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省エネ基準最高峰の「パッシブハウス」を大解説

パッシブハウスは断熱・気密性を高めた建築で、冷暖房がほとんどいらないほどエネルギー効率が高いことが特徴です。なんでも建物の省エネ基準としては最も厳しいといわれるパッシブハウス、特殊な数値や基準で説明されることが多いこのパッシブハウス基準を、建築の知識のない方にも分かりやすく解説しています。

パッシブハウスはとにかく快適

パッシブハウスの定義と基準の項でご案内するように、パッシブハウスとして認定されるにはさまざまな構造上の問題を解決してエネルギー効率を高めていきますが、そもそもパッシブハウスの最大のメリットとはなんなのでしょうか。

家全体のエネルギー効率が良いと省エネ、節電ということになり経済的にお得であることは容易に想像がつくかと思いますが、なによりパッシブハウスが支持される理由はその心地よさだといいます。ほぼ無暖房で過ごせる部屋の中の空気は住人の活動によって発散される熱といった限りなく自然な方法で温められます。また高性能のフィルターを通した換気方法は外気の有害物質が家の中に侵入するのを防ぎます。人間にとって必要不可欠な空気に「質」があるとすれば、家の中でまさに最高品質の空気を享受できるのが、このパッシブハウス仕様と言えます。

パッシブハウスの歴史

パッシブハウスという概念の発祥は、スウェーデンのルンド大学のアダムソン教授とドイツの住環境研究所(Wolfgang Feist of the Institut für Wohnen und Umwelt)のファイスト博士との間で交わされた1988年の対話にさかのぼります。幾重にわたる研究の末1990年には初代のパッシブハウス住宅を完成させ、その成果や知識はファイスト博士によって1996年に設立されたパッシブハウス研究所(PHI/the Passive House Institute)を通して世界に広められています。

日本では2010年に始動した一般社団法人パッシブハウス・ジャパンなどが情報提供などを積極的に行いながら普及を促しています。

パッシブハウスの定義と基準、その効果

パッシブハウス研究所は以下で挙げるような基準を規定しており、その性能基準を満たせばパッシブハウスと認定されることになります。建物の省エネルギー基準の中で最も厳しいとされるパッシブハウス基準ですが、その厳しさもありあくまで推奨基準にとどまっています。つまり同基準に即さない住宅を建ててはいけないというものではなく、この基準を満たせばエネルギー効率という面で非常に効果が高くなりますよという目安にできるもので、新築住宅を計画する際は少しでも頭に入れておくといいというレベルです。

パッシブハウスの基準

  1. 冷暖房負荷が各15kwh/㎡以下
  2. 一次エネルギー消費量が120kWh/㎡以下
  3. 気密性能として50Paの加圧時の漏気回数0.6回以下

パッシブハウスとして認定を受けるには、上の右の3つの基準を満たしている必要があります。見慣れない指標のため感覚がつかみにくいかとは思いますが、以下ではこの基準を達成するために具体的に採用される構造例を挙げています。通常の住宅設計では考えもしないところまでカバーして初めて達成できるパッシブハウス基準の次元の高さがお分かりいただけるのではないでしょうか。

断熱材は最低でも30cm

外壁の断熱性能として0.15W/m2・K未満であることが求められます。これは断熱材の厚さにして30cm以上に相当し、外壁や内壁の厚さを加えるとさらに40~50cmというスペースを必要とします。日本の住宅は壁の厚さが15cm程度といった建物が多く、実に3倍程度の壁の厚さが必要となります。ただでさえ居住部の広さが限られている特に都市部の建物の場合は物質的なハードルが高い基準と言えるでしょう。

換気は熱交換換気システムを使う

日本では聞きなれない熱交換換気システム(熱回収率75%以上のもの)という装置を標準装備することが求められます。通常の換気扇は内外の空気が筒抜けになっており、使用したとたんに室温が外に逃げてしまいます。この熱交換換気システムは、室内からの空気の温度を使って外から取り込む空気を温める(夏場であれば冷やす)ことで、換気による熱交換を最小限に抑えるものです。

窓は3重、サッシにも断熱材

日本でも寒い地方では窓が二重になっていることがありますが、パッシブハウス基準レベルを達成するにはさらに、間にアルゴンガスを充てんしたガラスを三重にする必要があります。またサッシにも断熱材を使用し、外気の侵入を防ぎます。また3重窓であっても30cmの断熱を施した壁に比べると断熱性に欠けるため、窓の大きさも制限されます。

バルコニーは避ける

断熱材を通貫して外部に通じるような部分(熱橋/ヒートブリッジ)がある構造は例え面積的にはわずかであっても熱はどんどん逃げていきます。こうした構造を取る例としては窓の外にバルコニーを設けるような場合が挙げられます。家の設計の際はバルコニー(ベランダ)を設置しないか、もしくは本体とは独立した構造を採用するといった方法を取る必要があります。

給湯方法は省エネ仕様も考慮

パッシブハウス基準の一つに含まれる一次エネルギー消費量120kWh/㎡以下ですが、日本の住宅で多くの消費エネルギー比率を占めている給湯のエネルギー消費を含めて達成しなければいけません。日本に比べてひと家庭当たりの給湯関連のエネルギーが50~40%程度少ないドイツが発祥となっているパッシブハウス基準ですが、大きなバスタブに横たわる癒しをあきらめてまでパッシブ基準にこだわるのは矛盾している、とお思いになる方は素直にその気持ちを設計士なりビルダーなりに相談することが、納得の家づくりへの近道と言えるでしょう。近年はエネファームや太陽熱温水器の価格も低下してきており、省エネで費用対効果も高い機器の導入が、入浴とパッシブハウス基準、どちらのニーズも満たしてくれる可能性もあります。

パッシブハウスのコスト

ここではパッシブハウス基準を満たす家の価格・値段についてご案内します。本場のドイツでは標準住宅と比べて5~8%程度初期費用が高くなるようです。一方日本では標準の断熱基準自体が甘いためパッシブハウス基準との差は欧米に比べて大きくなっています。平均的に1~2割程度、使う断熱素材などによっては倍にまでなると言われる場合もあります。

パッシブハウスの費用対効果

パッシブハウス基準に適合するレベルの断熱性能を確保できれば、氷点下まで気温が下がるような地域でさえ暖房器具はほとんど必要なくなり、エネルギーコスト(電気代、灯油代等を含めて)に換算して最大10分の1程度まで低減できるといわれています。先ほどパッシブハウスは日本の標準と比べて2~3割高くなるとご案内しましたが、この初期費用はランニングコストの大幅な低減で相殺できる可能性が高いと言われます。

例えば介護サービス施設として日本で初めてパッシブハウス(無暖房工法)を取り入れた桜ハウスでは、自然な空調システムにより入居者に快適な空間を提供しながらも、5年で初期費用の償還を実現する予定だといいます。

デメリットはデザイン面で大きい制限

快適な空間を確保しながらも節電でよりお得な生活を実現できることを考えると、パッシブハウス仕様にすることによる初期費用の増幅はもはやデメリットとは言えないかもしれません。一方で導入のハードルを高めている理由としてはデザインの自由度が格段に下がることの方が大きそうです。

外の景色を楽しむための窓は大きさは限られていますし、ベランダでさまざまなアクティビティを楽しむこと(例えば日光浴をしながらの読書など)も現実的ではなくなります。

日本のパッシブハウス

基準の厳しさもありパッシブハウスの実際例は2010年8月の時点で世界に2.5万件程度となっており、そのほとんどが発祥となったドイツ圏や寒さの厳しい北欧などに集中しています。日本でもまだまだ実例は数えるほどしかなく、以下で挙げるような実験的に建てられたものにとどまっている状況です。

日本でのパッシブハウス第一人者森みわさん率いるキーアキテクツ

ドイツを中心に省エネ施設の建設プロジェクトに携わってきた森みわ氏は、帰国後キーアーキテクツを設立。世界レベルの断熱・省エネ住宅を日本に広めるべく活動されています。森氏は先述にもあった一般社団法人パッシブハウス・ジャパンの代表理事でもあります。

2009年日本で初めて鎌倉にパッシブハウスが誕生

キーアーキテクツが手掛けた2009年8月完工の鎌倉パッシブハウス(PH-Kamakura)は日本ではじめてのパッシブハウスに認定されています。

家全体の冷暖房は小型エアコン1台のみ。入居人のインタビューによると、オール電化にしたにも関わらず電気代が従来比約3分の1まで削減できているということです。また長年喘息に悩まされていた入居人のご家族ですが、外気の有害物質などを取り除き家の中にきれいな空気を戻す、熱交換換気システムによる空調で喘息が治るという嬉しい副次的効果もあったのだとか。

軽井沢のパッシブハウス

同じくキーアーキテクツが2012年に手がけた軽井沢のパッシブハウスは、パッシブハウスらしからぬデザイン性の高さが特徴です。足元まで開けた大きな窓から縁側に続く一階部分に加えて二階にも十分な広さのバルコニーを設けてあり、軽井沢の自然を存分に楽しむことができます。省エネにもデザイン性にも妥協しない建築を本場のドイツで身をもって学んできたという森みわ氏の技術が詰まった作品です。

北海道でパッシブタウン建設「オホーツク・スロービレッジ」

日本の中でも特に冬の寒さが厳しい北海道では、パッシブハウスの効果がさらに体感できることでしょう。灯油代だけで年間何十万もかかる北海道では、パッシブハウス仕様で灯油の使用料が8分の1程度まで減らせるそうです。

そんな北海道のオホーツク地域において森氏はオホーツク・スロービレッジと呼ばれる、いうなればパッシブタウンの建設を進めています。ヴィレッジを構成する15~20棟のパッシブハウスはエネルギー効率だけにとらわれずCO2排出量を極力抑える仕様を目指し、太陽光発電やバイオトイレなどのエコ設備も搭載の予定だということ。

日本でパッシブハウスが普及しにくい理由は建築業界の構造にあり?

キーアーキテクツのような設計事務所の存在はまだまだ日本の建築業界で異例と言えます。日本でパッシブハウスの普及を阻んでいる理由としては施主の立場からいうと初期費用やデザインの問題などが挙げられますが、それよりも大きな理由としては建築業界自体がまだまだ準備ができていないことが挙げられます。

例えばパッシブハウスの研究・建設が盛んに行われている北欧スウェーデンのような国では、建築にかかわる教育の場において主にデザイン面と技術面で明確な区別があります。職種としても建築家と言えば、外観はもちろん使用する人々と建物のコミュニケーション(インターフェイス)をデザインするのに長けた人材を指す傾向があります。一方で断熱性等の機能面の追求は技術的知識に特化して教育を受けた技術者が担当します。パッシブハウスの規格に適合するための様々な物理的計算をするのも技術者の役割です。

各分野に特化した専門家が手を取り合って建築を作り上げるこうした国とは違い、日本では機能面の計画・設計等も含めて建築士が責任を負っている場合が多くなります。当然、建築士の知識や意識の高さによって機能面が後回しになることも容易に考えられます。

こうした業界の状況もあり、おうちの快適性を確保するためには施主の検討基準の中でどれだけ機能面への意識を高く持てるかどうかがより重要かもしれません。上述のパッシブハウスの基準等も照らし合わせながら、デザイン・機能双方で納得のいく提案を、追求することが求められます。

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