積水ハウス・東芝・ホンダでスマートハウス・スマートコミュニティの実証実験

より快適で便利な、また、楽しくなる未来の暮らしを実現することを目指したスマートコミュニティへの取り組みを積極的に展開してきた、積水ハウス株式会社と株式会社東芝、本田技研工業株式会社の3社は新たに、さいたま市に実際に人が暮らせる二世帯住宅を実証実験ハウスとして建設し、先進の暮らし検証を開始しました。

二世帯住宅のうち、昼間は外出の多い子世帯の太陽光発電での余剰電力を親世帯で使うなど、世帯間での共有が可能になっていたり、ケーブルを使わずに電気自動車への充電を行う非接触充電などが特徴です。
パーソナルモビリティーを使いやすくした住空間づくりという試みを通じて未来の暮らしを支える技術をリアルな環境で磨いています。

先進の技術で豊かな暮らしを実現するための取り組みを推進し、グリーンファーストゼロを提供する積水ハウスとエネルギーの安定供給と効率的な生活や住空間づくりに向けて、家庭用のソリューションサービスをも展開する東芝、エネルギーマネジメント技術や将来のパーソナルモビリティーの在り方を検証するHonda、この3社は2013年11月には東京モーターショー内で住まいと家電とクルマがつながる未来の新しい暮らしを業界を超えた協議で提案しています。また、今回3社は2020年の暮らしを想定した二世帯住宅を具現化し、技術の確立と実用化めざし、同ハウスを活用した様々な検証を行う予定です。

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イギリス初のエコタウン「North West Bicester」が完成

イギリスでは初のエコタウンが誕生します。イギリス政府は、4か所にエコタウンの開発を計画しています。最初のエコタウンでは、2015年後半から暮らしがはじまります。

イギリスのエコタウンは、エコでスマートな街を目指しており、例えば、日本で言えば、パナソニック藤沢工場の跡地を利用した『Fujisawaサスティナブル・スマートタウン』のようなものです。
イギリス初のエコタウンは、『North West Bicester』で、6,000戸になり、日本の藤沢の6倍の規模になる予定です。
『North West Bicester』の第1フェーズで、393戸が建築され、今年中に住民が暮らし始めます。この街は、熱や温水を各戸にに供給するセントラルヒーティングシステムが導入され、また、この街の住民は、「私たちは食べものの育て方を学び、野生動物のための庭づくりを行います」「コミュニティ活動に参加します」などの『グリーン宣言』を行うことになります。ハード面のみならず、コミュニティにも注目しており、今後の参考になるかもしれません。

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大和ハウス工業豊田市にスマートタウン建設

2016年に、大和ハウス工業愛知県の豊田市にスマートタウンを建設する予定です。

21棟の戸建て住宅と2棟の集合住宅で構成される同スマートタウンでは、すべての住宅で太陽光発電システムや蓄電池などを使って、電力を自給できるようにすることが狙いです。また都市ガスを利用した「エコキュート」や「エネファーム」も設置します。

注目したいのが戸建て住宅のうち3棟で一括受電を行い、電力融通をするという点。一括受電とは、価格の安い電力を小売事業者から、一括で購入する仕組みです。またこの3棟には売電メーターと買電メーターを設置し、余った電力を小売事業者に売電することが可能になります。
さらに3棟で電力を集約して電力を融通することができるようにします。この際電気料金がどのように支払われるのかも含めて、運用開始後も注目したいですね。

また、タウン内には調整池が設けられます。ここには、太陽光発電システムが設置され、そこから電力を供給し、電気自動車を充電するといったことが可能になります。もちろんそのために、電気自動車用のコンセントも全戸に設置される予定です。

大和ハウス工業では、2015年の8月から造成工事を始め、2016年の7月から入居できるようにし、2016年内中に、このスマートタウンを完成させる予定です。

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宮城県東松島市、積水ハウスと「東松島スマート防災エコタウン」

宮城県東松島市では2015年8月に柳の目北地区に入居を目指す災害公営住宅を整備しています。そして積水ハウスと共に周辺の病院等と戸建住宅が敷地を超えてエネルギー総合融通を行うマイクログリッドによって電力供給する本格的なスマートタウンを実現する予定です。

東松島市は復興計画で「環境未来都市」構想を掲げて安心して暮らせる街づくりを行い、積水ハウスは「グリーンファースト」と呼ばれる環境配慮型住宅、およびそうした住宅が集まる「スマートコモンシティ」を推進しています。この両者が協力して造る「東松島スマート防災エコタウン」では公共施設や病院と戸建70戸・集合住宅15戸の合計85戸になる災害公営住宅を結ぶ自営線のマクログリッドを構築します。電力供給は太陽光発電47kWの自営線特定規模電気事業者(自営線PPS)がCEMSによって最適制御しながら行い、年間256t-CO2の二酸化炭素排出削減とエネルギー地産地消を実現します。

蓄電池を用いて系統内の太陽光発電を安定化させ大型バイオディーゼル発電機と組み合わせるため系統電力が遮断した場合でも3日間は通常の電力供給が可能であり、大震災のような長期停電の場合も病院や集会所など最低限の電力供給を継続させることができます。そのため災害活動拠点地への電力供給ができることで災害対応力や防災力の向上にも寄与することができるのです。東松島市では環境省の「自立・分散型低炭素エネルギー社会構築推進事業」事業の補助金を受け、分散型地域エネルギー自立都市を掲げています。また、平成23年12月には「環境未来都市」にも選定されています。

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岩手県宮古市でのスマートコミュニティ構築にSPCを4つ設立

岩手県宮古市にあるエネルギー事業を中核としたスマートコミュニティが、災害時の対応およびエネルギー有効活用を目指して本格始動しました。
これは、東日本大震災によってエネルギーの確保に対する関心が高まったため立ち上げられたものです。震災時のエネルギー問題に対応できるよう、「エネルギー確保」がプロジェクト全体の最大のテーマとなっており、宮古市総務企画部復興推進課長によると、民間企業に任せきりになるのではなく、地域として対応することが重要という考えに基づいています。

エネルギー確保に関わる各事業部を4つのSPCが担当し、対災害性向上や、土地自信が持つ力の回復力や力の向上、需要と供給のバランスの実現をコンセプトに、持続性を保つために採算性のある事業として成立するような組織を目指しています。

その一つであるカーシェアリングSPCでは、プラグインハイブリッド車を8台使用してエコカーのカーシェアリング事業を行っています。このハイブリッド車から災害時の電気を供給するという目的もあります。2015年度に設立予定の植物工場構想事業SPCについては、水耕栽培を太陽光を利用するハウスで行う予定となっています。早い段階で立ち上がりを予定している地域新電力SPCでは、宮古全体のエネルギー管理を担当します。災害時のエネルギー供給や、スムーズな復旧作業、エネルギー効率の改善などを意識した取り組みが行われます。

宮古発電合同会社は、3社(アジア航測、日本国土開発、復建調査設計)の共同出資によって設立され、日本国土開発が中心となってプランを作成しています。田老と赤前の2地域にメガソーラーを建設し、2つ合わせて4MWの発電が可能となります。

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横浜スマートシティプロジェクトでデマンドレスポンス実証実験にパナソニックら参画

「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」は、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を導入した世帯を対象に、デマンドレスポンス(DR)実証実験などを実施する事業です。
パナソニックは、このYSCP事業で、HEMSと太陽光発電を設置した住戸のうち48世帯を対象に、家庭用蓄電池(4.65kWhのリチウムイオン電池)を追加設置し、「家庭用蓄エネルギー機器によるデマンドサイドマネジメント実証」プロジェクトに取り組みます。

これは太陽光発電蓄電池を連携させて、エネルギー利用を最適化する試みです。家電の電力消費を監視・コントロールする「DSMユニット」と、太陽光発電蓄電池の電力利用を一体制御する「創蓄連携パワコン」が中核をなすシステムです。また同社は、HEMSに集められた、この電力消費や発電量、蓄電量などの情報を、パソコンやタブレットなどの情報端末で「見える化」するソフトウェアも開発しています。省エネ・創エネ・蓄エネの統合制御技術として開発したこのシステムは、「DSMユニット」がインターネット上のサーバーにつながることで成り立ちます。

本実証では、太陽光発電で余った電力を蓄電し、住宅での自家消費を増やすことによるエネルギーの自産自消にチャレンジします。日中太陽光発電で余った分を蓄電し、家族が帰宅する夕刻に使えば、効率的な電力利用につながりますし、需給ひっ迫期間のピーク時間帯は、太陽光発電で余った電力を電力会社の送電線に逆潮させる制御をすれば、需給ひっ迫の緩和に役立ちます。こうしてより効果的な節電やピークカット・シフトが可能になります。

同社は、参加48世帯の情報をHEMSサーバーに集約し、これを1つの太陽光発電システム&蓄電池に見立てた、エリア単位の実証実験も目指します。同社の目指す「家庭用太陽光発電アグリゲーション事業」にとっても、この実証実験の意義は大きいものです。

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とよたEcoful Town、全施設が完成してグランドオープン

2014年4月に、低炭素社会を体験できる豊田エコフルタウンがすべて完成しました。この施設で市民に低炭素社会の進展や新ビジネスの開発を進めることを目的としています。豊田市では、低炭素社会の一端を具体化して、エコフルタウンを訪れた市民が未来の生活を体験できるようになっています。2012年のオープン以来来場者は増え続け、フルオープン後のゴールデンウイークでは6000人の来場者が訪れました。また、70か国、800団体の施設に対応しています。エコフルタウンの施設には、スマートハウス、地産池消のレストラン、水素ステーション、交流広場など多様になっています。

スマートハウスは、世帯の家族構成に合わせた家の展示や、リフォームでのスマートハウス化を意識した展示をしています。スマートハウスに認定されると減税が行なわれることになります。またエコポイントが支給されますが、市民の間で十分普及はしておらず、豊田市では対応を協議しているという状況です。
交流広場では、いわゆる「交差点確認システム」や「速度警報システム」であるITSを体験できます。「交差点確認システム」では見通しの悪い交差点に電光掲示板とカメラを設置して、ドライバーや歩行者に危険を通知します。「速度警報システム」は、住宅街など速度抑制エリアに入ると、スマートフォンアプリでドライバーに音声ガイダンスで知らせるようになっています。また、道路わきの電光掲示板には、速度を表示して注意喚起をします。

そのほかにも水素ステーションを設置することで、ドライバーに普通のガソリンスタンドと変わらないことを強調して、FCVの購入を促すなど、エコフルタウンは今後も「未来のフツー」を伝える情報発信源としての役割を果たすため、施設の拡充を図っています。

豊田市の低炭素社会システム実証プロジェクト

豊田市ではSmart Melit(Smart Mobility & Energy Life in Toyota City)を掲げ、低炭素社会の実現を目標に複数のプロジェクトを進行中。エコフルタウンもその一環です。
ここでは住民などが次世代型の暮らしを体験できますが、体験するにとどまらず豊田市では太陽光発電システム、蓄電池、HEMSの3つすべてを備えた家をスマートハウスと定義した上で補助事業や特別減税措置を与えるなど、低炭素社会実現のために包括的な視点による事業遂行を行っています。

それぞれ乱雑にプロジェクトを行っていくのではなくて、プロジェクトごとに建設的なつながりをもちながら、未来に向けた確実な歩みが感じられるSmart Melitについて、これからも注目して見ていきたいと考えています。

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積水ハウス、宮城県工場で「防災未来工場化計画」の設備詳細など

積水ハウスは、2014年から宮城県の色麻町で住宅用の部材を製造する東北工場で「防災未来工場化計画」を進めています。
太陽光パネルを工場敷地内に設置すると共に、大容量の蓄電池とガスコージェネレーションシステムを新たに導入することで、災害に強い電力供給体制を確立することができます。

電力と温水を同時に作れる、出力225kWのガスコージェネと太陽光発電の3種類を組み合わせ最大1445kWの電力供給ができ、ピーク時の購入電力を700kWも引き下げることができます。

災害時に停電になった場合でも3種類の電源を使って地域防災活動の拠点となる町の対策本部として、積水ハウスの東北工場内に設置し、250人分の電力7日間供給することができる避難所にもなります。電力需給状況の最適状態に保つ為にFEMS(工場向けエネルギー管理システム)で、3種類の電源を制御し、PHV(プラグインハイブリッド車)やLP(液化石油)ガスタンクなどを備え供給手段を多重化し、東北工場を手始めに「防災未来工場」として全国の積水ハウスの工場と物流拠点を進化させていく計画をしています。

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今回各設備の設置は日本GEがおこなったということで、GE側からのリリースもご紹介します。

日本GEは、この平常時の電力ピークカットと災害時の電力供給を実現するために、同工場に大容量蓄電池と低NOxで熱電併給(コジェネ)運用のガスエンジンを設置し、工場建屋と事務棟にはLED照明機器を設置しました。すでに設置されている太陽光発電機器(出力720kW)と、今回設置した大容量蓄電池およびガスエンジンとの連携は、第2期工事の予定となっています。これら3種類の電源システムを統合した工場は国内に無く、完成すれば同工場が日本初となります。「平常時にはエコ、そして災害時にはタフ、という防災未来工場のコンセプトを実現させ、地域社会やオーナー様に安心・安全を提供するため、GEの各製品によるソリューションは最適でした」と、積水ハウス東北工場長は語っています。
東北工場は、積水ハウスが東北工場のある宮城県の色麻町と、官民連携で取り組んでいる地域防災の拠点として、2015年3月開催予定の「第3回国連防災世界会議」の関連事業である「スタディツアー(被災地公式査察)」の視察先に決定しています。報道関係者および同国際会議参加者向けに実施されるスタディツアー後については、随時、施設見学を受け付けています。

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第4回日本不動産ジャーナリスト会議賞に三井不動産「柏の葉スマートシティ」など

日本不動産ジャーナリスト会議という機関による「第4回日本不動産ジャーナリスト会議賞」なるものが開催されたそうです。

日本不動産ジャーナリスト会議って?

設立はなんと1989年にさかのぼるそうで、今年は26年目になります。都市問題や土地・住宅にかかわるジャーナリストらが集い、現在50人程で活動されているそう。

ホームページなどを見てみても、細々とやっているな、という感じがしますね。あくまで内輪の勉強会などを目的としたもののようです。

歴史のある団体で知識なども溜まっているでしょうし、もう少しオープンソースに出していってくれてもいい気もします。

「第4回日本不動産ジャーナリスト会議賞」の開催

今回のアワード企画も、団体のオープン化につなげる目的から始まったのかな、なんて想像していますが、まだ4回目とは言えまだまだ知名度も低い様子。8件しかなかった応募の中から「厳正な審査の結果」5件に選ばれた、といっても正直インパクトは薄いです。もちろん、見る目は確かなんでしょうが。

ここからは肝心の受賞プロジェクトの紹介を。

選ばれたのは三井不動産による「柏の葉スマートシティ」の街づくりなど。

またプロジェクト賞として柏の葉スマートシティの他に低コストの環境配慮型オフィスビルを企画・設計したNRGE東芝不動産の「ラゾーナ川崎東芝ビル」、多摩ニュータウン「エステート鶴巻4・5住宅」改修事業、「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」の街づくりも受賞しています。なお著作賞は不動産経済研究所の「全国マンション市場40年史」が選ばれています。

柏の葉スマートタウンの評価された点としては2014年4月から運用が始まった柏の葉スマートセンターというエネルギーマネージメント施設が、街区を超えて電力を融通するAEMS(エリアエネルギー管理システム)として本格的に運用開始されたことです。またFujisawaサスティナブル・スマートタウンの場合はエレクトロニクスメーカーが取り組む先進的な面が評価されましたが、この2件は民間企業主導で地元行政との連携のもと開発が行われました。

プロジェクト賞を受賞したケースは環境対応型の取り組みが行われたことが共通しており、ラゾーナ川崎東芝ビルが低コスト化への取り組みへの評価、エステート鶴巻4・5住宅の場合は大規模住宅で住民合意が難しいにもかかわらず外断熱・一括高圧受電などの大規模なスマート改修を実現した事例として評価されています。

参考

北九州スマートコミュニティ創造事業で、電力需給の均衡化に関する実証実験2種の結果発表

北九州スマートコミュニティ創造事業の一環で行われたJX日鉱日石エネルギー岩谷産業による事業についての記事をまとめてご案内します。

JX日鉱日石エネルギーによるEVのエコドライブ支援とダイナミックプライシング

JX日鉱日石エネルギーは、2012年末から福岡県の北九州市で進めるCEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)と連携したダイナミックプライシング等を実証する試みの結果について発表しました。

この事業は「Dr.Driveセルフ八幡東田店」に設置されるEVの急速充電器を中心として展開されるもの。

同地区に在勤在住の三菱「i-MiEV」オーナーをモニターとして行われた同実験、内容の一つとしては、充電の際にエコドライブ支援として電費のお知らせサービスが提供されたのだとか。
その結果

2012年11月の平均電費が8.46km/kWhだったのに対して、3カ月後の2013年2月には同8.65km/kWhと2.2%向上

したのだそう。

さらにエコドライブの方法を月刊メールでアドバイスするサービスを行ったそうで、4カ月(計4回)の具体的なアドバイスによる指導によって平均電費は約10%も向上したのだとか。
(こう考えると情報を知っているというのは強いですね!)

エコドライブに加えて事業の目玉となったのが、「ダイナミックプライシング」の検証です。

EVの充電時間が出勤(8~9時)と帰宅(17~19時)の時間にピークになることをふまえ、時間別に充電単価を変動させたところ、ピークシフトおよび25%のピークカットに成功したということ。


岩谷産業による水素インフラ活用による余剰電力活用

同事業で岩谷産業が取組むのは、再生可能エネルギーの余剰電力を使用して水素を発生し、燃料電池で利用する実験です。

春秋の休日などは再生可能エネルギーの出力供給と需要のバランスが供給に傾くことから、これを有効利用しようとする試みで、再生可能エネルギーだけでなく時間帯料金などを利用して系統電力も用いながら、水素による出力の均衡化を目指すものです。

実証では岩谷産業は、水素の生成や燃料電池の稼働を自動で切り替える制御ソフトを開発し、

システムのイニシャルコストが下がれば、ダイナミックプライシングが採用されている場合、コストメリットをもたらす可能性も見えてきた

のだそうで、今後はコスト削減に加えての取組段階に移っていくようです。