太陽光発電で電気の自給自足はできる?|自給率の実態とオフグリッド住宅の容量・費用の計算
環境省の調査の平均で計算すると、太陽光を使っている家庭が自宅の太陽光でまかなえている電気は使用量の約25%です。電力会社の電線につながないオフグリッドにするには、東京の4人家族で太陽光約5.8kWと、晴れない日が3日続いても使える蓄電池約47.1kWhが必要な計算で、費用は太陽光約168万円と蓄電池約608〜820万円になります。
太陽光発電を付けると電気を自給自足できると思われがちですが、太陽光は夜や雨の日に発電しません。ここでは、環境省の調査と日射量のデータを使って、実際の自給率と、電力会社につながない「オフグリッド」に必要な設備を計算します。
太陽光を使っている家庭の自給率
環境省の調査では、太陽光を使っている家庭の発電・売電・自家消費と、電力会社から買っている電気は次のとおりです。
| 項目 | 年間 |
|---|---|
| 発電量(平均5.0kW) | 5,800kWh |
| そのうち家で使った電気(自家消費) | 1,847kWh |
| 電力会社から買った電気(戸建) | 約5,444kWh |
| 自宅の太陽光でまかなえた割合 | 約25% |
- 出典:環境省「令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値)」。発電量・自家消費は太陽光を使っている世帯の平均、買った電気は戸建で太陽光を使っている世帯の平均(1kWh=3.6MJで換算)で、割合は2つの平均を組み合わせた目安です。
家で使った電気と買った電気を合わせた使用量に対して、年間の発電量は約80%にあたります。発電の量だけでなく、発電する時間(昼)と使う時間(朝・夕・夜)がずれていることが、自給率が上がらない大きな理由です。経済産業省の集計でも、住宅用で発電した電気のうち家で使った割合は平均35.2%です。
ZEHとオフグリッドの違い
| 項目 | ZEH | オフグリッド住宅 |
|---|---|---|
| 考え方 | 断熱・省エネで使うエネルギーを減らし、太陽光などでつくるエネルギーと合わせて年間の収支をゼロ以上にする | 太陽光と蓄電池などだけで、毎日の電気をすべてまかなう |
| 電力会社の電線 | つながっている(売電・買電をする) | つながない(売電・買電をしない) |
| 夜・雨の日 | 電力会社の電気を使う | 蓄電池にためた電気だけで暮らす |
ZEHの定義と補助金はZEH住宅の太陽光発電で説明しています。
オフグリッドに必要な太陽光と蓄電池の計算例
東京の4人家族が、電力会社の電線につながずに暮らす場合を計算します。発電が少ない時期と、晴れない日が続く場合の両方に備える必要があります。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1日の電気の使用量 | 環境省の4人世帯の平均 | 約15.7kWh |
| 発電が少ない月の1kWあたりの発電量 | 東京・南向き30度の11月の1日平均 | 2.7kWh |
| 必要な太陽光の容量 | 使用量÷1kWあたりの発電量 | 約5.8kW |
| 必要な蓄電池の容量(実効) | 晴れない日が3日続いても使える量(使用量×3日) | 約47.1kWh |
- 発電量はNEDO「年間月別日射量データベース(MONSOLA-11)」の東京の月平均日射量から計算した平均値です。曇りや雨の日はこれより少なく、地域によっても変わります。
- 電気を変換するときの損失や、蓄電池の容量の減り方は含めていません。
発電が少ない月の平均の日でも使用量をまかなうには約5.8kWの太陽光が必要で、昼に発電した電気を夜に使うための蓄電池も欠かせません。晴れない日に備えるほど蓄電池は大きくなり、3日分では約47.1kWhと、家庭用蓄電池で最も大きな製品(19.9kWh)を超えます。
オフグリッドの費用の目安
| 設備 | 計算 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 太陽光 約5.8kW | 経済産業省の平均 1kWあたり29.0万円 | 約168万円 |
| 蓄電池 約47.1kWh | 15kWh以上の製品の1kWhあたり約12.9〜17.4万円 | 約608〜820万円 |
- 蓄電池の価格は蓄電池の比較の製品の工事費込みの目安価格です(2026年10月確認時点)。蓄電池の容量がこれだけ大きい場合は複数台の組み合わせになり、実際の構成と費用は施工店によって変わります。補助金は差し引いていません。
電力会社との契約をやめれば基本料金はかかりませんが、蓄電池の電気がなくなると電気が使えなくなります。電気を使う量を大きく減らせる家や、電線を引くのに費用がかかる場所でなければ、費用の面では電力会社につないだまま自給率を上げるほうが現実的です。
電力会社につないだまま自給率を上げる方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 蓄電池をつける | 昼に余った電気をためて夜に使う。容量は余りと夜に使う電気の量で決める(蓄電池の容量の目安) |
| エコキュートを昼に沸き上げる | 太陽光の電気でお湯を沸かす機能を持つ機種がある(太陽光発電とエコキュート) |
| 電気自動車を昼に充電する | V2Hを使えば電気自動車の電池から家に電気を送れる。ニチコンは、EVの電池の容量を「〜100kWh前後」と大容量であると紹介している(V2H) |
売電単価は、新FITの5年目以降は8.3円、卒FIT後は大手電力の標準の買取単価で7〜9円で、電気を買う単価より安くなっています。家で使う電気を増やすほど得になりやすく、雨が続いたときは電力会社の電気を使えます。環境省の調査では、戸建の家庭用蓄電池の使用率は3.7%です。
停電への備えとして
停電に備えるだけなら、オフグリッドにする必要はありません。電力会社につないだままでも、停電時は太陽光の自立運転で日中に電気を使え、蓄電池があれば夜も使えます(停電時の太陽光発電)。停電時に使える範囲は、蓄電池が特定負荷型か全負荷型かで変わります。
太陽光と蓄電池の見積もりを比べる
自給率をどこまで上げるかで、太陽光と蓄電池の容量は変わります。電気の使用量と目的(電気代を下げたい・停電に備えたい)を伝えて、複数社の提案を比べてください。
住宅用で信頼できる施工会社を探す
住宅の屋根は形・向き・広さに制約があり、載せられるメーカーやパネルの枚数は家ごとに変わります。価格にも幅があり、経済産業省の集計(2025年設置)では1kWあたり平均29.0万円に対し、安いほうから3割の水準は25.6万円です(5kWなら約17万円の差)。複数社から見積もりを取り、価格と提案の中身を比べてください。以下は住宅用の見積もり窓口で、複数社をまとめて比べられる一括見積もりサイトと、販売店などから直接提案を受けられる窓口があり、いずれも無料で申し込めます。
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よくある質問(FAQ)
- 太陽光発電で電気を自給自足できますか?
- 多くの家庭では一部にとどまります。環境省の調査では、太陽光を使っている家庭(平均5.0kW)は年間1,847kWhを自宅で使い、戸建で太陽光を使っている家庭は年間5,444kWhを電力会社から買っています。この2つの平均を合わせると、自宅の太陽光でまかなえている電気は使用量の約25%です。夜や雨の日の電気を自給するには蓄電池が必要です。
- ZEHとオフグリッド住宅の違いは何ですか?
- ZEHは、断熱と省エネで使うエネルギーを減らし、太陽光発電などでつくるエネルギーと合わせて、年間のエネルギーの収支をゼロ以上にする住宅で、電力会社の電線につながっています。オフグリッド住宅は電力会社の電線につながず、太陽光と蓄電池などだけで電気をまかなう住宅で、売電も買電もしません。
- オフグリッドにはどれくらいの太陽光と蓄電池が必要ですか?
- 4人家族の1日の使用量(環境省の平均で約15.7kWh)を、東京で発電の少ない11月の平均(1kWあたり1日2.7kWh)でまかなうには約5.8kWの太陽光が必要です。さらに晴れない日が3日続いても使えるようにするには、蓄電池の実効容量で約47.1kWhが必要になり、家庭用蓄電池の最も大きな製品(19.9kWh)より大きくなります。
- オフグリッドハウスの費用はいくらですか?
- 上の計算例では、太陽光約5.8kWが経済産業省の平均(1kWあたり29.0万円)で約168万円、蓄電池約47.1kWhが15kWh以上の製品の1kWhあたりの価格(約12.9〜17.4万円)で約608〜820万円になります。電気を使う量や地域、何日分の備えにするかで大きく変わる目安です。
- 電力会社につないだまま自給率を上げる方法は?
- 昼に余った電気を蓄電池にためて夜に使う、エコキュートを昼に沸き上げる、電気自動車を昼に充電するといった方法があります。売電単価が下がった今は、つくった電気を家で使うほど得になりやすく、雨が続いたときは電力会社の電気を使えるため、電気が足りなくなる心配もありません。
- 停電に備えるだけならオフグリッドにする必要はありますか?
- 必要ありません。電力会社につないだままでも、停電時は太陽光の自立運転で日中に電気を使え、蓄電池があれば夜も使えます。停電時に使える範囲は、蓄電池が特定負荷型か全負荷型かで変わります。



