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用地の選び方|土地条件・自治体協議・環境配慮

産業用太陽光発電の用地は、日射量・地形・地盤・接道・系統連系の5つを確かめたうえで、地目ごとの許可(農地転用、太陽光は0.5ha超で林地開発許可・2023年4月から)、自治体の条例、災害のリスクを確認して決めます。FIT・FIPの認定には、説明会や近くの住民への事前周知も要件です。地上設置(10kW以上)は2027年度から新規認定の対象外になります。

広い土地があるだけでは、太陽光発電を始められません。用地の条件、法令と条例、地域への説明、災害のリスク、購入か賃借かを順に確かめます。土地を持たずに始めるなら分譲型太陽光発電投資、農地で営農を続けながら発電するならソーラーシェアリングで確認できます。

用地に必要な5つの物理条件

採算を左右するのは、まず土地そのものが発電に向いているかどうかです。次の5つを確かめます。

この表は太陽光発電用地の5つの物理条件です。
条件 望ましい状態 避けたい状態
日射量・方位 南向きで、周りに影をつくる建物や山がない 北向きの斜面、東西に山や高い建物がある
地形・勾配 平らで、造成の手間が少ない 急な斜面や凹凸の多い地形(造成の費用がかさむ)
地盤 地盤が安定していて、基礎や杭を施工しやすい 地下水位が高い軟弱な地盤、盛土の造成地、埋立地
接道・搬入経路 工事の車が入れる道路に面している 道路に面していない、道が狭い、重量制限のある橋を通る
系統連系 近くの送電線や変電所に空き容量がある 空き容量がなく、系統の増強が必要になる

日射量データの確認方法

NEDOの日射量データベース(閲覧システムとデータファイルを無償で配布)で、全国837地点の月別・年別の日射量を確認できます。NEDOのデータで計算すると、南向き30度の1kWあたりの年間発電量は都道府県によって約1,090kWh(秋田県)〜約1,380kWh(山梨県)と差があります。候補地に近い地点の値で確かめてください(容量別の年間発電量早見表)。

系統連系の事前確認

送配電会社の系統情報の公表ページで、地域ごとの空き容量を確認できます。空き容量がない地域では、出力の制御に同意することや、系統の増強の費用を負担することが接続の条件になる場合があります。購入の前に接続検討を申し込み、回答で費用と条件を確かめるのが安全です。

地目別の制度確認|農地・山林・原野・宅地

土地の地目(登記簿上の区分)で、必要な許可や届出が変わります。

この表は地目別の太陽光発電設置時の制度・許可です。
地目 必要な手続き 主な留意点
農地(田・畑) 農業委員会を通じた農地転用許可(営農型は支柱の部分の一時転用許可) 農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地は、農地全体の転用は原則不許可
山林(保安林を除く) 太陽光の設置を目的に0.5haを超えて開発するときは、都道府県知事の林地開発許可(2023年4月から) 保安林は解除の手続きが必要
原野・雑種地 市町村の条例の確認、盛土規制法の許可が要るかの確認 盛土規制法(2023年5月施行)の規制区域では、盛土などに許可が必要
宅地・工場用地 用途地域や条例の確認 設置の扱いは自治体に確認する
ため池・水面 水面を管理する自治体・水利権者・土地改良区の同意 水位の変化や台風・洪水に耐えるフロートと固定方法の設計

農地転用は地目区分の確認から

農地は農地法上の区分で扱いが大きく違います。第3種農地(市街地の区域内や市街地化が著しい区域の農地)は原則として許可され、第2種農地は周辺のほかの土地で目的を達成できる場合は許可されません。農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地は原則として許可されません。購入の前に法務局で登記簿と公図を取り、農業委員会で農地区分を確かめるのが第一歩です。

営農型(ソーラーシェアリング)は、支柱の部分の一時転用許可で、期間は通常3年以内(担い手の営農・遊休農地・第2種/第3種農地は10年以内)です。同じ年の地域の平均的な単収よりおおむね2割以上減らないことや、毎年の報告が条件です(農林水産省)。

林地開発許可

森林法施行令の改正により、2023年4月から、太陽光発電の設置を目的とした開発は0.5haを超える場合に都道府県知事の林地開発許可の対象になりました(ほかの目的は従来どおり1ha超)。災害の防止や水源の保全などの観点で審査されるため、計画の早い段階で都道府県の担当部署に相談してください。

自治体条例と地域住民との合意形成

国の制度を満たしていても、自治体の条例や地域との関係で事業が進まないことがあります。

自治体条例の確認

太陽光発電の設置について、届出や許可、住民への説明を求める条例を定めている自治体があります。規模による届出、景観を守る区域での色や高さの決まり、土砂災害のおそれがある区域での設置の制限など、内容は自治体ごとに違います。購入の前に、市町村のホームページや窓口で確かめてください。

説明会と事前周知(FIT・FIPの認定の要件)

再エネ特措法により、規模の大きい発電所や、周辺の地域に影響を及ぼすおそれが高いエリアの発電所は、FIT・FIPの認定申請の前(原則3か月前まで)に、要件を満たす説明会を開くことが必要です。それ以外の小規模な発電所も、設置場所から100m以内の住民へのポスティングや戸別訪問による書面の配布などの事前周知が必要です。説明会に出席してもらう「周辺地域の住民」の範囲は、市町村に事前に相談します。

  • 出典:資源エネルギー庁「説明会及び事前周知措置」。法令上の要件にあたらない場合も、説明会などで地域の住民とコミュニケーションをとることが求められています

災害リスクと立地審査

発電所が土砂崩れや浸水の原因になると、損害の賠償や撤去の負担が生じ、地域との関係も損なわれます。災害のリスクは、用地を選ぶときの大事な判断材料です。

この表は太陽光発電用地で確認したい災害リスクの区域です。
区域 扱い 確認方法
土砂災害警戒区域 設置を避けるのが安全。条例で設置を制限している自治体もある 国土交通省「重ねるハザードマップ」
急傾斜地崩壊危険区域 区域内で切土や盛土などをするには都道府県知事の許可が必要 都道府県の砂防の担当部署
盛土規制区域 盛土規制法(2023年5月施行)に基づく許可が必要 市町村・都道府県の盛土規制の窓口
浸水想定区域 パワコンやケーブルを浸水しない高さに置く設計が必要 国土交通省・自治体の浸水想定図
液状化のおそれがある区域 杭の基礎や地盤改良などで費用が増える 都道府県の液状化マップ

立地条件を活かす活用パターン

通常の地上設置のほかにも、土地の特性を活かす方法があります。

この表は太陽光発電の用地活用パターンと特徴です。
活用パターン 立地・対象 特徴
通常の地上設置(野立て) 休耕地・遊休地・原野 FITの地上設置区分は2027年度から新規認定の対象外(2026年度の落札案件を除く)
営農型(ソーラーシェアリング) 農地(一時転用) 下の農地で営農を続けながら発電する
水上太陽光 ため池など 土地を用意しなくてよい。水位の変化や台風への備えが必要
遊休工業地・処分場跡地 工場跡地・最終処分場跡地 造成済みの土地を使える。土壌の汚染などの確認が必要
屋根貸し・カーポート 工場・倉庫・店舗・大型駐車場 土地を取得しなくてよい(ソーラーカーポート)

水上太陽光の注意点

ため池などの水面に浮かべる水上太陽光は、土地を用意しなくてよい一方、水位の変化や台風・洪水に耐えるフロートと固定方法の設計が欠かせません。水面を管理する自治体や水利権者・土地改良区の同意を取り、水上設置の施工実績がある業者に相談してください。

用地は購入か賃借か|契約面のチェック

用地を確保する方法は、主に「購入」「賃借(事業用定期借地など)」「運転中の発電所の購入」の3つです。

この表は用地の購入・賃借・分譲購入の比較です。
方式 初めの費用 主な留意点
購入 大きい(土地代+造成費) 自由度が高い。土地の固定資産税や撤去の負担が長く続く
賃借 抑えられる 契約期間をFITの買取期間とそろえる。賃料の改定と原状回復の取り決めが大事
運転中の発電所の購入 大きい(物件の代金) 土地・許可・系統連系が済んでいる。分譲型太陽光発電投資を参照

賃借契約で必ず取り決めること

  • 契約期間(FITの買取期間20年とそろえる)
  • 賃料(固定か、改定の条項があるか)
  • 契約終了時の原状回復(基礎・架台・パネルの撤去の責任)
  • 撤去費用の負担者(事業者か地主か)と積み立ての方法
  • 地主の事情(売却・相続)が起きたときの契約の引き継ぎ
  • 借地権の登記(第三者に権利を主張するため)

固定資産税と税務

購入した土地には固定資産税がかかり、10kW以上の太陽光発電の設備も償却資産として固定資産税の対象です。税額は、評価額(設備は取得価額から毎年の減価を差し引いた額)に税率(標準税率1.4%)をかけて計算します。詳細は固定資産税(償却資産税)を参照してください。

用地調査から発電開始までのフロー

期間は地目・規模・地域で大きく変わります。主な流れは次のとおりです。

  1. 候補地の物理条件の確認

    日射量・地形・地盤・接道・系統連系の5つを、NEDOの日射量データ・ハザードマップ・系統情報で確かめ、現地でも確認します。

  2. 地目の確認と必要な許可の整理

    登記簿・公図・農地区分・森林の区分を、法務局・農業委員会・都道府県で確かめます。市町村の条例も確認します。

  3. 地域への説明と事前周知

    「周辺地域の住民」の範囲を市町村に相談し、説明会や事前周知を行います。説明会は、FIT・FIPの認定申請の原則3か月前までに開きます。

  4. 許可の申請と接続の手続き

    農地転用・林地開発・盛土規制などの許可を申請し、送配電会社に接続検討を申し込んで、接続契約を結びます。

  5. FIT・FIPの認定と工事

    事業計画の認定を受けたあと、造成・基礎・架台・パネル・パワコン・系統連系の工事を進めます。

  6. 系統連系と発電開始

    送配電会社の確認を経て発電を始めます。調達期間(20年)はここから始まります。

業者選びのポイント

用地の確保から発電開始まで、許可・地域への説明・系統連系の手続きを一緒に進められる業者を選ぶと安心です。

産業用で信頼できる施工会社を探す

産業用の太陽光発電は、施工店によって受ける案件の規模や種類が違うため、対応できる施工店を自分で探すのは手間がかかります。以下は産業用に対応した一括見積もりサービスで、いずれも無料で申し込めます。

  • 産業用の一括見積もり・最大5社

    タイナビNEXT

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よくある質問(FAQ)

太陽光発電に向く土地の条件は?
①日当たりがよく周りに影をつくるものがない ②平らで造成の手間が少ない ③地盤が安定している ④工事の車が入れる道路に面している ⑤近くの送電線や変電所に空き容量がある、の5つを確かめます。北向きの斜面・軟弱な地盤・道路に面していない土地・系統の空き容量が少ない地域は、費用がかさんだり工事が遅れたりしやすくなります。
農地に太陽光発電は設置できますか?
農地は農地法の転用許可(営農型は支柱の部分の一時転用許可)が必要です。農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地は、農地全体の転用は原則として許可されません。営農型の一時転用は通常3年以内(担い手の営農・遊休農地・第2種/第3種農地は10年以内)で、単収がおおむね2割以上減らないことなどが条件です。購入の前に農業委員会に相談してください。
山林・原野に設置する場合の注意点は?
太陽光発電の設置を目的に0.5haを超えて森林を開発する場合は、都道府県知事の林地開発許可が必要です(2023年4月から。ほかの目的は1ha超)。環境影響評価法の対象は出力3万kW以上(2020年4月から)で、都道府県の条例でより小さい規模を対象にしている場合もあります。盛土規制法の許可や、土砂災害警戒区域・急傾斜地崩壊危険区域に当たらないかも事前に確かめます。
自治体の規制条例はどう調べる?
太陽光発電の設置について、届出や許可、住民への説明を求める条例を定めている自治体があります。内容は自治体ごとに違うため、市町村のホームページや窓口で確かめてください。あわせて、再エネ特措法では、規模の大きい発電所などは認定申請の原則3か月前までに説明会を開き、それ以外も100m以内の住民へのポスティングなどの事前周知をすることが、FIT・FIPの認定の要件です。
水上太陽光発電は今も増えていますか?
ため池などの水面に浮かべて設置する方法で、土地を用意しなくてよい点が特徴です。水位の変化や台風・洪水への備え(フロートの固定方法など)が設計の要になるため、水面を管理する自治体や水利権者・土地改良区の同意を取り、水上設置の施工実績がある業者に相談してください。
用地は購入と賃借どちらが有利?
購入は自由度が高い一方、土地の固定資産税や撤去の負担が長く続きます。賃借は初めの費用を抑えられますが、契約期間をFITの買取期間(20年)とそろえ、賃料の改定、契約終了時の原状回復、撤去費用の負担を契約書で決めておく必要があります。どちらが有利かは、土地の値段・賃料・事業の期間で変わります。

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