象となる太陽光(10kW以上)のオンライン化率は、2026年3月末で九州91.1%、北陸91.0%、四国90.2%に対し、東京は56.8%でした。

2035年度の見通し(一定の前提を置いた試算)

資源エネルギー庁の資料では、太陽光と風力が今後の導入見通しの伸びの1.3倍程度まで増えた場合などの前提で、2035年度の出力制御率(無制限・無補償ルールの事業者)を試算しています。前提を置いた試算で、対策によって下がることも示されています。

この表は2035年度の出力制御率の試算(無制限・無補償ルールの事業者)です。
エリア 試算 火力等の最低出力を下げた場合
北海道37%31%
中国23%14%
東北21%13%
九州21%19%
北陸20%13%
中部9%5%
四国9%3%
関西8%4%
東京3%1%
沖縄0.26%0%
  • 出典:資源エネルギー庁「再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について」(第12回 次世代電力系統ワーキンググループ 資料1-1、2026年8月6日)。各一般送配電事業者の試算で、太陽光と風力をあわせた出力制御率です。2023〜2025年度の実績をもとに、2026年度供給計画の2035年の見通しで補正しています。
  • 「火力等の最低出力を下げた場合」は、既設の火力の最低出力を30%、バイオマスを50%まで下げたと仮定した試算です。

出力制御で売電はどれくらい減るか

出力制御率は止めた電力量の割合なので、10kW以上の設備では、エリアの出力制御率の分だけ売電量が減るのがおおよその目安です。たとえば年間の発電量が6万kWhの設備で、出力制御率が5%なら約3,000kWh分の売電が減ります。ただし、出力制御は需要が少ない時期の晴れた昼に集中するため、設備ごとの影響は場所やオンライン化の有無、代理制御の精算で変わります。

10kW未満の住宅用は当面の間対象外のため、出力制御による売電の減少はありません。住宅用で気をつけるのは、設置場所によって起きる電圧上昇抑制です。

10kW以上の設備で出力制御に備える方法

この表は10kW以上の設備で出力制御の影響を小さくする方法です。
方法 内容
オンライン化出力制御機能付きのパワーコンディショナと通信回線を用意し、遠隔で制御できるようにする。経済的出力制御では、代わりに止めた分の代理制御調整金を受け取る側になる
自家消費を増やす発電した電気を建物で使えば、その分は売電しないため出力制御の影響を受けない(自家消費型太陽光発電)
蓄電池を併設する出力制御の時間帯に発電した電気をためて、ほかの時間に使う・売る。国は、FIPに移行する電源の蓄電池の活用への支援を強める方針を示している
エリアの実績を確認する新しく設置する場合は、そのエリアの出力制御率の実績と見通し(上の表)を収支の試算に入れる
  • FIPへの移行と蓄電池の活用への支援は、資源エネルギー庁「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取組等について」(第52回 系統ワーキンググループ 資料1、2024年9月18日)に記載された方針です。

太陽光発電の見積もりを取る

住宅用の10kW未満は出力制御の対象外ですが、売電量はパワーコンディショナの容量や設置場所の配電線の状況でも変わります。見積もりの際は、発電量のシミュレーションの前提と、電圧上昇抑制が起きたときの対応も確認してください。

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よくある質問(FAQ)

出力制御(出力抑制)とは?
エリア全体で電気の供給が需要を上回りそうなときに、一般送配電事業者(電力会社の送配電部門)の指令で、太陽光発電や風力発電の発電を一時的に止めたり減らしたりすることです。火力発電を絞る、揚水発電でくみ上げる、ほかのエリアへ送るといった対策をしても電気が余るときに行われます。
住宅用の太陽光発電(10kW未満)も出力制御される?
10kW未満の太陽光発電は、国の方針で当面の間、出力制御の対象外です。10kW以上の設備をすべて制御してもなお足りない場合に限って制御される順番になっています。晴れた日に住宅の売電量が落ちる場合は、出力制御ではなく電圧上昇抑制の可能性があります。
どの地域で出力制御が多い?
2025年度の出力制御率は、九州5.8%、東北3.1%、四国3.1%、中国1.4%、関西1.1%などで、九州が最も高くなっています。東京エリアでも2025年度に出力制御が行われました(0.09%)。2026年度の見通しは九州6.9%、東北3.0%、四国2.6%などです(資源エネルギー庁の資料)。
10kW以上の設備にはどんなルールが適用される?
2015年1月25日までに連系承諾を受けた設備は、年30日までは無補償で出力制御に応じる旧ルールです。その後は、東京・中部・関西エリアでは年360時間まで無補償などのルール、ほかのエリアでは上限なし・無補償のルールが適用され、2021年4月1日以降に申し込んだ設備は全国で上限なし・無補償です。
経済的出力制御(オンライン代理制御)とは?
遠隔で出力を制御できる機器を付けていない事業者(オフライン事業者)が本来行う出力制御を、機器を付けた事業者(オンライン事業者)が代わりに行う仕組みで、九州エリアでは2022年12月1日から始まりました。代わりに止めたオンライン事業者には買取価格相当の代理制御調整金が支払われ、オフライン事業者の買取料金からはその分が差し引かれます。
出力制御で売電はどれくらい減る?
出力制御率は、出力制御で止めた電力量の割合です。エリアの出力制御率が5%なら、10kW以上の設備の売電量はおおむね5%前後減る目安になりますが、設備ごとの影響はオンライン化の有無や代理制御の精算で変わります。10kW未満の住宅用は当面の間対象外のため、出力制御による売電の減少はありません。

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