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太陽光発電の売電に消費税はかかる?インボイス制度と免税事業者・還付の注意点

自宅の太陽光発電で余った電気を売る収入は、消費税の課税対象外で、インボイスの対応も要りません。全量売電や事業として行う売電は課税対象で、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら免税事業者です。2024年度以降に認定を受けた設備は、免税事業者なら買取価格に消費税が含まれます。課税事業者を選んで設備の消費税の還付を受けると、原則3年間は免税事業者に戻れません。免税事業者からの仕入れの経過措置は、2026年10月から70%に変わりました。

太陽光発電の売電に消費税がかかるかは、自宅の余剰売電か、全量売電や事業としての売電かで変わります。国税庁と資源エネルギー庁の案内をもとに、免税事業者と課税事業者、FITの買取価格と消費税、還付を受けるときの注意、インボイスの経過措置と特例を確かめます。

太陽光発電の売電に消費税はかかる?

国税庁は、会社員が生活のために設置した太陽光発電で余った電気を売るのは「事業として」の取引に当たらないため、消費税の課税対象にならないとしています。全量を売る場合は、反復・継続・独立して行う取引として課税対象です。

この表は売電の形ごとの消費税とインボイスの対応です。
売電の形 消費税 インボイスの対応
自宅の太陽光発電の余剰売電課税対象外不要
全量売電・事業としての売電(免税事業者)課税対象。納税義務は免除登録は不要。登録しなくても今の買取価格は変わらない
全量売電・事業としての売電(課税事業者)申告と納付が必要登録して、買取義務者に登録番号を報告する。買取義務者の「受給料金のお知らせ」等がインボイスになる
  • 出典:国税庁 質疑応答「会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却」、資源エネルギー庁「インボイス制度関連」

免税事業者と課税事業者

消費税は、基準期間(個人は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務が免除されます。ただし、次の場合は免除されません。

この表は基準期間の課税売上高が少なくても課税事業者になる場合です。
場合 内容
インボイスの登録を受けている登録を受けている間は、基準期間の課税売上高にかかわらず課税事業者
特定期間の課税売上高が1,000万円を超える特定期間は、個人は前年の1月1日〜6月30日。課税売上高の代わりに給与等の支払額で判定することもできる
課税事業者選択届出書を出した原則として、出した日の属する課税期間の翌課税期間から課税事業者(事業を始めた課税期間などは、その課税期間から)
資本金1,000万円以上の新設法人基準期間がない設立1期目・2期目も課税事業者
  • 出典:国税庁 No.6501 納税義務の免除

FITの買取価格と消費税

事業用の太陽光発電のFITの買取価格(調達価格)は、2024年度以降の認定から、事業者が課税事業者か免税事業者かで扱いが分かれています。

この表は認定の年度ごとの買取価格と消費税の関係です。
認定の年度 課税事業者 免税事業者
2024年度以降価格に消費税を加えた額価格に消費税を含む額
2023年度まで価格に消費税を加えた額価格に消費税を加えた額
  • 2023年度までの認定は、免税事業者がインボイスの登録をしなくても、今の買取価格は変わりません
  • 10kW未満の住宅用の買取価格は、消費税を含む額です
  • 出典:資源エネルギー庁「FIT・FIP制度ガイドブック2026」、「インボイス制度関連」

資源エネルギー庁は、課税事業者が新たにFIT認定を受けるときはインボイスの登録を認定の要件とし、免税事業者は登録がなくても認定を受けられるとしています。

消費税の還付と3年の縛り

課税事業者は、その課税期間に受け取った消費税より支払った消費税が多ければ、差額の還付を受けられます。設備を買った年は支払った消費税が多くなるため、課税事業者を選んで還付を受ける方法がありますが、次の縛りがあります。

この表は課税事業者を選んだときや設備を買ったときの縛りです。
場合 縛り
課税事業者選択届出書を出した課税事業者になった日から2年間は免税事業者に戻れない
その2年の間に100万円以上の設備を仕入れ、一般課税で申告した仕入れた課税期間の初日から原則3年間は免税事業者に戻れず、簡易課税制度選択届出書も出せない
1,000万円以上の設備を一般課税の課税期間に仕入れたその後の2年間(初日から3年を経過する課税期間まで)は、基準期間の課税売上高が少なくても免税事業者にならない
  • 100万円以上の設備は、機械及び装置などの「調整対象固定資産」(税抜)、1,000万円以上は「高額特定資産」(税抜)です
  • 出典:国税庁 No.6501・No.6502

還付を受けたあとの課税期間は、売電の消費税を納めます。還付の額だけで決めず、縛りの3年分に納める消費税と合わせて、税理士と試算します。

インボイスの経過措置と特例

インボイス発行事業者以外(免税事業者など)からの仕入れは、原則として仕入税額控除ができませんが、経過措置で一定の割合を控除できます。2026年度の税制改正で、適用期限が2年延び、割合が次のように見直されました。

この表は免税事業者などからの仕入れの経過措置で控除できる割合です。
期間 控除できる割合
2023年10月から80%
2026年10月から70%
2028年10月から50%
2030年10月から30%
2031年10月以降0%
  • 一つの相手(インボイス発行事業者以外)からの課税仕入れの合計(税込)が年1億円を超える部分は対象外(2026年10月1日以後に開始する課税期間から)
  • 出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」

FITの買取では、免税事業者がインボイスの登録をしなくても買取価格は変わりません(資源エネルギー庁)。FIT以外で事業者に電気を売る取引では、相手方が課税事業者なら、こちらの登録の有無が相手方の仕入税額控除に関わります。

インボイスの登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者には、納める消費税を軽くする特例があります。

  • 2割特例:インボイスの登録を機に免税事業者から課税事業者になった事業者は、2026年9月30日を含む課税期間まで(個人は2026年分まで)、納める消費税を売上の消費税の2割にできる
  • 3割特例:インボイスの登録を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業者(基準期間の課税売上高1,000万円以下)は、2027年分と2028年分の申告で、納める消費税を売上の消費税の3割にできる

簡易課税制度

基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者は、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を出すと、売上の消費税にみなし仕入率を掛けて仕入れの消費税を計算できます。電気業は第3種事業で、みなし仕入率は70%です。原則として2年間は続けて適用します。

この表は一般課税と簡易課税の違いです。
項目 一般課税 簡易課税
納める消費税受け取った消費税−支払った消費税受け取った消費税×(1−70%)
設備の消費税の還付受けられる受けられない

上の3年の縛りの間は、簡易課税を選べないことがあります。どちらの納める消費税が少ないかは、設備の買い替えや経費の額で変わります。

確かめる順番

  1. 売電の形を確かめる

    自宅の余剰売電なら課税対象外で、インボイスの対応も要らない。全量売電や事業としての売電は次へ

  2. 免税事業者か課税事業者かを確かめる

    基準期間と特定期間の課税売上高、インボイスの登録の有無で判定する

  3. 設備の消費税の還付を受けるか決める

    受けるなら課税事業者選択届出書を出す。100万円以上の設備を仕入れると原則3年間の縛りがある

  4. 申告の方法を選ぶ

    一般課税か簡易課税か。登録を機に課税事業者になった場合は2割特例・3割特例も確かめる

  5. FIT以外の売電先との取引を確かめる

    相手方が課税事業者なら、インボイスの登録の有無が相手方の仕入税額控除に関わる

事業用の太陽光発電の見積もり

全量売電や事業として売電する場合は、見積もりのときに設備の税抜の価格を確かめ、課税事業者か免税事業者かでどう変わるかを税理士と試算しておきます。

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よくある質問(FAQ)

家庭の太陽光の売電に消費税はかかりますか?
自宅に設置した太陽光発電で余った電気を売る収入は、事業としての取引に当たらないため、消費税の課税対象外です(国税庁)。インボイスの登録などの対応も要りません(資源エネルギー庁)。全量を売る場合は、反復・継続・独立して行う取引として課税対象になります。
インボイスの登録は必要ですか?
自宅の余剰売電と、免税事業者の売電は登録不要で、登録しなくても今の買取価格は変わりません。課税事業者は登録して、買取義務者に登録番号を報告します。インボイスは買取義務者が出す「受給料金のお知らせ」等が兼ねるので、自分で発行する必要はありません。
課税事業者を選んで還付を受けると何に注意しますか?
課税事業者になった日から2年間は免税事業者に戻れません。その間に100万円以上の設備を仕入れて一般課税で申告すると、原則3年間は免税事業者に戻れず、簡易課税も選べません。還付のあとは売電の消費税を納めるので、3年分の納める消費税と合わせて試算します。
免税事業者でも売電の消費税分を受け取れますか?
2024年度以降に認定を受けた設備は、免税事業者なら買取価格に消費税を含む額になり、消費税分は上乗せされません。2023年度までの認定は価格に消費税を加えた額で、免税事業者がインボイスの登録をしなくても今の買取価格は変わりません。
免税事業者からの仕入れの経過措置はどう変わりましたか?
2026年度の税制改正で適用期限が2年延び、免税事業者などからの仕入れの経過措置で控除できる割合は、2026年9月まで80%、2026年10月から70%、2028年10月から50%、2030年10月から30%で、2031年10月以降は0%になりました。改正前は、2026年10月から50%、2029年10月以降は0%の予定でした。
簡易課税制度は使えますか?
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者は、届出をすれば使えます。電気業は第3種事業で、みなし仕入率は70%です。簡易課税では設備の消費税の還付は受けられず、100万円以上の設備を仕入れて一般課税で申告したあとの3年の間は選べないことがあります。

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