意外に知られていない太陽熱温水器の実力を検証

太陽熱温水器とは

太陽熱温水器は太陽のエネルギーを活用するエコ機器として1900年前後には既に実用化が進んでいたと言われます。

初期の太陽光温水器の広告 初期の太陽光温水器の広告
(1902年・アメリカ)

熱を熱のまま変換するシンプルなアイデアと50%という効率の高さで、エコ意識の高い方を中心に支持されています。寒い冬でもお湯が作れる集熱方法が考案されたり、ガス等の給湯器と組み合わせながら温度調整ができたりと、製品の使い勝手も向上してきています。

歴史の長い太陽熱温水器、一時は下火に

日本でも戦前には太陽熱を使った給湯機が販売されていたといいますが、1973年第一次オイルショックをきっかけに注目が増し、さらに第二次のオイルショック(1979年)を挟んで設置量は約3倍に増えています。※1

1997年には太陽熱温水器は11.2万台の売り上げ数があったとされますが、※2同年には太陽熱温水器の悪質な訪問販売に関するニュース※3があったこともあり、2000年代後半には年4万台程度まで減っています。普及率も2009年の6.2%から2014年には3.4%へと下がってしまっています※4

  • 1 電力中央研究所の平成20年の報告による
  • 2 出典:ソーラーシステム振興協会ほか
  • 3 太陽熱温水器の朝日ソーラーの販売手法に苦情が相次いだことで1997年国民生活センターから社名公表され、話題になった
  • 4 総務省統計局の調査

性能は悪くない太陽熱温水器にもういちど着目してみよう

太陽光発電人気の影に隠れて目立たなくなってきている太陽熱温水器ですが、実は性能自体は高く、ほぼ完成された技術という事もできます。太陽の光の20%程度しか活用できない太陽光発電に対して、先述の通り太陽熱温水器は太陽の熱の50%を活用できます。ただ価格と耐用年数のページでもご案内していますが、高性能で高価なものほど採算性が低くなってしまっているため、導入する際はニーズにマッチした製品選びをする必要があると言えます。安価でもしっかりガス代節約に貢献してくれる製品を選べば、そのメリットは十分に享受できると考えられます。

太陽熱温水器の仕組みと性能、製品の選び方

給水は通常の水道から行われ、太陽の放射熱を集める集熱器とタンクで構成された太陽熱温水器で温水に変えて建物内に送られます。それぞれのメーカーが別々に特長的な製品を作っておりスペックを見比べるだけでは一概に比較しづらいかもしれませんが、以下ではまず効率の異なる2種類の集熱器についてその性能の違いをご案内し、また使い勝手の面から自然落下式と水道直結式の2種類の製品の特長・メリットデメリットをご案内しています。

効率の異なる2種類の集熱器

太陽の熱を集める集熱パネルは大きく分けて2種類あります。従来式のものは平板状で、黒く塗装したステンレスなどの金属を強化ガラスで覆った構造が多いです。温めた水が外気温で冷めてしまわないよう断熱構造が用いられていますが、冬場はどうしてもパワーが落ちてしまいます。

対して比較的新しい集熱方法として真空管式のものが注目されています。二層のガラスの間に真空層をもうけ管で熱を集め、逃がさないため冬でもパワーがあまり落ちないとされています。平板状と真空管、気になるのはその性能の差ですが、結論から申し上げると当サイトの独自調査から真空管式のものは平板式のものより35%程度効率が良いという結果が得られています。

グラフは平板状と真空管式のパネルを導入した場合の年間を通した給湯性能について、沸かした温度(沸きあがった湯温ともとの水温の差)と到達湯温を示しています。データはそれぞれのパネルのメーカー公表のものを元にパネル3㎡とタンク200ℓを組み合わせた場合のシミュレーションを計算してご案内していますが、設置角度が平板式は年間合計を優先した30度、真空管式は冬季を優先した40度となっているため季節による性能の推移の仕方に違いがあることに留意の上ご参考にしていただければ幸いです。

年間の平均湯沸かし温度は平板式で37.4真空管式で50.4となり、真空管式が1.35倍の性能を発揮していることが確認できます。

真空管式の場合、一番効率が低い冬場でも湯温プラス約40度で50度前後の湯が月平均で得られていることは注目に値します。平板状の場合は出来上がりの湯温が40度を切る月が2カ月あり、曇りの日のことなごも考えると年間を通してしっかり追い炊きができるバックアップ給湯器の導入を考える方がよさそうです。

  • 平板は長府製作所の「エコワイター」集熱パネル3㎡×タンク200ℓのものを真南・30°で設置した実測値(山口県下関市)
  • 真空管は寺田鉄工所の「ソルテック」集熱パネル4㎡×タンク300ℓのものを真南・40°で設置したシミュレーション値(東京都)
  • 性能の差が比較できるよう真空管式のデータにおいてはパネル面積とタンク量を平板型のものに合わせています。

ちょうど良いサイズのパネルと、パネルに見合ったタンクを選ぼう

快晴・曇天と天気によって性能の差が生じます。快晴時、使い切れないほどのお湯ができてしまうとロスにつながります。エコを重視するからロスは気にならないという方もいらっしゃるでしょうが、エコも経済性も両立させたいという方は少し少な目の容量でしっかり太陽の恵みを使い切って、足りなければガスや電気のボイラーにつないで焚き直しという方法を取る方が賢いかもしれません。こうした理由からパネルの大きさを選ぶ際、給湯だけの場合は平板で3㎡・真空管で2㎡、おうち全体のお湯に使うなら同6㎡、4㎡を目安に製品を選ぶとよさそうです。

タンクの容量については、基本的にはパネルに対して温める水の量(=タンクの容量)が少ないほど高い温度のお湯が沸かすことができます。パネルとタンクのバランスは既にセットで決まっている製品も多いものの、自身でパネルを足せる製品もあります。セットになったものは集熱パネル1㎡あたりのタンク水量が30~70ℓと幅広くなっていますが、パネルに対する水量が少ないほどより熱いお湯が作れたりタンクの重量が少ない一方でタンクが大きいほど太陽熱をより多く保存できる可能性があるなどメリットもさまざまなので、目的に合わせてバランスを考えてみてください。

パネルの設置角度と方角について

電気ができたらできた分だけ売電できる太陽光発電の場合はその地の緯度に合わせて35度程度の傾斜をつけて真南に設置するのが、年間を通して一番多く光を集められると言われています。太陽熱温水器の場合も年間を通してより多くの太陽熱を集めるには同様の角度を確保すればいいことになりますが、温水器で温めるお湯は使うまで貯蔵しなければいけないことや使い切れなかった分は次の日に持ち越すしか無いこと、また季節によって使用量に大きく差が出ることもあることから、生活パターンなどをよく考えながら最適な設置角度を考えるほうがよりお得になるかもしれません。

まず角度ですが、冬場は放射熱も少ない上にお湯の使用量も増えがちなため、冬場を優先して40~45度程度の傾斜を付けることも多いです。屋根にそのまま設置すると多くの場合角度が足りないため、15度程度持ち上げて設置できるような架台も販売されています。

一方方位はお住まいのお家の屋根の向きもあるでしょうから、選べるほどの選択肢がない場合も多いでしょう。真南と比べて東西は20%程度効率が落ちると言われますが、夜や朝方にお風呂に入る場合は西に傾けて設置した場合保温時間が短くなるためお湯が冷めにくいというメリットもあります。

設置場所に関しては屋根上に限らず、地上に架台を置いたり、ベランダのフェンス外部に立てかけるように設置する方もいらっしゃるようです。角度と方位でかなり効率が変わってくるため、ベストな設置環境を探してみてください。

  • 傾斜30度で真夏の条件下において

使い勝手から選ぶ「自然落下式」と「水道直結式」

一番安価な自然落下式の給湯専用、デメリットを理解すればエコも楽しい?

一番安価に導入できるのはタンクと集熱器が一体になっており、屋根に取り付けて高低差を利用して湯船に直接落とすようなタイプです。こうしたタイプはコストがかなり安く、設置も含めて20万円程度で購入することができます。シンプルな構造なため、DIYに自信のある方で自作に挑戦する方も少なくありません。

よりシンプルな太陽熱温水器の設置図

以下でご案内するような全自動の給湯システムに組み込むタイプのものと比べると癖が強く、その使い勝手の悪さから嫌煙されがちですが、エコに気を使った生活は少々面倒くさいのが当たり前、と割り切れている方ならその手間さえ楽しむことができるかもしれません。エコはもちろん経済性の高さによる見返りの大きさも、楽しみの一つに加わります。

前置きが長くなりましたが、さっそく自然落下式太陽熱温水器のデメリットをまとめて見ていきます。落水式や重力式とも言われるこのタイプは湯船専用の水栓を用意することが基本で、温水はシャワーには利用できません。給湯は一定の水量でブザーを取り付けることはできますが、お湯は自分で止めに行かなければならない手間もあります。配管によっては水圧が低くて給湯に時間がかかることもあります。タンクにたまった湯温の把握は、オプション機器を追加(部材すべてが1万円程度)すれば可能です。ただそのお湯を湯船に張る際、どれだけ水で薄めるか、追い炊き等の湯温の調整は手動になります。太陽熱温水器のお湯を使い切った場合の給水については基本的に手動ですが、これも安価なオプション機器の導入で簡単に自動化することができます。

湯温調整のワンポイントアドバイス

自然落下式で一番手間なのは湯温の調整かもしれません。浴槽に取り付けた温度計で目測しながら、熱すぎればちょうど良くなるまで水で薄める作業を日常的に行わなければいけません。真空管式であれば冬でも45度以上になることがあるので水で薄めて利用しますが、冬季の平板状や曇天・雨天時は逆に水が十分に温まっておらず、追い炊きが必要になります。給湯器に追い炊き機能が付いていない場合は新調しなくても、60~70度といった熱いお湯を足すことで代用することができます。(火傷には十分ご注意ください)

ストレスフリーの使い心地ならバックアップ給湯器に接続したハイブリッド型(水道直結式)を!

太陽熱温水器のお湯をそのまま使うのではなく、既存のガス等の湯沸かし器に接続し、湯温が足りない場合は焚き増しし、湯温が高い場合は水と混ぜて適温のお湯を供給できるようにしたハイブリッド型のシステムも多くなってきています。このタイプは通常の水道にシームレスに接続されるので水道直結式のように呼ばれることもあります。また家全体の給湯を行うボイラーに一度温水を集約させるため、セントラル給湯システムのように呼ばれることもあります。

水道直結式の太陽熱温水器の設置図

ハイブリッド給湯器は湯温調整や給水など全自動で水圧も落ちないので使い心地はとても良い反面、設置費用が高くなりがちなのがデメリットです。給湯器は高温のお湯で給水できる仕様のものである必要があったり、太陽熱温水器の水をミキシング機器(ブレンダー)を介さないといけない場合があったりと、実際の太陽熱温水器以外の部分で見積もり額が跳ね上がることが多く、50~100万円と工事内容によって価格差も大きいようです。

一方で先述の落水式が湯船だけにしかお湯を使えなかった一方で、シャワーやキッチン、洗濯だけでなく、温水式の暖房まで多用途にお湯を使えるので光熱費の削減額も大きくなり、よりクリーンでエコな生活が実現できます。

温水器のお湯の水質は?飲用できる?

ハイブリッド型はキッチンなど家じゅうのお湯に利用できる一方で、水質が気になるという方も少なくありません。どうしても気になる方は水質を極力変えることが無いよう、水が空気に触れない強制循環式という方式を採用し、さらに不凍液などで間接加熱型をしているものを選ぶと安心です。ただ、価格は少し高くなりがちで不凍液の交換も必要(3~10年ごとに数千円~2万円程度)になってきます。

一方で、給湯器や水道管から錆や金属が溶け出る可能性からそもそも水道から出るお湯をそのまま飲用にするのは避けるよう促している給湯器メーカーもあります。蛇口から出るお湯は飲まないでいちいち沸かすようにするというのも一つの手かもしれません。

どの太陽熱温水器を選べばいいかは、施工店のアドバイスも参考に

このページでは太陽熱温水器の種類をいくつかご案内してきました。太陽熱温水器のメーカー各社は、ニーズに合わせてここでご案内したような種類をそれぞれ用意している場合がほとんどです。購入に際してはメーカーから選ぶよりも、お住まいの地域で施工が可能な信頼の高い業者をまず探し、その業者が対応できるメーカーの中から選んでいく方が、価格の面でも工事品質の面でも安心できると言えます。

業者さがしは近所の工務店に問い合わせてみたり、ネットで検索して業者を探す他に無料のリフォーム一括見積サービスを利用する方法もあります。一括見積といっても色々ある中で当サイトがお勧めするのはリショップナビちょっとマイナーな太陽熱温水器でも取り扱いのある施工店が多く登録しているため、各業者の価格比較などにも最適です。

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