とよたEcoful Town、全施設が完成してグランドオープン

2014年4月に、低炭素社会を体験できる豊田エコフルタウンがすべて完成しました。この施設で市民に低炭素社会の進展や新ビジネスの開発を進めることを目的としています。豊田市では、低炭素社会の一端を具体化して、エコフルタウンを訪れた市民が未来の生活を体験できるようになっています。2012年のオープン以来来場者は増え続け、フルオープン後のゴールデンウイークでは6000人の来場者が訪れました。また、70か国、800団体の施設に対応しています。エコフルタウンの施設には、スマートハウス、地産池消のレストラン、水素ステーション、交流広場など多様になっています。

スマートハウスは、世帯の家族構成に合わせた家の展示や、リフォームでのスマートハウス化を意識した展示をしています。スマートハウスに認定されると減税が行なわれることになります。またエコポイントが支給されますが、市民の間で十分普及はしておらず、豊田市では対応を協議しているという状況です。
交流広場では、いわゆる「交差点確認システム」や「速度警報システム」であるITSを体験できます。「交差点確認システム」では見通しの悪い交差点に電光掲示板とカメラを設置して、ドライバーや歩行者に危険を通知します。「速度警報システム」は、住宅街など速度抑制エリアに入ると、スマートフォンアプリでドライバーに音声ガイダンスで知らせるようになっています。また、道路わきの電光掲示板には、速度を表示して注意喚起をします。

そのほかにも水素ステーションを設置することで、ドライバーに普通のガソリンスタンドと変わらないことを強調して、FCVの購入を促すなど、エコフルタウンは今後も「未来のフツー」を伝える情報発信源としての役割を果たすため、施設の拡充を図っています。

豊田市の低炭素社会システム実証プロジェクト

豊田市ではSmart Melit(Smart Mobility & Energy Life in Toyota City)を掲げ、低炭素社会の実現を目標に複数のプロジェクトを進行中。エコフルタウンもその一環です。
ここでは住民などが次世代型の暮らしを体験できますが、体験するにとどまらず豊田市では太陽光発電システム、蓄電池、HEMSの3つすべてを備えた家をスマートハウスと定義した上で補助事業や特別減税措置を与えるなど、低炭素社会実現のために包括的な視点による事業遂行を行っています。

それぞれ乱雑にプロジェクトを行っていくのではなくて、プロジェクトごとに建設的なつながりをもちながら、未来に向けた確実な歩みが感じられるSmart Melitについて、これからも注目して見ていきたいと考えています。

参考

北九州スマートコミュニティ創造事業で、電力需給の均衡化に関する実証実験2種の結果発表

北九州スマートコミュニティ創造事業の一環で行われたJX日鉱日石エネルギー岩谷産業による事業についての記事をまとめてご案内します。

JX日鉱日石エネルギーによるEVのエコドライブ支援とダイナミックプライシング

JX日鉱日石エネルギーは、2012年末から福岡県の北九州市で進めるCEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)と連携したダイナミックプライシング等を実証する試みの結果について発表しました。

この事業は「Dr.Driveセルフ八幡東田店」に設置されるEVの急速充電器を中心として展開されるもの。

同地区に在勤在住の三菱「i-MiEV」オーナーをモニターとして行われた同実験、内容の一つとしては、充電の際にエコドライブ支援として電費のお知らせサービスが提供されたのだとか。
その結果

2012年11月の平均電費が8.46km/kWhだったのに対して、3カ月後の2013年2月には同8.65km/kWhと2.2%向上

したのだそう。

さらにエコドライブの方法を月刊メールでアドバイスするサービスを行ったそうで、4カ月(計4回)の具体的なアドバイスによる指導によって平均電費は約10%も向上したのだとか。
(こう考えると情報を知っているというのは強いですね!)

エコドライブに加えて事業の目玉となったのが、「ダイナミックプライシング」の検証です。

EVの充電時間が出勤(8~9時)と帰宅(17~19時)の時間にピークになることをふまえ、時間別に充電単価を変動させたところ、ピークシフトおよび25%のピークカットに成功したということ。


岩谷産業による水素インフラ活用による余剰電力活用

同事業で岩谷産業が取組むのは、再生可能エネルギーの余剰電力を使用して水素を発生し、燃料電池で利用する実験です。

春秋の休日などは再生可能エネルギーの出力供給と需要のバランスが供給に傾くことから、これを有効利用しようとする試みで、再生可能エネルギーだけでなく時間帯料金などを利用して系統電力も用いながら、水素による出力の均衡化を目指すものです。

実証では岩谷産業は、水素の生成や燃料電池の稼働を自動で切り替える制御ソフトを開発し、

システムのイニシャルコストが下がれば、ダイナミックプライシングが採用されている場合、コストメリットをもたらす可能性も見えてきた

のだそうで、今後はコスト削減に加えての取組段階に移っていくようです。