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東西屋根の太陽光発電|南面比12〜15%減でも採算が合う条件

家の向きで南面に太陽光発電を載せられない場合、東西二面が候補になります。標準勾配の東西二面は南一面比で年間発電量が約12〜15%減ですが、ピークが朝夕に分散することで自家消費効率が高く、過積載との相性が良好。さらに東西二面は南一面の約2倍のパネル容量を同じ敷地に載せられるため、容量増で総発電量を上回ることもあります。新FIT制度下では「売電単価より自家消費の経済効果が高い」構造になっているため、東西二面の見直し価値が上がっています。

「うちは家の向きの都合で南面に太陽光発電が載せられない」「東西の屋根面でも採算が合うのか」というご相談は、屋根設置の検討初期でよくいただくテーマです。FIT初期は「南向き+30度+影なし」の理想条件で発電量を最大化する設計が定石でしたが、新FIT制度(2025年10月開始)と電気代上昇下では自家消費効率の高さが収益に効くようになりました。本ページでは現在の判断軸を整理します。

方位×角度別 発電量比較表(南面100%基準)

方位と傾斜角度ごとに、南面・水平30度設置を100%とした発電量比率を整理しています。一般的な戸建て住宅の屋根勾配は3〜5寸(角度17〜27度)が標準です。

この表は方位と屋根角度別の年間発電量比率(南面30度=100%基準)です。
傾斜角度 南東・南西 東・西 北東・北西
水平(0°)90%(全方位同等)
10°(1.5寸)95%94%89%84%82%
20°(3.5寸)99%95%87%78%74%
30°(5.5寸)100%95%84%71%64%
40°(7寸)99%94%80%64%56%
50°(10寸)96%90%75%57%48%
  • NEDO METPV-20(東京・1990-2018年データ・損失係数0.80)で算出。地域差で±1〜6%の誤差あり。詳しくは設置角度・方位のページでご確認ください。
  • 1kWあたりの年間発電量は南面30度で約1,140kWh、東西面20度で約990kWh、東西面30度で約960kWh。
  • 10年平均の売電単価14.58円で換算すると、1kWあたりの年間売電収入は南面と東西面で約1,300〜2,100円の差。

標準勾配(3〜5寸)の東西面は南面の85〜88%

日本の戸建ての屋根勾配は3〜5寸(17〜27度)が大多数。この範囲なら東西面は南面の85〜88%の発電量を確保できます。「東西面は採算に合わない」と決めつけるほど大きな差ではなく、容量を増やせるなら総発電量で南面を上回るケースも出ます。

東西二面の発電パターンは朝夕にピーク

南一面は南中時刻(昼12〜13時)に発電量が一極集中するのに対し、東西二面は朝(東面)と夕(西面)にもう一山できる「双峰型」のグラフになります。8月の快晴日の1kWあたり発電パターンで見ると、東面は朝7〜10時、西面は午後2〜18時で南面を上回ります。

図:8月の快晴の日の発電パターン(kWh/kW・東京)

出典:NEDO METPV-20(時別日射量・1990-2018年・2020年公開)と各方位の入射角コサイン補正による計算値

朝夕の発電は自家消費の主戦場

家庭の電力消費は朝(朝食・身支度)と夕方〜夜(帰宅・調理・入浴)にピークがあるため、東西二面の発電パターンは家庭の消費パターンと重なりやすい構造。新FIT制度下では売電単価より自家消費の経済効果のほうが大きいため、この重なりが収益に直結します。

真夏の西日ピークカット効果

真夏の午後はエアコン稼働で家庭の電力消費が跳ね上がります。西日が射す時間帯(午後14〜17時)は西面の発電量がピークなので、エアコンの電力をそのまま太陽光発電で相殺。電力会社のピーク需要も抑えるため、社会的にも意義の大きい設置パターンです。九州など住宅用も出力抑制対象の地域では、西面パネルの自家消費は売電制限を回避する点でも有利になります。

東西二面は過積載との相性が良い

過積載(パワコン容量<パネル容量の構成)は近年の住宅用太陽光発電の標準的な手法。同じパワコンに対してパネル容量を増やすことで、初期費用を5〜10%抑えながら年間発電量を伸ばせます。詳しくはパワーコンディショナーのページでご確認ください。

過積載で発電ロスが出るのは「パワコン容量を超える発電量がピーク時に頭打ちになる」ことが原因。東西二面は発電のピークが朝夕に分散しているため、パワコン頭打ちの時間帯が短く、過積載率を上げてもロスが少ない設計に向きます。下図は過積載率と年間発電量(過積載なし=100%)の関係です。

図:方位別 過積載率と発電量の関係(過積載なし=100%)

出典:NEDO METPV-20の時別日射量からパワコン4kW固定でピークカットを再現したシミュレーション値

  • 東西二面は過積載1.7倍でも発電量92.7%、南一面は85.8%。同じパワコン(4kW)に対して6.8kWのパネルを載せたとき、東西二面は南一面より7pt有利。
  • 住宅用ではパワコンの接続範囲内(オムロンで170%、田淵電機で180%等)の過積載が安心。容量別の価格相場と過積載対応は住宅用パワコン価格相場のページでご案内しています。

南一面と東西二面の20年収支シミュレーション

建築面積50㎡の戸建て・切妻屋根で、屋根の向きが南北の場合と東西の場合で、最大に乗せられるパネル容量が変わります。新FIT制度下での20年累計収支を試算しました。

システム構成の前提

この表は南一面と東西二面のシステム構成想定です。
項目 南一面 東西二面
パネル設置面 南面のみ約24㎡ 東西2面合計約48㎡
パネル容量 4.0kW
(高効率N型)
6.5kW
(標準N型・容量重視)
パワコン容量 4.0kW
(同容量)
5.5kW
(過積載1.18倍)
想定kW単価 28万円/kW
(プレミアム)
22万円/kW
(容量重視)
初期費用(税込) 約112万円 約143万円
年間発電量 約4,560kWh 約6,330kWh
(南面比87%×6.5kW)

20年累計収支

この表は南一面4kWと東西二面6.5kWの20年累計収支シミュレーションです。
期間 条件 南一面4kW 東西二面6.5kW
FIT 1〜4年目 売電24円
買電30円
約48.3万円 約70.0万円
FIT 5〜10年目 売電8.3円
買電30円
約46.4万円 約68.5万円
卒FIT 11〜20年目 売電8円
買電30円
約74.1万円 約105.0万円
20年累計経済効果 約168.8万円 約243.5万円
差引利益
(20年累計)
経済効果 − 初期費用 − パワコン交換20万円 約36.8万円 約80.5万円
補助金活用時
(ZEH水準)
ZEH最大40万円を控除 約76.8万円 約120.5万円
  • 自家消費比率:南一面30%・東西二面35%(朝夕の自家消費効率が高いと想定)。年間劣化率0.4%、買電単価30円/kWh。
  • 南一面は高効率パネル前提でkW単価高め、東西二面は標準パネルで容量を稼ぐ前提。kW単価設定はメーカー別の価格相場をご参照ください。
  • 蓄電池併設で自家消費比率を60%まで上げると、両構成とも経済効果が30〜40万円上乗せ。詳しくは蓄電池併設のページでご確認ください。

東西二面が南一面を上回る理由

「1kWあたりの発電量は東西<南」ですが、敷地で乗せられる容量そのものが東西二面で約1.6倍に増やせるため、総発電量と総経済効果で東西が逆転します。さらに自家消費効率の高さで卒FIT後の電気代節約が伸びるため、20年で見ると差は約44万円と広がります。屋根面積に余裕がある家庭ほど東西二面の優位性は明確になります。

東西二面が向いている家庭・向いていない家庭

この表は東西二面の太陽光発電が向いている家庭の整理です。
区分 条件
向いている 家の向きで南面が確保できない/屋根が東西二面に分かれる切妻形状/敷地に余裕があり東西2面で48㎡以上のパネル面積が確保できる/在宅時間が長く朝夕の自家消費が見込める/真夏のエアコン稼働ピーク削減を重視
迷う場合 東西の屋根のいずれかに大きな影が落ちる/屋根面積が片面のみ十分(南西・南東向き)/予算が限られていて高効率パネルを使えない
向いていない 東西いずれかが終日影になる立地/屋根が小さく東西二面でも合計24㎡未満しか取れない/南面に同じ容量を載せる選択肢があり面積も足りる

東西二面の太陽光発電は複数業者の見積もり比較で

東西二面はパネル容量を増やせるためメーカー選定の自由度が大きく、業者によって提案内容と総額に30〜50万円の差が出やすいテーマです。同じ屋根条件で複数業者から見積もりを取り、「シミュレーション根拠」「過積載率」「想定自家消費比率」を比較してください。

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