用語集|RPRセンサー・DOD・HEMS・DR・V2H・全負荷型などを整理
家庭用蓄電池の検討で頻出する専門用語を、構造・機能・運用・制度の4カテゴリで整理した用語集です。全負荷型/特定負荷型、ハイブリッド型/トライブリッド型、サイクル数・容量保証残存率、DOD(放電深度)、HEMS、DR(デマンドレスポンス)、V2H、RPRセンサー、固定価格買取制度(FIT)、卒FIT、再エネ賦課金、SII(環境共創イニシアチブ)など、見積もりや業者説明で出てくる用語をまとめて引けます。
見積もり書類・施工業者の説明・契約書で気になる単語があれば、まずこの用語集で意味と本サイト内の関連ページを確認してください。
用語インデックス
本用語集の収録用語を5カテゴリで整理しました。クリックすると該当の解説に移動します。
1. 蓄電池の構造・種類
2. 機能・センサー・性能指標
3. 運用・電力フロー
4. 制度・補助金
5. 設備・関連機器
1. 蓄電池の構造・種類に関する用語
リチウムイオン二次電池
リチウムイオンによって充電や放電を行う二次電池です。充電を繰り返して何度でも使える二次電池の代表格で、家庭用蓄電池・スマートフォン・パソコンの電池に幅広く採用されています。現行の家庭用蓄電池はほぼリチウムイオン一択で、三元系・リン酸鉄(LFP)・クレイ型の3分類で性能差が出ます。
NAS電池(ナトリウム硫黄電池)
日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システム。大容量で長寿命、鉛蓄電池に比べて体積・質量が3分の1程度とコンパクトなため、産業用・系統用に採用されます。家庭用には流通していません。
鉛蓄電池
1859年にフランスのプランテが発明した世界で最も古い蓄電池。他の二次電池と比較して容量当たりの価格が安く、自動車のバッテリーや電動車用主電源として広く利用されます。家庭用蓄電池としては寿命・エネルギー密度の面でリチウムイオンに大きく劣るため、現在ほぼ使われていません。
単機能型(蓄電池システム)
蓄電池専用パワコンを持つタイプ。既設の太陽光発電パワコンをそのまま残して後付けできるため、既設太陽光のパワコンが新しい家庭(10年以内)の後付け導入に向きます。
ハイブリッド型(蓄電池システム)
太陽光発電と蓄電池が1台のパワコンを共用するタイプ。変換ロスが少なく工事費も抑えられるため、新築時の同時導入や既設パワコンの交換時期と重なる後付けに向きます。
トライブリッド型(蓄電池システム)
太陽光・蓄電池・EVの3つを1台のパワコンで統合制御するタイプ。ニチコンが提供しており、V2H機能・EV充放電・自家消費の最適化を一元化できます。EV所有家庭の新規導入候補。
全負荷型
停電時に家全体(200V機器・エアコン・IH・エコキュート含む)をバックアップできるタイプ。出力3kW以上が推奨、オール電化なら5kW以上が安心の目安です。
特定負荷型
停電時に事前指定した回路(リビング・冷蔵庫など2〜3回路)のみバックアップするタイプ。100V回路のみ対応で価格は全負荷型より割安。1〜2人暮らしやマンション向け。
2. 機能・センサー・性能指標に関する用語
RPRセンサー(Reverse Power Relay/逆電力継電器)
太陽光発電の売電中に蓄電池の放電を強制停止する機能。ダブル発電の適用を回避するために搭載されており、2020年以降に発売された太陽光連携型の蓄電池の大半に標準装備されています。
UPS機能(無停電電源装置機能)
UPSは Uninterruptible Power System(無停電電源装置)の略。停電や電源トラブル発生時に電力を瞬時に供給し、機器やデータを保護する仕組み。蓄電池の停電時自動切替機能はこの UPS の発想を家庭用電源向けに応用したものです。
HEMS(ヘムス)
Home Energy Management System の略。家庭で使う電気やガスの使用量をモニター画面で「見える化」したり、家電機器を自動制御したりするエネルギー管理システムです。パナソニックの AiSEG2/3、シャープのクラウドHEMS が代表例。住宅向けが HEMS、商用ビル向けが BEMS、工場向けが FEMS と管理対象で名称が分かれます。
DOD(放電深度/Depth of Discharge)
蓄電池の総容量に対して、実際に放電できる容量の割合。例えば DOD90%なら、10kWhの蓄電池で9kWhまで使えます。DODが浅いほどバッテリー寿命が伸びる一方、実際に使える容量が減ります。多くの家庭用蓄電池は DOD90〜100%で設計されています。
サイクル数
蓄電池を満充電→満放電する操作1回を1サイクルと数え、容量が初期の規定値(多くは60%)に低下するまでの回数。京セラ Enerezza Plus が20,000サイクルで業界最長、長州産業・シャープ・ニチコンなど主流国内メーカーは12,000サイクル、テスラ Powerwall 2 は4,000サイクル、BYD は6,000サイクル程度です。
容量保証残存率
保証期間後に蓄電容量が初期の何%以上を維持するかのメーカー約束。主流は60%、京セラ・エリーパワー・テスラは70%と業界最高水準。10kWhモデルなら残存率60%は6kWh、70%は7kWhまで保証されます。長期運用するほど経済価値の差が大きく効いてきます。
3. 運用・電力フローに関する用語
ピークカット
電力需要のピーク時間帯における電力使用を控えること。省エネ機器や再生可能エネルギー設備の活用などで電力使用量を減らす取り組み。
ピークシフト
電力使用を需要ピーク時間帯から需要が低い時間帯(夜間や休日など)へ移行させること。夜間に蓄電して日中に放電する蓄電運用が代表例で、電気代削減と系統への負荷分散の両方に貢献します。
自家消費
太陽光発電で作った電気を家庭内で直接使うこと。卒FIT後は売電単価が8円/kWh前後と買電単価約32円/kWhの3〜4分の1まで下落するため、自家消費を増やす運用が経済合理的です。
オフグリッド
送電系統(電力会社からの電力網)に接続せず、自家発電・自家蓄電だけで電力を完結させる構成。災害時に系統停電の影響を受けないメリットがある一方、初期投資が高額になります。完全オフグリッド化は経済性が成立しにくく、自家消費率を高める運用にとどめるのが現実的です。
H2V(Home to Vehicle)
家庭の電力をEVに送る、通常方向の充電のこと。深夜電力や太陽光余剰でEVに充電する運用が H2V に該当します。
V2H(Vehicle to Home)
EVのバッテリーから家庭に電力を放電する仕組み。家庭用蓄電池の数倍の容量(EV 20〜91kWh)を活用でき、停電時のバックアップ電源として強力。ニチコン トライブリッド蓄電システムが代表例。CHAdeMO規格対応EVが必要です。
V2G(Vehicle to Grid)
EVのバッテリーから電力系統に売電する仕組み。家庭向けには未普及で、現時点では実証実験段階の技術です。
ダブル発電
太陽光発電の売電中に蓄電池から同時に放電して売電量を「押し上げる」運用。FIT制度では売電単価が太陽光単独より3〜7円/kWh低く設定されていました。2019年度のFIT改定で適用区分は廃止され、近年の蓄電池は RPRセンサーで自動回避するため、新規導入で単価が下がるケースはほぼ消滅しています。
電気ロンダリング
安価な夜間電力で蓄電し、日中にFIT制度で高単価売電する運用。クリーンエネルギー由来の電力を買い取るFIT制度の趣旨に反するため、現在の蓄電池は RPRセンサーでこの運用ができないよう設計されています。
4. 制度・補助金に関する用語
固定価格買取制度(FIT)
2012年7月1日にスタートした再生可能エネルギーの固定価格買取制度。住宅用太陽光(10kW未満)は10年間、産業用(10kW以上)は20年間、国が定める固定価格で電力会社が買い取ることを義務付けています。買取費用は再エネ賦課金として全電力使用者から徴収されます。
卒FIT
FIT制度の固定価格買取期間(住宅用は10年)が終了した状態のこと。2019年11月から最初の卒FIT世帯が発生しており、2025〜2026年は累計100万世帯規模が卒FITを迎える時期です。卒FIT後の売電単価は電力会社で8円/kWh前後、新電力でも10〜13円/kWh程度に下落します。
新FIT制度(2025年〜)
2025年10月開始の「初期投資支援スキーム」を含む現行のFIT制度。住宅用太陽光は2段階単価で、買取期間10年が継続されています。詳細は経済産業省 資源エネルギー庁の公式ページを参照。
再エネ賦課金
FIT制度で電力会社が再エネ由来電力を買い取った費用を、全電力使用者から徴収する制度。電気料金明細の「再エネ発電促進賦課金」の項目で確認できます。家庭でも蓄電池の自家消費が増えると、買電量の減少を通じて賦課金負担も減らせます。
環境共創イニシアチブ(SII)
環境・エネルギー分野の社会的課題解決を目的に設立された一般社団法人。蓄電池導入のDR補助金(2026年度・上限上限60万円)の交付事業を運営しています。SII登録製品でないと補助金が受けられないため、機種選定時にチェックが必要です。
DR(デマンドレスポンス)
電力需要のピーク時に消費者側の電力使用を抑制または蓄電池放電で系統負荷を緩和する仕組み。家庭用蓄電池の補助金「DR補助金」は、DR対応機能を持つ蓄電池の導入を促進するためのもの。容量×3.7万円/kWhまたは上限上限60万円のいずれか少ない金額で支給されます。
グリーンエネルギー/クリーンエネルギー
太陽光・風力・水力・バイオマスなど自然の力を利用したエネルギーをグリーンエネルギーと呼びます。クリーンエネルギーはこれに加えて、電気や熱に変えても有害物質(二酸化炭素・窒素酸化物など)の排出が少ない/ないエネルギーを指します。両者は重なる概念で、再生可能エネルギーの大半が両方に該当します。
再生可能エネルギー
石油・石炭・天然ガスなどの有限な資源と異なり、太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスのように自然界に常に存在するエネルギー。FIT制度の対象であり、温室効果ガス排出削減と国産エネルギー確保の両面で重要です。
5. 設備・関連機器の用語
パワーコンディショナー(パワコン)
太陽光発電や蓄電池で発電・蓄えた直流電力を、家庭の電気機器が使える交流電力に変換する機器。太陽光単独用・蓄電池単独用・ハイブリッド型(太陽光と蓄電池兼用)の3タイプがあり、寿命は10〜15年が交換目安です。
過充電
バッテリーが満タンの状態を超えて充電を続けること。電池の寿命短縮や発熱・発火といった危険を伴うため、家庭用蓄電池には過充電を防ぐ自動制御が組み込まれています。
スマートグリッド
電力網にIT技術を活用し、発電・送電・消費を効率的に管理・コントロールする次世代電力網。再生可能エネルギー由来電力を無駄なく活用するために重要視されています。
電力小売自由化
2016年4月の電力小売全面自由化により、家庭向けの電力小売市場に新電力(PPS)が参入できるようになった制度。消費者は地域電力会社だけでなく、新電力からも料金プランやサービスを選べるようになりました。卒FIT後の余剰電力買取単価も新電力のほうが高めの傾向です。
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